ファースト・ミッション(香港映画)とは【ネタバレ解説・考察まとめ】

『ファースト・ミッション』とは、1985年に公開されたサモ・ハン・キンポー監督、ジャッキー・チェン主演の香港映画である。刑事のフォン・シャンヤンは上司のウォン警部達と宝石の密輸を行うシンジケートの捜査を行っていた。その矢先、彼の兄シャンタクはある出来事によりシンジケートの事件に巻き込まれる事となる。監督のサモ・ハンの意向でドラマ重視の作品となったが日本公開時にはアクション場面とジャッキー・チェン歌唱の主題歌が追加された。

『ファースト・ミッション』の概要

『ファースト・ミッション』(原題:龍的心、英語題:Heart Of Dragon)とは、1985年に公開されたサモ・ハン・キンポー監督、ジャッキー・チェン主演の香港映画である。特殊警察隊の一員のフォン・シャンヤンは指揮官の指導のもとで訓練を受けており、やがて刑事として昇進し宝石の密輸を行うシンジケートの捜査を行っていた。そんななか、彼の兄シャンタクはある出来事がきっかけでシンジケートの事件に巻き込まれる事となる。
この作品は知的障害を持つ兄と刑事の弟との絆を描き、当初の脚本は「兄思いの刑事がある日、拳銃を紛失。刑事が拳銃を探す為に奔走する」という内容だった。監督であるサモ・ハンの意向で、ドラマ場面要素を重視し作られ、一部では香港映画版『レインマン』(1988年)とも言われている。クレジット上にて監督はサモ・ハン・キンポーと表記されているものの、実際の現場監督はウー・マ(本作品での食堂店主役)だった。

『ファースト・ミッション』のあらすじ・ストーリー

厳しい訓練の日々

特殊警察隊の一員であるフォン・シャンヤンは指揮官の指導のもとで訓練を受けていた。ゲリラ隊と警察隊という設定での訓練は成功だったものの、指揮官からの評価は厳しく、休暇は取り消され、みっちり訓練を行うと指揮官から告げられた。ただその厳しい訓練の甲斐もあり、シャンヤンは特捜隊の刑事に就任される。
就任早々、シャンヤンは麻薬中毒者を診療所に連れて行き、患者がメサドンらしきものを飲まされるが、それは毒薬であり、飲用した男はその場で倒れ込む。シャンヤンは罠を仕掛けた男達と格闘する。毒薬を飲まされた男は救急車で運ばれ、一命をとりとめた。

兄による頭痛の種

一方でシャンヤンは彼女ジェニーから一緒になる事を迫られていたが、彼は中々その決心がつけずにいた。その理由の一つとして、知的障害を持つ兄シャンタクの存在があった。
シャンヤンが刑事として多忙な日々を送っていたある日、シャンタクは親しい子供達と一緒にレストランで食事をしていたが、持っていたお金は明らかに飲食代に足りなかった。子供達は親に頼んでお金を貰って来ると告げいなくなった。一人になったシャンタクは無銭飲食したものとみなされ、レストラン従業員達に連れて行かれそうになったので、シャンタクは調理場の冷凍庫に逃げる。騒ぎを聞いたシャンヤンはレストランに駆けつけ、冷凍庫で半分凍りついたシャンタクを助け出したのだった。

兄弟喧嘩、そして涙ながらの和解

ある日、船員の採用通知が届き、船乗りになる事が夢だったシャンヤンは喜ぶ。シャンヤンはレストランで仕事中のジェニーのもとへ向かい、船員に採用された事を伝え、結婚して共に乗船しないかと告げる。そこへ、シャンヤンの同僚警官イアンら数人がやって来て、兄シャンタクを置いて船旅は良くない、ジェニーときちんとした家庭を持てとシャンヤンに告げる。そんななか、ジェニーが数人のチンピラに絡まれているのを見て、イアンが彼等に文句を言ったのを発端に、シャンヤン達はレストラン外の駐車場でチンピラ達と格闘する事となる。チンピラ達は退散していったが、一番弱かったイアンが口だけは達者だったため、シャンヤンや他の同僚達からあまり大口叩くなと𠮟責されるのだった。
シャンヤンは兄シャンタクにも船乗りになる事を報告し、シャンタクを彼の友人であるミンの家に預ける事となった。しかしその後、シャンタクは友人の子供達から船乗りになるのは家族を捨てる事だと言われ、シャンヤンに捨てられたものだと思い込む。そして自暴自棄になったシャンタクは、自宅にてシャンヤンの目の前で暴れてしまう。そんな彼の行動にシャンヤンは怒り、自分が兄シャンタクを見ていなければならない生活への不満を、シャンタク本人へぶつけた。
シャンヤンの行動に責任を感じたシャンタクは、自立する事を決心し、街で仕事を探すも雇ってくれるところは中々見つからなかった。そんななか、ある一軒の食堂で採用すると言われたが、そこの店主の言いなりになって動物や虫の真似をさせられてしまい、シャンタクは醜態をさらしてしまう。そこへ偶然、シャンヤンの同僚イアンが店に入ってくる。イアンは悪びれる様子がない店主の腹部を殴り、シャンタクを連れて帰る。その後シャンヤンはイアンから、シャンタクが街で職探しを行ったうえ、食堂で酷い目に遭った事について咎められる。それに対しシャンヤンは逆上し、イアンと大喧嘩をしてしまう。そんなシャンヤンだったが、兄シャンタクを思う気持ちに変わりはなく、彼と涙ながらの和解をする。

争い事に巻き込まれるシャンタク

シャンヤンは宝石密輸を行っているシンジゲートのアジトへ潜入するも、組織のボスであるカムは部下一人であるコーに盗品の宝石を持って逃亡させる。コーは追いかけて来たシャンヤンの追跡も振り切るが、逃亡中の路上で偶然、子供達と警官ごっこをしていたシャンタクと遭遇する。シャンタクがおもちゃの拳銃を構えた瞬間、コーは彼を本物の警官だと思い込み、その場から逃げ出す。逃げたコーは盗品の宝石が入った鞄をその場に落としていった。シャンタクと彼の友人のミンはその鞄を見つけ、事の重大さに動揺して鞄を森の中に隠してしまう。その頃、鞄をなくしたコーは組織から狙われる様になり、シャンヤンら警察に保護を頼んでいた。またシャンタクとミンは自分達が逮捕されて重罪を背負う事を恐れて、鞄を警察に届ける為に、再び山に向かい鞄を取り出す。その際に中身を見ると宝石が入っており、シャンタク達は驚く。そこへシャンタク達の後をつけていたミンの兄が、顔を隠しシャンタクを山から蹴り飛ばし鞄を盗み逃走する。怪我を負い担架で運ばれるシャンタクがテレビのニュースで報じられ、それを部屋で観ていたコーが、シャンタクが自分から宝石を没収した男だと確信。このコーの供述により、シャンタクに窃盗の容疑がかかってしまう。
シャンヤンの自宅へウォン警部ら数人の警官達がやって来て、シャンタクを逮捕しようとするも、シャンタクは彼等を怖がり抵抗した末、自宅から逃げ出す。シャンヤンは、シャンタクは自分が連れて行くから乱暴しないでくれとウォン警部達へ説得し、彼等はそれに同意して警官達とその場を撤退する。逃走したシャンタクはミンのもとへ行き、ミンから指示されるがままに家のクローゼットに隠れる。そこへミンの兄が帰宅し、シャンタク達から奪った宝石を高値で売ろうと考えていた。しかし宝石の事は既にシンジケートに伝わっており、間もなくして組織の部下達がやって来てミンの兄に暴行を加える。ミンの兄はクローゼットから宝石の入った鞄を取り出そうとしたところ、中にシャンタクもいて驚く。ミンの兄は鞄を部下達に渡すと、部下により銃殺される。また殺されたミンの兄がシャンタクをミンの知り合いで弟が刑事(シャンヤンの事)と告げており、それを聞いた部下達はシャンタクも共にアジトへ連れて行く。シンジケートのボスであるカムは、シャンタクが首にぶら下げていた連絡先(電話番号)を通してシャンヤンに電話をし、助けたければコーを連れて来いと伝える。

兄の救出、シンジケートとの対決へ

悩んだシャンヤンだが、上司のウォン警部は犯人を捕まえる事しか考えておらず伝えても無駄だとして、同僚のイアン達に相談を持ち掛ける。そしてコーを連れて行き、彼とシャンタクとの交換、更にはシンジケートの壊滅実行も考える。シャンヤンとイアン達はコーのもとへ向かい、警備する刑事達を押し退けてコーをカム達のもとへ連れて行こうとする。しかし、コーのいる建物には既に特警隊指揮官のもと、厳重な警備が回っていた。そこでシャンヤンは自分がおとりになると告げ、特警隊の気を引く様に車のクラクションを鳴らし、特警隊員達と街で激しいカーチェイスを展開。そして彼等から逃げ切ったシャンヤンは、イアン達共にコーを連れてカム達のいる建設ビルに向かう。ビル内でカムや部下達に遭遇するも、部下達は直ぐに拳銃を発砲、銃弾がコーに命中し彼は絶命する。シャンヤンは、同僚警官達と共にシンジケートと激しい格闘を繰り広げる。シンジケート一同は取り押さえられ、シャンヤンはシャンタクを助け出すも、シャンヤンら警官達も逮捕されて刑務所での生活を送る事となる。刑務所内でシャンヤンが兄シャンタクを思うなか、先に他の同僚達が次々と出所していき、シャンヤンの彼女ジェニーと共にシャンタクの面倒を見る。やがてシャンヤンが無事に出所し、シャンタクと二人で仲良く歩いている場面で物語は幕を閉じる。

『ファースト・ミッション』の登場人物・キャラクター

主な中心人物

フォン・シャンヤン(演:ジャッキー・チェン)

CV:石丸博也
特殊警察隊の一員であり、指揮官の指導のもとで厳しい訓練を受けるなか、特捜隊の刑事に就任される。また、幼くして両親を亡くし、30歳になり知的障害を持つ兄シャンタクに対し、目を離せない生活を送っていた。そんなある日、以前からの夢だった船員の採用通知が届き喜び、兄シャンタクにも報告し、彼の友人であるミンの家に預ける事となった。しかしシャンタクは友人の子供達から、船乗りになるのは家族を捨てるという言葉を信じ込み、弟に捨てられたものだとも思い自暴自棄になり自宅で暴れてしまう。すると思わず感情がこみ上げ、それまでずっとシャンタクを見ていなければならなかった不満を、本人へぶちまける。シャンタクは自立する事を決心し街で仕事を探すが、ある食堂で店主から動物や虫の真似をさせられ醜態をさらしてしまう。彼は偶然、店に入ったイアンにより助けられるが、イアンからシャンタクが街の食堂で酷い仕打ちを受けた事の件で咎められる。すると思わず逆上し、イアンと大喧嘩をしてしまう。それでも、兄シャンタクを思う気持ちに変わりはなく、彼と涙ながらの和解をする。
一方、宝石密輸を行っていたカムが率いる組織のもとへ、ウォン警部と共に捜査に向かうが、警察の捜査を察したカムが仲間のコーに宝石の入ったカバンを持って逃亡させる。コーの姿を確認し彼を追うが、逃げられてしまう。しかしそんなコーから連絡が入り、警察により宝石が没収された、また組織の証人になるから保護して欲しいという連絡が入る。ウォン警部は証拠が無ければ無理だ、宝石等も没収していないと告げるが、コーは宝石が無いと自分が始末される、組織を取り押さえてくれと訴え、ウォン警部指示のもと、コーから供述を取る事となった。その後、コーが部屋でたまたま観ていたテレビのニュースで映ったシャンタクを見て、彼が自分から宝石を没収した(実際は子供達と路上で遊んでいて、警官のフリをしておもちゃの拳銃を構えた際に本物の警官と勘違いした)男だと確信する。その供述により、シャンタクに窃盗の容疑がかかってしまう。自宅にウォン警部ら数人の警官達がやって来て、シャンタクを逮捕しようとするも、彼は怖がり抵抗した挙げ句、その場から逃げ出してしまう。シャンタクは自分が連れて行くから乱暴しないでくれと説得し、ウォン警部はそれに同意し警官達とその場を撤退する。
宝石を奪い高値で売ろうとしたミンの兄は、組織にバレて部下達が自宅に押し掛け暴行を加えられる。隠していた鞄をクローゼットから取り出し渡すが、部下により銃殺される。またその際に、警察から逃れる為にミンに言われるがままにクローゼットに隠れていたシャンタクも、部下達に連れて行かれる。シャンタクの首にぶら下げていたシャンヤンの連絡先(電話番号)を通して、カムから連絡があり、シャンタクを助けたければコーを連れて来いという連絡が来る。ウォン警部は犯人を捕まえる事しか考えておらず伝えても無駄だと考え、コーを連れて行きシャンタクとの交換かつ、シンジケートの壊滅実行を考え、イアン達に協力を求める。そしてイアン達と共にコーのもとへ向かい、警備する刑事達を押し退け、コーを連れて行こうとする。
しかし既に特警隊指揮官のもと、厳重な警備が回っていた。そこでシャンヤン自らがおとりになると告げ、特警隊の気を引く様に車のクラクションを鳴らし、彼等と街で激しいカーチェイスを展開する。そしてどうにか逃げ切り、コーを連れてカム達のいる建設ビルに向かう。カムや部下達に遭遇するも、部下達は直ぐに拳銃を発砲しコーに命中し彼は絶命する。部下数人と格闘し、カムを馬乗りに銃を突き付けシャンタクはどこだと聞く。シャンタクが地下にいると聞いた後、カムの腹部を踏みその場を立ち去ろうとする。
そこへ格闘技に長ける部下の一人が行く手を阻み、互いに拳と蹴りの激しい連打を浴びせる。その間も、カムが何度も拳銃を突き付けたり、他の数人の部下がやって来る等の事に対抗する。最後はその格闘技のできる部下に蹴りを浴びせ、石ブロックにぶつけ彼はその場で倒れ込む。
シャンタクを助け出した後、シャンヤン自身も連行される際、ウォンがシャンタクに手錠を掛けようとしたところを止め、自らの手と彼の手に掛けた。その後、同僚刑事達と共に刑務所での生活を送る事となり、刑務所内で兄シャンタクの事を心配するなか、他の同僚達が先に次々と出所し、ジェニーと共にシャンタクの面倒を見ていた。その後、シャンヤンも無事に出所し、シャンタクと二人で仲良く歩く場面で物語は幕を閉じる。
フォン・シャンヤン役を演じたジャッキー・チェンは、『スネーキーモンキー 蛇拳』『ドランクモンキー 酔拳』(1978年)でブレイクし、『プロジェクトA 』(1983年)や『ポリス・ストーリー/香港国際警察 警察故事』(1985年)等のヒット作を次々と発表した。長きにわたりアクションスターとして、多くのファンを獲得。一方で歌手としても定評があり、自身の主演作の主題歌やアルバムを発表し、1980年代には日本でも数々のシングル曲を発表した。

フォン・シャンタク(演:サモ・ハン・キンポー)

CV:水島裕
シャンヤンの知的障害を持つ兄で、30歳になるが両親がいない為に弟の世話を受けて、面倒をかけっぱなしの生活を送っている。ある日、友達の子供達とレストランで食事をしたものの、シャンタク達が用意したお金が勘定に全く足りず、子供達は親に頼んでお金を貰って来ると告げいなくなった。一人となり思わずその場を立ち去ろうとした際、レストランの従業員から無銭飲食したものとみなされ、彼等に警察へ連れて行かれそうになるが、それを振り切り調理場の冷凍庫に逃げる。騒ぎを聞いたシャンヤンがレストランに駆けつけ、(ドアはカギが掛かって入れない為)通気口から冷凍庫に入ったシャンヤンにより、半分凍りついた状態のなか無事に助け出される。
その後も、シャンヤンが常に面倒を見ているが、街で一緒に手を繋いで歩いている姿に対し、歩行者からゲイと思われる一幕もあり、シャンヤンが通りかかる歩行者一人一人にいちいち自分達は兄弟だと告げていた。自宅では家庭教師がついて、簡単な英語を習っていた。しかしシャンヤンが少し自宅を留守にした隙にその家庭教師から雑に扱われてしまう。シャンタクは彼に同じ単語ばかりでなく新しい言葉も教えて欲しいとすると訴えたが、その家庭教師にいちゃもんを付けられその場で泣いてしまう。そこへシャンヤンが帰って来たので家庭教師は慌てて丁寧な口調を装うが、シャンヤンはそれまでの家庭教師の横暴な振る舞いを聞いていた。シャンヤンは目の前で泣いているシャンタクを見て、家庭教師に給料を払って彼を部屋から叩き出す。シャンタクは泣きながら一生懸命勉強したと言い、シャンヤンはそれを理解し別の家庭教師を探してくると告げた。
シャンヤンのもとに以前からの夢だった船員の採用通知が届くと、その事を報告されシャンタクは友人であるミンの家に預けられる事となった。しかし友人の子供達から、船乗りになるのは家族を捨てることだと言われ、弟に捨てられたものだとも思い込む。そして自暴自棄になり、自宅でシャンヤンの目の前で暴れてしまう。するとシャンヤンも、それまで我慢していた感情がこみ上げ、それまでずっと自分の面倒を見ていなければならなかった不満をぶつけられる。その事に責任を感じて、自立する事を決心する。街で仕事を探し、思う様に仕事が見つからないなか、ある食堂に入る。しかし、そこの店主から採用という口車のもと、動物や虫の真似をやらされる醜態をさらされる。そこへ偶然、店に入ったシャンヤンの同僚イアンにより助けられ店を後にする。イアンは、シャンタクが街の食堂で酷い仕打ちを受けた件でシャンヤンを咎める。シャンヤンは逆上し、イアンと大喧嘩をしてしまう。しかし、シャンヤンが兄を思う気持ちに変わりはなく、彼と涙ながらの和解をする。
子供達と路上で遊んでいて警官のふりをしておもちゃの拳銃を構えたところ、偶然警察の捜査から逃げてきたシンジケートの一員コーと鉢合わせとなる。その際、コーはシャンタクを本物の警官と勘違いしその場から逃亡、持っていた鞄も置いて行ってしまう。コーが鞄を置いて行ったのを見た子供達から強盗したと言われ、事の重大さを感じたシャンタクは友人のミンと共に鞄を山に隠す。しかしその後、やはり警察に届けようと心変わりし、ミンと再び山に向かい鞄を取り出す。そして警察に行く前に、鞄の中身を確認したところ、宝石が入っており、驚く。その瞬間、シャンタク達の後をつけていたミンの兄が顔を隠した状態で2人の傍に駆け寄り、蹴り飛ばされ山から転げ落ちる。ミンの兄は宝石の入った鞄を奪い逃走。負傷して担架に乗せられ運ばれるが、その様子をたまたまテレビのニュースで観ていたコーから宝石を奪った犯人だと思われ、彼の供述によりシャンタクに宝石窃盗の容疑が掛かってしまう。
シャンヤンの自宅に、ウォン警部ら数人の警官達が来て、シャンタクを逮捕しようとするが、彼等を怖がり抵抗した挙げ句、自宅から逃げ出す。シャンヤンが、シャンタクはが連れて行くから乱暴しないでくれとウォン警部達を説得し、彼等はそれに同意し警官達とその場を撤退する。一方逃走したシャンタクはミンの家へ行き、彼から家のクローゼットに隠れている様に指示される。そこへ宝石を奪った真犯人であるミンの兄が帰宅するが、宝石の事は既にバレており、直後にシンジケートの部下達がやって来る。部下達から暴行を加えられたミンの兄は、クローゼットの中の宝石の入った鞄を取り出そうとするが、同時にシャンタクも見つかる。ミンの兄は鞄を部下達に渡すと、部下により銃殺され、シャンタクもシャンヤンの仲間と分かったのか、組織のもとへ連れて行かれる。シンジケートのボスであるカムは、シャンタクが首にぶら下げていた連絡先(電話番号)を通してシャンヤンに電話をし、助けたければコーを連れて来いと伝える。
シャンヤンは同僚警官達と共に、コーを連れてカム達がいる建設ビルに向かい、激闘を繰り広げる。その後シンジケート一味を倒したシャンヤン達により助け出されるが、彼等も逮捕され刑務所での生活を送る事となる。シャンヤンが自分の事を気に掛けるなか、他の同僚達が先に次々と出所し、シャンヤンの彼女ジェニーから面倒を見て貰っていた。シャンタク自身はエンディングにて刑務所に入っていないところをみて、保釈されたものと判断できる。そしてシャンヤンも無事に出所し、二人で仲良く歩く場面で物語は幕を閉じる。
フォン・シャンタク役を演じたサモ・ハン・キンポーは、1970年代より多くのカンフー映画のアクション指導やスタント・監督を務め、手掛けた作品は数知れず。俳優としても『デブゴン』シリーズや『SPL 狼よ静かに死ね』(2005年)、『イップ・マン 葉問』(2010年)等に出演、『霊幻道士』シリーズといったヒット作品の制作も手掛けた。

ジェニー(演:エミリー・チュウ)

出典: www.weimeicun.com

シャンヤンの彼女であり、レストランでウェイトレスをしている。また、両親はシャンヤンが警官である事を快く思っていない様だが、ジェニー自身はシャンヤンに好意を寄せていて、彼と早く一緒になりたいと思っている。ある日、仕事先であるレストランにシャンヤンや同僚刑事達が来ていた時、チンピラ数人にいちゃもんをつけられる。そこへ、シャンヤンの同僚イアンがチンピラ達に文句を付け、レストラン外でシャンヤン達と共にチンピラ達と格闘を展開し彼等を追い払う。後日、シャンヤンとデートに行くも、その際は常にシャンタクと一緒にいる為に、不機嫌そうな顔をしていた。しかし、シャンヤンがシンジケート組織と対決し逮捕された際、彼が刑務所にいる間は早くに出所した同僚警官らと共にシャンタクの面倒を見ていた。
ジェニー役を演じたエミリー・チュウは、モデルとしての活動を経て、チョウ・ユンファ主演『サイキックSFX/魔界戦士』(1985年)や『男たちの挽歌』シリーズ(1986・1987年)等に出演し、人気を集める。因みに、ジャッキー・チェン主演『ポリス・ストーリー2 九龍の眼』(1988年)では、首を突っ込みすぎた為に事件に巻き込まれる記者の役として出演していたものの、自身の出演シーンが全てカットされた。その後は台湾で活動し、1990年代後半に芸能界を引退。

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ここではジャッキー・チェンの映画に登場した出演者や有名なロケ地の「その後」を紹介する。『拳』シリーズ、『プロジェクトA』シリーズ、『ツイン・ドラゴン』、『ポリス・ストーリー』シリーズ、『ヤング・マスター』、『スパルタンX』、『フーアムアイ?』など名作の数々を幅広く網羅した。

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