海獣の子供(漫画・劇場アニメ)とは【ネタバレ解説・考察まとめ】

『海獣の子供』とは、海を巡る神話を題材にしたファンタジー物語であり、五十嵐大介による初の長編漫画作品、また漫画原作の同名アニメーション映画である。漫画は、小学館が発行する漫画雑誌『月刊IKKI』にて2006年2月号から2011年11月号まで連載された。映画は渡辺歩が監督し、主人公・安海琉花の声優を芦田愛菜が務め、2019年に公開された。主人公の中学生・琉花が、ジュゴンに育てられた子供・海と空と関わるうちに、自然界の海を巡る現実とは思えないような体験に巻き込まれていくひと夏の物語となっている。

『海獣の子供』の用語

海の子供

海の子供とは、海と空のように、普通の人間と違って海中で育った子供たちのことを指す。海から来た子供とも呼ばれている。
海と空は東南アジアのある島で、ジュゴンに育てられているところを発見された。世界では、海と空以外にもアザラシの群れの中にいる少年や、ジュゴンの乳を吸う子供の姿などが目撃されている。彼らはどこから生まれて、どうして海中で育っているのかは不明なままである。
また、海と深く関わりのある島などでは、海の子供にまつわる様々な逸話や神話が残されている。
原人と隕石が出会うことで琉花が目撃した誕生祭が起こるのだが、海の子供はおそらく原人になり得る可能性を持っている。そのため、空が小笠原諸島に落ちた隕石を拾いに行った際、他の海の子供たちも隕石を欲しがったと推測される。

海の幽霊

白斑のある魚の模様が光になって消えてしまったり、他の魚たちに光を食べられていなくなってしまう現象のことを指す。海と空が名付けた。
琉花も幼い頃に、正明の働く水族館でこの魚が光になって消える現象を目撃しており、琉花は「水族館の幽霊」と呼んでいた。
空や海が消えてしまう前に、世界各地の水族館で白斑のある魚が光になって消えてしまう現象が多発し、原因不明の怪奇現象として多くの水族館が休館に追い込まれる事態になった。正明の働く江ノ倉水族館水族館でも、消える瞬間をビデオ撮影して解析するなどしていたが、原因は分からないままだった。

隕石

小笠原諸島に落ちた隕石のことを指す。
海は隕石のことを「人魂」と呼んでいた。海が「人魂が来るから見に行こう」と琉花を海辺に誘い、海と琉花は一緒に隕石が落下する様子を見ていた。夜になってから、隕石は明るい光を放って小笠原諸島の周辺の海中に落下し、落下した翌日は各新聞が隕石落下の話題を取り上げた。
空は詳細は分からないながらも、小笠原諸島周辺に落下した隕石が必要であると感じ、入院していた病院を抜け出して、クジラに乗って隕石を取りに行った。空以外にも、隕石を欲しがる海獣の子供が多くいたが、隕石を手に入れられなかった海の子供たちは、10代前半の子供と見られる遺体として、とある浜辺で30体ほど見つかった。彼らはもともと体の一部がなかったかのように変形しているものも多く、まるで受精が適わなかった卵巣の黄体が退縮した白体のような形をしていた。
インドネシアの影絵劇の話にある「宇宙支配神が大海に精液をこぼすと巨大な羅殺になった」という民間伝承があり、アングラードと空は「精液にあたるのが隕石である」と考えていた。

羅刹

「らせつ」と読み、鬼神の総称である。人をたぶらかして、人を食うと言われている。世界各地で様々な解釈があるが、仏教においては転じて守護神とされている。
インドネシアの影絵劇の話にある「宇宙支配神が大海に精液をこぼすと巨大な羅刹になった」という民間伝承があり、アングラードと空は「精液が隕石である」と解釈できたが、羅刹とは何を指すのかが分からずにいた。
後に、空が小笠原諸島に取りに行った隕石を琉花が飲み込んでしまい、琉花が運んだ隕石を海が身体に取り込むと海の身体が黒く変化し光り出した。周辺にいるクジラなどの生き物も、同じように体が黒くなって体の模様が光り出し、海の幽霊のように光がたくさんあふれて爆発する現象が起こった。光の爆発と同時に、体が光っていた魚たちは消え、別の命に生まれ変わった。一部の島では、この光の爆発を「誕生祭」や「受精」と呼んでいる。海が隕石を取り込んで光の爆発が起こったことから、羅刹とは原人のことで、今回の誕生祭では海が原人であったと解釈が出来る。

創世神話

創世神話とは、宇宙や世界、地球、人類、生命などの起源についての物語である。
『海獣の子供』の中では、人間の中に火や風、川、空などが描かれた不思議な絵が世界地図とされる創世神話が出てくる。世界地図に描かれている人間は、原人と呼ばれ、原初の水から原人が生まれ、原人が世界の元となるという物語だった。
ジムやアングラードは、10年前に行った南極で、原人が描かれている大きなクジラを目撃したり、宇宙からクジラのソングが聴こえてくる中で、海が海の子供を殺しクジラの群れが子供を食べる光景を目の当たりにしたりしたことで、創世神話を信じるようになった。特にアングラードは自身で海中に潜って、海が海の子供を殺してクジラが食べる光景を自身で目撃したため、海は原人の可能性が高く、創世神話が本当のことであると信じている。

原人

原人とは、創世神話の中に出てくる、原初の自ら誕生した人間で、すべての世界の元となると考えられている。
『海獣の子供』の中では、人間の中に火や風、川、空などが描かれた不思議な絵が世界地図とされる創世神話が出てくる。世界地図に描かれている人間はが原人で、最初に生まれた水から原人が生まれ、原人が世界の元となるという物語である。原人が、世界のすべての生命の生まれる元となっていると考えられている。
ジムやアングラードは、10年前に行った南極で、原人が描かれている大きなクジラを目撃したり、宇宙からクジラのソングが聴こえてくる中で、海が海の子供を殺しクジラの群れが子供を食べる光景を目の当たりにしたりしたことで、創世神話を信じるようになった。
特にアングラードは海がジムに保護されたばかりの頃、浜辺に海を連れて行き、海と一緒に海中に入った途端、海の体が巨大化し、巨大化した海に飲み込まれた経験がある。その上南極では、アングラード自身で海中に潜って、海が海の子供を殺してクジラが食べる光景を自身で目撃したため、海は原人である可能性が高く、創世神話が本当のことであると信じている。

誕生祭

誕生祭とは、創世神話で言うところの原人が、宇宙から来た隕石を手に入れることによって起こる、宇宙の様々な生命が爆発的に誕生する瞬間のことを指す。ある島では、受精とも呼ばれている。
琉花は、空が小笠原諸島に取りに行った隕石を、原人である海に渡すことによって起きた誕生祭を、目の当たりにすることになった。海が隕石を飲み込んだ後、海と琉花が海中へ飛び込むと、海の身体が黒く変化し、周りにいたクジラなどの生物も同じように黒く変化した。海や体が黒くなった生き物たちの周りを、たくさんの海の生き物たちが渦のように取り囲み、宇宙からはクジラのソングが聴こえてきた。海が「さよなら」と言うと、海や黒くなった生き物たちは光の粒になって消えてしまう。次の瞬間、空に向かって光の柱が出来て爆発し、消えてしまった海の生き物たちは、世界あちこちの別の生命に生まれ変わったのだった。

『海獣の子供』の名言・名セリフ/名シーン・名場面

加奈子「私の目に見えるほとんどは、人間じゃない。世界の大部分は『人間じゃないもの』で出来ているでしょう?だから私は人間じゃないもののほうを多く見る。でもどうやらそれはダメらしい…世界を割合の通りに見てるだけなのに、どうやら他の人は違うらしい」

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