金色のコルダ3 AnotherSky(ゲーム)とは【ネタバレ解説・考察まとめ】

『金色のコルダ3 AnotherSky』とは、株式会社コーエーテクモゲームスから発売された女性向け恋愛シミュレーションゲーム『金色のコルダ3』のIFストーリーを描いたタイトル。
季節は夏。ヴァイオリニストの主人公は自分の音楽を見つけるため各学校に転校し、それぞれのメンバーと全国学生音楽コンクール アンサンブル部門での優勝を目指す。
『金色のコルダ3』でライバルとして登場したキャラクターたちと仲間になり、彼らと共に過ごしながら、音楽と恋愛が盛りだくさんの青春恋愛ストーリーを楽しむことができる。

『金色のコルダ3 AnotherSky』の概要

『金色のコルダ3 AnotherSky』は、現代と音楽をテーマにした女性向け恋愛シミュレーションゲーム『金色のコルダ3』を基本舞台とし、主人公がもしライバル校に転校していたら、というIF設定のアナザーストーリーを描いたタイトルである。
シリーズは計3作品あり、2014年1月発売のシリーズ第1弾『金色のコルダ3 AnotherSky feat.神南』、2014年3月発売のシリーズ第2弾『金色のコルダ3 AnotherSky feat.至誠館』、2014年9月発売のシリーズ第3弾『金色のコルダ3 天音学園』として、すべてPSP用ソフトとして展開されている。
2018年9月発売のPS vita用ソフト『金色のコルダ3 AnotherSky feat.神南/至誠館/天音天音』は、シリーズ3作品すべて詰まった豪華版となっている。
前作同様、開発チームはルビー・パーティー、キャラクターデザインを呉 由姫(くれ ゆき)が担当している。
レイティングはCERO規格でB(12才以上対象)で、声優は『金色のコルダ3』と同じ豪華声優陣が引き続き参加している。

本作のストーリーは『金色のコルダ3』と同じ時間軸で繰り広げられる。
主人公の転校先として登場する学校は、『金色のコルダ3』でライバル校として競い合った、至誠館高等学校(しせいかんこうとうがっこう)、神南高等学校(じんなんこうとうがっこう)、横浜天音学園(よこはまあまねがくえん)の3校。
舞台はそれぞれの学校のある地域で、至誠館高等学校は仙台、神南高等学校は神戸、横浜天音学園は横浜でそれぞれ生活が始まる。
主人公・小日向 かなで(デフォルト名)は小さい頃からヴァイオリンを弾きながらも、高校2年生現在は思うように演奏できず悩む日々を送っていた。
しかしとあることをきっかけにそれぞれの学校への転校を決意する。
そして各校の音楽仲間たちと知り合い、共にアンサンブルを組み、全国学生音楽コンクールへ出場し優勝を目指す。
最終的に主人公が失っていた自らの音楽家としての力を取り戻していく。

今作『金色のコルダ3 AnotherSky』の魅力は、なんといっても前作『金色のコルダ3』でライバルだったキャラクターと仲間になれることだ。
『金色のコルダ3』では、味方の他にライバルとして登場する魅力的なキャラクターが数多く登場していた。
そんな素敵なライバルたちと同じ学校だったら、自分もライバルたちの学校にいたら、と考えたプレイヤーも少なくないはず。
今作はそんなプレイヤーの夢を叶えたような素晴らしい内容が盛りだくさんとなっている。
『金色のコルダ3 AnotherSky』ではライバルとして競い合ったキャラと仲間になり、共に過ごしコンクールへ協力することで彼らと濃密な時間を過ごすことができる。
また各校の悩みや葛藤、彼らの内面を知ることで、よりキャラクターの魅力に触れられる。
今作でも仲間とはもちろん、ライバルとの恋愛も可能となっている。
前作で仲間だった星奏学院(せいそうがくいん)のメンバーとはライバルになり、競い合いながら恋愛することが可能となっている。
また今回のストーリーテーマはずばり、葛藤である。
今作では『金色のコルダ3』で描ききれなかったキャラクターの内面を深く描いた内容となっている。
すべてのキャラクターに葛藤や悩みがあり、主人公は彼らと共に乗り越えるため、また解決するために一歩を踏み出していく。
人間味の増したキャラクターたちに触れることで、さらなるときめきが生まれる魅力的なストーリーとなっている。

『金色のコルダ3 AnotherSky』の登場人物は、前作『金色のコルダ3』で登場した12名に加え、3名の新キャラクターが増えた計15名が恋愛対象キャラクターとして登場する。
前作同様、星奏学院の如月 響也(きさらぎ きょうや)、如月 律(きさらぎ りつ)、榊 大地(さかき だいち)、水嶋 悠人(みずしま はると)。
至誠館高等学校の八木沢 雪広(やぎさわ ゆきひろ)、火積 司郎(ほづみ しろう)、水嶋 新(みずしま あらた)。
神南高等学校の東金 千秋(とうがね ちあき)、土岐 蓬生(とき ほうせい)。
横浜天音学園の冥加 玲士(みょうが れいじ)、天宮 静(あまみや せい)、七海 宗介(ななみ そうすけ)。
この12名にプラスして、至誠館には長嶺 雅紀(ながみね まさのり)、神南には芹沢 睦(せりざわ むつみ)、天音学園には氷渡 貴史(ひど たかふみ)がの3名が新規追加となっている。
新キャラクターとの新鮮な恋愛はもちろん、『金色のコルダ3』で登場していたキャラクターとの恋愛要素もたっぷり追加されており、彼らとの充実したラブロマンスを楽しめる。

『金色のコルダ3 AnotherSky』のあらすじ・ストーリー

全シリーズ共通のあらすじ

至誠館、神南、天音学園に転入する主人公

季節は夏。
主人公は高校2年生の伸び悩んでいるヴァイオリニスト。
彼女は最近は演奏することが楽しくなかった。
自分の演奏が成長しないことに嫌気がさし、ヴァイオリンを弾くことに苦しんでいたのだ。
しかし主人公はとあるきっかけを皮切りに、各地にある学校へ転校する。
そこで主人公は音楽の楽しさを知り、自分の演奏を磨き上げながら仲間と共にコンクール優勝を目指す。
各地で新たな仲間と過ごしながら、主人公は自分の音楽家としての才能を目覚めさせていく。

feat.至誠館高等学校ストーリー

はじまり

主人公は仙台で、トロンボーンを吹き鳴らす新と出会う

主人公は小さい頃からヴァイオリンを弾いていた。
昔は演奏を楽しめていたのだが、だんだんと成長しなくなっていく自分の演奏が苦しくなっていた。
高校2年生になり、主人公はヴァイオリンを辞めようかと悩む日々を送っている。
そんなある日、主人公は祖父から「仙台に行ってはどうだ?」と提案される。
海外出張中の母が元気のない主人公を心配し帰国、その母と一緒に仙台にある親戚の家で生活してみてはどうかというのだ。
「新天地で気分を一新するのも良い。一度仙台を見ておいで」という祖父の提案を受け、主人公は新幹線で仙台へ向かった。

仙台の街に到着した。
主人公が見慣れない街並みに馴染めずぼーっと歩いていると、トロンボーン吹き鳴らす青年に出会う。
空にまで響き渡るような晴れやかな演奏に感動した主人公が拍手すると、青年は浮かない表情の主人公に気づき、主人公の持っていた楽器ケースを見て「合奏しよう」と誘ってくれる。
彼から渡された楽譜を2人で演奏すると、主人公は久しぶりに演奏を楽しむことができたのだった。
演奏が終わり、電話で呼び出された青年は「俺は水嶋 新(みずしま あらた)、至誠館高校吹奏楽部の一年だよ」と自己紹介し、「また一緒に演奏しようね!」と強引に指切りして風のよう去っていった。
彼のいる至誠館高校は主人公が仙台に引っ越した際、転校する予定の高校だ。
そこでならもう一度楽しく音楽に向き合えるようになるかもしれないと考えた主人公は、仙台へ引っ越すことを決めた。
2ヶ月後、主人公は仙台に移り住み、至誠館高校に転校したのだった。

転校

至誠館高校はもともと男子校。
昨年できた特別進学コースだけは共学だが、まだ男子生徒の割合が多い硬派な学校だ。
転校初日、主人公は共学のクラスに入る。
主人公は仲良くなったクラスメイトに「吹奏楽部に入部したい」と話すと、なぜか止められてしまう。
友達は「至誠館高校にはブラスバンド部と吹奏楽部があるが、吹奏楽部はやめておいたほうがいい」と言うのだ。
何か事情がありそうだと考えた主人公は、吹奏楽部が練習している屋上へ様子を見に向かった。

屋上にはトランペットを持った目つきの悪い強面の男子生徒がいた。
彼は「部外者は出て行け」と主人公を冷たくにらむ。
主人公が困惑していると、先日会った新と、男子生徒数人が屋上に入ってきて主人公に気づく。
新は主人公との再会を喜び、ここに集まっている吹奏楽部部員を紹介してくれた。
部長の八木沢 雪広(やぎさわ ゆきひろ)を始め、狩野 航(かのう わたる)、伊織 浩平(いおり こうへい)、そして先ほど主人公を追い返そうとしたのが火積 司郎(ほづみ しろう)だ。
主人公が吹奏楽部に入部したいと伝えると彼らはとても喜んでくれたが、火積は1人だけきっぱりと反対する。
理由は主人公の楽器がヴァイオリンだからだ。
吹奏楽部は管楽器や打楽器で編成されたアンサンブル演奏を行う部活動で、至誠館高校吹奏楽部は全員金管楽器を吹いている。
そこに弦楽器であるヴァイオリンは入れようがないというのだ。
そして彼らはこれから挑む大事な大会を控えていた。
彼らはこの夏の全国学生音楽コンクールのアンサンブル部門で優勝狙っており、全員で全国一位を目指していた。
そこへ新参者である主人公、そして未知の弦楽器が入るとどうなってしまうのか。
「主人公を加えた急増アンサンブルでコンクールに挑むのは…」と火積の言葉に押され、皆が不安そうな表情になってしまう。
しかし部長の八木沢は主人公の入部を賛成し、後押ししてくれる。
彼は火積を説得するように「僕の恩師は音楽は皆で楽しむものだと教えてくれた。コンクール出場に楽器の制限はない。金管五重奏にヴァイオリンでも大丈夫のはずだ」と主張する。
そして八木沢から、1週間後の壮行会で一度一緒に演奏しようと提案される。
一学期の終わりに運動部の夏の大会を鼓舞するための壮行会があり、そこで主人公と吹奏楽部とのアンサンブルの様子を見てみようというのだ。
主人公と至誠館吹奏楽部との合奏が決定し、壮行会に向けて練習することになった。

壮行会

翌日、八木沢が金管とヴァイオリンのアンサンブル楽譜を持ってきた。
楽譜は八木沢の恩師が高校時代に使っていたもので、恩師はヴァイオリンとの合奏の楽譜をたくさん持っているのだと言う。
主人公たちが壮行会で演奏する曲が決まった。

主人公が仙台で母と居候しているのは、親戚の寺の離れだ。
朝、主人公が顔を洗うために水回りのある母屋へ向かうと、廊下で青年と鉢合わせする。
主人公を不審者あつかいする彼に「自分は離れに越してきた者だ」と説明すると、自分はこの寺の息子の長嶺 雅紀(ながみね まさのり)、至誠館の3年生だと自己紹介してくれた。

昼休み、主人公は見知らぬ生徒に腕を引かれ、強引にブラスバンド部の部室まで連れて行かれてしまう。
そこには今朝会った長嶺が主人公を待っていた。
彼はブラスバンド部の部長で、主人公を吹奏楽部の新入部員だと知り呼んだのだという。
長嶺は転入生である主人公に今の吹奏楽部の事情を話してくれた。
至誠館の吹奏楽部はその名を近隣に知られた強豪だったが、今はそのかつての面影はない。
昨年部員の1人が暴力事件を起こして活動停止処分になり、部員が大勢辞めたのだという。
「君も吹奏楽部よりブラスバンド部に入ったらどうだ?」と長嶺は主人公を勧誘する。
しかしブラスバンド部ではヴァイオリンは演奏できないと長嶺に言われ、主人公は入部をはっきりと断った。

教室に戻り、長嶺から聞いた話をクラスメイトにたずねると、暴力事件は火積がおこしたものだと教えてくれた。
火積の顔にある傷はその時の喧嘩でついたもの。
彼は停学処分にもなり、警察も来て大きな騒動になったというのだ。
友人から再度「吹奏楽部はやめたほうがいい」と言われるが、主人公は自分の目で見た吹奏楽部を信じることにした。
大会優勝という夢に向かって真剣に挑んでいる今の火積を信じようと思ったのだった。

練習中、主人公の楽譜ケースから楽譜が一枚飛んでいってしまう。
慌てて追いかけると、楽譜は金髪の男の子が拾って手渡してくれた。
そこへ新がやってきて、楽譜を拾ってくれた彼は水嶋 悠人(みずしま はると)、通称ハルで新の従兄弟だと知る。
ハルは横浜にある星奏学院(せいそうがくいん)に通っており、オーケストラ部でアンサンブル部門に出場すると教えてくれた。
主人公はコンクールで競い合うライバルとはじめて出会ったのだった。

主人公が屋外で練習していると、突然現れた青年が拍手し演奏をほめてくれる。
彼はこの近くの中学校で音楽を教えている火原 和樹(ひはら かずき)というらしい。
そこへ八木沢が現れ、火原は偶然にも八木沢の中学の頃の恩師だと紹介される。
ヴァイオリンと金管編成の楽譜をくれた恩師が火原だったのだ。
彼は星奏学院出身で、コンクール出場のことを話すと主人公たちを応援してくれた。
そして横浜に長期滞在予定だという至誠館吹奏楽部のために、星奏学院の寮を使えるように手配してくれたのだった。

放課後、伊織とブラスバンド部員がもめて騒ぎになっていた。
ブラスバンド部員は伊織に威圧的に「今年の壮行会はブラスバンド部が演奏する。演奏するにふさわしいのはブラスバンド部だ」と脅している。
そこへ主人公が割って入り「自分たちの演奏に自信があるのならステージで勝負しろ」と啖呵をきる。
ブラスバンド部員は了承し、壮行会で吹奏楽部とブラスバンド部で演奏を競うことになった。

いよいよ壮行会本番の当日。
会場である体育館に向かうと、ブラスバンド部顧問が吹奏楽部の演奏を阻害しようとする。
しかし相手が教師でも八木沢は「どうしても僕らも演奏する」と断固として立ち向かう。
八木沢の態度に怒る教師、そこへ長嶺が現れ、彼の一言で吹奏楽部は無事演奏できることになった。
結果ステージは大成功。
吹奏楽部は生徒たちから大歓声をもらったのだった。
そしてこの編成の演奏に満足できた吹奏楽部メンバーは、主人公を含めたアンサンブルメンバーでの全国学生音楽コンクールへの出場を決めた。

全国大会予選

伊豆合宿で、皆でダイビングを楽しむ

今日は出場する全国学生音楽コンクールの説明会だ。
主人公たちは仙台から新幹線に乗って横浜へと着いた。
会場のみなとみらいホールに着くとハルが待っており、彼は説明会後に星奏学院の寮へ案内してくれるという。
至誠館メンバーはハルと共に星奏学院のアンサンブルメンバーである、如月 響也(きさらぎ きょうや)、如月 律(きさらぎ りつ)、榊 大地(さかき だいち)の元へ案内してもらい、挨拶する。
律と響也は主人公と地元の幼馴染で、3人は再会を喜ぶ。
その後揃って説明会へ向かった。
2日ある全国大会の予選で、至誠館はなんと星奏学院と同日になってしまった。
両校はお互い正々堂々戦おう、互いに全力を尽くしいいコンクールにしようと約束したのだった。

新が大変だと駆け込んでくる。
なんと吹奏楽部が夏休み明けになくなるかもしれないというのだ。
現在生徒総会で部活動の見直しが行われ、実績がない部活や不要な部活を廃部にすることになり、吹奏楽部はその槍玉に上がっているという。
今までこんな動きはなかった。
それはあきらかに、長嶺が手を回した吹奏楽部つぶしだった。
「吹奏楽部を無くならせるわけにはいかない。コンクールを勝ち上がり、良い成績を残して廃部は回避するしかない」と皆で一致団結する。

主人公は元気のない伊織が心配だった。
彼は長嶺が吹奏楽部を潰そうとしていることにショックを受けていたのだ。
伊織は主人公に「昨年の暴力事件は僕のせいなんだ」と打ち明ける。
昨年の全国学生音楽コンクールの前、伊織は不良にからまれ彼の楽器であるホルンをカツアゲされそうになってしまった。
そこへ火積があらわれ、その不良を倒し伊織を助けてくれたのだ。
しかし伊織は火積から「このことは誰にも話すな」と口止めされており、事情を話せないままこの喧嘩は大きな騒ぎになってしまった。
そして騒ぎの中心にいた火積は皆から責められてしまったのだ。
当時の吹奏楽部の顧問はトランペットパートリーダーである八木沢に「火積を退部させろ。でなければ大会出場はない」と迫ったが、八木沢は辞めようとした火積を止め、さらに火積をかばいつづけたという。
しかし大会の出場権を奪われた吹奏楽部部員は納得できない。
皆次々辞めてしまい、長嶺が新たにブラスバンド部を立ち上げたのだ。
伊織は火積の誤解を解くため、長嶺や皆に必死に訴えたが「大会を控えたこのときに火積が問題をおこした事実は変わらない。そしてもう八木沢とは演奏したくない」と言い、彼らと決別してしまったのだ。
これがブラスバンド部部員が吹奏楽部を目の敵にしている理由だった。

ハルから伊豆に星奏学院の合宿所があると言う話を聞き、至誠館メンバーはハルを誘って伊豆で合宿することにした。
伊豆は天候にも恵まれ、合宿日和だ。
練習用の設備が整っている快適な施設で、主人公たちは朝から晩までみっちり練習に明け暮れた。
さらに練習の合間をぬって、バーベキュー、海でのダイビング、観光と伊豆を思いっきり楽しんだ。
最後に、お土産としてグラスを買い皆の楽器を刻み込み、仲間の証として大事にすることにした。
至誠館の絆が強まった二日間だった。

夏休みの途中、久しぶりに登校日だ。
学校に行くとなんと吹奏楽部の部室がなくなっていた。
部室から吹奏楽部の荷物が外に運び出されおり、すでに科学情報部の部室になっていたのだ。
部屋の中にいた科学情報部員は「生徒会の許可が降りている」と言う。
吹奏楽部メンバーは仕方なく、空いていた旧用具倉庫に荷物を運んだ。
しかし荷物の中に部室前にかかげていた木製の看板がない。
看板は昔から受け継がれてきた吹奏楽部の大事なもので、必死に探すが見つからない。
焼却炉から煙が出ているのを見つけてあわてて向かうと、雑多なゴミが燃やされており、火積がその焼却炉の炎の中に手を入れてしまう。
皆で必死に止めるが彼は「看板がこの中にあるかもしれない」と言うことを聞かない。
火積は焼却炉の中から看板を見つけ引っ張り出す。
看板は無事燃えずに残っていたが、主人公は火傷をした火積の手当をする。
すると八木沢が火積に対して「吹奏楽部の歴史がどれだけ重いものでも、そのために誰かが犠牲になっていいはずがない!」と叱る。
八木沢は火積が自分一人で部を守るため犠牲になるのが許せなかったのだ。
反省した火積、火積が守った看板と共に新たな決意をかかげて、皆で再スタートをきったのだった。

いよいよ東日本大会、全国大会予選の当日だ。
至誠館と星奏学院のメンバーが互いに集まり、お互い予選を勝ち上がろう、ステージで会おうと約束をする。
予選が進み、至誠館は無事午前の予選を通過することができた。
そして予選通過したもう一校は星奏学院、両者は午後の部でたたかうことになった。

星奏学院と至誠館の演奏一曲目。
どちらもすばらしい演奏で客席は拍手に包まれる。
だが一曲目の演奏終わりに、律が手首をおさえて苦しみ始める。
彼は昨年の事故で痛めた手首が痛み始めてしまったのだ。
「あと一曲ならできる、やらせてくれ」という律の想いを汲み、星奏メンバーは律をサポートしながら二曲目を演奏する。
しかし至誠館も、そんな星奏学院に負けず二曲目を演奏する。
両者が大きな拍手を得た勝負、わずかな差で至誠館の勝利となった。
負けた星奏学院メンバーは「俺たちに勝ったのだから、全国優勝ガツンと勝ってこい!」と応援してくれた。

全国大会セミファイナル

全国大会の予選を無事勝利し、次はセミファイナルだ。
今日はセミファイナル説明会、会場は女性の黄色い声で包まれていた。
女性たちに囲まれている2人の青年は、西日本大会で優勝した神南高等学校の東金 千秋(とうがね ちあき)と土岐 蓮生(とき ほうせい)だ。
この2人と彼らに付き従う芹沢 睦(せりざわ むつみ)はセミファイナル同日で競う相手だ。
彼らは説明会後、ファンを引き連れ山下公園でライブをするという。
気になった至誠館メンバーは全員でライブを見にいくことにした。
ライブは終始彼ららしい華のある演奏で鮮やかに彩られていた。
神南高校の2人の演奏は圧倒的で、主人公は高い演奏能力と人を楽しませる彼らの能力をまざまざと見せつけられてしまう。
東金たちはファンも多いが敵も多い。
しかし東金は「周りの言うことなんか気にしない。俺は自分の演奏に自信があるし、自分の演奏を1番愛している」と言い切っている。
主人公は東金に「お前にとって音楽、演奏する理由とはなんだ?」と聞かれるが答えられない。
主人公は自分にとっての音楽が分からない、しかしそれでは一歩先の演奏へたどり着けないことに気づき、自分の音への自信を取り戻すため一歩を踏み出したのだった。

吹奏楽部のコンクール通過は至誠館の学内に広まっていた。
「あの吹奏楽部が頑張っているぞ」と学内は少しづつ応援ムードになりつつある。
しかし長嶺は「それは主人公がいたおかげ。主人公は過去に数々の受賞経験があり、実力者である部員を獲得できた結果だ」と嫌味をいう。
そして彼はさらに「彼女はヴァイオリン奏者だ。ブランスバンド部はしかたなく入部をお断りしたが、八木沢は歓迎したんだね」と周りに吹聴する。
するとせっかくのお祝いムードから一転、大会に勝利するためになりふり構わず主人公を入部させた、廃部寸前の吹奏楽部が全国大会なんておかしいと思った、と誤解が広まってしまう。
噂に気づいた主人公は、長嶺になぜあんな噂を流したのだと問い詰める。
すると彼は「あの程度の横槍なんて大したことないだろう?部室追われてもまだ元気そうだしね」と笑う。
彼は、部室の撤去は自分の差金だと白状した。
吹奏楽部が横浜にいるときを狙って、長嶺が裏で手を回したのだ。
長嶺はかつての栄光に輝く吹奏楽部を誰よりも愛しており、だからこそ今の落ちぶれた吹奏楽部の消滅を願っていたのだ。
長嶺は主人公に「嫌なら全国優勝でもしてみろ。今の吹奏楽部にかつての吹奏楽部を超えるだけの何かがあると示せ」と挑発したのだった。

ついにセミファイナル当日。
会場は神南ファンであふれ、至誠館は圧倒なアウェー感だった。
しかし至誠館は午前の予選を勝ち抜き、なんとか上位2校に残り、午後の神南との一騎打ちにもちこんだ。
ここで勝てば全国大会ファイナルへ駒を進めることができる。
至誠館メンバーは自分たちを信じ、「皆でいい演奏をしよう」と再度意気込んだのだった。
一曲目は神南高校、至誠館の順で演奏が終わった。
神南の演奏はそれぞれ演奏者の個性が感じられ、至誠館の演奏はメンバーの一体感が強く印象に残る演奏となった。
神南二曲目の演奏が始まり、至誠館が待機しているととある新聞記者がバックステージに現れる。
スクープを狙う記者は、至誠館に向かって「君たちは東金の御曹司に花を持たせるために一芝居打つ気だろう。どうせ八百長試合だろう?」とひどい言葉を浴びせる。
その記者の発言に皆憤る。
八木沢が「自分たちは本気でコンクールに臨んでおり、あなたの言っていることは見当ちがいだ」とはっきり伝えると、記者はそそくさとその場を去った。
記者が去ったあと「あの野郎に本気の演奏を聞かせてやる」と皆で決意を強くしたのだった。
至誠館の二曲目の演奏が始まった。
共に逆境を乗りこえてきた力強さを感じる、人の心を打つ良い演奏で終えることができた。
至誠館メンバーは自分たちの演奏を信じ結果を待つ。
すると、なんと神南高校に勝利することができたのだった。
次はいよいよ全国大会ファイナルだ。
優勝に手が届くかもしれない状況に、廃部回避への希望が見えてきたと皆で大喜びした。

全国大会ファイナル

セミファイナルの翌日、至誠館メンバーは横浜天音学園(よこはまあまねがくえん)の前に訪れていた。
ファイナルで争う相手の敵情視察だ。
そびえ立つビルのよつな校舎に圧倒され、洗練され近代的な建物を見ているだけでも身が引き締まる。
その校門の前で、偶然にもコンクールに出場している天音学園のメンバーと鉢合わせる。
天音学園の出場メンバーは、室内楽部部長の冥加 玲二(みょうが れいじ)をはじめ、天宮 静(あまみや せい)、七海 宗介(ななみ そうすけ)の3名だ。
天音学園は演奏家のエリートが集う学校で、一般人とは違うオーラをまとう彼らに至誠館メンバーは圧倒されてしまう。
しかしこれまで以上に気を引き締める必要があると再認識し、練習により気合いを入れて取り組むことにしたのだった。

ついにファイナル当日。
いよいよ全国大会決勝、頂点を決める日だ。
「この夏の努力をすべて出し切って最高の演奏をしよう」と皆で一致団結する。
至誠館メンバーが会場へ向かおうと寮の外に出ると、なんと外には至誠館高校の生徒たちが集まっていた。
こんな早朝から、仙台からわざわざ横浜まで応援に来てくれたのだ。
彼らは吹奏楽部を応援してくれている人たちだった。
仙台で必死に練習する主人公たちの姿を見て、また演奏を聴いて、吹奏楽部を認めてくれたのだ。
彼らは口々に「頑張れよ」と声をかけてくれる。
そこにはなんと対立していたブラスバンド部部員の姿もあった。
主人公たちは胸いっぱいになりながら声援を背に会場へと向かった。

全国大会ファイナルが始まった。
まず天音学園の一曲目。
空気が重くなるほどの圧倒的な演奏力、背筋が冷たくなるような怖さを感じさせるレベルの高い演奏だった。
とくに冥加はヴァイオリンの超絶技巧を披露し、同じヴァイオリニストである主人公に動揺が走る。
天音の完璧な演奏に一気に空気が沈む至誠館メンバー。
しかし八木沢は「このメンバーで演奏できるのは今日のステージが最後だ。胸を張って演奏しよう」と声をかける。
主人公たちはなんのためにここに来たのかもう一度思い出した。
優勝して吹奏楽部を存続させなくてはいけないのだ。
至誠館のメンバーにはこれまでの騒動を皆で乗り越えてきた強い絆の力がある。
この絆の力は天音学園にも負けないぞという強い思いでステージへ向かったのだった。
至誠館高校の一曲目。
至誠館らしい気持ちが団結した演奏、見事な楽器の調和に客席の感動をさそった。
客席には主人公の祖父と母も見に来ていた。
二人は主人公がのびのび演奏している姿を見て安心し、いい仲間と出会えたことを喜んでくれた。

主人公と至誠館メンバーの実力を目にして、遊び半分な演奏では勝てないと気合を入れ直した天音学園。
天音学園の二曲目は至高の音楽といっていいほどの完璧な演奏だった。
至誠館メンバーは完璧な演奏に驚くも、最後だからいつも以上に心を込めて、自分たちらしい演奏にしようと心に決めてステージに上がる。
至誠館の二曲目。
これまでの夏の思い出を込めた集大成ともよべる演奏だった。
主人公は仲間とともに音楽を奏でる喜びが胸の内に溢れ、ヴァイオリンを弾いていて良かったと感じたのだった。
至誠館の演奏は客席の胸にも響き、胸にじーんと来る素晴らしい演奏だった。

いよいよファイナルの結果発表だ。
覚悟を決めながらアナウンスを待つと、優勝校発表で至誠館高校吹奏楽部と呼ばれる。
至誠館の全国優勝が決まったのだ。
皆でステージに駆け上がりトロフィーを受け取る。
これまでの努力と苦労が実り無事勝利を掴み取ることができた。
至誠館メンバーは感極まり、ステージ上で泣き、笑い、そして大喜びしたのだった。

feat.神南高等学校ストーリー

はじまり

女子生徒に囲まれライブをする東金と土岐

Konpeitou_1m4
Konpeitou_1m4
@Konpeitou_1m4

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