アカテン教師梨本小鉄(漫画)のネタバレ解説・考察まとめ

『アカテン教師梨本小鉄』とは、原作者・春日井恵一により1986年から1987年にかけて『週刊少年ジャンプ』で連載された、ギャンブル好きの型破りな不良教師、梨本小鉄の活躍を描いた学園漫画作品。コミックスは全4巻。あらゆるギャンブルで常勝無敗を誇るという梨本小鉄は、産休補助教員として、母校の小春日和中学校の3年A組担任となる。その授業は型破りで、同僚教師の反発を買うが、仁義に厚い小鉄の指導に生徒達は惹き付けられていく。

『アカテン教師梨本小鉄』の概要

『アカテン教師梨本小鉄』は、原作者・春日井恵一によるギャンブル好きの型破りな不良教師、梨本小鉄の活躍を描いた学園漫画作品。1985年に集英社の『週刊少年ジャンプ』増刊号「スプリングスペシャル」に読み切りが掲載され、それを元に1986年から1987年まで『週刊少年ジャンプ』に連載された。ジャンプコミックス単行本は全4巻。
主人公・梨本小鉄はあらゆるギャンブルで幼い頃から常勝無敗を誇る伝説の男。生まれながらの勝負師で、口は悪く豪快で型破りな性格。教師のイメージとはかけ離れていながら、恩師の紹介によって産休代用教員として採用され、岡山県の母校・小春日和中学校3年A組に赴任する事となる。登校初日から二日酔いで出勤と破天荒で、同僚の教師からは非難轟々。実は小鉄は、少年時代から天性の勘のよさで「予想屋の帝王」と呼ばれ、中学・高校では満点首席、自作の予想問題を的中させて、東京T大に合格するという筋金入りの強運ギャンブラーなのであった。その授業もギャンブルを用いたメチャクチャな指導法で、当初は生徒たちも反発していたが、義理人情に厚く身体を張って権力や暴力から生徒を守ろうとする小鉄に、少しずつ生徒達も担任として惹かれていくストーリー。
1980年代後半に「友情・努力・勝利」を柱として黄金時代を築き上げ、超人気作品の連載されていた『週刊少年ジャンプ』の中にあって、ギャンブルや暴力がテーマであり、主人公がおよそ教師とは思えない型破りな言動・行動を連発するという、当時の『週刊少年ジャンプ』の王道から完全に逸脱した異色の作品である。真面目な聖職者というイメージがつきまとう教師とは180度違う人物を主人公に据えて、現実では不可能な豪胆な活躍をさせるというコンセプトであったが、『週刊少年ジャンプ』では型破りすぎて、当時の読者層に馴染まなかった事もあって、終盤はお決まりのバトル路線とストーリーが迷走した上で30週で打ち切りとなった。

『アカテン教師梨本小鉄』のあらすじ・ストーリー

アカテン教師・梨本小鉄の登場

初日の挨拶を拒否する梨本小鉄。

産休に入った教師の代用教員として、岡山県にある小春日和中学3年A組の担任としてやって来たのは、サングラスにニット帽、口ヒゲという風貌の、およそ教師からはかけ離れてたイメージの梨本小鉄という男であった。赴任初日、いきなり二日酔いで初出勤してきた小鉄。着任の挨拶を求められても、「俺が知りたけりゃあ…俺の授業に顔出しな!!」と言い放って新任挨拶をパスする破天荒な男。これを見た同僚の教師からはいきなり反感を買ってしまう。実は小鉄は、少年時代から天性の勘を持っており、生まれついての常勝無敗ギャンブラー。「予想屋の帝王」の異名のごとく、テストではヤマを張って中学・高校では満点首席、自作の予想問題を的中させて、国内最高峰の東京T大に合格するという筋金入りの勝負師なのであった。
その小鉄の初授業はやはり破天荒なものであった。松・竹・梅の3問を用意し、生徒に自分の学力に合わせて問題を選択させる。その上で、小鉄がサラ金で借りてきた札束を見せ金にして、何と生徒たちに小遣いをベットさせる。その倍率は松が5倍、竹が3倍、梅が2倍。さらにその問題の内容は、丁半サイコロの確率を求める問題や、勝ち馬を的中させる競馬問題、麻雀の配牌からアガれる確率を求める問題など、その全てがギャンブル絡みと、中学生には適さない内容。口々に文句を言う生徒たちに、小遣いをベットさせた小鉄は、正確な計算して正解を求めた生徒に対して「これはなァ数学じゃねえ…博打の問題だ!」と言い放ち、結局全ての賭け金を親の小鉄が総取りしてしまう。呆気に取られる生徒たち。こうした破天荒な授業をもって、梨本小鉄の教師生活が幕を明けたのであった。

まむしの銀造との札束便器流し勝負

札束便器流し勝負を受けて立つまむしの銀造。

3年A組の梨本小鉄の生徒に高橋初音という女子生徒がいる。彼女の父親はパブを経営しているのだが、ヤクザから借金をしてしまったために、その店にまむしの銀造という異名を持つヤクザ者が出入りして嫌がらせをするようになり、頭を悩ませていた。偶然、高橋初音の家を家庭訪問していた小鉄はまむしの銀造がその店に来たところに出くわし、この事実を知るのであった。正義感が強く、義理人情に厚い小鉄は自分の生徒である初音と父を救うべく銀造に勝負を挑む。小鉄が勝ったら二度とこの店に現れない事を条件に、便器に札束を詰め込んで、詰まらせたほうが勝ちという勝負を仕掛けて了承させる。先にまむしの銀造が100万円の札束を便器にツッコむが、すべて流れてしまう。これに対し、小鉄の全財産はサラ金から借りた100万円のみであり、このままでは敗北は必至。そして小鉄が持ち金の100万円を便器に流すと、何と詰まって水が流れなくなった。実は小鉄が持っていた100万円は聖徳太子のデザインの旧一万円札。この札は新札よりサイズが大きく、便器に流すと見事に詰まり、勝負は小鉄の勝利となった。二度とこの店には来ないことを誓うまむしの銀造。
こうして初音の父の店を救った小鉄。この一件で高橋初音は心の底から小鉄に感謝する。普段は生徒のことを「商売道具」などと呼ぶ金の亡者のような小鉄であるが、人情に厚く、自分の生徒の困りごとには教師の枠を超えて手を差し伸べる小鉄なのであった。

梨本小鉄解雇の危機

カンニングのサインを生徒たちにレクチャーする小鉄。

3年A組の担任として着任以来、破天荒な授業を行う小鉄に反発していた生徒たちも、権力や暴力に屈せず、体を張って生徒を守ろうとする義理人情に厚い小鉄の姿を見るにつれ、徐々に惹かれていき絶大な信頼を集めるようになっていった。しかしそれとは逆に、同僚の教師からはその態度を疎まれ反感を買い、あらさまに学校から追い出そうとするものも現れ、孤立していくようになる。さらに校長からもその態度に目をつけられ、ついに解雇の危機に陥る事になった。そこで小鉄は校長たちに、次の実力考査で自分のクラスの成績を急上昇させることを約束して解雇を思いとどまらせるのであった。
追い詰められた小鉄の考え出した独自の試験対策とは、何と手段を選ばずカンニングで良い成績を取らせるというものだった。クラスの生徒全員に小鉄独自のカンニング方法を伝授。試験中にくしゃみ、せき、しゃっくり、ため息などの生理現象を利用して答えを教え合うという方法。さらなる対策として、小鉄は生徒たちに各教科の教師を尾行させて、下校後の行動からテストの出題傾向を予想する。典型的なマイホームパパの教師は型にはまった基本問題。クラブのママにべったりのスケベ教師はねちっこく筆記問題、などの天性の勝負師の勘で傾向を予想した小鉄は、これをバッチリ当てる。生徒たちの協力と運の強さで実力考査の点数は急上昇し、小鉄は解雇を免れたのであった。

生徒会長選挙の戦い

代議士の息子で生徒会長選挙大本命の後藤田正一郎。

小春日和中学校2年生に、岩田洋一という、外見は前歯の出た気弱で内気な生徒がいた。ある日のプールの授業の際に、その容姿と泳ぎ方がラッコに似ていたため、同じクラスの後藤田正一郎から「ラッコ」というあだ名をつけられてクラス中からかわれてしまい、その日以来不登校となってしまった。3年A組の岩田元子は洋一の1歳年上の姉で梨本小鉄の生徒。不登校になってしまった弟に悩み、もう一度学校に行かせるために、担任の梨本小鉄に助けを求める。すると小鉄は何と洋一を生徒会長選挙に立候補させて、洋一をいじめている元凶であり、生徒会長選挙の対立候補の後藤田正一郎との選挙戦を戦う事を提案する。
後藤田正一郎は、保守党代議士で備前色羽市を牛耳っている後藤田藤次郎の息子で、自他共に認める次期生徒会長候補。生徒指導の槙野も父親に忖度して、他に候補者が出てこないようないよう他の教師達に釘を刺していたほどの実力者である。しかし権力に屈することなく、学校が推す後藤田に反発した小鉄。はじめは立候補を渋っていた洋一であったが、小鉄の「いじめられっ子ってのは一人ぼっちじゃねえ。みんな一匹狼だ!!」のセリフに奮起し、選挙に出馬する事を決意する。こうして小春日和中学校の生徒会長選挙に立候補する事になった洋一は、本命候補である後藤田正一郎と激しい選挙戦を展開することとなった。
後藤田は父親の力を借りて、小鉄の後押しで生徒会長候補に名乗り出た洋一と小鉄を叩き潰そうと、金で雇ったゴロツキに襲わせたりと汚い手を使う。一方の小鉄も負けじと、知り合いのレポーターを使って、ワイドショーで後藤田代議士の賄賂問題を報道させたり、知り合いの漫画家を使って、後藤田を悪役とした生徒会長戦漫画を連載させたりと応戦し、激しい抗争を繰り広げる事となる。
いよいよ最後の対決は、洋一と後藤田の水を張った洗面器を使った息止め勝負。生徒会長選挙に命をかけることを証明するために根性を見せて、限界を超えても顔を上げなかった洋一に軍配が上がり、見事に生徒会長選挙に勝利したのであった。

梨本小鉄との別れ

トーナメントに出場する個性的な教師たち。

『週刊少年ジャンプ』連載が続く中で人気が低迷し、打ち切り目前にしてバトル展開に走るというパターンが当時のジャンプの傾向であった。本作も例に漏れず、終盤になってお決まりのバトルトーナメント「全日本有能教師トーナメント」が突如として開始された。このトーナメントは、全国から選抜された凄腕の教師たち7名が賞金1,000万円を賭けて指導力を競うというバトル。各中学校の落ちこぼれクラスの生徒たちを手なずけて、学力を向上させるという教師としての力量を争うのである。このトーナメントにエントリーされた個性的な7人の教師は、小鉄の同僚であり「教育界の貴公子」と呼ばれる成り金教師・貴王子紀世彦、スパルタ塾「戸塚ヨットスクール」の戸塚宏校長に似た風貌の訥久広樹、「女性の自立」をモットーとするフェミニスト教師・楠見玲子、ネパール出身の外国人教師で、超能力を操るアビ・ナーシ・ヨンゾン、柔道の選手で怪力を誇る秋葉大作、元警視庁の白バイ隊員・桜田紋次郎、定年直前に教師となった、小鉄のギャンブルの師匠・無名方松造である。
親友の芸能レポーターを使って参加教師達のトラウマを暴いて試合放棄に追いこんだり、テストを妨害したりと、強運と狡猾さで個性豊かな教師たちを次々と打ち負かし、このトーナメントを突破していく小鉄。しかしこのトーナメントは実は主催の天下一予備校が開発したコンピュータ教師をPRするための企画であり、決勝戦はコンピュータ教師ジローと小鉄の野球拳対決となるのであった。 ジローは小鉄の手首の動きでグーチョキパーを判別するという能力を持ち、次に出す手を全て読まれてしまい苦戦を強いられる小鉄。負けが続き、パンツ一枚になった小鉄であったが、 ウイスキーを一気飲みして酔っ払い、コンピュータの予測不能な動きをするという究極奥義「ジャックダニエル三本一気呑み」で 逆転勝ち。こうして小鉄は名実ともに日本一の有能教師となった。日本中の型破り教師との勝負に勝ち抜いて一躍有名人となったが、ダーティな行為がバレてしまった小鉄は教育委員会に目を付けられてしまい最後は生徒たちに惜しまれつつ、母校を去ることになってしまう。こうして小鉄は新たな職場を求めさすらいの旅に出たのだった。

『アカテン教師梨本小鉄』の登場人物・キャラクター

小鉄と教師たち

梨本小鉄(なしもと こてつ)

岡山県の備前色羽市にある母校の小春日和中学校に、恩師・源五郎の紹介で代用教員として赴任してきて3年A組の担任となった破天荒教師。外見は幼少の頃からオールバックに口髭。毛糸の帽子、サングラス、半袖のダッフルコートがトレードマーク。信じられない強運の持ち主で、子供の頃からあらゆるギャンブルで常勝無敗を誇る。着任当初から生徒への指導は型破りで、同僚教師たちからは反感を買う。しかし、生徒を守るために自らの命も厭わず、権力やヤクザなどにも屈しない人情と熱い指導で、徐々に生徒達を引き付けていく。

酒井源五郎(さかい げんごろう)

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