サムライせんせい(漫画・ドラマ・映画)のネタバレ解説・考察まとめ

『サムライせんせい』とは2013年11月から2020年10月まで黒江S介がpixivコミック『クロフネZERO』にて連載していたタイムスリップ・コメディ漫画。およびそれを原作としたドラマ・実写映画。コミックス全8巻完結。幕末から平成の時代にタイムスリップしてしまった土佐藩士・武市半平太が現代文明に困惑しながらも髷を結い着物姿のまま、架空の田舎町を舞台に居候先である学習塾の先生をしながら奮闘する物語。同じくタイムスリップしてきたかつての同胞坂本竜馬や岡田以蔵、陸奥陽之助らも登場する。

『サムライせんせい』の概要

『サムライせんせい』とは2013年11月から2020年10月まで黒江S介がpixivコミック『クロフネZERO』にて連載していたタイムスリップ・コメディ漫画。およびを原作としてドラマ・実写映画作品である。コミックスは全8巻完結。2015年10月にテレビ朝日系列でドラマ化された。主演は関ジャニ∞の錦戸亮。2018年11月には実写映画化された。主演は市原隼人。監督は渡辺一志。
時は尊王攘夷(そんのうじょうい)か公武合体(こうぶがったい)かで揺れる幕末。尊王攘夷派の土佐勤皇党(とさきんのうとう)盟主として活動していた武市半平太は投獄される。長い獄中生活のなかふと目を覚ますと150年後の平成の世にタイムスリップしてしまっていた。親切な老人・佐伯に助けられ、佐伯が経営する学習塾の先生をしながら、居候することとなる。元の時代に戻ることを強く切望しながらも佐伯の孫である寅之助や寅之助の幼馴染サチコ、学習塾に通う子供たちらと交流しながら現代文明に奮闘する様をコミカルに描く。のちに同じく幕末からタイムスリップしてきた坂本竜馬と再会。かつて弟子であった岡田以蔵や竜馬の右腕であった陸奥陽之助も登場する。

『サムライせんせい』のあらすじ・ストーリー

幕末から平成にタイムスリップ

獄中から目が覚めると、そこは150年後の未来であった。

時は幕末。尊王攘夷派である土佐勤皇党盟主である武市半平太(たけちはんぺいた)は藩命により投獄される。長く辛い獄中生活のなか、ふと目を覚ますと見慣れぬ風景である田舎の公道の上に寝ていた。
当初は仲間が助けてくれたと判断するがトラックや自動販売機など見たことのない物事に驚く。着物と食料を求めて移動するなか、スーパーマーケットにたどり着き、リンゴをつけと称して持ち去り警察に追われ逃げるなか、ある古民家の前で力尽きて倒れてしまう。古民家の主・佐伯に助けられ、武市は自らの身の上を話し、しばらく匿ってもらいたい旨を伝える。そんな武市にたいし佐伯は「今は元治(幕末)の世ではなく、平成の世で、あなた(武市)のいた時代から150年ほど経過している」と伝える。

学習塾の先生に

話の通じない子供たちに戸惑いながらも、学習塾の先生としての生活がはじまった。

現代文明にカルチャーショックを受けながらも、佐伯の好意により佐伯家に居候することなった武市は家賃代わりとして、佐伯が経営する学習塾の教師として手伝いをすることとなる。融通が利かない性格のため髷(まげ)結いと着物姿をくずすことができない武市。それにたいし大人たちは好意的に接する者、含みのある目を向ける者、あきらさまな敵意を向ける者と様々だが、純粋で柔軟な態度の子供たちとの日々をとおして少しずつ生活に慣れていく。

塾の生徒たちの誘拐事件

寅之助たち若者に毎日怠惰に過ごさずに気概をもてと説教する武市だが、暖簾に腕押し状態。

平成の世に迷い込んでから、約1か月経っても元いた時代(元治)に戻る気配がない日々を過ごす武市。不慣れながら家事をこなし学習塾で教師をしながら過ごす日々だが、元の時代に戻ることを強く切望していた。現代文明の発達や使い方については少しずつ受け入れ学び慣れていく武市。しかし佐伯の孫である寅之助や寅之助の幼馴染のサチコら若者たちの風貌や危機感のなさ、学習塾に通う子どもの1人・坪内の「剣道はダサい」発言など人々の考え方の違いに大きく困惑し、一体なぜ自分は平成の世にきたのかと疑問が深まっていく。そんな武市に佐伯は「なんらかの意味はあるのではないか」と話し、武市が歴史の名を残しており、もし良ければ武市の未来を教えることができると伝えるが、武市は「自分は情けない人間なので、未来を知ることが怖い」と断る。ただ「尊王攘夷派と無関係であった妻の富の行く末を知りたい」と言い、天寿をまっとうしたことを聞き安心する。そして自分が歴史に名を残していることに戸惑いながらも、自分の働きが評価されていないことを察する。そのことで平成の世に迎合する気がなく、人々と慣れ合うことはないと冷めた気持ちを抱きながら子供たちと接する。また町の立ち飲み屋で大人たちが「気に入らないヤツは斬り捨てる」や「侍でも上にヘコヘコしてきた」など間違った侍への偏見に、思わず「馬鹿なっ!」と声を荒げてしまい、自分が平成の世では生きられないとの思いを強くする。
一方、寅之助やサチコはいきなり現れた武市のことを、歴史上の人物を語っている変人だと思っていた。祖父の影響で歴史に詳しい寅之助は、歴史上の武市半平太が今の高知県である土佐藩で尊王攘夷派のリーダーをしていたこと、最後は切腹したことをサチコに説明する。寅之助は近所の人たちに笑われたり、同じ家で生活するうえで気を使わないといけなかったりすることが原因で武市にかなりの不快感をもっていた。そんな彼に佐伯は、「武市がなぜ歴史上の人物を語っているかは分からないが、平成の世にあって助けを必要としており、真面目でいるうちは見守っていよう」と諭す。

「ほっとけばそのうち帰ってくる」と言う寅之助に「見て見ぬふりはできない」と断言する武市。

武市が佐伯に近日中に佐伯家をでていく旨を伝えている頃、学習塾に通う子供である坪内・桜井・太田垣の3人は近所の森の中の小屋を秘密基地にしようと散策していた。小屋を見つけ、無人のはずの中を覗くとそこには1人の中年男の姿があった。最初は子供たちに優しく接する男だが、都内で殺人を犯した人物であり逃亡中に小屋にいたところを見られたため、子供たちを捕らえる。やがて時間が経ち、親たちが子供たちを探しているなか学習塾を立ち寄ったことで、武市たちも子供たちが行方不明なことを知る。武市は平成の世に深入りしてはいけないと思いながらも、真面目な性格から「子供を案じるのは大人たの勤め」と寅之助やサチコ助けを得ながら子供たちの捜索をはじめる。

武市は土佐では自分の剣術道場を開き、江戸では塾頭を務めるほどの剣術家。

森の中を探すなか、遠くからかすかに聞こえてきた子供の泣き声を頼りに殺人犯と子供たちがいる小屋を発見する武市たち。縛られた子供たちとナイフをもっている男の姿を見て寅之助とサチコは動揺するが、武市は動じず、子供たちを巻き込むことは許さないと男と対峙する。意見をコロコロと変え自身のミスをなすりつけてクビにした理不尽な上司を殺したと声高らかに言う犯人にたいし、武市は「現状に不満を抱き謀反(むほん)をおこしたのだな」と検討違いな見解をみせた。そして、自身の過去と重ね、「力づくの解決はいずれ悲劇を生むだけ」と、犯人を諭す。しかし、頭がおかしいと笑う犯人にたいして、武市は激昂。さらに太めの木の棒を構え、かかってこいと挑発した。挑発にのりナイフで突っ込んできた犯人を胴の一太刀でぶっ飛ばし、無事子供たちを救出した。警察を待つなか、助けた子供たちの姿を見た武市は、子供たちを救うために平成の世にきたのではないか、そして救った今元の世に帰れるのではないかと考え、後始末を寅之助とサチコに頼み、姿を消す。警察やマスコミに武市の存在を知られないよう事情を説明する寅之助たちだったが、子供たちの親たちには本当は武市が犯人から子供たちを守ったことを伝える。武市のいなくなった家で感慨にふける佐伯たちだったが、武市は元の世に帰ることができず再び佐伯家に戻って共に暮らすこととなった。

楢崎梅太郎(坂本竜馬)との再会

マスコミや世の目から、少しでも奇異に映らないように帽子を被ることで妥協する。

子供たちが無事に救出されたのはいいものの、世間的には犯人を捕まえた人物についてははっきりしておらず佐伯家には連日のようにマスコミや野次馬が押し寄せていた。
東京でライター業の営む楢崎梅太郎(ならさきうめたろう)はテレビのニュースで事件を知り、犯人を叩きのめした人物が侍の恰好をしているとの噂を聞き、真相を確かめるために事件のあった町を訪れる。武市同様に昔佐伯家にお世話になったことがあった楢崎は家を訪ねるが、マスコミがいるため塀をよじ登り庭に潜入。それを武市が気づき傘で威嚇するも、楢崎はモップで軽くいなし2人は対峙する。その際に、武市は楢崎の薙刀の腕前と姿見から元の世での知り合いである坂本竜馬の姿を重ねる。

武市と楢崎(坂本)はお互いに、「アギ」「アザ」とあだ名で呼び合う仲。

夜になり楢崎のことを考えていた武市は、楢崎に呼びだされ佐伯家の庭で対峙することとなる。なぜ武市半平太の名を名乗ると質問する楢崎に、自分が武市半平太本人であること、なぜか分からないが平成の世に来てしまったと告げる。それを聞いた楢崎は「武市が平成の世にいるはずはない、アギはあの時確かに…」と動揺する。武市は楢崎が自分の知人である坂本竜馬に瓜二つであると告げ、「あなたはアザのお身内ではないか」と声上げる。幕末の世で武市と坂本はお互いに「アギ」「アザ」とあだ名で呼び合う仲であり、お互いがそれぞれのあだ名を呼びあったことで本人同士だと確信しあう。再会を喜ぶ2人。武市は尊王攘夷派の仲間のため少しでも早く元の世に戻ることを力説するが、楢崎は5年も平成の世にいることを告げる。そして自分が坂本竜馬だと名乗っても変人扱いされてしまう、という会話を寅之助に聞かれてしまい正体がばれてしまう。佐伯と寅之助が見守る中、武市は5年という歳月の長さにショックを隠せないでいたが、そんな彼に楢崎は元の世に帰れたとしても武市はすぐに死ぬ運命にあることを告げ、自分も暗殺されたと告げる。武市は日本の未来が大変なことになると動揺するが、楢崎は平成の世こそが自分たちががむしゃらに奔走した結果だと冷静に告げる。自分が死ぬ運命にあることを聞き武市はショックを受けるが、武市の意志は確実に受け継がれ若者たちは道を見つけたから悲観しなくてもいいと楢崎は告げるのだった。

150年前の出来事~金時計事件と土佐勤皇党結成~

外国との圧倒的な武力の差に、日本の未来を憂う武市たち。左から、岡田、武市、大石、山本、坂本。

時代は遡り、平成より約150年あまり昔の安政3年(1856年)。武市は自分の剣術道場を経営していた。多くの若者が集まるなか、親戚筋で弟分の坂本竜馬や、武市道場の内弟子であり後に人斬り以蔵と呼ばれる岡田以蔵(おかだいぞう)の姿もあった。黒船来航以来、尊王攘夷派と公武合体派で揺れ動く影響は外様(とざま)である土佐藩にもきていた。武市は尊王攘夷派の考えをもっており、弟子たちもそれに大いに影響されていた。そんなご時世のなか武市たちは土佐藩より臨時御用として、江戸での剣術修行が認められ遊学することになる。

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