舞妓さんちのまかないさん(漫画・アニメ)とは【ネタバレ解説・考察まとめ】

『舞妓さんちのまかないさん』とは、2017年より小山愛子が『週刊少年サンデー』にて連載している和風料理漫画である。第65回小学館漫画賞に少年向け部門作品として受賞している。京都の舞妓が暮らす「屋形」で、まかないさんとして日々の食事を担う少女「キヨ」を主人公とした物語。一般の家庭料理や京都の昔ながらの料理、キヨの地元である青森の郷土料理など、たくさんの料理が登場する。舞妓の普段の食生活や稽古の様子、日常が垣間見える作品となっている。

『舞妓さんちのまかないさん』の概要

『舞妓さんちのまかないさん』とは、2017年より小山愛子が『週刊少年サンデー』にて連載している和風料理漫画である。
京都・祇園を舞台にした舞妓の物語で、舞妓が暮らす屋形のまかないとして働く「キヨ」と、舞妓を目指す少女たちの日常が描かれている。
キヨの作る家庭料理や、舞妓を目指して一緒に京都にやってきた幼馴染の「すみれ」の稽古の様子や日常、その他にも同じ屋形で暮らす舞妓や舞妓候補の仕込みさんとの暮らしや、青森での思い出のシーンもある。
料理は青森の郷土料理や、一般家庭で作られるごく普通の料理が中心であり、時たま京都の伝統料理や人気店の甘味なども登場する。
もう1人の幼馴染「健太」との恋の様子も描かれ、少女らしい甘酸っぱい面も見られる。
日本の四季を通じて行われるイベントや行事にも注目しており、日本文化や舞妓文化が知れる作品として海外でも人気を集めている作品である。
TVアニメはNHKワールドJAPANでは2021年2月より、NHKEテレでは2021年10月より放送。

『舞妓さんちのまかないさん』のあらすじ・ストーリー

仕込みさん時代

舞妓たちのために料理を作るキヨ(右下)

舞妓さんになるべく、青森から京都へとやって来た少女「野月キヨ(のづききよ)」とキヨの幼馴染である「戸来すみれ(へらいすみれ)」。2人は中学のときに舞妓に憧れを持ち、京都の屋形「市」の舞妓候補である仕込みとして芸の稽古に励んでいた。おっとりした性格と着付けや芸の覚えが悪いキヨは、もう芸の修行はしなくてもいいと「お止め」を言い渡され、青森へと帰ることになってしまった。そんなときに屋形のまかないをしていたおばちゃんが倒れ、舞妓たちの食事は出前やお弁当ばかりになってしまった。ちゃんとしたご飯を食べられずに元気がなくなっていく舞妓や、自炊をしようとしてボヤ騒ぎを起こす舞妓がいた中、キヨは冷蔵庫にある具材でさっと「親子丼」を作った。出前やお弁当ばかりで参っていた舞妓たちは、久しぶりの温かいご飯を食べてホッとした様子であり、元気を取り戻していった。無事に屋形の危機を乗り越え、これをきっかけとしてキヨは屋形のまかないさんとして働くことになった。
キヨは青森のおばあちゃんの手伝いをしているときに教えてもらった家庭料理や、前任のまかないのおばちゃんに教えてもらったレシピで様々な料理を作る。舞妓の夜ご飯はお座敷の前になるため、準備ができた人から順番に食事を済ませるのでとても慌ただしくなる。そのため屋形のみんなでゆっくりご飯を食べるのは朝と昼になる。舞妓は芸の稽古やお座敷で体力を使うためご飯はボリュームがあるものが多いが、育ち盛りの年代もあってか揚げ物などもぺろりと綺麗にたいらげてしまう。

舞妓さん時代

キヨと一緒に京都へとやってきたすみれは努力家で、稽古の師匠にも天才と言われるほどの才能をもっていた。芸の飲み込みも早く、仕込みの仕事や姉たちのフォローまで完璧にこなし、同期の仕込みの中では一番早くに店出しすることが決まった。店出しをし、舞妓としてデビューしたすみれは「百はな」という名前になる。みんなが百はなと呼んでいる中、昔からのあだ名「すーちゃん」と呼ぶキヨであったが「キヨちゃんだけはすーちゃんでええよ」とすみれも嬉しそうであった。

舞妓の夜ご飯は着付けをして化粧をしたあとに済ますので、化粧が落ちないように一口サイズのご飯になる。仕込み時代から舞妓が食べる一口サイズに憧れていて「うちもはやく、小っちゃいサンドイッチ食べたいなぁ…」と言ってた。それを聞いていたキヨは、すみれがお茶屋さん見習いとして初めてお座敷に行く時は「小っちゃいカツサンド」を作っていた。
舞妓となったすみれは日々の稽古にも一層励み、舞妓の見習いから一人前の舞妓へとなった。お座敷に呼ばれるようになってからはお客さんにも芸を褒められるような人気の舞妓に。
芸舞妓が普段とは違う特別な舞を披露する「春のをどり」や、花街のハロウィンのようなイベント「節分のお化け」、お客さんとご飯を食べる「ご飯食べ」などの花街でのイベントがあり、すみれは舞妓としてキヨはまかないさんとしての日々を送っている。
すみれは芸の稽古も姉舞妓のフォローも完璧にこなすが、自分を追い込み必要以上にのめりこんでしまう性格であるため、自分の体や日々の生活をおろそかにしがちである。すみれが少し疲れているときや内心焦っているとき、他の舞妓には気づかれないが、ずっとすみれを見てきたキヨにだけはバレてしまう。そういうときの晩御飯には、すみれが思わずパクパク食べてしまうような「イカメンチ」などの青森の料理や、好物の唐揚げが食卓に上がる。

すみれはキヨが雪かきをしている姿や音が好きで、キヨがコツコツと雪かきをしているところを見つめている。青森で雪かきをした後には、キヨのおばあちゃんがよく「ひっつみ汁」を作ってくれていたので、雪かきの後は「ひっつみ汁」が食べたくなる2人であった。
キヨとすみれは仲がよく、休みの日にはキヨがいつも行っているスーパーへ買い出しに行ったり、喫茶店ですみれがいつも食べているサンドイッチを食べたりと、お互いの日常を体験し合ったりして過ごしている。

キヨは手のかかる料理も好んでやり、コツコツとこなすタイプ。ジンジャーエールも手作りしたり、梅干しや紅生姜、ぬか漬けなども自分で作っている。青森のおばあちゃんや前任のまかないのおばちゃんから教わった料理の他に、図書館で借りてきたレシピ本も参考にしていて、本を冷蔵庫の後ろに落としては男衆のお兄さんに助けを求めることもよくある。黙々と料理の仕込みをする様子に、嫌なことがあった舞妓がキヨの手伝いをしにきたり、以前は着物に匂いが付くからとあまり台所にこなかったおかあさんも、料理を作るキヨを見ているうちに台所へとよく来るようになっていた。男衆のお兄さんも着付けをいつまでも覚えられずにいたキヨがまかないさんとして立派に働く姿を見て「あのキヨがなぁ…」と関心していた。

姉舞妓になる

キヨとすみれが京都へ来てから1年が経ち、新しい仕込みさんとして「理子」がやってきた。理子はバスケットボールをしていたため背が高く、思ったことをすぐ口に出してしまう素直な性格である。サバサバとしており、女の子同士の馴れ合いも嫌いだと言っている。つる駒の忘れ物が多いことや、理子がつる駒のことを「メガネさん姉さん」と呼ぶなど、些細なことで姉舞妓のつる駒とはよく喧嘩をしている。
理子が仕込みとしてやってきたので、屋形の掃除や洗濯などの家仕事は理子が行うようになり、姉舞妓となったすみれはより一層舞妓として精進していく。
キヨがインフルエンザになったとき、少しの間屋形のご飯は出前やお弁当になった。豪華な出前に少しはしゃいでいた舞妓とおかあさんでだったが、台所からいつもの音が聞こえないことや普段のご飯が食べられないことに寂しくなってしまった。
すみれは幼い頃にキヨが風邪を引いたときのことを思い出す。風邪を引いて寝込んだキヨを心配して、習い事を休んでまで看病していたが、すみれが不安そうな顔をしているとキヨまで不安そうな顔をしてしまうことに気づく。おばあちゃんがうさぎの形のりんごを剥いてくれて笑顔になると、キヨもとたんに笑顔になるので、すみれはキヨが寝込んでいる間も慌てずに普段どおりでいることを心がけることにした。

健太との再会

キヨとすみれは中学を卒業すると共に京都に行ってしまったが、もう1人の幼馴染である「中渡健太(なかのわたりけんた)」は青森に残り、高校に進学して野球をしていた。健太は口数が少なく、マメに連絡を取るタイプではないので、キヨとすみれに連絡することはほとんどなかった。キヨの誕生日も欲しい物を聞くだけで、特にお互いの近況などは報告したりはしていなかった。ある日、おばあちゃんが送ってくれる荷物の中に地元新聞の切り抜きが入っており、健太がピッチャーとして地元で大活躍していることを知ったキヨとすみれはとても喜んだ。2人は球技にご利益がある神社のお守りと、手作りしたマドレーヌを箱に入れて健太へと贈り、健太は内心とても喜んでいたが返事の仕方に悩み、「どうも」と一言だけ書いた手紙を2人に送った。

その後、健太は修学旅行で京都へとやって来たが、キヨとすみれには知らせていなかった。住所だけは知っていたため、健太はキヨとすみれの暮らす祇園(ぎおん)へと来てみたものの、人が多くてなかなか見つけられない。偶然にも稽古帰りのすみれと会うことができたが、キヨとは時間が合わずに会うことができなかった。キヨに会いたそうにしていた健太を見て、すみれは健太がいる三十三間堂に行くようにキヨに伝える。無事に2人は再会することができ、後からきたすみれはとてもうれしそうな健太を見て安心していた。3人が次に会う時は甲子園でという約束を交わし、健太は青森へと帰っていったが、出場した野球の試合で怪我をしてしまいマウンドには上がれなくなってしまった。

キヨとすみれは健太の試合がうまくいくようにと応援していた。その頃、健太への恋心を確信したすみれは、芸舞妓に昔から伝わる「無言参り(むごんまいり)」を行う。それは祇園祭の巡業(じゅんぎょう)の夜から七日七夜(なのかななよ)、祇園から寺町のお旅所(おたびじょ)までお参りすることをいい、道中は誰とも口を聞いてはいけないというおまじないである。すみれは自分の恋がうまくいくことより、健太の思いが届くようにと願っていた。

お座敷の合間に健太の試合の様子を伺っていたすみれだったが、健太のいる東高校が負けたことを知ってしまった。キヨにも健太が負けたことを伝えようとしているところに、キヨのおばあちゃんから電話がくる。電話で健太が怪我をしてしまったことを知ったすみれは動揺して、泣きながらキヨに健太が負けてしまったこと、大ケガをしてマウンドには立てなくなってしまったと言う。そのことにキヨは驚かず「健太はずっと健太だから大丈夫」と言い、すみれを慰めていた。

健太の就職

健太のケガを知ってからも「自分に負けたくない」とより一層芸に精を出すすみれだったが、いとこの結婚式のため青森に帰省することになる。健太のことをずっと気にかけていたが、会ってもどんな顔をしていいかわからないと会うことに躊躇していた。すみれが結婚式の帰りに遠回りをして帰っていると、偶然にも健太が現れ、2人はキヨのおばあちゃんの様子を見に行くことになった。変わりないおばあちゃんや健太の様子を見て、すみれはやっと安心することができた。

すみれが京都に帰ってきてからはいつもの日常を送っていたが、ある日鴨川に突然健太が現れた。健太は石で滑ったキヨを助け、「俺、こっちで就職して住むことにしたから」と言い残して去ってしまう。突然の出来事に、口をパクパクさせて驚いていたすみれとは裏腹に、キヨはいつも通りであった。

健太は商店街にある洋食屋にコック見習いとして働くことになった。慣れない一人暮らしに厳しい見習いの仕事で、生活には手が回らず暮らすのに精一杯であったが、キヨとすみれがこの街で頑張っていることを考えると不思議と元気が出る健太であった。

3人の帰省

キヨとすみれ、健太も同じ京都で、お互いの頑張っている姿を想像して日々を過ごしていた。
年末年始の休みの日、キヨとすみれは帰る日程が同じにならずにしょんぼりしていたが、他の舞妓が全員田舎に帰るのが早くなったためキヨは1日早く帰れることになった。すみれの乗る予定だった新幹線が過ぎてしまい、しょんぼりするキヨだったが、お弁当を買っていたすみれと新幹線のホームでばったり会い笑顔になる。2人は一緒に青森へと帰省するが、偶然隣り合わせたおじいさんを助けた健太も同じ新幹線に乗っていた。3人が偶然再会してご機嫌なキヨであったが、はしゃぎすぎて疲れてしまったのか、すぐに寝てしまった。

青森に帰省した3人はそれぞれの実家へと帰る。キヨはお母さんの仏壇に手を合わせ、健太は珍しく親戚の集まりに顔を出す。健太の野球をずっと応援していた親戚の叔父たちは、健太が突然京都に就職したことに驚いてあれこれと言ってくるが、健太の姉が七味がたくさんかかった年越しそばを叔父たちに食べさせて健太を守ってくれた。
すみれはお母さんと仲違いしている様子であった。すみれが舞妓になりたいと言った時、すみれのお母さんは反対はできないけど応援もできないと言ったが、それは15歳という若さで子供が離れてしまう寂しさと不安があってのことであった。帰ってきたすみれの顔を見て、元気で過ごしていることがわかったお母さんは「(キヨが)すみれと一緒にいてくれるから、お母さんちょっとだけ安心してるの。でもちょとだけよ。二人とも子供だもの」と言って、すみれをキヨの家まで送っていってくれた。3人はキヨの家に集まり、年明けには初詣に行くと言っていたが、結局こたつで寝てしまい寝坊するのであった。

またいつもの日常へ

京都に帰った3人はまたいつもの日常へと戻る。
すみれが「奨励賞(しょうれいしょう)」というお座敷指名が最多の芸舞妓に与えられる賞をとった。花街の人々から「百はなはすごい」と聞くと嬉しくなってしまうキヨ。健太もすみれが賞をとったと聞き、すみれは昔から努力ができるやつだったと過去のことを思い出していた。健太は川の向こうでキヨとすみれが頑張っていることを心強く思っていた。

ある日、とある事件が起こる。百子がお客さんとのご飯食べのときに、健太のお店にスマートフォンを忘れてしまったのである。芸妓はスケジュール管理も自分で行っているのでスマートフォンは必需品となる。百子に変わってすみれが取りに行こうとするが、お座敷があるため行くことができず、代わりにキヨが取りに行くことになった。偶然にも百子のスマートフォンの番をしていた健太とキヨが再会するが、キヨはお金を持たずにタクシーに乗ってしまったため、今度は健太が自転車で届けに行くことになった。キヨとすみれ、健太のおかげで無事にスマートフォンが百子に届けられ、3人はまたいつもの日常へと戻るのであった。

『舞妓さんちのまかないさん』の登場人物・キャラクター

主要人物

野月 キヨ(のづき きよ)

CV:花澤香菜
舞妓になるために京都へとやって来た16歳の青森出身の少女。
おっとりした性格や、踊りや作法の覚えが悪いことから、芸の師匠にもう修行をしなくてもいいと「お止め」を言い渡され青森へと帰ることになったが、前任のまかないのおばちゃんが腰を痛めて屋形での仕事ができなくなった時、キヨが冷蔵庫にあるものでさっと食事を作ったことから屋形のまかないさんとして働くことになる。
家仕事が好きで、仕込みさんのときからおばちゃんの手伝いをしていたことや、青森のおばあちゃんから料理を教わっていたこともあって料理が得意。屋形の食事の一切を任され、スーパーや八百屋をたくさん回ったり、図書館でレシピの本を借りたりしてやりくりしている。
料理に関しては手間のかかることも好きで、処理が面倒なたけのこを大量に調理したり、梅干しを干したり紅生姜を漬けたりして喜んでいる。
一緒に京都へとやってきた幼馴染のすみれのことが大好きで、すみれの好物や青森の郷土料理をよく作っている。
もう1人の幼馴染の健太のことも大切に思っているようだが、健太の好意には気づいていない。健太が怪我をしてすみれが泣いているときも、キヨはいつもの調子を崩さずに飄々としている場面もあった。
よく転んだり、冷蔵庫の後ろに本を落としたりとおっちょこちょいなところがあるが、真面目にコツコツと作業をすることは得意なようで、料理の仕込みや雪かきなどもマイペースに進めていく。そういったところが落ち着くと、すみれや姉舞妓、屋形のおかあさんまでもが台所へと通うようになる。
料理以外の家仕事も好きでなので掃除や洗濯もよく手伝ったりするが、図画や工作は苦手なようで、姉舞妓たちも恐怖するほどのてるてる坊主を作ったり、アルミホイルですみれの誕生日ケーキのデコレーションをしようとして失敗している場面もある。

戸来 すみれ(へらい すみれ)/百はな(ももはな)

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