QQスイーパー(漫画)とは【ネタバレ解説・考察まとめ】

『QQスイーパー』は、最富キョウスケ作の少女漫画であり、月刊雑誌『ベツコミ』に、2014年から2015年にかけて全15話が連載された。単行本は全3巻である。人の心を掃除する「掃除屋」の少年少女が心に巣食う「ムシ」を退治していくというストーリーで、第1巻帯のキャッチコピーは「イケメンドSな“ココロの掃除屋”と”ワケあり”夢見がち少女が織りなす新感覚ラブファンタジー!!」であった。恋愛やファンタジーの要素だけでなく、SF的なダーク要素が織り込まれた、少女漫画の変化球ともいえる作品である。

文(左)/玖太郎(右)

寝床を探してさまよっていた文は、誰かに呼ばれるように高校の旧校舎の一室にたどり着き、眠りについた。翌朝、掃除のためにその部屋を訪れた玖太郎が文を見つけ、目を覚ました文は玖太郎に「あなたは誰?」と問いかける。勝手に入って寝ていた文に玖太郎が怒ってその場は「大変腹立たしい出会い」と化すが、物語のスタートとなる重要な場面である。

初めてムシに遭遇した文が素手でムシを倒した場面(第1巻/第2話)

坂口の心の声に呼ばれてウチガワの世界に勝手に入った文はムシに襲われる。すんでのところで玖太郎に助けられた文は、初めて「掃除屋」の仕事について知る。しかし、文を助けたときに玖太郎は怪我をしてしまい、弱った玖太郎に背後からムシが襲い掛かった。玖太郎に傷ついてほしくないと願った文は素手でムシに殴りかかって見事にムシを退治する。文のもつ力の片鱗が垣間見えた場面である。

堀北家を出て行こうとした文を玖太郎が止める場面(第2巻/第7話)

玖太郎(左)/文(右)

ムシが憑いた清水川に襲われた文は、現れたムシに「呪いの娘」と言われる。これまでにも周りから同じように言われ、実際に周りが不幸になった経験を重ねていた文は、玖太郎たちに害が及ぶことを恐れて堀北家を出て行こうとする。しかし、胸のざわつきを感じて起き出してきた玖太郎は文が出て行こうとするところに遭遇し、無理やり文を引き留めた。そして文は、自分がどこに行っても「呪いの娘」と言われることを玖太郎に明かす。実はふゆちゃんも自分のことを「のろいのむすめ」と言っており、久太郎は文とふゆちゃんの大きな共通点を知ることとなる。文を手放したくないと言う玖太郎の思いが強く現れるとともに、玖太郎が、文とふゆちゃんが同一人物ではないかという疑念をもつきっかけになった場面である。

文が初めて掃除屋として人の心を浄化した場面(第2巻/第9話)

文(中央)/玖太郎(右)

ムシ憑きになった清水川の心を浄化するため、文と玖太郎、ミヤコは清水川の心間を訪れる。清水川の心間は空気がひどくよどんでいて、文たちが入ってきたとたんに次々とムシが湧き始めた。焦る文だったが、ミヤコの力を借りて心を鎮め、自分の部屋をきれいに掃除してとても嬉しかったときのことを思い出す。幸せな気持ちをもったままで文が箒を振るうと、部屋の空気がきれいになり、ムシたちは消えていった。文の掃除屋としての才能がはっきりと現れ、その後の自信につながった場面である。

玖太郎が文とふゆちゃんが同一人物と確信する場面(第2巻/第10話・第3巻/第11話)

悪い夢を見て眠れなくなった文は、玖太郎の部屋を訪れ、話をしながら夜を過ごす。夢の内容を玖太郎に話して落ち着きを取り戻した文は、玖太郎が食べていた金平糖に興味をもち、久太郎は文にそれを渡した。文が金平糖を口にするのを見た玖太郎は、その姿がふゆちゃんに瓜二つであることに驚愕し、二人が同一人物であると確信をもつ。勢いでそのことを文に告げそうになった玖太郎だが、文の混乱を招くことを恐れ、自分の気持ちを隠してその後も変わらず文と接することを決める。初恋の相手であるふゆちゃんと文が同一人物だということを知り、玖太郎が文への恋心をつのらせるきっかけとなった場面である。

文と玖太郎がアタルと初めて対決する場面(第3巻/第12話)

アタル(左)/文(右)

カオリに誘われて文がカラオケに行くと、その場には人気占い師として評判のアタルが来ていた。しかしアタルの正体はムシ遣いでその真の狙いは文であり、アタルはムシ憑きにした男子と集団催眠を使って文を「呪いの娘」と吊るしあげる。周りが逃げ出してアタルと文は二人きりになり、文を責めるアタルの言葉の数々に文は絶望しかけていた。そこへ玖太郎が現れて文を助け、文は安心して自分を取り戻し、アタルはいつのまにか姿を消していた。そしてこの事件は、文を誘ったカオリをも追い詰めていくことになる。文を狙うアタルの存在が玖太郎たちの知るところとなり、後にカオリがアタルの奴隷となるきっかけにもなった場面である。

文の中の「女王」が現れてその場を支配した場面(第3巻/第14話)

玖太郎(左)/文(中央左)/アタル(中央右)/カオリ(右)

アタルの力で心が壊れたカオリはアタルの操り人形になり、カオリを人質に取られた文と玖太郎は何もできなくなっていた。アタルに命じられたカオリがまさに自殺しようとしたとき、文のまとう雰囲気が一変し、文が「うごくな」と声をかけるとその場にいた玖太郎、アタル、カオリは誰も動けなくなる。その後も文の言葉には誰も抗えず、カオリは文に言われるままに文の腕の中に戻ってきた。カオリが戻ると同時に文は意識を失い、そのとたんに玖太郎とアタルも動けるようになっていた。そしてアタルは、その力が女王の力の一部だと言い残して去って行った。文の中に隠れた謎の人格と、その驚異的な力がはっきりと現れた場面である。

文がカオリの心を救った場面(第3巻/第15話)

ムシに浸食されたカオリの心はもう対処のしようがない状態にまでボロボロになっていた。周りが「もうだめだ」と諦める中で、「絶対に助ける」とカオリに約束したという文はカオリを助けに行くと言ってきかなかった。鉱一とミヤコもそれを認め、文は玖太郎とミヤコとともにウチガワの世界でカオリを探す。カオリが呼ぶ声に応えてカオリを強く思った文たちはカオリのもとに辿りつく。「自分の中にはなにもない」と諦めようとしていたカオリだったが、そんなカオリに文は励ましの言葉をかけ続ける。カオリのことを心から思う文の強い言葉を聞いて、カオリは今の自分を受け入れることができ、文はカオリを救うことができたのだった。友達を思う強く優しい文の心がカオリを救った、本作のクライマックスともいえる場面である。

『QQスイーパー』の裏話・トリビア・小ネタ/エピソード・逸話

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