ポリス・ストーリー/香港国際警察(ジャッキー・チェン)とは【ネタバレ解説・考察まとめ】

『ポリス・ストーリー/香港国際警察』とは、ジャッキー・チェンが監督・脚本・主演・武術指導を兼ねたアクション映画。
香港警察のチェン刑事は他の刑事達と共に、麻薬密売を行うチュウ率いる犯罪組織の取引現場へ潜入する、張り込みが一味にバレて銃撃戦へと展開。チェンの活躍でチュウ達を逮捕するが、更なる波乱が待ち受けていた。
現在でも、なおジャッキー・チェンのベスト作品としても人気が高い。

ダニー・クーや手下達の罠により、ブン刑事殺害容疑の疑いを掛けられたチェンは必死に署長やチョー警部に、自分は何もやっていないと主張する。しかし署長は状況証拠が揃っているとして、チェンを第1級殺人罪で逮捕しようとする。するとチェンが逆上し、銃を手に取り「現場は俺たちに任せ、あんたはここにふんぞり返っているだけ!俺たち仲間の命を何だと思っているんだ!」と訴え、署長を人質に取り、警察署から車で逃走。チェンは人気の無い道で車を止め、こうするしかなかったと署長に謝罪、署長もチェンの行為を赦す。そしてサリナのもとへ向かうチェンに対し、署長は気を付けて行けと声を掛け見送った。その場しのぎで取った行動とはいえ、常に危険と隣り合わせとなっている刑事としてのチェンの心の叫びと見てとれる。

署長「私は何も見ていない」

出典: pbs.twimg.com

ショッピングビルにて、サリナを助け出そうとチェンがダニーや手下達と激しい格闘戦を繰り広げた。そしてサリナも、持ち出した鞄の中にチュウの悪事に関する資料が入っている事を告げた。しかし、そこへチュウの弁護士チョンがやって来て、チェンを民間人に手を出す暴力刑事等と批判し、その言動にチェン怒り拳を向けるが、遠くで見ていた署長やチョー警部らに止められる。だがチョンの横に割り込んでは侮辱するジョンの言葉にチェンが激怒し、彼の顔に鉄拳をお見舞いし眼鏡も割る。更に隣にいたチョンの腹部や顔、そしてチュウの腹部へ鉄拳を食らわす。
これを見たチョー警部が、これらのチェンの行為について報告書をどう書くかと尋ねると、署長は「私は何も見ていない」と答え、その場を後にした。チェンが起こした行動に対して、もう知らないよという思いと、チュウという悪人に制裁を加えたことに対し、よくやったという思いがこの一言に入り交じっていると考えられる。

『ポリス・ストーリー/香港国際警察』の裏話・トリビア・小ネタ/エピソード・逸話

著名人に影響を与えた名場面

チェン(写真中央)が二階建てバスの前で発砲し急停車させる場面。

本作品は多くの映画人に影響を与えた。「チェンが二階建てバスの前に立ち、発砲で急停車させる」場面は、シルベスター・スタローン主演作『デッドフォール』(1989年)にて、「チェンがバイクで悪人を追い詰める」場面はブルース・リーの息子ブランドン・リー主演作『ラピッド・ファイアー』(1992年)にて再現された。
因みに、同時期に制作されたクリント・イーストウッド主演『ダーティハリー5』(1988年)には、主役のハリー刑事の相棒である中国人刑事役にジャッキー・チェンへ出演依頼があったとの事。そして、本作品での「主人公(ここではチェン)が警察のイメージ向上の為に、メディアに露出される」という展開が『ダーティハリー5』に引用された。

劇中もプライベートも命懸け

電気ポールで滑り落ちるチェン。

本作品撮影中のジャッキー・チェンは、他にも『七福星』や『ファースト・ミッション』等の作品を掛け持ちで撮影しており、睡眠時間もろくに取っていない状態だった。例えば、夜中や朝方まで本作品のショッピングモールでのアクションシーンを撮り終えた後に、そのまま車で『ファースト・ミッション』の撮影現場で直行するという感じだった。それ故に本作品のショッピングモールでのアクションシーンでの鬼気迫る演技は、当時のハードな状態を表していたとも言える。更に、クライマックスでの「ショッピングモールの上階から電気ポールで滑り落ちる」場面では、実際に電灯が点いていた事による火傷で手の皮が剥け、ガラスにより酷い切り傷を負った。

『ポリス・ストーリー/香港国際警察』の主題歌・挿入歌

劇場版主題歌:ジャッキー・チェン『英雄故事』

劇場版主題歌『英雄故事』。

本作品の主題歌であり、主演を務めるジャッキー・チェンが歌唱した。『プロジェクトA』と並び、本作品の主題歌も多くのファンに親しまれている。

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