昌文君（キングダム）とは【徹底解説・考察まとめ】

王騎（おうき）は、元秦国王である昭王（しょうおう）と後の秦国王「嬴政（えいせい）」に仕えた大将軍である。「秦の怪鳥」の異名を持つ。王騎率いる軍には副官の騰（とう）を始め精強な配下を従えている。昌文君とは付き合いの古い戦友同士である。昌文君が秦王嬴政の文官となった後でも昌文君は王騎に一目置いている。王騎は少し先輩だった昌文君からいろいろと学ばせてもらったと語っている。王騎が出世した後も、「単独機動する昌文君の特殊部隊は広い戦場の中でも大変ありがたい存在だった」「昌文君はいつも絶妙の刻で渋い活躍をしてくれた」「昌文君には何度も助けられた」と、王騎は昌文君を評評している。かつての南安の戦いにおいて、秦国が壊滅的なダメージを受けた時、王騎へ秦国総大将が任務が命じられた際には、王騎は昌文君に対し、「総大将になれば今までの様に摎（きょう）の事に気をかける訳にもいかない立場になる」「摎の事をよろしく頼む」「あれは娘だ」と伝えた。摎（きょう）とは、王騎の城の召使いの子として育ててきた、昭王の娘であり、王騎の婚約者であった存在である。また、摎は王騎と並ぶ秦国六大将軍の一人として中華に名を馳せた英雄の一人でもあった。嬴政王弟「成蟜（せいきょう）」の反乱時は、嬴政側についた昌文君と戦う目的で成蟜派に付き、嬴政やその影武者として抜擢されていた漂（ひょう）、昌文君らと敵対した。しかし後にそれは、古くからの盟友だった昌文君を守るための演技であった事がわかる。王騎は成蟜の元へ「昌文君の首」と称した他人の首を持参し、「私が戦えばこのくらいぐしゃぐしゃになり、本人と識別はつかなくなる」と説明した。成蟜派が昌文君の領土を寄こすようにと命じた時も、王騎はキッパリこれを拒否し、留守の昌文君の妻子を守る事に尽力した。その後昌文君の「嬴政は昭王を越える」という言葉から嬴政に興味を持つ事になり、最終的には嬴政に味方する事となった。

昌平君（しょうへいくん）

昌平君（しょうへいくん）は、秦国の右丞相（うじょうしょう）であり、軍総司令を務める天才軍師でもある。呂不韋（りょふい）派の呂氏四柱（りょししちゅう）の一人である。昭文君は大王・嬴政派の左丞相（さじょうしょう）、昌平君は呂不韋派の右丞相として、互いに対立している。冷静な判断力の持ち主で、目的達成の為であれば、呂不韋の意向にそぐわぬ事もいとわない。戦の指揮を執るだけでなく、自身の軍師学校で後進の育成も務め、飛信隊（ひしんたい）の軍師の河了貂（かりょうてん）と蒙武の息子である蒙恬（もうてん）、蒙毅（もうき）の兄弟も生徒として育ててきた。魏国軍が秦国兵の留守を狙って攻め入ってきた時に、秦国防衛のための総大将を蒙武（もうぶ）とする案について、昭文君が反対の立ち場を示した時には、呂不韋から、「意見はありがたいが、秦国軍の総司令官は昌平君だ」と釘を刺されてしまう。しかしこの時昌平君は、「昌文君は昭王のとき長きに渡り最前線で弓矛を振るった生粋の武人だ」「ここにいる誰よりも戦の経験を持っている」と、昌文君の意見を聞く様に制する。このように、目的を達成するためには、互いに利害関係をも乗り越えて判断力を発揮する事ができる裁量の持ち主である。

信（しん）

『キングダム』の主人公。下人の時代から共に育った漂（ひょう）を嬴政（えいせい）の影武者として使われた事で昌文君を恨んだが、嬴政を必死に守り、唯一の味方として支える姿に、信も昌文君を認めるようになった。秦国軍が勝利をした際に戦果を挙げた武将が報告される際、まだ何も無い千人将以下の時の信は、高官たちに「うむ、誰だかわからんが、よくやった」とコメントされる中、信の事をよく知る嬴政と昌文君のみは、心の中で喜んでいる場面がよくある。昌文君は秦国の高官であるにも関わらず、信は「昌文君のおっさん」と呼び慕っている。

漂（ひょう）

漂（ひょう）は、主人公の信（しん）と共に下人の時代から共に育った。信と漂が野原で仕合いをしている所を目撃した昌文君は、漂が大王・嬴政（えいせい）と酷似している事に気づく。昌文君は二人と出会った翌日、二人を下僕として使っている長の家に訪れ、漂を「王宮に仕えよ」と言い連れて行く。漂は信に「二人の行き着く場所は同じだぞ」「必ず追いついてこい」と言い残し王宮に向かった。後に漂は自分が影武者として抜擢された事を知るが、それでも快く嬴政に仕え、時には一緒に育った信の話を嬴政にしていた。漂は嬴政に対し、「私が倒れた時は信におつかまり下さい。あいつはきっと誰よりも高く翔ぶ」と進言している。昌文君は、漂は「万が一のための影武者だ、心配はするな」と説明していたが、その後の秦王・嬴政の弟である成蟜が反乱を起こした事で、その万が一が現実となり、漂は命を落とすこととなってしまう。

呂不韋（りょふい）

元々一介の商人だった呂不韋は、その貪欲さから富だけでなく秦国を動かすほどの権力を求めるようになる。嬴政（えいせい）の父が後に王に上り詰めることを見抜いて近づき、これに取り入り、彼が秦王になった時に側近としての地位を手に入れた。そして、その財力と頭脳で秦の右丞相（うじょうしょう）、さらには相国（しょうこく）まで登りつめた。嬴政の父が亡くなり幼い嬴政が大王となったことで、秦国は呂不韋が実質的に政治を執り行うことになった。呂不韋の勢力は秦国最大。嬴政率いる大王陣営と権力争いを繰り広げている。昌文君は大王陣営に属するのに対し、呂不韋は昌平君（しょうへいくん）、蒙武（もうぶ）、蔡沢（さいたく）、李斯（りし）の各分野に優れた4人を呂氏四柱として配下に置いている。大王派で左丞相である昌文君と、呂不韋派で右丞相の昌平君という構図が、秦国の勢力図となっているが、魏国が攻めてきた際の総大将任命等、共同で策を練る事もある。

昌文君の名言・名セリフ／名シーン・名場面

「あしたよりお前は王宮で働くのだ」

昌文君は偶然、山中で剣技の特訓をしていた主人公の信（しん）と漂（ひょう）と出会い、漂が秦王・嬴政（えいせい）と酷似している事に気づく。昌文君は翌日、二人を下僕として使っている長の家に訪れ、漂を「明日からお前は王宮で働くのだ」と言い連れて行く。『キングダム』の物語の全てが始まったセリフである。一緒に大将軍を目指すと訓練していた漂は、信も同行させられないかと交渉するが、昌文君が必要としていたのは漂のみであったため、信は一人下僕として長の家に残される事となった。昌文君は、漂に対しては「万が一のための影武者だ、心配はするな」と説明していたが、その後の秦王・嬴政の弟である成蟜が反乱を起こした事で、その万が一が現実となり、漂は命を落とすこととなってしまう。

「馬上にふんぞり返っておる割には…随分と軽い剣だな」

秦王・嬴政（えいせい）の弟である成蟜（せいきょう）が反乱により奪われた王宮を取り戻すために、攻め込んだ嬴政や昌文君達は、王宮の広場で、騎馬した敵将・魏興（ぎこう）が政の前に立ちはだかった。魏興は嬴政のひるまぬ姿勢に武人が宿るのを感じるが「生まれた刻と場所が悪すぎたな！御免！！」と言い嬴政を斬りつけた。そのとき、魏興が宙を仰ぐ格好で吹き飛ばされた。粉塵の中に嬴政の前に立ちはだかる昌分君の姿が見え、魏興に告げた時のセリフ。「馬上にふんぞり返っておる割には…随分と軽い剣だな」。文官としての印象が強い昌文君だが、かつては王騎将軍を前線で戦った猛者である事が感じ取れるシーン。

昌文君の裏話・トリビア・小ネタ／エピソード・逸話

実写版で演じたのは高嶋政宏