スパイラル(推理の絆)とは【ネタバレ解説・考察まとめ】

『スパイラル(推理の絆)』とは、『月間少年ガンガン』にて『名探偵に薔薇を』でデビューした推理小説家の城平京(しろだいらきょう)が原作を担当し、『裏世界ピクニック』の水野英多(みずのえいた)が作画を担当した、1999年8月から2005年10月まで連載されたミステリーアドベンチャー漫画である。ブレード・チルドレンと呼ばれる常人より優れた能力を持つ少年少女たちとの命を賭けた戦いを、主人公である高校生・鳴海歩が身体能力ではなく持ち前の推理能力で切り抜けていく鮮やかさが魅力となっている。

月臣学園

歩やひよのが通う私立高校。進学校であり部活動にも力を入れていることで有名だが、実際は学園の上層部にウォッチャーを大量に抱える、ブレード・チルドレンを集めて監視するための一種の檻である。現在日本にいるブレード・チルドレンのうち、二十五人全員が在籍している。

創造主

清隆とヤイバが語った、人間を作り出したという存在。「善」と「悪」の二人の創造主がおり、人間を滅ぼすために「悪」の創造主がヤイバを地上に生み出し、それを防ぐために「善」の創造主が清隆を地上に生み出した、とされている。

『スパイラル(推理の絆)』の名言・名セリフ/名シーン・名場面

ひよの「はい上がる距離が長いほど 男の子はずっと強く素敵になりますから」

香介、理緒との戦いの最中にひよのが捕まり、歩まで捕まっては意味がないとひよのは歩を逃がした。その際理緒は「歩にとどめを刺したも同然だ」と嗤うが、ひよのは涼しい顔で「はい上がる距離が長いほど 男の子はずっと強く素敵になりますから」と言い放った。歩はこのまま逃げたりしない、これをきっかけに成長すると、彼女は心から信じていたのだ。

アイズ「俺は願い続けよう どれだけ迷っても この孤独の中で神の祝福を最後まで願い続けよう」

カノンが月臣学園に立てこもり、アイズと話がしたいと告げた理由は、アイズの協力を求めての事だった。火澄の事を知った今、ブレードチルドレンに希望はない。昔のように一緒に歩こうと訴えるカノンに、アイズは「俺は願い続けよう どれだけ迷っても この孤独の中で神の祝福を最後まで願い続けよう」と告げた。自分が救われたいからではない。カノンをはじめとした大切な仲間たちのことを諦めたくないが故に、アイズは絶望の中でも祝福があると願い続けているのだ。

歩「ささやかで後ろ向きで 何一つ報われないかもしれないけれど それは祈りのような幸せだった 俺の気持ちに嘘はない 俺はずっと まどかさんを愛してきたよ」

ブレードチルドレンと月臣学園の関係性が明らかになり、歩を月臣学園に通わせるためだけに清隆は自分と結婚したのではないかとまどかは疑っていた。それを歩は否定する。清隆と自分は好きなものが全て重なる、だから自分が好きな人は清隆も好きだし、自分が愛している人は清隆も愛しているのだ。「ささやかで後ろ向きで 何一つ報われないかもしれないけれど それは祈りのような幸せだった 俺の気持ちに嘘はない 俺はずっと まどかさんを愛してきたよ」と秘めておくつもりしかなかった想いを告げたのは、まどかのためだけではない。この想いを過去にして先に進むために、歩は彼女に想いを告げた。

結崎ひよのを名乗っていた女性「さよならの前に、一度握手を」

カノンの事件後、歩はひよのに「何か願い事を一つ考えておけ」と伝えていた。これまであまりにもひよのに助けられてきたことが多かったからだ。ひよのはその願いをどうするか考え続けていたが、結局答えを出す事はなかった。清隆との対決後、別れを知った彼女は「結崎ひよのの願い事の権利を、自分が使ってもいいか」と問うた。そして了承された彼女は、「さよならの前に、一度握手を」と、歩に別れの握手を乞うのだった。

『スパイラル(推理の絆)』の裏話・トリビア・小ネタ/エピソード・逸話

連載当初に構想されていたもっと現実的な「解決編」

解決編になって、突然「造物主」や「神」「悪魔」というファンタジックな要素が入ってきた当作品だが、当初はもっと地に足のついた、現実的な物語の予定だった。だがそれだと「歩でなくてもいいのでは?」という結論に辿り着いてしまったため、現行の形になったのだという。原作者曰く、「ファンタジーでもそれを信じた人々によって殺人まで起きている以上、解決しなければならない現実である」とのこと。

香介の眼鏡使い分け

私服姿の香介の眼鏡は楕円形をしている。

制服姿の香介の眼鏡のフレームは四角である。

香介の眼鏡は途中でフレームが楕円形から四角に変わっており、何故そうなったのかと読者から作画担当に質問が寄せられていた。だが実際は私服の時には楕円形の眼鏡、制服の時には四角の眼鏡と使い分けているだけとのことである。

hario5288
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@hario5288

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