シュレック(映画)とは【ネタバレ解説・考察まとめ】

『シュレック』は、2001年に公開されたアメリカのフルCGのアニメーション映画である。ジャンルはファンタジー、アドベンチャー、コメディに分類される。公開年にはアカデミー長編アニメ賞を受賞した。大人向けに制作された作品で、ユニークなセリフが数多く盛り込まれている所が魅力の1つである。
ある日、シュレックという怪物が人里離れた沼で平凡に暮らしている所に、おとぎ話の主人公達が押し寄せてきた。自分が再び平凡に暮らせるよう、ロバのドンキーと共にフィオナ姫を探す旅に出たのであった。

『シュレック』の概要

『シュレック』は、2001年に公開されたアメリカのフルCGのアニメーション映画である。ジャンルはファンタジー、アドベンチャー、コメディに分類される。監督はアンドリュー・アダムソンが務めた。公開年にはアカデミー長編アニメ賞を受賞している。本作の続編として、2004年には『シュレック2』、2007年には『シュレック3』、2010年には『シュレック フォーエバー』が公開された。また、スピンオフに『長ぐつをはいたネコ』が制作されている。2004年11月12日に金曜ロードショーで地上波放送された。『シュレック』シリーズは、アニメシリーズ世界興行成績No.1としてギネス記録に認定されている。

人里離れた沼に人の骨をすり潰しパンにして食べてしまうと怖れられるシュレックという怪物が暮らしていた。だが、シュレックは実は優しい心の持ち主であった。ある日、邪悪な領主ファークアード卿に追放されたおとぎ話の主人公達がシュレックの住む沼に大勢押し寄せてきたのである。この状況に困ったシュレックは、元通りの平穏な生活を取り戻す為に、ファークアード卿と交渉し取引を行う。おとぎ話の主人公達を引き取ってもらう為に、火を吹くドラゴンに囚われたフィオナ姫を助ける旅に出る事となった。そして、旅の途中でフィオナ姫に隠された秘密を知る事となる。

大人向けに作られた本作からは、人を見た目で判断してはいけないという教訓や友達の在り方について学ぶ事ができる。

『シュレック』のあらすじ・ストーリー

おとぎ話の住人達

絵本には、こう書かれていた。
「むかしむかしあるところに、美しいお姫様がいました。お姫様は恐ろしい呪いをかけられていて、愛する人にキスされるまでそれは解けません。閉じ込められているお城は口先から火を噴く恐ろしいドラゴンに見張られています。大勢の勇敢な騎士が助け出そうとやってきましたが……成功したものはいません。お姫様はドラゴンに怯え、城のてっぺんで今も待ち続けています。運命の人が現れて、キスしてくれるのを」

賞金稼ぎたちは恐ろしい化け物だと言われているシュレックの住処へ向かった。
シュレックが大声をあげて賞金稼ぎたちを威嚇すると、賞金稼ぎたちは逃げ帰った。

森の入り口で、おとぎ話のキャラクターたちが売られていた。
飼い主の老婆に無理やり連れてこられたしゃべるロバのドンキーは口をつぐみ、その場をやり過ごそうとする。

暴れた老婆が妖精の入ったかごを蹴り上げ、ドンキーにぶつかってしまった。
体が光に包まれて浮き始めたので、ドンキーはそのまま逃げようとする。
しかし、急に魔法の効果が切れてドンキーは地面に落ちてしまった。

森に逃げ込み必死に逃げ回っていると、シュレックにぶつかった。
兵士たちはドンキーを追って2頭のところまでやってきた。
「ファークアード卿の命により我々はお前たち2頭を直ちに捕らえ、そして……ファークアード卿がお決めになった収容施設へ連行する」
兵長は居丈高に言い始めたがシュレックが近づくにつれ声をすぼめていき、最後には逃げ帰った。

ドンキーはシュレックが兵士たちを追い返したことに感謝して激賞し、「いいこと思いついた!あんたについてくよ!」とシュレックを追う。
シュレックが「なんで俺について来んねや」と文句を言うと、ドンキーは仲間が欲しいことを歌にのせて告げた。

「……怪物イヤやろ?」
シュレックが寂しそうにそう訊くと、ドンキーは首を振って「ちっとも?」と答えた。
「……ほんまに?」とシュレックは信じられないものを見る様な顔で質問を重ねた。
「ほんまにほんま。名前なんての?」
「……シュレック」
2頭は沼で寝ることになった。

扉のきしむ音がして、「外に居れって言うたやろ」とシュレックが怒る。
ドンキーは「外にいるよ」と返す。
ベッドには狼がいた。

狼を外につまみ出すと、おとぎ話のキャラクターたちが沼に集まっていることに気づいた。
ウソをつく木の人形が「そりゃそうさ。呼ばれてきたんじゃない。僕ら、ここに追放されたの」と言う。
「誰がそんな」というシュレックの質問に、「ファークアード卿さ」と豚は答えを被せてきた。
「お前ら全員元いた場所に追い返したる」
そう言ったシュレックを、皆は拍手喝采で送り出した。

ファークアードの完璧な町

ファークアードのもとに部下が魔法の鏡を持ってくる。
「鏡よ鏡、この世で一番完璧なのは我が王国であろう?」とファークアードが問いかけると、「まだ王じゃない。そのためにはお姫様と結婚しなきゃ」と言って鏡は妃候補を紹介してきた。
ファークアードはドラゴンに守られるフィオナ姫を選んだ。

シュレックたちはファークアードの治める国、デュロックに着いた。
穏便に事を進めようとするシュレックだったが、門番は怯えて逃げてしまい話すこともできなかった。
人の気配がない街中。

「静かすぎる。みんなどこ行ったんや」とシュレックは奇妙な感覚を覚えていた。
インフォメーションの近くにあったレバーを引くと、人形が歌を歌いはじめた。
「ようこそ完璧なデュロックへ。世界一ルールが厳しい。笑顔であいさつ、列を乱すな、お土産忘れるな。ごみを落とすと、すぐに生き……さ。デュロックは、デュロックは、デュロックは世界一」

ファンファーレが聞こえてきたので、2頭はそこに足を運んだ。
そこでは、ファークアードが大会に向けての演説をぶっていた。
「栄えある優勝者には、特権として姫を救出する許可を与える!美しきフィオナ姫を救うのだ!」
拍手の指示を受け、観衆はその言葉を拍手で迎えた。

シュレックたちはファークアードと話をしようと前に進んだ。
「諸君、こうしよう。その怪物を倒したものを栄えある優勝者とする」
ファークアードの掛け声の下、出場者たちは一斉にシュレックに矛先を向ける。
次第にプロレスの様相を呈してきたシュレックと出場者たちの戦いは、シュレックの勝利で幕を閉じた。

観衆の喝采にこたえるシュレックとドンキー。
ファークアードがシュレックたちに照準を合わせるよう指示を出すと、会場がざわついた。
「いいことを思いついた。デュロック市民のみなさん!紹介します!我らが優勝者です!おめでとう、怪物よ。お前は一世一代の旅に出る栄誉を、見事勝ち取ったのだ」
ファークアードのその言葉に、シュレックは首を傾げる。
「旅ならもう出てる。俺の沼を取り返す旅にな。あんたがおとぎ話の住人を追放した」
「では、取引をしよう。お前が旅に出てくれたらお前に沼を返してやる」
ファークアードはそう言った。

「ファークアードに沼返してもらうために、ドラゴンと戦ってお姫様を助けるなんて。首根っこ締めあげておどしゃあよかったのに。骨粉にしてパンにしちゃうとかさ」とドンキーは言った。
「そうやな。村人の首ぶった切って、皆殺しにして頭を杭に突き刺して。……そうしたらよかったんか?」とシュレックが尋ねると、「……でもないな。だめ」とドンキーは答えた。
「俺ら怪物は世間が思うより複雑なんや。怪物が似てんのは玉ねぎ。玉ねぎは何枚にも剥ける。俺も心の奥まで何枚もある。深みがあるんや」とシュレックは言った。
ドンキーはシュレックが捨てた玉ねぎを臭うと、「けど、玉ねぎは嫌われがち。……ケーキだ!ケーキならみんな大好き!ケーキも複雑!」と言った。
「人がどう思おうと、怪物と、ケーキは、違う」
「皆が好きってことなら、パフェもだ。パフェ食べようって誘って断るやつ、いるか?」
「やめろ!このずれまくりのおしゃべりのお節介野郎!怪物が似てんのは玉ねぎ。それでええねや」
シュレックたちは城に向かって進んでいった。

姫とドラゴン

城に向け、山を登るシュレックたち。
「硫黄の臭いや。かなり近い」とシュレックは分析した。
切り立った岩を登ると、視界が開けた。

大きな溶岩の湖に、頼りないつり橋が架けられている。
その奥には立派な城が建っていた。
ドンキーは不安そうに「シュレック?さっき言ってたよね?怪物は複雑だって。ロバは単純なんだ。だから怖いとすぐに顔に出ちゃう」と漏らした。
危うい場面もあったが、シュレックはドンキーを無事に対岸へ渡らせた。

城の中を探索するシュレックたち。
ドンキーに階段を探すことを任せ、シュレックはドラゴンを探すことにした。
近くにあった鎧からまだ使えそうな兜や手甲などを奪って身に着けると、顔がすっかり隠れてしまった。

シュレックはフィオナの居場所を見つけたが、ドンキーはドラゴンに見つかってしまう。
ドラゴンが吐く炎を避けながらシュレックと合流するドンキー。
ドラゴンがドンキーを襲おうかと言う時に、シュレックがドラゴンのしっぽをつかんだ。
ドラゴンのしっぽに振り回され、シュレックはフィオナのいる場所に吹き飛ばされてしまった。

その間もドラゴンはドンキーを襲っていた。
逃げ場のなくなったドンキーは怯えながら、ドラゴンを褒めそやす。
すると、ドラゴンがまばたきを繰り返してアピールし始めた。
「目になんか入った?」とドンキーは尋ねる。
ドラゴンがハートの息を吐くとドンキーも察したのか焦りはじめた。
ドンキーはしっぽを咥えられてドラゴンに連れて行かれた。

シュレックが体を起こすと、フィオナは急いで準備をし始めた。
ベッドに寝そべり、花を持っていなかったので慌てて拾い、改めて寝たふりをした。

フィオナはキスされるのを待ったが、シュレックはフィオナを揺り起こした。
「そなたは?私を助ける運命の騎士ですね?」とフィオナが訊くと、「あぁ、そういうことや。よっしゃ行くぞ」とシュレックは先を急いだ。
「待って騎士殿。せめて聞かせてちょうだい?我がヒーローの名前を」と訊くと、シュレックは名乗った。
シュレックがフィオナの求めていた理想の騎士像から遠かったため、段々と不信感が募っていった。

シュレックがドンキーのもとに着いた時、ドンキーはドラゴンのしっぽに絡められ、身動きが取れなくなっていた。
ドラゴンはそのままドンキーにキスしようとしたが、そのタイミングでシュレックがドンキーを助け出し、ドラゴンは逆上した。
シャンデリアが降ってきて、首輪のようにドラゴンの首にすっぽりはまった。
シュレックはドンキーとフィオナを小脇に抱え、縦横無尽にドラゴンの猛追をかいくぐった。

岩の扉と高い塀

ドラゴンから逃げ切ったフィオナはシュレックのことを「ちょっと正統派とは違うけど私の救世主」と称え、ドンキーのことを「気高き白馬」と褒めた。
シュレックは素顔を見せるよう求められたが固辞した。

「それでどうキスなさる気?」とフィオナが訊く。
「そういうさだめなのよ。お話の流れちゃんとわかっといてよ。めでたく2人は運命のキスで結ばれる……」とフィオナが夢を語る。
ドンキーが「シュレックが運命の人ってこと?」と確認すると、フィオナは「そうよ」と答えた。
シュレックとドンキーは顔を見合わせて笑った。

シュレックが素顔を見せると、「運命の人が怪物だったなんて」と酷く落胆した。
ファークアードが自ら助けに来ないことにも不満を抱いた。
動こうとしないフィオナを肩に担いで、シュレックはデュロックに向かった。
野宿がしたいとフィオナが言ったので、野宿のできそうな洞穴を見つけてフィオナはその中で寝かせた。

シュレックとドンキーは星空を見て話をしていた。
星座の説明をするシュレックに「ただの光る点々じゃない」とドンキーが文句を垂れると、「見た目だけじゃなぁ、物事の奥の深さは分からん」とシュレックは返した。
「なぁシュレック俺たちの沼が戻ったらどうする?」
「俺たち?ドンキー、勝手に一緒にすんな。俺は俺。沼は俺の沼や。戻ったらまず、高い塀で沼の周りを囲う」
2頭が言い争っているところをフィオナは見た。

ドンキーが「何で世界中を嫌ってるの?」と尋ねる。
シュレックは「俺が世間を嫌がってるんやない。世間の方が俺のことを嫌がってるんや。みんな俺のことを遠ざける。……中身も知らんとそう決めつける。せやから1人の方がええ」と嘆いた。
フィオナは視線を落とすと、静かに扉を閉めた。
ドンキーは隣に行くと、「俺は最初から醜い薄のろ怪物なんて思ってない」と慰めた。

2つの顔

フィオナは2頭よりも早く起きると、歌を歌った。
小鳥がそれに唱和する。
フィオナの歌が熱を帯びていくと、小鳥が風船のように膨らみ、遂には破裂した。

シュレックたちが目を覚ますと、フィオナが目玉焼きを作っていた。
命の恩人なんだからと言って、シュレックたちに目玉焼きを振る舞った。

デュロックへ向かう途中で、シュレックが「あんた、イメージとちょっと違うようやな」と言うと、フィオナは「イメージだけで決めつけるのはよくないんじゃない?」と返した。
道中でフィオナが攫われそうになるが、フィオナ自身で全滅させて事なきを得た。
フィオナのカンフーの話や、シュレックに刺さった矢を抜こうと協力したことで仲良くなり、その後も仲を深めていった。

デュロックを前に別れが寂しくなり、近くの風車小屋で夜を明かすことにした一行。
夕食中、フィオナは慌てて風車小屋に籠ってしまう。
シュレックはフィオナと自分とは住む世界が違うからと悩んでいた。
そんな2人をドンキーは心配そうに見つめていた。

夜、風車小屋にドンキーが入っていくとシュレックのようになったフィオナの姿があった。
「夜は夜の姿、昼は昼の姿、2つの顔を生きる。運命の人と口づけを交わす時、初めて真の姿を得る」
呪いのことをドンキーに打ち明け、相談するフィオナ。

通りがかったシュレックは、フィオナの「不気味な怪物を好きになる人なんていない。醜い見た目はお姫様に似合わない。だからダメなの。シュレックとはいられない」という言葉を自分に向けた言葉だと思って聞いてしまう。
傷心のシュレックは朝まで戻らず、フィオナは昼の姿でシュレックと話をすることになる。
「その通りや。不気味な怪物を好きになる人なんて、いない」
「あなたは気にしないと思ってた」
「そうでもない。気にする」
そう話しているところへ、ファークアードが訪れた。

運命の相手

沼の権利書を奪うように受け取ると、シュレックはそのまま帰ろうとした。
フィオナは結婚を止めてほしそうにするが、シュレックは止めることなくその日のうちに式を進める運びとなった。
感情に任せて帰ろうとするシュレックを止めようとするドンキー。
「そんなに彼女と仲がええならお城くっついて行ったらええやろ」
「俺はあんたと一緒にいたいんだ」
「俺は一人で生きていく。俺の沼で!1人で!仲間は要らん!」
そう言って、2頭は別れた。

自分一人の沼を望んでいたはずなのに、そこに辿り着いたシュレックの心は晴れなかった。
運命の人と巡り会えたはずなのに、フィオナは鬱々としていた。

沼にドンキーがやってきた。
塀を作ろうとしているのだと言う。
「あんたはいつも俺、俺、俺。だけどいいか?今度は俺の番だ。黙っておとなしく俺の言うことを聞いてろ」
「そんなひどい目に遭わされたんやったら、なんでここに戻ってきたんや」
「友達ってそういうもんだろう?許し合うのが友達じゃないか!」
ドンキーはシュレックの誤解を解くと城を守っていたドラゴンを呼び、2頭は一路デュロックに向かった。

結婚式は佳境に入り、フィオナとファークアードが誓いのキスをしようとしていた。
そこへシュレックがジャマに入った。
フィオナが夜の姿を見せるとファークアードはフィオナとシュレックを捕まえようとする。
フィオナに手をあげようとしたところでドラゴンを呼ぶと、ファークアードはドラゴンに食べられてしまった。
「出番だシュレック」とドラゴンの上からドンキーは言った。

「フィオナ、俺、君を愛してる」とシュレックが言うと、フィオナは「私もよ」と言い、唇を重ねた。
光がフィオナを包み、呪いが解ける。
真の姿は夜の姿だった。
「綺麗になるはずなのに」とフィオナが言うと、「とっても綺麗だよ」とシュレックは答えた。
2人はおとぎ話の住人たちを呼び、沼で改めて結婚式を挙げた。
そうしていつまでも2人は醜く暮らした。

『シュレック』の登場人物・キャラクター

主人公

シュレック

CV:マイク・マイヤーズ/吹き替え版:浜田雅功

身を隠すようにひっそりと人里離れた沼で暮らしている緑色の怪物。身長は2.1mで、頑丈な身体と強力なパワーを持つ。思いやりがある優しい性格だが、見た目が醜く怖い、汚い、臭いと人間達から思われ距離を置かれている。旅の途中でフィオナ姫に恋をする。
字幕では標準語だが吹き替えでは浜田が関西出身であることからか、関西訛りで話す。

フィオナ姫

CV:キャメロン・ディアス/吹き替え版:藤原紀香

遠い遠い国のお姫様で、ドラゴンの住む呪われた塔に囚われている。幼い頃に魔女に呪いをかけられ、昼は人間の姿、夜は怪物の姿という2つの姿を持っている。困難な旅を通してシュレックの魂の美しさに恋に落ちる。上品で心の美しい女性だが、カンフーをつかえるというギャップの持ち主。

ドンキー

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