窮鼠はチーズの夢を見る(漫画・映画)のネタバレ解説・考察まとめ

『窮鼠はチーズの夢を見る』とは水城せとな原作の漫画である。2006年2月から2009年5月、大人の女性向けコミック誌『NIGHT judy』で連載される。大人の男同士の甘くない恋愛模様を描いたボーイズラブ作品である。本作は人を好きになることの喜びや痛み、そのリアルな恋愛描写が話題となり多くの女性から支持されている。ある日主人公・大伴恭一の元へ妻から浮気調査を依頼されたという調査会社の男が訪ねてきた。彼は大学の後輩今ヶ瀬だった。今ヶ瀬はずっと好きだったと恭一に告白し恭一はその言葉に翻弄されてゆく。

恭一「恋愛は業だ」

たまきに別れを告げに行く恭一。

今ヶ瀬を選んだ恭一はそのことによってずっと抱えていた全てを失いそうな思いに押しつぶされそうになった。恭一はどんなに辛くても今が瀬との絆が欲しいと思った。苦しみながらもたまきと別れる決意は固かった。押し潰されそうな痛みを抱えることが恋愛というならもう二度としたくないこれが恋愛なら「恋愛は業だ」と思った。「業(ごう)」とは前世の善悪によって現世で受ける報いという意味である。

来年の誕生日もワインをくれると聞いた時の今ヶ瀬の表情

よりリアルに表現された映画版の今ヶ瀬。

誕生日に北京ダックが食べたいと言っていた今ヶ瀬だが、恭一は今ヶ瀬の生まれ年のワインも用意していた。前日の深夜、0時を過ぎると恭一は今ヶ瀬にサプライズでプレゼントした。嬉し過ぎる今ヶ瀬は「勿体無いから開けません」と言ったが、恭一は「また来年もあげるからいいだろ」と言った。さりげなく来年も誕生日に一緒にいるという意味に今ヶ瀬は感激して胸を熱くさせた。

『窮鼠はチーズの夢を見る』の裏話・トリビア・小ネタ/エピソード・逸話

今ヶ瀬ならではの恋愛映画に残る名セリフ

映画版の恭一(左)と今ヶ瀬(右)

そのセリフとは「心底惚れるって全てにおいてその人だけが例外になっちゃうってことなんです」。
たまきと出会ったあと、別れることを決めた恭一と今ヶ瀬は最後の思い出として朝日を見に海にドライブへ行く。今ヶ瀬は愛されたいのに信用しないで相手の気持ちを次々嗅ぎ回る恭一のことを「俺、そんなやつ大っ嫌いなんですけどね」と言った。そして「心底惚れるって全てにおいてその人だけが例外になっちゃうってことなんです」と言った。
映画版の監督・行定勲はこのセリフについて恋愛映画史に残る名言を落とし込めたと思っていると言った。このセリフに出会った時「そうだよな、1番とか2番じゃないんだよな」と気付かされたそうだ。
原作者の水城せとなは行定監督の言葉を受けてこう答えている。

「今ヶ瀬は恋愛脳だから、言葉がドラマティックになっちゃうんですよね。その状態が彼にとってもどこか気持ちがよくて、アドレナリンが出まくっているんだと思います(笑)。」

出典: cinemore.jp

行定監督はそう聞いて納得していた。こういうセリフは誰かが言ってたやこう言ってたよなど間接的に使われることが多いのだという。
要するに、このロマンチックで深みのあるセリフは、ゲイである今ヶ瀬本人が言うセリフだからこそ生まれたセリフなのだ。ロマンチストでナルシストな今ヶ瀬というキャラクターの世界観がこの言葉を作り上げたのだ。

ほとんど素「ちちくり合いシーン」撮影秘話

映画版のみのオリジナルシーンである。物語の序盤のワンシーン。一緒に暮らしていた恭一と今ヶ瀬は今ヶ瀬の恭一の女関係が原因で喧嘩し、一週間後仲直りしてまた一緒に暮らし始める。その後の順調な二人の仲睦まじい様子が描かれたシーンである。
行定監督は脚本上では「ただ二人がいる」ということしか書かれていなかったため「何ができるだろう」と考えていた。その時昔は流行っていたちちくり合うゲームを思い出したという。今ヶ瀬役の成田凌はこの服の上から乳首の場所を当てるというゲームを知らず「なんですかこれ」と笑っていた。一方中学の時やっていたという恭一役の大倉忠義は当時を思い出して楽しんでやったという。
一応のキャラ設定を守りつつ、ほぼ素の状態の二人の自然な仲の良さが微笑ましいシーンである。

『窮鼠はチーズの夢を見る』の主題歌・挿入歌

映画『窮鼠はチーズの夢を見る』主題歌:Jes Hudak『Different Worlds』

映画『窮鼠はチーズの夢を見る』音楽:半野喜弘『The Cornered Mouse Dreams of Cheese OST by YOSHIHIRO HANNO』

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