窮鼠はチーズの夢を見る(漫画・映画)とは【ネタバレ解説・考察まとめ】

『窮鼠はチーズの夢を見る』とは水城せとな原作の漫画である。2006年2月から2009年5月、大人の女性向けコミック誌『NIGHT judy』で連載される。大人の男同士の甘くない恋愛模様を描いたボーイズラブ作品である。本作は人を好きになることの喜びや痛み、そのリアルな恋愛描写が話題となり多くの女性から支持されている。ある日主人公・大伴恭一の元へ妻から浮気調査を依頼されたという調査会社の男が訪ねてきた。彼は大学の後輩今ヶ瀬だった。今ヶ瀬はずっと好きだったと恭一に告白し恭一はその言葉に翻弄されてゆく。

『窮鼠はチーズの夢を見る』の概要

『窮鼠はチーズの夢を見る』とは、2006年2月から2008年の5月まで女性向けコミック誌『Judy』の増刊号『NIGHT Judy』で不定期に掲載されていた日本の漫画である。原作は主に少女向け漫画雑誌などで活躍している水城せとなで、代表作『脳内ポイズンベリー』や『失恋ショコラティエ』で知られている。
本タイトル『窮鼠はチーズの夢を見る』は、既婚のサラリーマン・大伴恭一と彼の大学時代の後輩・今ヶ瀬渉との濃密な恋愛模様を描いた一連のシリーズの単行本の総称である。全2巻であり、下巻のタイトルは『俎板の鯉は二度跳ねる』という。
掲載されていた『NIGHT Judy』がエロスをテーマにした雑誌であるため比較的リアルな性描写が特徴だ。「このBLがやばい!2010年」で1位を獲得し話題となった。
2008年に2月27日に中村悠一主演でドラマCD化されている。
2020年9月11日に大倉忠義主演、行定勲監督での実写映画が上映された。この映画で今ヶ瀬役の成田凌は「第44回日本アカデミー賞優秀助演男優賞」を受賞。映画のキャッチコピーは「好きで、好きで苦しくて、幸せ」。
サラリーマンの大伴恭一は7年ぶりに再会した大学の後輩・今ヶ瀬渉に強請られていた。理由は自分の浮気であった。今ヶ瀬は調査会社に勤めており、偶然恭一の妻から夫の浮気調査を依頼されていたのだ。今ヶ瀬は7年前からずっと恭一を想っていたと告白し、浮気に身に覚えのある恭一に対し、調査報告しない代償に「あなたのカラダが欲しい」と要求する。
結局恭一と妻は離婚することになり、独り身になった恭一の家に今ヶ瀬は押しかけるように入り浸たった。流されやすい恭一は今ヶ瀬の存在が特別になり関係を持つようになるが、同性愛者にはなれなかった。恭一は自分を一途に想う今ヶ瀬と現れる女性たちに翻弄される日々を繰り返す。

『窮鼠はチーズの夢を見る』のあらすじ・ストーリー

再会・それぞれの揺れる想い

「おい今ヶ瀬 キスだけだって言ったはずだぞ」妻のいるサラリーマンの大伴恭一(おおともきょういち)は今まさに大学時代の後輩・今ヶ瀬渉(いまがせわたる)に強請られていた。どうしてそうなったかというと原因は恭一自身の浮気にあった。恭一の知らない間に彼の妻・大伴知佳子(おおともちかこ)は恭一の浮気調査を調査会社に依頼していて、それを請け負ったのが偶然にも今ヶ瀬だった。
今ヶ瀬は調査の結果、恭一の不倫が発覚したのでそれを恭一本人に伝えた。今ヶ瀬は知佳子に調査の結果を報告しない代わりに取引をしないかと提案する。今ヶ瀬はお金ではなく「貴方のカラダと引き換えで」と言った。
今ヶ瀬は自分が同性愛者であること、そして大学時代恭一のことがずっと好きだったと恭一に告白をした。
今ヶ瀬の気持ちに戸惑いながら過ごしていたある晩、恭一が自宅へ戻ると知佳子が神妙な面持ちで「恭ちゃん 別れて欲しいの」と言った。
知佳子は離婚の原因は恭一のせいではなく自分のせいだと言った。なぜなら知佳子にはすでに新しい男がいたのだ。
全てを知ってて自分を脅した今ヶ瀬に腹が立ち、恭一は電話で彼を責めた。しかし今ヶ瀬はいつも受け身でしか物事を考えられない恭一に苛立っていた。そして誰よりも恭一が好きなのに自分を選んでもらえないことに腹が立っている今ヶ瀬は「さようなら」と告げて電話を切った。
別れを告げられた恭一は酷く喪失感を感じたが、それは「バツイチになったせいだ」と自分に言い聞かせた。

ゲイの後輩に翻弄される日々

半年後、恭一が家の掃除をしていると今ヶ瀬が訪ねてきた。「フリーですよ 俺と付き合いますか?」と冗談っぽく言った。何事もなかったように、今ヶ瀬は後輩として恭一の生活に戻って来た。ごく自然の流れで二人は一緒に暮らすことになった。
高校の同窓会があった恭一は、その会場で昔好きだった「西村美咲(にしむらみさき)」に再会をした。恭一は同級生に独り身になって寂しいだろうと言われたが、ゲイの後輩が部屋に入り浸ってるせいで寂しさとは無縁だった。
今では主婦となった美咲から呼び出された恭一は、そのままホテルに誘われ一晩だけの関係を求められる。
今ヶ瀬は二人の関係を察すると途端に嫉妬し、恭一と距離を置いた。そして出て行った今ヶ瀬を見たのは一週間後、美咲と訪れたホテルだった。今ヶ瀬は見知らぬ男と一室から出てきた。恭一はその光景に腹が立ち、思わず今ヶ瀬に食ってかかった。明らかな男同士の痴話喧嘩を晒した恭一の後ろには、青ざめた顔で2人を見つめる美咲がいた。
その夜、恭一は頑なに拒んでいた今ヶ瀬との体の関係を少し前進させた。

奇妙な三角関係

恭一はたまたま道で、大学時代一番長く付き合っていた彼女の「夏生(なつき)」と再会し飲みに行った。そこへなぜか今ヶ瀬が元カレの「高杉」を連れて現れ、夏生と顔見知りの今ヶ瀬も相席することになり、テーブル上でなんとも言えない4角関係が出来上がった。
完全に酔っ払った恭一は夏生に支えられ自宅に送ってもらった。そこで「お帰りなさい 先輩」と中からさっき帰ったはずの今ヶ瀬が出てきた。今ヶ瀬は恭一を抱き抱えながら夏生に嫌味ったらしくお礼を言い、玄関を閉めた。何も言えずに玄関前に立ち尽くした夏生は、驚愕の事実に足をふらつかせながらその場を走り去った。

再び夏生に呼び出された恭一は「また付き合わない?」と夏生に言われた。恭一は少し驚いたが返事はしなかった。夏生は恭一に「今すぐ返事しなくていいよ」と言った。
別の日、今度は夏生が今ヶ瀬に呼び出されていた。そこへ夏生に呼び出された恭一が加わり、恭一はどちらか1人を選ぶように求められた。恭一は今ヶ瀬に対する気持ちを否定するように「…俺はお前を選ぶわけにはいかないよ」と言い、夏生の後について行った。ホテルに着いた恭一は裸で俯き今ヶ瀬の愚痴を夏生にこぼす。夏生は服を着ながら、女々しく今ヶ瀬を想っている恭一に「そんなことウジウジ考えてるから勃たないのよ 恥ずかしい男」と言った。
家に帰った恭一は今ヶ瀬に再び体の関係を求められる。しかし、やっぱり恭一はそれに応えることはできなかった。
その翌朝、今ヶ瀬は荷物と一緒に部屋から消えていた。残っているのは今ヶ瀬の残したタバコの吸い殻だけだった。恭一は昨夜「もう限界」と言っていた今ヶ瀬の言葉を思い出していた。
二ヶ月後、恭一は急な雨に降られタクシーの列に駆け込んでいた。列の一番前に目を向けるとそこにはタクシーに乗り込もうとしている今ヶ瀬の姿があった。恭一は走り出し今ヶ瀬が乗っているタクシーに滑り込む。何も考えずにただ乗り込んできた恭一に今ヶ瀬は「用が済んだら適当なところで降りてくださいね これから男のトコ行くんで」と冷たく言った。要件を聞かれた恭一が答えに詰まりようやく絞り出した言葉は「…吸い殻を……」だった。恭一は今ヶ瀬の残した吸い殻を捨てられないでいた。てっきり自分がいない間夏生と付き合っていると思っていた今ヶ瀬は、恭一の気持ちに驚いた。キスしようとする今ヶ瀬に恭一は「他の男がいる奴とキスなんか死んでもしない!!別れろよ!!今すぐそいつと別れろ!!ここで!!それからだ……!」と叫ぶ。落ち着かない恭一の横で、今ヶ瀬は相手の男に電話で別れを告げた。瞬間二人は抱き合い車内で熱くキスを交わした。

まだ強い雨が降り頻る中、恭一の家に帰った今ヶ瀬と恭一はキスをしながら向かい合う。今ヶ瀬にされるまま恭一は身を委ねる。恭一は初めての感覚に耐えながら今ヶ瀬との情事に溺れてゆく。
翌朝、今ヶ瀬はタバコの吸い殻を捨てて新たに吸っているタバコの灰を灰皿に押し付ける。まだ外は雨が続いていた。

優しいたまきの恋心

会社のトイレで女子社員たちが噂話をしていた。OLの一人、岡村たまき(おかむらたまき)は課長に昇進した大伴恭一のことがかっこいいと言って憧れていた。それを聞いたたまきの同僚・野上美奈子(のがみみなこ)は「あの人には絶対女がいるよ」と言った。「愛されて生きてる男の余裕みたいのがあるもん」と得意げに言った。
今ヶ瀬の誕生日、恭一は部下のたまきに頼んで購入したワインを今ヶ瀬に手渡す。そのワインは今ヶ瀬の生まれ年のワインで高額だった。それを見て今ヶ瀬は凄く喜んだ。
翌朝、恭一がまだ寝ていると忘れ物を届けにきたたまきがやってきた。今ヶ瀬はたまきに挨拶に混ぜて嫌味を言うが、素直なたまきには全然通用しなかった。
恭一が夜の街を歩いていると向かいの歩道でたまきが恭一の会社の柳田(やなぎだ)常務と腕を組んでるのを見かけた。恭一はそのことに激しくショックを受け、たまきに対するわずかな気持ちが急激に冷めたのを感じた。
恭一は変わらず自分を愛してくれる今ヶ瀬の存在を心地よく思うようになっていた。いつものように朝出勤を今ヶ瀬に見送られる恭一はすっかり夫婦のようだったが、恭一は相変わらず今ヶ瀬に対する感情が愛なのか執着なのか分からなかった。
ある日恭一は会社の常務に呼び出され一緒に食事することになった。常務はたまきは自分の妾の子供だということを恭一に明かした。てっきり愛人かと思ってた恭一はその言葉に驚いた。そして常務は恭一に「たまきと付き合ってみないか」と言った。最近たまきから恭一のことばかり聞かされるので、常務は娘の気持ちを応援したいと考えていた。また、恭一の仕事ぶりもよく知っており、恭一ならたまきと結婚するのにふさわしいと常務は思っていた。恭一は常務からの直々の縁談に恐れ多くて困惑した。
恭一がたまきに気があることを察している今ヶ瀬は、激しく嫉妬していた。その晩いつも抱いている立場の今ヶ瀬は、初めて恭一に抱かれた。初めて男を抱いた恭一は、今ヶ瀬を抱いた途端になんだか責任や愛しさが胸に込み上げてきた。恭一は、今ヶ瀬に愛されていることを確信しつつも、自分は彼を愛しているのかを自問自答し葛藤していた。
ある日恭一の元へたまきの父である常務の訃報が届いた。雨の中恭一は、葬儀会場を出た道の隅に傘も差さず静かに泣いているたまきを発見した。恭一は傘を差し出したまきの心情を察する。本家の子供ではないたまきは堂々と泣くことができず、自分の立場を葬儀で再確認し傷ついて泣き崩れていた。優しく声をかける恭一にたまきは抱きつく。二人は誰にも見られないように傘に隠れて抱き合った。
たまきのことに心を痛めている恭一を見て今ヶ瀬は、激しく傷つき嫉妬した。今ヶ瀬は恭一に怒りをぶつけ「貴方は俺が邪魔になったんですよ…!」と叫んだ。突然の意外な言葉に恭一は驚く。今ヶ瀬はまだ恭一とたまきに何もないのにも関わらず、自分と恭一の関係はもう潮時なのだと思っていた。諦めたように「もう終わりましょう」と言う今ヶ瀬に、恭一は「今ヶ瀬…俺は…俺はお前が……」と言いかけるが最後まで言えなかった。項垂れた今ヶ瀬を見て恭一は冷静に考え直し「…そうだなお前がダメだと言うならダメだろう 終わりにしよう」と言った。今ヶ瀬は自分から言ったのに、本当に終わらせようと言った恭一の言葉を聞いて大泣きした。
最後に今ヶ瀬と恭一は海へドライブをした。車内で今ヶ瀬はひとしきり明るく話し続けた。そしていつまでも愛されることばかり望む恭一に「自分のこと もっと信じてください 貴方のことばっかり見てた俺が言うんですから」と言った。今ヶ瀬ばかり話してるうちに夜が明けてきた。「先輩もなんか言ってください」と言う今ヶ瀬に恭一は視線を逸らしたまま「……ごめん本当に……ありがとう……」と言った。それを聞いた今ヶ瀬は我慢していた涙を溢し「……あぁ…本当に好きだったなあ……」と呟いた。

いつか来るこの恋の死を看取る

ドライブから帰宅して今ヶ瀬はさっさと身支度をして恭一の家を出て行った。会社でエレベーターを待っている恭一を見つけたたまきは明るく声をかけた。たまきが葬儀で慰めてくれたお礼を話していると、聞いてるはずの恭一が泣いていることに気がついた。恭一は人目も憚らず目から大粒の涙を溢す。心配するたまきに恭一は一緒にいた相手と別れたのだと言った。どれだけ相手を傷つけ自分が意気地なしだったかたまきに言い放つ。こんな自分なんかたまきに気にかけてもらう資格がないとエレベーターに乗り込んだ。たまきはその後を追い、思い切って自分の気持ちを伝える。恭一が悲しむ姿を見ても心の中で付き合っていた相手と別れたことを喜んでいると言い、恭一の空いた隣に滑り込みたいと恭一の胸に飛び込んだ。恭一の部屋でたまきはタバコの吸い殻を見つけた。捨てられないでいる恭一にたまきは「……好きだったんですよね恋人…だったんですよね…」と聞く。恭一は「…そう恋人だった好きだったんだ」と言った。
恋人同士になった恭一とたまきはデートをしていた。たまきとの穏やかな時間に恭一は癒されていた。たまきは近々自分の母親に会って欲しいと恭一に言った。今ヶ瀬と別れてから半年以上経った頃、恭一はたまきがストーカーに遭っていたことを知った。そしてたまきはそれを調査会社に勤める今ヶ瀬に相談していた。
ある日、たまきは今ヶ瀬が調査している目の前でストーカーに襲われ階段から転落してしまった。恭一は病院で再会した今ヶ瀬の様子がおかしかったので自宅で話を聞いていた。今ヶ瀬は倒れたたまきを見て少し立ち尽くしてしまった自分が恐ろしくなっていた。そんな懺悔を聞いて恭一は今ヶ瀬に冷たい態度を取った。あまりにも冷たい恭一の態度に今ヶ瀬はだんだん未練がましいことを言い始めた。今ヶ瀬はそれでも離れていた時の辛さや想いを必死で恭一に伝える。恭一は冷たい態度を崩さず拒否し続けた。今ヶ瀬は「貴方が好きなんです…俺は貴方が…死ぬほど好きなんです……!」と訴え、頑なに態度を変えない恭一に「だったら抱いてくださいよ!」と我慢していた自分の欲求を吐き出した。無理矢理にでも抱いてほしかった今ヶ瀬は「もう顔もみたくない!!」と玄関の扉に手をかけた。恭一は今ヶ瀬の手を掴み、今ヶ瀬は「離せよさわんな!!」と手を払い除け恭一の頬を打った。それを受けた恭一も今ヶ瀬の頬を平手打ちする。そして今ヶ瀬の胸ぐらを掴み上げて乱暴にキスをした。深くキスをし恭一は今ヶ瀬を抱えて無理矢理ベッドに押し付ける。今ヶ瀬はたまきの匂いが染み込んだベッドに抵抗したが、恭一は欲望のまま乱暴に今ヶ瀬を抱いた。
散々抱き合った後、今ヶ瀬は顔を埋めて「これからどうしよう…」と言った。恭一は今ヶ瀬の髪をそっと撫で見つめて「お前は……可愛いね…」と言った。今ヶ瀬は「『可愛い』って言うのは『愛す可し(あいすべし)』って書くんですよ?」と言った。恭一はそれに「知ってるよ 日本人なんだから」と答えた。恭一は赤面する今ヶ瀬を見つめ抱きしめた。今ヶ瀬は「先輩 彼女と別れてください……」と言った。恭一は今ヶ瀬の頭を抱きながら「別れるよ」と言った。恭一の意外な言葉に今ヶ瀬は驚いたが、恭一の気持ちは決まっていた。
翌朝、恭一は早速たまきに別れを告げに行くところだった。見送る今ヶ瀬は不安と緊張で一杯だった。今ヶ瀬は行ってらっしゃいのキスをしてそのまま恭一の腕の中で崩れ落ちた。今ヶ瀬は「胃が痛くて死にそう……!」と言って、崩れ落ちた。「……俺もだよ」と言って恭一はたまきの元へ向かった。
向かう途中恭一は今ヶ瀬のことを考えていた。何もかも捨てることになってもどうしても今ヶ瀬を離せなかった。恭一はこんな苦しい思いをするのが恋愛なら「恋愛は 業だ」と思った。
たまきの入院する病院に着いた恭一をたまきはベッドの上で明るく迎える。恭一は「君とは別れる」と言った。恭一は、たまきに「前の相手が帰ってきた」と話した。恭一が本当に好きだったたまきは、恭一がずっと心はその人のものだということはわかっていた。2人は泣きながら抱き合って別れた。
恭一が帰宅すると今ヶ瀬の姿は消えていた。家にはピカピカになったキッチンと紙袋に入れられた灰皿が捨ててあった。雪が降り頻る中、今ヶ瀬は来たバスにも乗らずにバス停でただ立っていた。

恭一は今ヶ瀬を見つけると呆れた顔で別れたことを報告する。今ヶ瀬は本当に別れたことを聞いて動揺した。自分のためにたまきと別れたことに責任を感じた今ヶ瀬は精神的に追い詰められていた。それを恭一は「俺の人生なんてどうにでもなるんだからさ だから お前は…心配すんな」と優しく言った。今ヶ瀬の顔を見て恭一はまたいずれ今ヶ瀬が恭一を愛することに疲弊して去っていくだろうと予感していた。それが来週か20年後かわからないけれどそれでも良いと恭一は思う。恭一は「俺はお前の背中を見送る この恋の死を 俺は看取る」それくらいしかできないから、と心の中で呟く。恭一が「…これからどうする?」と尋ねると今ヶ瀬はベッドを買い替えること、遠くではなくても旅行に行って二人でリセットしたいと言った。恭一は「あとは…そうだな…指輪を買うよ」と言った。「それでどうなるってことではないけど何かの証くらいにはなるだろ」と言う恭一に今ヶ瀬も指輪を買わせて欲しいと言った。今ヶ瀬も恭一の言ったことのように「それで どうなるってわけじゃないけど 何かのお守りくらいにはなるでしょう」と言った。

『窮鼠はチーズの夢を見る』の登場人物・キャラクター

大伴 恭一(おおとも きょういち)

声:中村 悠一/演:大倉 忠義
本作の主人公。サラリーマンで25歳の頃結婚した妻がいた。妻による浮気調査がきっかけで大学時代の後輩今ヶ瀬と再開する。数々の浮気を報告されたくない恭一は、自分に恋してたというゲイの今ヶ瀬に調査報告しない代わりにキスを強要される。結局浮気の有無関係なく妻に離婚を求められた恭一は独身になる。優しく、モテるため常に女性の方から声がかかる。自分を想ってくれる女性が現れると拒めず、優柔不断で誰かと付き合っている間もそうするため浮気が絶えない。全く同性愛の気はないが離婚後家に居座った今ヶ瀬に押しかけ女房のように尽くされ時間をかけて同性同士の体の関係も慣らされてゆく。今ヶ瀬との生活を心地よく思う反面、ゲイにはなりきれず異性に惹かれ続ける。一途に想い続ける今ヶ瀬と女性の間をふらふらして居たが、たまきが現れ身を引くように今ヶ瀬は恭一の元を去った。たまきと付き合い、婚約までしたが再び今ヶ瀬と再会し関係を持つ。次に今ヶ瀬が戻ってきたら離れることはできないと想っていた恭一はたまきと別れ今ヶ瀬と共に暮らすことを選んだ。

今ヶ瀬 渉(いまがせ わたる)

声:悠佐 浩二/演:成田 凌
調査会社(映画では探偵事務所)に勤める恭一の大学時代の後輩。同性愛者であり、大学時代にテニスサークルの勧誘をしていた恭一に一目惚れをする。その想いを忘れられないまま偶然請け負った浮気調査は恭一の妻・知佳子からの依頼だった。浮気が上がったことを恭一に報告するため再会し、その報告をしない代わりに恭一にキスを強要する。恭一が知佳子と離婚してからしばらく経ってから、恭一の家に押しかけ女房のように住み着いた。家事や料理、気配りまで完璧に恭一に尽くすことができる。執念深い一面もあり、悪びれもなく恭一の携帯やPCのチェックをして恭一に女の気配がないか調べていた。一途に恭一を想うあまり、ゲイではない恭一が自分のものにはならないという現実に苦しんでいた。たまきの出現で恭一の元を去ることになった際も恭一を励ます言葉をかけ「本当に好きだったな」と涙を流す。半年後、恭一と婚約しているたまきはストーカーの被害に遭っていることを調査会社に勤める今ヶ瀬に相談した。そのことで再び恭一と再会する。久しぶりに会った恭一に冷たくされるも、募る想いがさらに抑えられなくなりまた関係を持つ。恭一に彼女と別れてほしいと言ったらそれを受け入れられてしまい、たまきではなく自分が選ばれたことに戸惑いながらも、恭一と生きていく覚悟を決める。

岡村 たまき(おかむら たまき)

声:斎藤 知和/演:吉田 志織

恭一の働く会社の柳田常務の内縁の妻の娘。コネ入社ではなく、自力で父のいる会社に入社した。20歳になるまで父に他の家庭があることを知らされなかった。父の突然の死で自分の立場を再認識し深く傷つく。課長になった恭一の元で働き、恭一に憧れていた。恭一に友人の誕生日プレゼントのワインについて聞かれその時に恭一に彼女がいないことを知る。父の葬儀がきっかけで二人の距離は縮まるがそれをきっかけに恭一と今ヶ瀬は別れてしまう。今ヶ瀬が出て行って一人涙を流す恭一を抱きしめ「空いた隣に滑り込みたい!!」と必死な想いで愛の告白をした。恭一と付き合った後も恭一が去った相手を忘れられないことを悟っていた。やがて恭一に母親を紹介し二人は婚約する。ストーカー被害に遭ってることを今ヶ瀬に相談するが相手に後をつけられ階段に突き落とされる。軽い怪我で入院したが、今ヶ瀬が恭一の元へ帰ったことで恭一に別れを告げられる。恭一の想いを聞いて片想いなら待ってたいと恭一に言うが叶わず、せめて恭一が半分になればいいのにと言った。たまきを好きだったという恭一を否定し「恭一さんは ずっとその人のものでした 私にはわかってました」と言った。二人は泣きながら抱き合い別れた。

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