電撃デイジー(漫画)とは【ネタバレ解説・考察まとめ】

『電撃デイジー』は、最富キョウスケ作の少女漫画である。2007年から2013年にかけて漫画雑誌『ベツコミ』に連載されていた。主人公の女子高生、紅林照と、照を「下僕」と呼ぶ不良校務員、黒崎祐、そして謎の人物「DAISY」を中心に、照の兄の死の裏に隠れた大きな事件の謎にせまる。少女漫画でありながら、恋愛、コメディー、友情に加えてバトルあり、サスペンスありとさまざまな要素が織り込まれ、2010年には同雑誌が誇る4大作品「BIG4」にも選ばれた人気作である。

照が黒崎のことを困らせようとして仕返しされた場面/10巻・第46話)

照と黒崎は両想い同然の関係になってはいるものの、お互いに気持ちを口にすることはなかった。理子に相談した照はちょっとした色仕掛けで香水をつけることにする。そして理子は照に「たまには男を困らせるのが女の子の務め」とアドバイスし、照は考えを巡らせる。周りの教師から照との関係を聞かれて「特別な感情はない」と答えるのを偶然耳にした照は、ショックを受けた様子で走り去る。黒崎は照を慌てて探し回り、照は黒崎を困らせることに成功した。実は照が香水をつけていることに気づいていた照は、照を翻弄するのだった。普段とは打って変わって、恋愛に関して「大人の男」らしい黒崎が垣間見える珍しい場面である。

自分の無力さを分かっていても足手まといにはならないと照が決意する場面/11巻・第50話

「小娘だって大切なものを守りたいんだ」(照)
アキラに襲われたことで、照にはアキラに対する恐怖と悔しさが残っていた。そのことを自分でわかっていた照はカラ元気を振り絞り、気丈な様子で黒崎に接し続ける。自分の無力さを痛感して落ち込みながらも、照は今の自分の気持ちを糧に前を進むことを決めたのだった。逆境を力に変える照の強さが現れた場面である。

チームの崩壊の危機を黒崎と照が救った場面/12巻・第59話

「あんたが俺らを裏切るなんてありえねえだろ。」(黒崎)
森園の事件解決後、クワガタが照の髪飾りに忍ばせていたSDカードを見つけた黒崎たちは、中に記録されていた暗号の内容について考えを巡らせていた。Mの暗号の鍵ではないかと思い当たった黒崎たちは、動揺を隠せない。そこに電話をかけてきたアントラは、暗号が確かにMの暗号の鍵であることを明かし、巧みな話術で黒崎たちを翻弄する。マスター、安藤、理子がアントラに誘導されて疑心暗鬼に陥るなかで、黒崎はアントラに対する怒りを露わにし、チームの結束の固さをアントラに突き付けた。黒崎と照のメンバーへの強い信頼がチームの危機を救い、チームの絆がより深まった場面である。

アキラがMの遺言の鍵を瞬時に解読した場面/13巻・第61話

「もういらねえよ『鍵』なんか おれの勝ちだ」(アキラ)
照たちが手に入れたMの遺言の鍵は、スパコンで解析するために竹田に預けられていた。Mの遺言を執拗に追うアキラは、アントラがMの遺言の鍵を照たちに渡したことを知る。激昂してアントラのところを脱走したアキラは、Mの遺言の鍵を奪うために照を追い、竹田の家にいた照と竹田を襲う。照の反撃でアキラは退治されるが、竹田の家のパソコンに表示されたMの遺言の鍵を一目見たアキラは、瞬時にそれを解読し、「おれの勝ちだ」と笑った。アキラのもつ恐るべき能力が明らかになった場面である。

照の誕生日に照を独占することを黒崎が宣言する場面/14巻・68話

「明日 おまえ俺のもんにするけど いいよな」(黒崎)
Mの遺言を阻止するための計画が佳境を迎えて黒崎は連日忙しく、照とのすれ違いが続いていた。しかし、照から届いたメールにより、二人は心を通わせる。照の誕生日が迫っていることを知った黒崎は、仕事を猛スピードで終わらせて帰ってきて爆睡していた。照が黒崎の様子を見に黒崎の傍に寄ったとき、黒崎は突然起き上がり、照の誕生日には二人きりでデートすることを宣言した。照の誕生日に自分の想いを伝えることをひそかに決意している黒崎の独占欲が現れた場面である。

黒崎が照に想いを告げて二人が本当の恋人同士になった場面/14巻・68話

照の誕生日の当日、黒崎と照は、台無しになった初デートを埋め合わせるように楽しいデートをした。デートの最後に照を遊園地に連れて行った黒崎は、照と観覧車に乗る。その場所は、以前アキラの罠にかかったとき、照とDAISYが悲しいメールのやりとりをした場所だった。そして黒崎は照に「好きだ」と告げてキスをした。心の中では知りつつもはっきりできずにいたお互いへの想いがやっと本当に通じ合い、二人の恋がようやく実った場面である。

アキラを追う危険な役目を引き受けた照が覚悟を決める場面/15巻・第73話

「私だって 守ってみせる あなたと アキラと 私たちの未来を」(照)
アキラがMの遺言の最後の封印へと進み、島の爆発までのタイムリミットが迫っているなかで、アキラを止めて時間を稼ぐ役目を果たせるのは照だけだった。一人も犠牲になることなく島を出るためにはそれが最善だと言う照の言葉と信頼に応え、黒崎はその危険な役目を照に任せることを決意する。黒崎に一時の別れを告げた照は、アキラを追って島の地下へと降りて行った。照が、自分たちとアキラの未来を守るために覚悟を固めた場面である。

『電撃デイジー』の裏話・トリビア・小ネタ/エピソード・逸話

島の脱出ルートを開くためのコマンドとそのヒントが謎のまま残されている

最終話にて、Mの遺言のシステム設計者が、ひそかにアキラを救うための脱出ルートを作っていたことが明らかになる。そのルートを開くには暗号を解読してコマンドを打ち込む必要があり、コマンドのヒントが「君と見た映画でHALが歌った曲」、コマンドは「DAISY BELL」であった。しかし、このヒントが誰に宛てられたものなのかは、最後まで明らかになっていない。「森千春がシステム設計者の幼馴染かつ恋人であったということが作者より明らかにされていることから、メッセージは森に宛てたものではないか」「森は恋人の意を汲んでひそかにアキラを救おうとしていたのではないか」「DAISY BELLを孝弘が歌っていたなら、実は孝弘がシステム設計者ではないか」など、読者によってさまざまな推測がなされている。

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