電撃デイジー(漫画)のネタバレ解説・考察まとめ

『電撃デイジー』は、最富キョウスケ作の少女漫画である。2007年から2013年にかけて漫画雑誌『ベツコミ』に連載されていた。主人公の女子高生、紅林照と、照を「下僕」と呼ぶ不良校務員、黒崎祐、そして謎の人物「DAISY」を中心に、照の兄の死の裏に隠れた大きな事件の謎にせまる。少女漫画でありながら、恋愛、コメディー、友情に加えてバトルあり、サスペンスありとさまざまな要素が織り込まれ、2010年には同雑誌が誇る4大作品「BIG4」にも選ばれた人気作である。

『電撃デイジー』の概要

『電撃デイジー』(でんげきデイジー)は、最富キョウスケによる少女漫画作品である。全75話が、小学館発刊の月刊少女漫画雑誌『ベツコミ』に、2007年6月号から2013年11月号まで連載された。単行本は同じ小学館の漫画レーベル『フラワーコミックス』にて刊行され、全16巻である。最終巻には番外編が4話収録されている。
紅林照は、ごく平凡な女子高生である。唯一の肉親であった兄を亡くしてからは、兄からもらった携帯電話に届く、謎の人物「DAISY」からのメールを支えに暮らしていた。そんなある日、照はガラスを割ってしまったことをきっかけに、不良金髪校務員、黒崎祐の下僕として働くことになり、次第に惹かれ始める。しかし実はこの黒崎が影から照をずっと守ってきた「DAISY」の正体であり、生前の兄とその死に深いかかわりをもつ人物であった。そして照は、兄の死と「DAISY」の裏に隠された事件とその鍵、「Mの遺言」のことを知る。想いを通い合わせてしだいに恋人同士のような関係になる照と黒崎だが、「Mの遺言」を狙う者たちが動きだし、二人は最後の事件に巻き込まれていく。

『電撃デイジー』のあらすじ・ストーリー

照と黒崎の出会い

第1話より、黒崎(中央・後ろ姿)にガラス代を払えず、下僕として働くことになった照

紅林照は、唯一の肉親だった兄、奏一朗を亡くしてから天涯孤独の身であるが、清く正しく高校に通っている。奨学生である照は金持ち集団の生徒会から目の敵にされて、しばしばいじめも受けていた。しかし、気の良い多くの友人に恵まれ、兄が遺した携帯に届く謎の人物「DAISY」からの温かいメールを支えに、毎日楽しく暮らしていた。ある日、うっかり窓ガラスを割ってしまった照のもとに、金髪イケメン、しかし性格は不良な校務員、黒崎祐が弁償を求めにやってくる。周りは隠し通すように勧めるが、照は正直に名乗りでて、お金がなくて弁償できないことを申し出る。寛大に許すように見えた黒崎だが、すぐに本性を現して「金がないなら身体で払え」と発言し、かくして照は暴君黒崎のもとで「下僕」として働くことになったのだった。

新井による学校の金の不正利用事件

第2話より、生徒会室のパソコンをハッキングして新井の隠しデータにたどり着いたDAISY(黒崎・声のみ)

学校ではシステム障害が多発していて、すご腕ハッカーの仕業だと噂されていた。そんなとき、生徒会長、一之瀬玲奈に呼び出された照は、突然助けを求められる。学校の金が教師の新井によって不正に使われており、新井が学校の裏帳簿のデータファイルに複雑なロックをかけているというのである。玲奈は隠れて新井と付き合っていて、何もできずに見過ごしていた。しかし、照が「天才ハッカー」と知り合いだと知った玲奈は、不正利用の証拠であるそのファイルを取り出してほしいと頼みにきたのである。噂のハッカーのコードネームは「DAISY」で、照のメール相手と同じ名だった。
生徒会室で玲奈の話を聞いた照は急いでDAISYにメールで助けを求めるが、事態をかぎつけた新井が部屋に入ってくる。パソコンの技術に長けていた新井はファイルのセキュリティーにも自信をもっていて、玲奈の話をでまかせだと鼻で笑う。しかしそのときすでにDAISYは不正データにたどり着いており、裏帳簿のデータは暴かれた。こうして新井の不正の問題は解決し、同時にDAISYがハッカーであることが確実になったのだった。実は、このとき裏で動いていたのは、黒崎であった。DAISYの正体は、黒崎だったのである。システム障害の犯人かどうかはまだ定かでないものの、DAISYが犯罪者であるハッカーだということを知った照は、戸惑いを隠せなかった。

玲奈の救出劇

第3話より、照と玲奈が囚われた部屋に助けに現れた黒崎

照と黒崎は買い出しから帰る途中、玲奈が怪しい男と連れ立ってホテルに向かうのを目にする。その足で二人が向かったのは、喫茶洋食店「お花畑」。店のマスターは、黒崎の古くからの知り合いで、黒崎の過去、正体がDAISYであることも知っていた。玲奈のことは放っておこうとする黒崎だが、気になった照は翌日玲奈に声をかけた。玲奈によると、その男は信用できる学生起業家だとのことだったが、話の端々から怪しさを感じた照は、玲奈に男と別れるよう勧めた。しかし、男の言うことを信じ込んでいる玲奈は、聞く耳を持たず去っていく。
照は玲奈が忘れていった男の名刺をもって黒崎の元に行く。名刺の名前の人物を調べたところ男が他人の名前を借りていたことがわかり、玲奈が騙されていることがはっきりした。事実を伝えるために玲奈を探していた照は、玲奈が男に別れ話をしているところに遭遇し、物陰に隠れて話を聞いていた。照の話を聞いたときには邪見に扱っていた玲奈だったが、本心では照のことを心配してくれた「友達」だと思い、照の言うことを信じようとしていたのだった。
本性を露わにした男は、玲奈を無理やり車に乗せ、焦った照はとっさに、男にばれないように同じ車に乗り込んでしまったために、玲奈と一緒に連れ去られてしまった。屋上からひそかにそれを見ていた黒崎は、呆れながらも二人を助けに向かう。照と玲奈は、男とその仲間に囚われ、ホテルの一室に連れ込まれていた。DAISYにメールを送ろうとするも失敗し、照と玲奈は必死で外に助けを求める。そこへ、マスターの力を借りて居場所を突き止めた黒崎が到着して部屋に乗り込み、見事に二人の救出を果たした。

竹田との攻防

第4話より、奏一朗から受け取ったものがないかを竹田に聞かれる照

先の事件でクビになった新井に代わり、臨時の情報教師、竹田真澄が赴任してくる。竹田は自分が奏一朗の昔の仕事仲間だと照に話していたが、実は黒崎の知り合いでもあり、DAISYの正体のことも知っていた。照のいないところで竹田と話した黒崎は、「手を出したら殺す」と釘をさす。
授業の参考資料を貸してほしいという名目で竹田に呼び出された照は、奏一朗から何か受け取ったものはないかと追及される。兄から受け取ったのはDAISYとのつながりだけだと答えた照に、竹田はDAISYに対する悪意の数々を口にし、「DAISYの正体を教えようか」と照に迫る。DAISYを侮辱する竹田に怒りを隠せない照はそのまま教室を後にするが、帰宅した照が見たのは、何者かに荒らされてめちゃくちゃになった自分の部屋だった。そのころお花畑でマスターと話していた黒崎は、照からDAISYへのメールによって事態を知る。自宅で警察の捜査に立ち会っていた照の元に「偶然通りかかった」という竹田が姿を見せる。竹田は照を励まそうとする様子を見せつつも「やっぱりDAISYはこない」と耳元でささやいた。それを聞いた照は竹田に頭突きをかまして走り去る。照が向かったのは、お花畑だった。お花畑の扉を開けて泣き顔を見せた照を、黒崎は思わず抱きしめる。そして、帰る家がなくなった照は、しばらくの間黒崎の家に居候することになった。黒崎の家に来て落ち着いた照は、「DAISYが来なかったのが悲しかったのではなく、DAISYを馬鹿にされて悔しかったのだ」と話す。そんな照に、黒崎は「ごめん」と謝るのだった。
竹田の行動の裏を探るため、黒崎は秘密裏に調査を始めた。パソコンをハッキングし、竹田が照の家の泥棒騒ぎの犯人である証拠をつかんだ黒崎は、警察や学校にばらすと竹田に脅しをかける。ハッキングも犯罪であることを理由に反抗する様子を見せる竹田だったが、身の破滅もいとわない黒崎に屈し、照の前から姿を消した。

理子の登場と友達の裏切り

第7話より、黒幕と思われる人物と電話で話す清

照との同居生活に抵抗を感じる黒崎は、マスターに照の新居探しを依頼していた。そんな折、学校に新しくカウンセラーとして鬼塚理子が赴任してくる。理子もまた、黒崎の過去を知る人物であった。理子は、詳しい内容はぼかしつつ、自分が黒崎やDAISYの知り合いであることを照に打ち明ける。
生徒会室のパソコンに再びトラブルが発生した。何者かがパソコンに侵入したことで中のデータがすべてなくなり、調査にあたったパソコン部によると、DAISYの仕業ではないかとのことであった。濡れ衣だと怒った照はパソコン部の部室に向かうが、中に入ろうとしたところ、「狙いは照の携帯とその中に記録されたDAISYのアドレスだ」という会話を耳にする。その後、パソコン部からの呼び出しに応じた照は、PCトラブルがDAISYの仕業だと言い張るパソコン部に、ためらう様子を見せながらも自分の携帯を渡す。事態を知って駆け付けた理子がパソコン部に携帯を返すように迫るが、照はその必要はないと言う。パソコン部が照の携帯を見たところ、あるはずのDAISYに関する情報は消えてなくなっていた。パソコン部の会話を先に盗み聞きしてその狙いを知っていた照は、自分の携帯からDAISYのデータをすべて削除していたのだ。照の覚悟に本気を出した黒崎と理子は、早急に事態を収束させるべく動き出す。
パソコントラブルの犯人がパソコン部だと分かり、事件はいったん解決したかと思われた。照が友人たちと話していたとき、メンバーの一人である清は誰かからの電話を受けてその場を離れる。電話の相手に脅されている様子の清は、「かならず紅林照の携帯を手に入れる」と話していた。
清はそのまま、姿を消した。パソコン部を脅して情報を引き出した黒崎と理子は、携帯電話を奪うことをパソコン部に依頼してきたのが清だったと知る。その頃、照は、「怪しい人につかまって脅されている、誰も知らせずに一人で来てほしい」という清に、地学準備室に呼び出されていた。しかし、教室に入った照を待っていたのは清一人で、脅されているというのは嘘だった。清は、「照の携帯電話の中に奏一朗の未発表のソフトが隠されているはずだ」と何者かに聞いていて、照の携帯電話を狙っていたのだ。照と清が言い争っている間に、黒崎と理子が教室に到着する。清を怪しんだ照はひそかに理子にメールで状況を伝えていたのだ。逃げ出した清を追った黒崎は、清と何者かの電話のやり取りを聞き、清も誰かに脅され、操られていたことを知る。黒崎は清に事情を聞こうとするが、清は聞かずに走り去る。清は電話相手の車を見つけて合図するが、その車は清に向かって急発進した。轢かれそうになった清だったが、黒崎の働きにより、間一髪命を取り留めた。
後日、黒崎は照を理子に任せ、お花畑でマスターとともに清から事情を聞く。身の安全を保障された清は、電話の相手については顔も名前も知らず、メールだけのやり取りだったと話す。清は、奏一朗の死に疑問を抱き、奏一朗が働いていた会社の内部情報をハッキングで調べようとしたのだという。しかしそれがばれて脅され、不本意にも照の携帯を狙う行為に加担させられていたのだった。黒崎とマスターが詳細を知ろうとする理由を問う清に、マスターは、自分たちが一つのチームだったことを明かした。そのころ照も理子から同じ話と、理子が奏一朗の恋人だったことを聞いていた。マスター、理子、そして黒崎は奏一朗が率いるチームのメンバーだった。奏一朗の死ともにチームは解散し、チームの功績は抹消された。奏一朗は、チームの一人のメンバーを守るため、自分のすべてを犠牲にしたというのだった。

竹田との二度目の攻防

第12話より、再び照のもとに現れた竹田

照は黒崎との居候生活を終え、理子と住むことになる。同居が終わることを密かに寂しく思う黒崎だったが、理子と照の新しい家は黒崎の家のすぐ隣だった。照と黒崎は理子から頼まれた買い物で街に出ていたが、二人ははぐれてしまう。照のもとに現れたのは、以前照の携帯を狙うも黒崎に追い払われた、竹田だった。竹田は黒崎に電話をかけて照を危険な目に遭わせることをにおわせ、「(自分と照を)探してみろ」と言って電話を切る。実際は、照は竹田とケーキを食べていて、自分の携帯の充電が切れて黒崎に電話ができなかっただけだった。竹田は、充電するという理由で照の携帯を自分のパソコンにつなぎ、携帯を調べようとする。しかし照は、「奏一朗のソフトが携帯に隠れていないかを調べる」という竹田の真の目的を分かったうえで竹田に着いてきていた。照は竹田に、自分の携帯を徹底的に調べることを頼み、もしもソフトが見つかったらそれは竹田に渡すと言った。竹田のことを奏一朗がいた会社の人間だと知っていた照は、竹田を「汚い仕事をしても汚い人ではない」と信用していたのだった。結局、照の携帯からソフトは見つからなかった。竹田は自分が照の家の空き巣事件の犯人であったことを明かして謝り、「この人がDAISYであってほしいという人がいるのではないか」「自分(竹田)のことは許さなくても、その人の事は許してやってほしい」と話す。そこに、ようやく居場所を突き止めた黒崎がやってきた。別れ際、竹田は照に「二度と会わないだろう」と言うが、照は竹田に「また会いたい」と言った。そして照は、心のどこかで「黒崎がDAISYではないか」と気づき始めていた。

DAISYの正体を知った照

第14話より、黒崎の留守中に机から落ちて鳴り出したオルゴール

照は友達や理子とともに、勉強合宿という名目で海に遊びに来ていた。置いてきぼりを食らってやさぐれている黒崎に、マスターは「正体がばれたときのことを考えておけ」と忠告する。
照は旅先でDAISYへのお土産を探していて、貝殻細工のオルゴールを見つけた。模様は欠けていたが気に入った照はそのオルゴールを買う。曲は”Time After Time”。黒崎が好きだと言っていた曲だった。理子はそのオルゴールを自分がDAISYに渡しておくといって預り、DAISYの正体を知りつつ照に隠していることを謝りつつも、「本人(DAISY)が話すのを待ってやってほしい」と言う。
一足早く帰ってきた理子からオルゴールを受け取った黒崎は、オルゴールを自分の部屋に置いていた。台風の影響で予定を早めて帰ってきた照は黒崎の家を訪れる。黒崎は一人で買い出しに出かけ、照は黒崎の家で一人留守番をしていた。外が荒れる中で、窓が開いていた黒崎の部屋に風が吹き込み、オルゴールが落ちて鳴り出した。オルゴールの曲を聞いた照は、こらえきれずに出入りを禁じられていた黒崎の部屋に入ってしまう。そこで照が見たのは、模様の欠けた貝殻のオルゴールだった。自分がDAISYにプレゼントしたオルゴールが黒崎の部屋にあるのを目にした照は、DAISYの正体が黒崎であることを確信する。しかし、今の黒崎との関係が壊れることを恐れる照は、正体を知ったことを黒崎に隠し通すことを決心したのだった。

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