麻雀小僧(漫画)とは【ネタバレ解説・考察まとめ】

『麻雀小僧』とは2010~2017年まで押川雲太朗が『近代麻雀』で連載していた、「高レート麻雀を渡り歩く青年が雀ゴロから勝負師になっていく様」を描いていく漫画作品だ。『近代麻雀』での連載終了後は電子書籍版で続きを配信している。舞台は現代の日本。主人公・まー坊こと正岡正彦は高レート麻雀を渡り歩く青年。鋭い読みの技術を生かした鳴き麻雀を武器に見せ金1億円の麻雀大会への出場を目指す。弱冠18歳でありながら、勝負師として生きる覚悟のこもった言葉は、麻雀だけでなく人生を生きる上で大事な教訓が詰まっている。

『麻雀小僧』の概要

『麻雀小僧』とは2010年より押川雲太朗が『近代麻雀』で連載していた「高レート麻雀を渡り歩く青年が雀ゴロから勝負師になっていく様」を描いていく漫画作品である。2017年に『近代麻雀』での連載終了し、書籍は全16巻まで。17巻以降はKindleで電子書籍として読むことができる。
舞台は現代の日本。主人公・まー坊こと正岡正彦は、弱冠18歳で高レート麻雀を渡り歩き、鋭い読みの技術を生かした鳴き麻雀が武器の青年だ。彼は参加費1億円の麻雀大会に出場するため、様々な場で行われる高レート麻雀でしのぎを削る。

『麻雀小僧』のあらすじ・ストーリー

まー坊、雀荘ゴッチで奮闘する

まー坊こと、正岡正彦(まさおかまさひこ)は雀荘ゴッチで高レート麻雀を打ち合う日々を送っていた。まー坊のモットーは「人生は勝負!失うことを恐れる者は何も得られない」である。伝説の打ち手であった義父ゆずりの鋭い読みと洞察力を生かし、幼い頃から激戦を勝ち抜いてきたまー坊。ついに参加費1億円という、国内最高レートの麻雀大会への参加のチャンスを得るのである。

参加費の1億円に、300万円の手持ちではまったく足りていない。そこでまー坊が考えた策は、競馬の単騎がけである。500万円の単騎がけなら配当は1億円に足りる。そう考えて、雀荘ゴッチのオーナー野口に不足分の200万円を借りて勝負に出たのである。結果は惨敗。まー坊は、野口との約束を守り、借金を返すまで雀荘ゴッチのメンバーとして雀牌を打つことになったのだった。

雀荘ゴッチの麻雀はレート1000点100円のピンの東風(トンプウ)戦。チップ比重は1000円と大きく、15分程度で1万円が簡単に動く高レートであった。それは、持ち金が無いまー坊にとってはまさに好都合である。しかし、まー坊が勝ち続けるのは、店にとって好ましくない。なぜなら、まー坊が勝ち続けるとお客の打つ時間が短くなり、店が儲からないからである。

ゴッチのマネージャー熊部(くまべ)は、まー坊に少し痛い目を見せようと考える。そしてまー坊に挑戦するも、見事に玉砕してしまうのであった。惨敗した熊部は、まー坊にとっとと借金を返させて店を辞めてもらおうと考えるようになる。そして、熊部は今までと一転し、まー坊の応援者となるのであった。

熊部の応援の効果なのか、まー坊の軍資金は順調に貯まっていた。そんなときにまー坊は、ゴッチに顔なじみの川崎が営んでいる寿司店で、沼井と名乗る男から1000点1000円の麻雀に誘われる。同卓となるのは、沼井と川崎、そしてテレビ番組制作会社でプロデューサーをしているというツネであった。

この対局では、沼井の思いもよらない実力によりまー坊の苦戦が続いていた。そして、勢いづく沼井は、いよいよ攻勢を仕掛けようとしていたのである。ところが、あまりの緊張感に耐えきれず、このタイミングで川崎とツネがギブアップし、場はお開きとなる。対局後、まー坊は、参加費1億円の麻雀大会が延期になったことを沼井から聞かされる。そして、500万円貯まったら連絡をするようにと告げられた。このようにしてまー坊は、国内最高レートの裏麻雀への切符を手に入れる。そして、再び軍資金集めの日常へと戻っていくのであった。

沼井戦の翌日、国枝智久(くにえだともひさ)・通称国ちゃんがまー坊と田中を訪ねてゴッチへやってきた。国枝は、まー坊とは裏麻雀での顔見知りであり、田中とは日本麻雀同盟連での同期である。その国枝は、まー坊と田中に、マンション麻雀をやらないかと誘いにきたのだった。そして、まー坊に田中、国枝、野口がメンツとなって、マンション麻雀ははじまるのである。このとき田中は、胸中にある決意を抱いていた。それは、もしもこの麻雀で一銭もなくなったら、プロ雀士を引退するというものである。

対局の結果、田中は国枝との差し馬に勝利していたにもかかわらず、プロ雀士を辞める決意をまー坊に話すのである。そして、まー坊と一緒に参加費1億円の麻雀大会に出場すると告げるのだった。その話を聞いた国枝も、田中へのリベンジを見すえて参加費1億円の麻雀大会へのエントリーを決意したのである。

タミーとの出会いとまー坊の決意

田中は、国枝との勝負で本来の力を取り戻し、実力を発揮できるようになる。そのため、ゴッチではまー坊と田中の勢いが止まらない。この状況をまずいと感じたマネージャーの熊部は、まー坊に高レートの場を紹介し、ゴッチから引き離そうとするのだった。

まー坊が熊部から教えられた場には、ヒゲ谷と呼ばれている東谷(ひがしたに)に、客である今西(いまにし)と尾藤(びとう)、そして店の打ち子であるコウの4人がいた。対局で熱戦を繰り広げるまー坊とコウ。最終局でコウの当たり牌をビタ止めし、勝負をつけたのである。対局後、まー坊は、ヒゲ谷が連れてきたタミーと再会することになる。タミーは、すご腕の雀士と呼ばれていたまー坊の義父と、いつも接戦を繰り広げてきた若き天才雀士である。

今や裏麻雀の世界で知らぬものがいない程に名の知れているタミーは、まー坊がどうしても戦いたい相手だったのだ。タミーを加えて再び勝負が始まる。しかし、本気のタミーにあまりの格差を見せつけられたまー坊は、参加費1億円の大会の舞台での再戦を心に誓うのであった。

まー坊がゴッチのメンバーとしていられるのも、残り2時間あまりである。残り時間をのんびりとすごすまー坊の前に、北海道の大地主である結城(ゆうき)が突然現れた。そして、チップの数での差し馬に誘ったのである。結城は思いもよらぬ強さを発揮するが、まー坊のアガリに焦ってしまい小さいミスを連発。まー坊の勢いに飲み込まれていく。そして、ついにまー坊はチップを逆転させるのであった。対局後、まー坊は結城から誘われた若手の麻雀大会に参加を決める。そして、まー坊のゴッチメンバーとしての最後の1日が終わるのだった。

ゴッチを辞めてから暇を持て余していたまー坊は、国枝(くにえだ)から麻雀に誘われる。そこには、ツネ、国枝、田中の上司である古屋(ふるや)、そしてお笑い芸人のムーアが待っていた。ルールは普通の東南戦(トンナンセン)に、表ドラが3つ追加されたバージョンである。対局が進む中、最初は最悪の状況だったまー坊だが、最終的には6回トップになり、国枝は3回、田中は2回という結果となるのだった。

その後、参加費1億円の大会で戦うチームメンバーを選び出す目的で、沼井が企画した麻雀大会が開催された。メンバーに欠員が生じたため、急きょ補充が必要となったのである。対戦相手は、ツネがプロデューサーを務める制作会社の社長・米津(よねず)。ほかには、結城が推薦した白鳥(しらとり)、そしてムーアがいた。ルールは東風(トンプウ)戦の12回戦勝負となっている。

5回戦が終わっても、まー坊の成績は振るわない。このままでは状況が進展しないと考えたまー坊は、いったん頭を冷やそうと対局室を出たのである。すると、そこにはタミーがいた。実は、沼井チームの欠員はタミーだったのだ。タミーは、大会に出るならどこにも所属せずに出場するとまー坊に告げる。それを聞いたまー坊は、自分もチームに所属せず、タミーと真っ向勝負することを決意するのである。そして、この選抜戦で優勝しても沼井チームへは参加しないことを宣言するのだった。対局が終わり、まー坊は5連勝で大金を手に入れる。そして、新たな決意を胸に会場を後にするのである。

主催者との邂逅

ヒゲ谷から高レート卓が立つという連絡を受けたまー坊は、一も二もなく参加を決め、すぐに場に向かう。すると、そこには見慣れない顔ぶれが揃っていた。中でも、白髪の老人が気にかかるまー坊。実は、その老人・三好(みよし)こそ、参加費1億円の麻雀大会を主催する三好財閥総帥だったのだ。

序盤、まー坊はまったく上がれず苦戦する。しかし、他の3人の連携を巧みに崩し、徐々に場を支配していくのだった。その後、4連勝を果たしたことで、まー坊は全員の戦意を消し去ることに成功する。その後、ヒゲ谷から三好会長の正体を聞かされ、まー坊は驚く。さらに、参加費1億円の麻雀大会の窓口がヒゲ谷であることを知り、参加への現実感が増していくのだった。

その時、ツネから連絡が入る。ツネの勤める会社の社長が麻雀で負け続けており、なんとか彼を勝たせて試合を終わらせたいとの依頼だったのである。あまり乗り気ではないまー坊だったが、ツネには借りがある。しかたなくツネが待つ雀荘へと向かうまー坊。そこにいたのは、米津、ムーア、そして大和五郎(やまとごろう)という名の打ち手だった。さらに、ツネの社長が実は米津だということを知り、驚くことになる。

五郎はかなりの打ち手であった。しかし、まー坊の作戦により五郎の手はどんどん悪くなる。そして、オーラスでは、先ほどまでの勢いは消え去っていたのである。五郎は冷静に判断し、次局に勝てないことを悟って雀荘を後にする。まー坊も、ツネの要求通りに麻雀を終わらせることに成功し、役目を果たしたとしてその場を去るのだった。

客船麻雀参加をかけた戦い

五郎との対決から3か月後、ヒゲ谷の雀荘で客船麻雀大会への参加をかけた大会が開催される。大会は2日間で行われ、予選と本戦に分かれていた。予選の参加費は200万円。そして、予選通過者は800万を持って決勝に進むことになる。ただし、決勝ラウンドは、予選通過できなくとも800万支払えば参加可能である。最後に勝ち残った者が客船麻雀への参加権を獲得できるシステムであった。

予選は8卓に分かれ、東風戦を4回行う。各卓の上位2名が勝ち残り、その中で今度は4卓に分かれ、先程と同様に各卓の上位2名が決勝ラウンドへ進むこととなる。予選ではまー坊、女性雀士のみーちゃん、野口が勝ち上がった。国枝、田中、米津は予選落ちとなったのだった。
決勝ラウンドは、予選通過者に加え800万支払って参加する三好会長、タミー、米津を含めた計12名で熱戦が繰り広げられる。決勝ラウンドは、東風戦4回を打ち、総合順位上位4名で決勝卓を囲んで優勝者を決定するルールである。組み合わせは毎回抽選で決まる。まー坊はタミーと米津と同卓になることになり、緊迫した雰囲気が漂うのだった。

決勝ラウンド1回戦はタミーとまー坊の一騎打ちに思われた。しかし、まー坊はタミーに気を取られすぎて、槍槓国士(チャンカンコクシ)を決められてしまう。その結果、まさかのラストスタートとなってしまうのである。しかも、2回戦は三好会長との同卓である。国士を振り込む最悪のスタートとなったまー坊ではあるが、落ち込む様子を見せることもなく堂々と振舞っていた。

しかし、麻雀が始まると、まー坊は明らかにバランスを崩していた。まー坊の得意とする前に出ながらも粘り強い麻雀が、影を潜めていたのである。自分がいつもより強引な麻雀をしていることに気付いたまー坊は、父の残した「うまくいかない時にどれだけ冷静になれるか。本当の実力がそこでためされる」という言葉を思い出す。そして、まー坊本来の麻雀を取り戻し、2回戦で見事トップを獲得するのだった。

3回戦は、またも三好会長と同卓となる。そしてもう1人、総合4位につけてはいるが、それほどの迫力を感じない山本という男が同卓である。しかし、まー坊は山本が雀力の高い打ち手であると見抜いていた。面白いことに山本とまー坊は雀風(ジャンプウ)が似ているのである。結局今回は、ことあるごとに軽い手が山本に入り、まー坊はペースを握られたまま4着でオーラスを迎えてしまう。

まー坊にとっては絶望的な配牌(ハイパイ)であったが、なんとか鳴きながら手牌を整え、巧みに条件を作っていく。そして山本のほんの一瞬の隙をつき、見事にアガりにつなげたのである。緊張感に満ちた空気の中、まー坊は逆転トップを勝ち取る。そして、見事に最終戦に望みを繋げることができたのだった。

4回戦では、順位が3位の今西、5位のまー坊、6位のみーちゃんが同卓で対戦する事となる。まだ決勝へのチャンスが残っている3名での直接対決だ。一方、4位の山本は、すでに優勝や通過の条件がなくなった目無しの3人との対戦であった。

最初の局からみーちゃんが、子の跳満(ハネマン)ツモで勝ち始めた。そして、みーちゃんはまー坊が予選を通過できるように助けようとするのである。しかし、それが原因でいつもと違う打ち方をしてしまうみーちゃん。このミスに乗じ、今西が親満(オヤマン)を直撃して順位がトップに上がる。しかし、これまでまー坊から何度も苦い経験をしてきた今西は、まー坊を過剰に警戒している。そのため、バランスの崩れた麻雀を打ってしまったのだ。このミスをきっかけに、まー坊は一気に局を進め、最終局へと突入するのだった。

最後の対局では、親番(オヤバン)のまー坊が大きなアガリを収めてトップに立つ。さらに、今西との点差を広げれば、トータルポイントで今西を抜くことも可能である。この緊迫した局面で今西も意を決し、まー坊との真剣勝負に挑むのだった。最終的に、今西がアガって局を終わらせる。まー坊は今西とのトータルポイントを僅かに縮めることができなかった。

一方、別のテーブルで打っていた4位の山本は、安全に局を進めて決勝への進出を目前にしていた。しかし、目無しの米津は、ダブル役満(ヤクマン)なら条件を達成できると考える。そして、山本から四暗刻単騎(スーアンコータンキ)を勝ち取ったのだ。この結果、山本の順位は最下位に転落し、まー坊が逆転で4位に滑り込むこととなる。

決勝戦の参加者はタミー、野口、今西、まー坊の4名である。そして、驚くことに決勝戦は、たった1回の東風戦で勝敗が決まることになったのだ。まー坊は調子を取り戻し、一時は圧倒的なリードを見せていた。しかし、東3局2本場(トンサンニホンバ)で親番のまー坊を相手に、野口が満貫(マンガン)ツモで逆襲しようと迫ってくる。そのため、オーラスでは、野口とまー坊の一騎打ちが予想されていた。しかし、予想外にタミーが倍満(バイマン)の条件を整え、ツモを成功させて逆転トップに輝いたのである。

決勝戦終了後、まー坊はタミーから、自分の決定的な弱点を聞く。そしてまー坊は、ただしのぐだけの麻雀ではなく「勝ち切る麻雀」を目指すため、己を見直す決意をするのであった。

1億円へのラストチャンス

タミーとの対決で自分の麻雀の弱点に気づいたまー坊は、その後、バランスを崩しスランプに陥ってしまう。手元には2000万円程度しかない。しかし、客船の出航までは、残りあと約1ヶ月と時間が迫っていたのである。そんな折、ムーアの紹介で高レートの場を紹介してもらう。その主催者は、ハリウッドでも活躍する俳優・土門(どもん)である。彼は麻雀も一流で、超高額レートの場でも臆することなく、普段通りのプレイができる実力者だった。

まー坊は、終始劣勢を強いられていた。しかし、終盤になると土門の勢いが徐々に衰えていくのを察知する。チャンスを感じ取ったまー坊は、果敢に攻撃的なプレイを継続。その結果、土門からお金を奪い取ることに成功するのである。土門にしても、普段は押せる牌がまー坊に対して押せなくなり、ついに勝負が決まる。結果、まー坊は6,000万円を勝ち取り、目標の1億円まであと2000万円となったのだった。

出港まで1週間となったが、参加費が2000万円足りないまま、まー坊は焦りを感じていた。そんなとき、ヒゲ谷から条件付きで超高レートの麻雀卓を用意するという連絡が届く。条件は、客船麻雀に参加する三好会長チームのメンバーと3対1で対戦すること。そして、所持金が無くなるか勝負を諦めた時点で、三好チームとして大会に出場するというものだ。まー坊にとっては非常に不利な条件であった。しかし、大会に自分の金で参加できなければ8000万円も何の価値もないと考えたまー坊は、挑戦することを決意するのである。

超高レートの卓では、順位ウマのみで1000万円/3000万円のルールの東風戦が行われる。対戦相手はコウ、ヒゲ谷、熊部である。対局は、いくどもまー坊に不利になる状況が訪れる。しかし、タミーにいわれていた「勝ち切る麻雀」の感覚をつかみ、見事にトップを勝ち取ったのである。

所持金は1億2,000万円になり、参加費としては足りるのだが、まー坊にはまだやめる気はない。その理由は、田中の参加に不足している3000万円を手に入れるためだ。これは、まー坊から田中への恩返しであった。15回戦の東1局(トンイチ)、まー坊の手は九種九牌(キュウシュキュウハイ)で流せる手だった。しかし、ここで流さず国士無双(コクシムソウ)を狙う。コウはマンズのメンチンで三面張(サンメンチャン)リーチを行う。まー坊はマンズを引き、当たり牌だと思いながらツモを切る。そして、コウから国士無双をアガり、見事に勝ち切るのであった。こうしてまー坊と田中は、ついに参加費1億円を手にしたのである。

運命の出航

幼いころから憧れていた人を超えるため、まー坊はタミーの時代に終止符を打つことを決意する。そして、遂に大会が開始された。参加者は32名で、予選は8回戦。それぞれランダムに選ばれた4人が対戦するのである。各試合で上位2名が次のラウンドへ進むことができるのだ。勝ち上がりの条件は試合で1位を取ることである。

第1試合では、驚くことに沼井とタミーが対戦することとなった。そして、予想通り沼井とタミーが2人で勝ち進むことになるのだった。

第2試合では、熊部と野口が勝ち進んだ。第3試合は際どい対決になるも、結局は、最後に田中と国枝が勝ち進む。そして、第4試合は、緑川と白鳥が勝ち上がったのである。しかし、この戦いの中、白鳥は緑川が自分を脅威の相手とは見なしていないことに気づく。プライドを傷つけられた白鳥は、緑川にリベンジを誓い闘志を燃やすのであった。

第5試合は、三好チームのコウと沼井チームの古屋、そして大野が対戦することになる。コウにとっては不利な状況が続いたが、最後に大胆なブラフを仕掛ける。これが功を奏し、沼井チームを打ち破ることに成功。見事にコウが勝ちを決めたのだった。

そして第6試合、ついにまー坊の登場となる。ほかのメンツは、三好チームのヒゲ谷、沼井チームの結城、そして伝説的な強さを持つ樫原(かしはら)である。そして、まー坊の父の知り合いでもある樫原が、まー坊にとっての新たな大きな障害であった。1回目の半荘(ハンチャン)では、樫原の驚異的な読みで結城が優位に立ち、わずか2局で結城の勝ち抜きが決まる。2回目の半荘では、まー坊が予想した通り樫原が台頭。強烈な手を次々と繰り出し、試合を支配する。

まー坊はこれを危機と感じ、途中から手が入っているヒゲ谷をサポートし、樫原の勝ち手を阻止する作戦に出る。これを見たヒゲ谷は、まー坊の樫原に対する強い警戒感に気付く。そして、樫原に対抗するために、まー坊を手助けする策を選択するのである。その結果、樫原の勢いが落ち、まー坊にチャンスが巡ってくる。ヒゲ谷が大きな手をあげ、まー坊と樫原の一騎打ちの展開になるのだった。そして、最後にまー坊は勝利をつかみ取り、見事に勝ち切る麻雀を体現したのである。

第7試合では、三好チームの五郎が勝ち抜き、第8試合では、三好チームの牧野が勝ち抜く。これで、1回戦が全て終わり、2回戦に進むこととなる。2回戦は、最下位以外のプレイヤーが勝ち抜けるルールである。

それぞれの思惑

第1試合では、三好チームから牧野、緑川、国枝、そしてまー坊の参加となった。国枝は、三好チームから、まー坊を裏切れば参加費1億円を返すと交渉をされる。しかし、国枝はこれを断固として拒否したのである。そのためか、試合の序盤で国枝は気合いが入りすぎてしまった。そして、思いもよらず三好チームに甘い牌を打ってしまったのである。その結果、まー坊は最下位となる。国枝は自分の責任を感じ、まー坊の高い手にわざと差し込むのだった。

しかし、それでも国枝の手はまだ良い状態が続いていた。そして、同じプロ団体で国枝をよく知っている牧野は、この局で国枝を潰すべきだと判断する。これにより、国枝の最下位脱出が難しくなった。そのため、まー坊は何とか国枝を助けようと、さまざまな手を試みるのである。終盤で国枝に逆転のチャンスが訪れるも、最後まで勝ち切ることはできなかった。結局、国枝はこの試合で敗退となったのである。

2回戦第2試合にはタミー、野口、そして沼井チームから沼井、結城の参加である。序盤はタミーと沼井がアガり合戦を繰り広げ、野口と結城は手が出せない。最後の親番で良い形で臨む野口だが、タミーからダブルリーチが入ってしまう。その後、結城は一発で野口の当たり牌を引いて放銃(ホウジュウ)し、野口は辛くも4位から脱出し次のステージに進むことができたのである。

第3試合は三好チームから熊部と辻村、沼井チームから白鳥、そして大物議員の息子である大森の4名での対戦となった。終盤、白鳥は大森のサインに反応し、欲しい牌を鳴かせようとした。しかし、これは大森の罠であり、白鳥は高い手に放銃してしまうのである。白鳥は、大森が三好チームと手を組んでいる可能性に気づくが遅すぎた。そして、熊部に放銃し、トップからラスに転落してしまうのだった。

第4試合は、三好チームからコウ、五郎、西沢の3人と、田中が対戦する。そして、予想通りに田中は厳しい攻撃を受け、あっという間にラスに落とされてしまったのである。オーラスの親番で、田中はラス抜けができる手が揃ったのだが、余剰牌は対面の西沢に放銃することになる牌である。しかし、田中の強情さが役立ち、放銃を回避してラス抜けを果たすことになった。

3回戦では、残り12名が3つのグループに分かれ、3回の東風戦を行う。そして、各グループで総合点が最も低い者が敗退となるのである。第1試合は三好チームからコウ、熊部、大森、そして沼井チームの唯一の生き残り沼井が参加することになった。コウと熊部は、沼井を足止めしてトップを取れないようにする作戦を立てる。しかし、大森は場に1枚切れている發(ハツ)を暗刻(アンコ)にしようとするも、沼井に国士を放銃してしまうのだった。

わずか2局で大森がトビ、大森はここで敗退となる。結果として、沼井の勢いは止まらず、大森は惜しくも次のステージへ進むことができなかったのである。こうして、駆け引きと緊迫した局面が続く中、選手たちの命運を分ける激戦が繰り広げられたのである。

まー坊とタミー

第2試合では、タミー、まー坊、そして三好チームから牧野と緑川のペアが対戦することになる。試合開始早々、まー坊が攻めの姿勢を見せ、前に出始める。タミーもその後を追い、リーチをかける。それを見たまー坊は、タミーの勢いを止めるため、アガリに行くことを決意するのである。しかし、牧野の追いかけリーチが入り、まー坊はいったん後退する。その結果、牧野がアガリを決め、勢いづいてしまった。まー坊はこれが自分の責任だと感じ、自ら状況を修正しようと決意するのだった。

タミーはまー坊の意図を理解し、牧野がさらに勢いづくのを防ぐためにまー坊をサポートする。しかし、次の局では、牧野の満貫ヤミテンにまー坊が飛び込んでしまう。そして、最終的にトップは牧野、ラスはまー坊となってしまうのである。

東風第2回戦では、親番のまー坊から試合が始まった。タミーは巧みなプレーでまー坊を利用し、牧野を抑えながら自分の手を強化してリーチをかけてくる。その結果、タミーは牧野から直接アガリ、一気にトップの座に立った。その後もタミーが場をコントロールし、まー坊は2位で終了。タミーが圧倒的トップで牧野はラスとなったのである。

東風第3回戦では、まー坊はかなり不利な状況に立たされていた。しかし、まー坊はこれまで通り、自分ができることを続ける。その結果、ラス前に牧野から直接アガり、最後は牧野とのアガリ勝負で勝利しトップに立つのだった。これにより、総合得点が最も低かった牧野が敗退となったのである。

第3試合では、野口、田中、三好チームからは辻村、五郎が対戦することとなる。序盤から田中が大胆な戦術を取り、五郎に跳満放銃(ハネマンホウジュウ)して試合が始まった。オーラスで野口が1人アガれずに迎える中、田中は辻村からアガり、野口を助けようとする。

しかし、辻村はそれを警戒し、田中の現物ばかりを切り始める。その後、五郎からリーチが入り、最悪の展開になるのだった。しかし、田中が切った数巡前の現物に野口の当たり牌があり、それを辻村が無警戒で放銃する。その結果、野口が辻村を逆転し、辻村が敗退となった。野口がテンパっていることに気づかなかった田中は、国枝とまー坊にどれだけ迷惑をかけたかと詰め寄られることになるのだった。

『麻雀小僧』の登場人物

主要メンバー

正岡 正彦(まさおか まさひこ)

主人公のまー坊こと正岡正彦だ。雀風は鳴きの多い麻雀だがただ鳴きが多いわけではなく、当たり牌を掴んでからも粘り強く打つ打ち手だ。「できることを全部やってから倒れる」をモットーに自分に出来る最善をし続ける。一見損な鳴きをしているように見えるが圧倒的洞察力と読みの鋭さで彼にしかアガれないオリジナルのアガりを見せる。育ての義父が伝説の打ち手で、その男と一緒に小さい頃から鉄火場を渡り歩いてきた。その影響もあってかまー坊自身も麻雀で生計を立てる雀ゴロとなった。その柔和で人懐っこい雰囲気とはかけ離れた、冷徹で勝負に徹する勝負師としての一面も若いながら持ち合わせる。同じ打ち手としてタミーを憧れであり、自分が越えなくてはいけない壁だと認識している。

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