Billy Joel(ビリー・ジョエル)とは【徹底解説まとめ】

Billy Joel(ビリー・ジョエル)とはピアノマンの異名を持つアメリカを代表するシンガーソングライターである。1949年5月9日生まれ、ニューヨーク、ブロンクス出身。1971年、アルバム『コールド・スプリング・ハーバー~ピアノの詩人』でソロデビュー。以降、12枚のオリジナルアルバムと1枚のクラッシックアルバムを発表している。「ピアノ・マン」「ストレンジャー」「素顔のままで」「オネスティ」など、代表曲多数。1990年代以降はライブを中心とした活動を行なっている。

The Nylon Curtain

01. Allentown
02. Laura
03. Pressure
04. Goodnight Saigon
05. She's Right On Time
06. A Room Of Our Own
07. Surprises
08. Scandinavian Skies
09. Where's The Orchestra?

The Nylon Curtainは、ビリー・ジョエルが1982年に発表した通算8作目のスタジオ・アルバム。全米アルバムチャートで7位を記録した。1982年4月15日、オートバイ事故で骨折して入院したビリーは、病室にあるナイロン製のカーテンを見て、本作のタイトルを決定したと言われている。
第1弾シングル「Pressure」は全米20位に達した。第2弾シングル「Allentown」は、ペンシルベニア州の工業都市アレンタウンの衰退と貧困問題、それでも同地で真面目に生きていく人々を歌った曲で、全米17位に輝く。第3弾シングル「Goodnight Saigon / グッドナイト・サイゴン〜英雄達の鎮魂歌」は、ベトナム戦争に駆り出された兵士の視点で歌われた反戦歌で、全米56位。ローリング・ストーン誌は同曲を「ベトナム戦争に対する、ポップ・ミュージックによる究極の碑文として記憶されるだろう」と評した。ビリーの自信作の一つで、発表当時「僕にとっての『サージェント・ペパーズ』」とコメントしていた。社会問題を取り上げた内容が多い為、世間一般では「シリアス」「重い」という評価の多いアルバムだが、歌詞の内容とは裏腹に、天才的メロディーメイカーの才能は十分に発揮されていて、当時、黎明期のMTVによるヘビーローテーションもあり、ビリーはチャートの常連となっていく。

An Innocent Man

01. Easy Money
02. An Innocent Man
03. The Longest Time
04. This Night
05. Tell Her About It
06. Uptown Girl
07. Careless Talk
08. Christie Lee
09. Leave A Tender Moment Alone
10. Keeping The Faith

1983年発表のビリーの後期の代表作。彼が10代の頃に慣れ親しんだ1950年代から60年代にかけてのオールディーズを意識したポップな楽曲が多く、当時世界を席巻したMTVの雰囲気ともマッチし大ヒットしたアルバムである。最終的に全米4位に輝き、全世界で800万枚以上を売り上げた。収録曲の半分以上の6曲がシングルカットされ、すべて全米トップ40ヒットに入った、まさに80年代MTV時代を象徴するアルバムである。
第1弾シングル「Tell Her About It / あの娘にアタック」は、ビリーにとって2曲目となる全米1位を獲得。続く「Uptown Girl / アップタウン・ガール」は全米3位、イギリスでは同曲が先にヒットし、ビリーにとって初となる全英チャート1位を獲得した。その後「An Innocent Man / イノセント・マン」(全米10位)ドゥーワップ調のアカペラ曲「The Longest Time / ロンゲスト・タイム」(全米14位)、「Leave A Tender Moment Alone / 夜空のモーメント」(全米27位)「Keeping The Faith」(全米18位)もシングル・ヒット。「This Night / 今宵はフォーエバー」は、本国アメリカではシングル・カットされていないが、イギリスや日本でシングルとしてリリースされた。

The Bridge

01. Running On Ice
02. This Is The Time
03. A Matter Of Trust
04. Modern Woman
05. Baby Grand
06. Big Man On Mulberry Street
07. Temptation
08. Code Of Silence
09. Getting Closer

1986年発表の通算10枚目。全米最高位7位を記録。ビリー初のベストアルバム『ビリー・ザ・ベスト』の大ヒットに続いて発表されたオリジナルアルバムで、『ストレンジャー』からタッグを組んできたプロデューサー フィル・ラモーンとの最後のアルバム。目玉は故レイ・チャールズとのデュエット「Baby Grand」とシンディ・ローパーとのデュエット「Code Of Silence」。ビリーが作詞に行き詰まった際、隣のスタジオにいたシンディ・ローパーが訪れ、ビリーのピアノを聴きながら連想する言葉を書き留めて、それを元にしてタイトルと歌詞ができたと言われる。その他「Getting Closer」にはスティーヴ・ウィンウッドがゲスト参加。ジャズ色の濃い「Big Man On Mulberry Street 」には、ロン・カーターやマイケル・ブレッカー等が参加している。
シングルはベット・ミドラー主演の映画『殺したい女』のサウンドトラックに提供された「Modern Woman」が全米10位を獲得。その後「A Matter Of Trust 」(全米10位)、「This Is The Time 」(全米18位)、「Baby Grand 」(全米75位)の4曲がシングル・カットされた。『イノセントマン』や『ビリー・ザ・ベスト」の大ヒットを受けて、比較的世間の評価は薄く、ビリー自身も多くのインタビューで「ザ・ブリッジが良いアルバムだとは思わない」と述べているが、80年代ポップスの全盛期に発表されたということもあって、全体的にポップでバラエティに富んだ好盤と言える。

Storm Front

01. That's Not Her Style
02. We Didn't Start The Fire
03. The Downeaster "Alexa"
04. I Go To Extremes
05. Shameless
06. Storm Front
07. Leningrad
08. State Of Grace
09. When In Rome
10. And So It Goes

1989年発表の11作目。『ストレンジャー』以来タッグを組んでいたプロデューサー、フィル・ラモーンに代わり、フォリナーのミック・ジョーンズを起用。9年前の『グラス・ハウス』以来、ビリーのアルバムとしては3作目のナンバーワン・アルバムとなった。アルバムの最初のシングル「We didn’t Start the Fire」は1989年9月にリリースされ、ビリーの3番目の全米ナンバー1ヒットとなり、2週連続ナンバー1となった。2枚目のシングル「I Go To Extremes 」は1990年初頭に6位に入った。更に「And So It Goes 」(全米37位)、「The Downeaster "Alexa" 」(全米57位)、「That's Not Her Style」(全米77位)といったシングル・ヒットも生まれた。
「The Downeaster "Alexa"」は、長女アレクサの名前をタイトルに使用している。また「Leningrad/レニングラード」は1987年のソ連ツアー中にインスパイアされた曲だ。そして「And So It Goes 」はもともと1983年のアルバム『イノセント・マン』の為に書かれた曲だったが、アルバムのレトロなテーマに合わなかった為『ストームフロント』まで見送られたという経緯がある。ビリーはこの曲を「アルバムの最後の曲として、激しい雷雨に続く静けさを描いている」と言った。『ストーム・フロント』は、初期のアルバムに漂う儚さのような雰囲気は皆無で、堂々としたポップ・ロックアルバムに仕上がっている。

River Of Dreams

01. No Man's Land
02. The Great Wall Of China
03. Blonde Over Blue
04. A Minor Variation
05. Shades Of Grey
06. All About Soul
07. Lullabye (Goodnight, My Angel)
08. The River Of Dreams
09. Two Thousand Years
10. Famous Last Words

1993年発表の通算12作目。ビリーが1990年代に発表した、唯一のオリジナル・アルバムにして事実上のラストアルバム。ジェームス・テイラーやキャロル・キング等との活動で知られるギタリスト、ダニー・コーチマーをプロデューサーに起用。「Shades Of Grey」はビリーとエンジニアのデイヴィッド・テーナー(David Thoener)がプロデュースし、「The River Of Dreams / ザ・リヴァー・オブ・ドリームス」はダニーとジョー・ニコロの共同プロデュース。アルバムジャケットは妻クリスティが描いたが、当時の夫婦仲は悪く、発売の翌1994年に離婚した。
Billboard 200で初登場1位。通算4作目の全米1位獲得アルバムとなった。先行シングル「The River Of Dreams / ザ・リヴァー・オブ・ドリームス」は全米3位・全英3位に達した。第2弾シングル「All About Soul / 君が教えてくれるすべてのこと」はカラー・ミー・バッドがゲスト参加し全米29位・全英32位。更に、アメリカでは「Lullabye (Goodnight, My Angel) / 眠りつく君へ」が全米77位、イギリスでは「No Man's Land /ノー・マンズ・ランド」がシングルカットされ全英50位に輝いた。
このアルバム以降、ビリーのオリジナルアルバムは発表されていないが、アルバムの最後の曲が「ラストワーズ」と言うのが象徴的にそれを物語っている。「『ストレンジャー2』は出さない。」と言うビリーの言葉通り、今までのキャリアにおける全12枚のオリジナルアルバムはどれ一つとして同じものは無く、またその全てが名作である。

Fantasies & Delusions

01. Opus 3. Reverie ("Villa d'Este")
02. Opus 2. Waltz # 1 ("Nunley's Carousel")
03. Opus 7. Aria ("Grand Canal")
04. Opus 6. Invention in C Minor
05. Opus 1. Soliloquy ("On a Separation")
06. Opus 8. Suite for Piano ("Star-Crossed"): I. Innamorato
07. Opus 8. Suite for Piano ("Star-Crossed"): II. Sorbetto
08. Opus 8. Suite for Piano ("Star-Crossed"): III. Delusion
09. Opus 5. Waltz # 2 ("Steinway Hall")
10. Opus 9. Waltz # 3 ("For Lola")
11. Opus 4. Fantasy ("Film Noir")
12. Opus 10. Air ("Dublinesque")

2001年に発売されたビリー・ジョエル13枚目にして最後のスタジオ・アルバムだが、ビリー本人は演奏しておらず、彼の長年の友人、イギリスと韓国のハーフであるピアニストのリチャード・ヒョンキ・ジューによって演奏されている。全曲ビリーによる作曲で、ポップロック曲を含まない完全なるクラシック作品である。2001年10月に全米アルバムチャート83位を獲得。ビリーにとって19枚目のビルボード200チャートアルバムとなった。ビルボードクラシックチャートでは18週連続1位を記録した。

ライブアルバム

Songs In The Attic

01. Miami 2017 (Seen The Lights Go Out On Broadway)
02. Summer, Highland Falls
03. Streetlife Serenader
04. Los Angelenos
05. She's Got A Way
06. Everybody Loves You Now
07. Say Goodbye To Hollywood
08. Captain Jack
09. You're My Home
10. The Ballad Of Billy The Kid
11. I've Loved These Days

1981年発表のビリー初のライブアルバム。ヒットシングルを網羅した従来のライブアルバムとは異なり「屋根裏部屋にしまっていた曲」というアルバムタイトルのとおり、ストレンジャーで大ブレイクするまでの初期の4枚のアルバムから「ヒットしなかった名曲」ばかりをセレクトした作品。(よってヒットした「Piano Man 」は収録されていない。)
「グラスハウスツアー」中に録音されたライブバージョンだけで構成されており、デビュー作の「She's Got A Way」や「Say Goodbye To Hollywood / さよならハリウッド」という、当時はヒットしなかった名曲もそれぞれ全米23位、17位とヒット。アルバムもアメリカで8位、日本で3位となるヒットとなった。

Концерт(Live in Leningrad)(コンツェルト-ライヴ・イン・U.S.S.R.)

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