ミラベルと魔法だらけの家(ディズニー映画)とは【ネタバレ解説・考察まとめ】

『ミラベルと魔法だらけの家』とはウォルト・ディズニー・アニメーション・スタジオによって2021年に公開されたミュージカルファンタジー映画。南米コロンビアの山奥を舞台に、魔法の力を授かった不思議な一家の絆を描いた作品だ。そんな特別な家族の中で唯一、魔法の力を授からなかった主人公ミラベル。普通である彼女が、家族の危機を救うべく奮闘していく物語だ。自分だけが普通だというミラベルの葛藤だけでなく、家族がそれぞれ抱く悩みなど、登場人物たちの内面がミュージカル調で表現されている点も注目である。

『ミラベルと魔法だらけの家』の概要

『ミラベルと魔法だらけの家』は、2021年11月24日に公開されたミュージカル・ファンタジー映画である。ウォルト・ディズニー・ピクチャーズ、ウォルト・ディズニー・アニメーション・スタジオによって制作され、ウォルト・ディズニー・アニメーション・スタジオの記念すべき60作品目となった長編映画である。2022年のゴールデングローブ賞ではアニメ映画賞を、2022年アカデミー賞では長編アニメーション賞を受賞した他、アニー賞では映画部門音楽賞も受賞するなど、映画だけではなく楽曲も高く評価されている。日本でもデジタル配信を主としての公開となりほとんどの映画館では上映されなかったにも関わらず、2021年のアニメ映画ランキング4位にランクインするなど多くの人々を魅了した。
家族が作品のテーマになっており、家族の中で唯一魔法を授からなかったミラベルと、魔法と家族を守りたい厳格な祖母を中心に、家族の絆が描かれている。

南米コロンビアの奥地の深い山々に囲まれた集落・エンカントには、カシータと呼ばれる魔法の家に住むマドリガル家の一族が暮らしていた。マドリガル家の人々は5歳になるとカシータから様々な魔法の力を授かり、その力を発揮して集落の人々を助けていた。しかし、ミラベルだけは5歳を迎えても、魔法の力を授かることができなかった。
やがて成長したミラベルは、いとこの儀式の日にカシータにひびが入っているのを発見する。家族が授かった魔法の危機の始まりであった。魔法の力を持たないミラベルは、家族と魔法を危機から救おうと、一人立ち上がる。

『ミラベルと魔法だらけの家』のあらすじ・ストーリー

不思議なマドリガル家

幼いミラベルに、祖母のアルマが昔話を聞かせていた。アルマがまだ三つ子を出産したばかりの頃、迫害を受けて夫のペドロは命を落とすが、その時奇跡が起こる。ペドロの持っていたろうそくが光り出し、追ってきた兵士を倒したのだ。そしてろうそくの魔法で「カシータ」と呼ばれる魔法の家や、「エンカント」と呼ばれる集落が誕生した。やがて成長した子供達が5歳になると、それぞれカシータから魔法の力を授かった。アルマ達はこれを「ギフト」と呼び、ろうそくやカシータを守り継いでいくことを決意する。魔法の力は次の世代にも引き継がれていった。5歳になったミラベルは、不安を抱きながらも魔法の儀式の日を迎える。アルマの優しい言葉に背中を押され、光るドアの前に立つ。しかしミラベルがドアノブに手をかけると、光っていたドアが黒く変色し消失した。なぜか家族の中でミラベルだけがギフトを授かることができなかった。

カシータに現れた異変

ミラベルは魔法の力が無くても、「家族の誇りになる」と目標を掲げ、明るい女の子へと成長していた。ミラベルは家族の役に立とうと奮闘しており、他の家族も魔法の力で村人を助け、仲睦まじく暮らしていた。いとこのアントニオの儀式の日がやって来た。皆は期待と不安を抱いていたが、儀式は無事に終わり、アントニオは「動物と話せる力」を授かる。アントニオの儀式成功を喜ぶ家族や村人がアントニオの部屋で大騒ぎのパーティをする中、ミラベルは一人カシータの中庭で家中にヒビが入るのを目撃。すぐアルマに報告するが、家のどこにもヒビは見当たらず、終いにはアントニオに嫉妬したミラベルの幻覚だとされてしまう。その日の夜中、ろうそくの近くで亡きペドロの写真を眺めながら「助けて」と不安を漏らすアルマをミラベルは目撃する。普段は人一倍気を強く張っている祖母だが、悲しい過去の経験から誰よりも家や家族を失う恐怖に怯えていたのだった。そして、その不安を家族や村人に知られることを恐れていた。アルマの不安を知ったミラベルは、一人魔法の謎に迫ることを決意。最初にルイーサの怪力の力が弱くなっていることを突き止める。以前から魔法に対してプレッシャーに感じていたルイーサは、魔法の力が弱まりつつある事に不安を抱いていた。ルイーサの助言を受け、ミラベルは行方不明となっているブルーノの部屋を調べる。ブルーノの部屋の中は高い塔になっており、塔の頂上にある部屋でミラベルは緑色に光る欠片を発見する。自室に戻ってから緑の欠片を繋ぎ合わせたミラベルは、その欠片がブルーノの「未来を見る魔法」で見えていたビジョンだということを知る。ビジョンにはヒビの入ったカシータとミラベルが映し出されていた。その時、偶然部屋に入って来た父・アグスティンにビジョンを見られ、「聴力の力」でミラベルたちの会話を聞いたドロレスにも、ビジョンの内容を知られてしまうのだった。

ついに崩壊するカシータ

家族全員にビジョンの内容が知られ、その結果、イサベラとマリアーノの婚約の顔合わせ会はめちゃくちゃになってしまう。その騒ぎの中、偶然壁の裏の通路を見つけたミラベルは、そこでブルーノに遭遇。ブルーノは、自分が見たビジョンのせいでミラベルが責められることを心配し、ビジョンの内容を誰にも告げずに姿を消し、壁裏でひっそりと暮らしていたのだ。ミラベルに頼まれて、ブルーノは再びビジョンを見る。それは以前とは少し変わり、カシータの前でイサベラとミラベルが抱き合う姿が映し出されていた。カシータを救うため、イサベラとの関係を修復しようとしたミラベルだったが、結局、言い争いとなってしまう。イサベラはその口論で、優等生を演じてきたのも、望まない結婚を承諾しようとしたのも、全て家族のためだったと吐露する。本当の自分と向き合えたイサベラは、ミラベルに感謝し、抱き合って仲直りをした。しかし騒ぎを聞きつけてやって来たアルマは激怒し、家族が完璧でなくなったのも、カシータにひびが入ったのも全てミラベルのせいだと責め立てた。アルマの怒鳴る声に合わせて家に少しずつヒビが入り、ミラベルが魔法の危機はアルマのせいだと言った瞬間、ついに崩壊を始める。ろうそくの火が消え、魔法の力もカシータも跡形もなく無くなってしまった。

再び起こる奇跡

カシータの崩壊後、村を飛び出したミラベルを見つけたのはアルマだった。悲しい過去の出来事から二度と家族を失いたくないと思うあまり、皆に厳しくしすぎてしまったとミラベルに謝罪する。やり方こそ違えど、家族を愛しておりその家族を守ろうと必死だった2人はやっと和解することができた。アルマとミラベルが抱き合う中、心配して駆け付けたブルーノも、アルマと和解することができた。その後カシータに戻った3人は、魔法がなくとも家族がいれば大丈夫だと、駆け付けた村人と共にカシータの再建を始める。今までのように魔法は使えないため時間はかかったが、立派な家が出来上がった。そして最後の仕上げにと、ミラベルは家族からドアノブをプレゼントされる。ミラベルがそのドアノブを玄関ドアにつけた途端、再び奇跡が起こった。ドアノブから光が放たれ、カシータが復活したのだ。床板や窓を揺らし、カシータは早く家の中に入れと家族を急かす。カシータに急かされた家族は家の中央に集められ、ミラベルを中心に家族写真を撮るのだった。

『ミラベルと魔法だらけの家』の登場人物・キャラクター

マドリガル家

ミラベル・マドリガル

15歳のミラベル CV:ステファニー・ベアトリス/斎藤瑠希
5歳のミラベル CV:ノエミ・ジョセフィーナ・フローレス/中村優月

主人公の15歳の少女で、家族の中で唯一ギフトを授からなかったため魔法が使えない。人一倍明るく振舞ってはいるが、誰よりもミラベル自身が魔法を使えない事を気にしており、家族に対して疎外感を感じていた。それでも幼い頃にアルマに言われた「あなたは特別な子よ」という言葉を信じ、カシータや家族の危機には先陣を切って立ち向かうなど優しく勇敢な一面も持ち合わせている。

イサベラ・マドリガル

CV:ダイアン・ゲレロ/平野綾

ミラベルの姉で22歳。「花を自在に操れる魔法の力」を持っている。可憐でおしとやか、いつも完璧な優等生であるために、魔法の使えないミラベルとはあまり仲が良くなかった。婚約者のマリアーノとの顔合わせ会をめちゃくちゃにされ、ミラベルとの関係は悪化するが、兄弟喧嘩をした際に勢い余って実は優等生を演じていたことを吐露。また、婚約自体も家族を喜ばせたかっただけでイサベラ自身のためではなかったことが発覚。ミラベルによってイサベラは本当の自分をさらけ出せるようになった。

ルイーサ・マドリガル

CV:ジェシカ・ダロウ/ゆめっち(3時のヒロイン)

ミラベルの姉で19歳。大柄な体格をしており、「怪力の魔法の力」を持っている。ロバを一度に何頭も担ぎ上げたり、一蹴りで傾いた家を直すほどのパワーを誇り、家族や村人に頼られることが多い。しかし、内心では 「皆の期待に応えられる強い自分」でいることに、強いプレッシャーを感じていた。ストレスを感じると瞼が痙攣する癖がある。魔法の力が徐々に弱くなっていることに気付き、魔法がなくなるのではないかと不安を抱いていた。家族の中で最初に魔法の力がなくなった人物。

アブエラ・アルマ・マドリガル

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モアナと伝説の海(ディズニー映画)とは【ネタバレ解説・考察まとめ】

モアナと伝説の海(ディズニー映画)とは【ネタバレ解説・考察まとめ】

『モアナと伝説の海』とは、ディズニー製作のスペクタクル・アドベンチャー映画。2016年公開。この映画は、全米興行収入ランキング3週連続1位、第89回アカデミー賞では主題歌賞、長編アニメーション賞にノミネートされた。モヌトゥイ島に住む16歳の少女モアナは海を愛し、サンゴ礁の向こうの世界にとても魅力を感じていた。ある日、近郊に魚が居なくなり、椰子の実等の果物も腐り始める。島の人々と世界を救う為に大海原へ旅に出るという物語を描いている。

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