ARMS(アームズ)とは【ネタバレ解説・考察まとめ】

『ARMS(アームズ)』とは、1997年から2002年にかけて『週刊少年サンデー』に連載されたアクション・SF漫画である。作者は皆川亮二。書籍として単行本は全22巻発行され、2001年にはテレビアニメ化、2002年にはPlayStation 2にてゲームにもなっている。
普通の高校生として生活を送っていた主人公・高槻涼。彼の平穏は「ARMS」という兵器が腕に移植された転校生・隼人に襲われたことで崩れ去っていく。

『ARMS』の概要

『ARMS』は『週刊少年サンデー』にて1997年16号〜2002年20号にかけて連載されたアクション・SF漫画である。
作者は漫画『スプリガン』(同じく『週刊少年サンデー』連載のアクション・SF漫画)を手掛けた皆川亮二である。
原案協力者・七月鏡一、平成10年度には小学館漫画賞を受賞した。
書籍として単行本は全22巻発行され、2001年には『PROJECT ARMS』と題されテレビアニメ化、2002年にはPlayStation 2にて同じく『PROJECT ARMS』としてゲームにもなっている。
単行本は累計で1500万部以上が発行されている人気漫画である。
物語は、普通の高校生として生活を送っていた主人公・高槻涼(タカツキリョウ)が転校生である新宮隼人(シングウハヤト)に突如襲われることから展開される。隼人の腕には剣が移植されており、襲う際には左腕が変形する。彼に襲われたことで、高槻涼はARMSと呼ばれるナノテクノロジーによりに関連する世界規模の陰謀に巻き込まれていく。

本作品の特徴は、物語の一部やARMSの呼称などについて、著者ルイス・キャロルの児童小説『不思議の国のアリス』やその続編『鏡の国のアリス』をモチーフにしている。
本作の物語は、「覚醒編」、「邂逅編」、「進化編」、「アリス編」、「帰還編」の5部からなる。

『ARMS』のあらすじ・ストーリー

第一部「覚醒編」

普通の高校生である主人公・高槻涼(タカツキリョウ)は、幼馴染みである赤木カツミ(アカギカツミ)と共にいつも通り生活を過ごしていた。
学校での掃除の際、涼は手に怪我を負ってしまうが、すぐに治ってしまう。自身でも昔からすぐ治ってしまうことをカツミに言及する。
そんな時、転校生である新宮隼人(シングウハヤト)が現れ、突如涼を襲う。
隼人の腕には剣が移植されており、襲う際には左腕が変形する様が描かれる。
この左腕に移植されているものの正体が「ARMS」であり、後に涼の右腕にも移植されている事がわかる。
ARMSは体の一部を剣や銃などの機能を持った形に変形させることができる兵器として登場しており、謎の秘密結社エグリゴリが開発したとされる。
ARMSにはこのエグリゴリが深く関わっており、徐々に涼、カツミ、隼人にも関わり始めてくる。
涼、隼人と同様に、ARMSを足に移植された巴武士(トモエタケシ)、そしてエグリゴリを裏切り抜け出してきた天才少年であるアル・ボーエンとの出会いを経て、ARMSの手掛かりを探る旅に出る。
涼たちが向かったのは、エグリゴリに襲われ滅ぼされた隼人の故郷である鐙沢村(アブミサワムラ)だ。
そこで彼らは自分達の誕生に関わる驚きの事実を知る事になる。
鐙沢村では涼のARMS「ジャバウォック」が暴走することになり、さらにはカツミを失う結果となってしまう。

第二部「邂逅編」

鐙沢村でカツミの命を奪われた涼はやるせない気持ちのまま生活を送っていた。
そこに突如として赤木カツミとそっくりの少女、久留間恵(クルマメグミ)が現れる。
そして彼女は涼たちと同じくARMSの適合者であり、しかも反エグリゴリ組織ブルーメンの一員であるという。
さらにはブルーメンの情報によるとカツミはまだ生きている可能性があることも告げた。
一方で、エグリゴリはエスパー率いる超人部隊と共に、涼の住む街全体を巻き込んだジャバウォック掃討作戦を画策していた。
また隼人の父の仇であるキースの秘密が徐々に露わになってくる。

第三部「進化編」

涼たちがカツミの情報として得られたのはカツミの生きた写真であり、そこにはアリゾナ州(アメリカ)と書かれていた。
カツミの行方を追うため、舞台はアメリカへと移る。
アリゾナ州グランドキャニオンを目指した涼たちであったが、途中で立ち寄ったギャローズ・ベルという街でチャペルの子供達と猟犬(ハウンド)部隊に襲われる。
チャペルの子供達の正体は、アルのかつての仲間で、エグリゴリによって開発された天才児集団であり、ハウンドはチャペルの子供達が率いる、身体能力を高めた強化人間の部隊だった。
ギャローズ・ベル自体が彼らによって支配された街だった。そしてその地下施設にあったのはARMSの起源となった珪素生命体である「アザゼル」だった。
戦闘では、武士らを人質に取られリーダーとして落ち込む恵。涼たちは皆それぞれの想いで戦っていた。
そんな中、最後にはギャローズ・ベルを掃討するため、エグリゴリからキースが乗り込んでくる。

第四部「アリス編」

ギャローズ・ベルでのエグリゴリによるチャペルの子供たち殲滅に強く怒りを覚えた涼たちは、エグリゴリの本拠地であるニューヨークへと向かう。
そこでエグリゴリの科学者であるティリングハースト博士を拉致することに成功する。
これに対しエグリゴリは精鋭三人を送り込み、博士の奪還を目論む。精鋭の一人であるコウ・カルナギはARMSを持たない生身の人間にも関わらず、戦闘能力に長け、隼人と武士は手も足も出ない状態であった。
コウ・カルナギとの戦闘で昏睡状態になってしまった武士に対し、それが自分のせいであるとして自分を見失ってしまう隼人は仲間から離れて行ってしまう。
ばらばらとなってしまった涼たち一行であったが、それぞれのストーリーが進んでいく。
拉致されたティリングハースト博士は涼たちに心を許さず、一向に口を割ろうとしていなかったが、涼の最後まで諦めない姿勢を見ていくうちに心を開き、ARMSについて語り始める。
ティリングハースト博士はアザゼルの発見当初からその研究に深く関わっていた人物であり、アザゼル、ARMS、そしてARMS誕生の鍵を握る「アリス」について話したのであった。
アリスはエグリゴリが生み出した少女であり、アザゼルに心を造る作業を担当していたと同時に自身も実験体であった。
そんなアリスが事故をきっかけにアザゼルと融合することになり、その際にアリスの分身としてその心を受け継いだで生み出された4つの球体こそ、オリジナルARMSのコアであった。
最後には、エグリゴリ本部である「カリヨンタワー」にて、涼たちを含めたブルーメンとエグリゴリの大決戦が繰り広げられるが、ついに涼たちはカツミを取り戻すことに成功するのであった。

第五部「帰還編」

エグリゴリは壊滅状態、ARMSの力も消滅してしまったが、ようやく無事にカツミを取り戻した涼たちは日常生活へと戻っていた。
しかし、カツミの体には異変が起き始める。悪夢にうなされ、気分が悪くなり、時にはカツミらしくない凶暴な態度を取ってしまう。
そんな中、エグリゴリの残党は生き残っており、ブルーメンはその残党狩りをしていたが、その際に不吉な言葉を耳にする。
ブルーメンに調べてもらい、カツミの中には新たなARMSが誕生していることがわかる。
「プログラム・バンダースナッチ」という、ARMSを使ったエグリゴリの新たなる計画の始まりであった。
涼たちはARMSの力がなくなっている中、人類滅亡への危機に立ち向かうため、再び戦いへと赴くことになるのであった。

『ARMS』の登場人物・キャラクター

主要キャラクター

高槻涼(タカツキリョウ)

本作の主人公。物語の始まりでは普通の高校生だったが、転校生である新宮隼人と出会ってから、エグリゴリの計画に巻き込まれていく。
優しい性格で、責任感のあるキャラクターだが、右腕に移植されたARMS「ジャバウォック」の影響で暴走することもある。
失った幼馴染みカツミを取り戻すため仲間と共にエグリゴリとの戦いに挑み、ARMSの秘密について探求していく。
両親は世界屈指の傭兵であったが、当の本人にはこれまで知らされてはおらず、物語の途中で知ることとなる。
優しい性格であるがために、争いごとや戦いを好まないが、自身が置かれた境遇により戦わざるを得ず、また自身に宿るジャバウォックの凶暴さに対しても四苦八苦することとなる。

赤木カツミ(アカギカツキ)

主人公高槻涼の幼馴染み。しっかり者で、面倒見がよく、普段は涼を引っ張っていくほど強気な性格である。
第一部で命を失うが、実際は生きており、主人公である涼たちは彼女を取り戻すため旅を続ける。
涼たちがカツミを取り戻すまで、カツミはエグリゴリに囚われていたが、実際は客としてキース・グリーンに丁重に扱われており、逆にカツミの影響でキース・グリーンはカツミに優しさと愛情を持つようになる。
第五部では日常を取り戻した主人公らの中で、一人体に異変が起き、体内にARMSを宿すようになる。
「プログラム・バンダースナッチ」という、ARMSを使ったエグリゴリの新たなる計画に巻き込まれることになる。

新宮隼人(シングウハヤト)

涼の高校へやってきた転校生。初登場時は涼を襲う形で現れるが、以降は仲間として涼と共にARMSの真実を追うこととなる。
左腕にARMS「ナイト」を移植されており、主にブレードを使って戦う。喧嘩っ早い性格で、荒っぽい。
幼い頃に自身の故郷である鐙沢村がキース・ホワイトに襲われ、滅ぼされた。
その際に父親を目の前で殺され、自身の左腕も切り落とされたことから、キースに対しては強い復讐心を抱いている。

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『ARMS(アームズ)』とは、七月鏡一原案をもとに1997年から2002年にかけて少年サンデーで連載された、皆川亮二の大ヒットSF漫画である。 主人公は、右腕にナノテクノロジーで生み出された金属生命体「ARMS」を移植された少年「高槻涼」。彼が同じARMS移植者である3人の仲間と供に、ARMSを狙う謎の組織「エグリゴリ」の刺客と果てない戦いに身を投じていくという物語である。 本作は「人間とは一体何か?」をテーマとしたSF漫画作品でもあり、登場する名言は人間の心や成長にまつわるものが多い。

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