伊織順平（ペルソナ3）とは【徹底解説・考察まとめ】

「テレッテッテー！順平はレベルアップー！」

順平を代表するセリフの1つ。
『ペルソナ3』では、ダンジョン「タルタロス」を探索中に、探索メンバーがふいに喋りだす瞬間がある。この順平のセリフは、敵「シャドウ」との戦闘終了後、順平がレベルアップをしていた時にのみ、タルタロス探索シーンで口にするセリフとなっている。
「テレッテッテー」と、まるで古いRPGや（レベルアップの概念がある）アクションゲーム等で流れくるような効果音を口ずさみながら、「順平はレベルアップー！」と自分の力が強くなった事を告げてくる順平。「お調子者」な彼ならではのふざけた言動である。だが同時に、命がけで戦う戦場を終え、どことなくピリついた空気のある場を和まそうとする「ムードメーカー」としての一面も感じるセリフだといえるだろう。
まさか自分から「レベルアップ」をした事を効果音（アカペラ）つきで教えてくれるキャラクターがいるだなんて思うプレイヤーも居ない為、最初にこの彼のセリフを聞いて笑ってしまったプレイヤーも多い。あまりの印象的なセリフに、音MAD（音楽の「リズム」を使って作る音楽系MADのこと）を作るファンも現れ、ニコニコ動画等の動画サイトを賑わせた事もある。順平を語る上で外せない、彼を代表するセリフである。

「今回の難事件… 正直、このオレもお手上げ侍だワ。」

順平を代表するセリフの1つ。
「お調子者」な順平には、「お調子者」ならではのふざけた名セリフならぬ迷セリフが多く存在している。特にこの「今回の難事件… 正直、このオレもお手上げ侍だワ。」に登場する「お手上げ侍」は、『ペルソナ3』本編内で順平が一番多く口にする迷セリフとなっている。
元ネタは不明。どのようにして順平がこのセリフを思いついたのかも謎である。このセリフ以外にも「空気詠み人知らず」や「伊織順平アワーのお時間です」など、独特なセンスを感じるふざけた発言が多く存在している。順平がもつ「お調子者」というキャラクター性を形付ける、大事な要素である。

「お前と会えて…良かったよ。」

迫りくるニュクスとの戦いを前に、P3主人公と2人きりで話をした順平がP3主人公に向けて述べたセリフ。
世界を滅ぼしにくるニュクスと戦う事になった順平達特別課外活動部（S.E.E.S.）。その戦いの日が迫る最中、順平はP3主人公と2人、月光館学園の屋上でこれまであった様々な思い出を語らう事になる。
同時期にペルソナ使いとして覚醒した順平とP3主人公。しかし、いつも仲間に頼られ期待されるのはP3主人公ばかりで、その待遇の差に順平はずっとP3主人公に嫉妬をしていた。その嫉妬心が昂じた結果、物語序盤では特別課外活動部（S.E.E.S.）を巻き込む大事件も起こしており、それ故にP3主人公と順平の間にはどうしても拭いきれない壁のようなものがずっと存在していたのである。
しかし特別課外活動部（S.E.E.S.）として最後の戦いを前にした順平はP3主人公へ「お前と会えて…良かったよ。」と、彼と出会えた事を感謝する言葉を送る。そこからは、特別課外活動部（S.E.E.S.）での戦いの日々を通して成長した順平自身の変化を感じると共に、順平とP3主人公の間にあったわだかまりが一気になくなった事を感じられる。
本当の意味で、順平とP3主人公が友人同士になれた瞬間を飾る順平の名セリフである。

伊織順平の裏話・トリビア・小ネタ／エピソード・逸話

伊織順平のキャラクターイメージは「見た目を気にしてロレックスを買ったけど、実は偽物を掴まされる様なヤツ」

順平というキャラクターのイメージについて、開発スタッフの橋野桂は「見た目を気にしてロレックスを買ったけど、実は偽物を掴まされる様なヤツ」と語っている。ロレックスは、時計のブランドの一種である。スイスの最高級腕時計メーカーとされており、いわゆる「お洒落な人間」が身につける事が多いブランド品となっている。
事実、順平は特別課外活動部（S.E.E.S.）の男性陣の中では珍しく、お洒落に気を遣っているキャラクターとなっている。特徴的なあごひげはもちろんの事、制服の着崩し方や首につけられたネックチェーン等、他の男性キャラクター達には存在しない「お洒落」への気遣いが見える。だが、あごひげやネックチェーンといったものは、高校生にしてはどこかセンスが「大人」過ぎて、彼の年齢を考えるとちぐはぐした印象を覚えもする。順平自身の「お調子者」としてのふざけた雰囲気もまた、この「大人」なセンスを崩しているように思う。おかげで、唯一のお洒落な男性キャラクターであるというのに、どうしてもチャラついた印象しか持てないキャラクターに仕上がってしまっている。
「見た目を気にしてロレックスを買ったけど、実は偽物を掴まされる様なヤツ」というのは、このような順平が持つ「チャラついた雰囲気」を表現した言葉なのであろう。

伊織順平役の声優・鳥海浩輔は『ペルソナ2』にも登場している

順平を演じた声優・鳥海浩輔は、実は前作の『ペルソナ2』にも出演をしている。演じたのはペルソナ使いの三科栄吉（通称：ミッシェル）。順平と同じく高校2年生のペルソナ使いの少年だ。『ペルソナ』シリーズにおいて、前作から続いて出演している声優というのは鳥海以外に存在しておらず、貴重な2作品連続出演者となっている。演じたミッシェルと順平自身に直接的な繋がりはないが、2キャラとも（多少の差はあるが）ノリがよいお調子者な一面を持つ男子高校生であり、似た性格のキャラクターだといえなくもない。
またミッシェルと共に敵と戦ったペルソナ使いの中には、順平の初期ペルソナ「ヘルメス」を使うキャラクターも存在している。そのキャラクターも順平との直接的な繋がりはない。制作陣がどのような意図で、順平にこのようなキャラクター設定やペルソナを与えたかは謎ではあるが、『ペルソナ』ファンであるならば、前作の事を思い出さずにはいられないキャラクターに仕上がっている事は間違いがないだろう。