グリザイア:ファントムトリガー(ゲーム)のネタバレ解説・考察まとめ

『グリザイア:ファントムトリガー』とは株式会社フロントウィングが10周年記念作品として出した『グリザイアシリーズ』の1つである。Windows / Steatmから2017年4月に1巻と2巻が同時発売した。本編の完結作品である『グリザイアの楽園』の後の話になっており、前作の主人公達が去り、残された美浜学園は特殊技能訓練校として運用されていた。今作の主人公およびヒロイン達が美浜学園に在籍し、国家の敵と戦う物語となっている。フロントウィング初の全年齢対象(15歳以上)作品である。

タイガは「子ども扱いするな」と言うが、クリスが「タイガを背負えるうちはタイガは子供」と言った。そして、悪夢を見てうなされるタイガを隣に寝かせて抱きしめるなどしてクリスは母親の様に接し、タイガとの距離を縮めていった。タイガもクリスと接していくうちに馬鹿馬鹿しい物が多い世の中で、その馬鹿馬鹿しいものが世を動かすのに必要なのかもしれないと気付き始めていた。そして、そういうものの大切さに気付いた時こそ人は成長するのかもしれないと感じていた。

数日後、ハルトはタイガとA組の生徒の相性をクリスに聞いていた。クリスはハルトが心配する必要がないほどA組の生徒はそれぞれタイガと馴染んでいると報告した。そして、タイガはA組のなかでの自身の役割を見出そうと一生懸命であると続けた。クリスはタイガがA組を分析した結果をまとめたレポートを読むようにハルトに促した。ハルトが目を通した結果、「他の生徒よりもクリスが請け負っているジョブが多すぎる」と言う指摘に耳が痛いとこぼした。
クリスは本来衛生工兵科の人間であり、それに加えて情報、通信、爆破、その他雑務に加えて場合によっては緊急救命処置などをしており、明らかなオーバーワークだった。ハルトは「甘えていた」と謝罪したが、クリスは自身が好きでしていることだからと気に留めていなかった。そして、タイガはクリスの負担を減らすために緊急救命資格の取得のために神奈川の医科大学へ講義を受けに行っていた。これは、タイガがA組での役割を見出したのだろうとクリスが話していると、ハルトの携帯に野上から連絡が入った。野上は学園長室へ来いと告げると電話を切った。ハルトはクリスに他の生徒にも学園長室へ来るように伝えてほしいと頼み、学園長室へ向かった。

学園長室に集まると一縷はとりあえずテレビを見ろと指示してテレビをつけた。テレビには医科大学の構内で爆発が起きて死傷者を出しているというニュースが流れていた。この爆発はテロによるものである可能性があるという報道だった。報道を見たハルトが一縷と野上に詳細を問うが、一縷と野上もテレビをつけていて初めて気づいたという。ハルトは警察や消防の次はC.I.R.S.、そしてS.O.R.D.へと連絡が入るのが通常であり、「なぜS.O.R.D.に情報が入る前にニュースになってしまっているのか」と指摘すると野上は「意図的にS.O.R.D.への情報が止められたのだろう」と言った。
一縷は「情報を止めたのはC.I.R.S.の上層部であり、理由は現場にタイガがいるためだろう」と言う。テロがタイガと関連しているかはわからず、詳細は野上が調べている最中だという。野上が調べたところによると、テロを起こしたのは新興宗教団体ザ・フェイタル・アンサー、通称TFAという組織の日本支部のメンバーであるという。身体に爆弾を仕込んだ人間が医科大学構内へ入り込み、学生と関係者を巻き込み爆発、実行犯は死亡。その後、ネットにてTFAは犯行声明を発表した。今回の爆発は手始めの意思表示であり、更なる攻撃をするつもりであるという。

TFAの目的はとある古い絵画であり、この絵画の塗り重ねられた絵の具の下には新種のウイルスがいるため、それを悪用しようと動いていたという。絵画は中性ヨーロッパでペストに罹患していた人間が自身の血を絵の具に混ぜて描いていたことで、ウイルスが絵の具に混じった血を食べて幾度も変異を繰り返した結果、猛スピードで変異を繰り返す新種のウイルスとなっていた。猛スピードで変異を繰り返すために、ワクチンを作ってもできた頃には変異しているためワクチンの有効性が失われていしまうところに目を付けられたのだ。この絵画は厳重に保管されることが決定して、新種のウイルスはWHOを通じて日本の大学で最先端技術を使い分析することになっていた。そして、この大学が現在タイガが訪れている大学であった。
タイガの安否をクリスが聞くと、被害者の中にタイガの名がないことからまだ無事であろうと野上は返す。しかし、タイガが仙石家の人間であり、身分がバレてしまえば格好の人質になるだろうと野上は付け加えた。
クリスは「タイガを早く救出せねば」と言うが、事はそう簡単にはいかなかった。ウイルスは構内の研究施設に厳重保管されていたために奪取に失敗したTFAは構内に神経ガスの入ったボンベを設置して、大学生を人質にたてこもり、ウイルスの提出を要求してきていたのだ。迂闊に踏み込めば大学生はもちろん、タイガまでも死んでしまう状況であった。また、タイガが構内にいることで状況がさらに複雑化しているために、一縷は頭を痛めていた。

「仙石家の中でもタイガに死なれて困る派閥と死んでほしい派閥とがあり、両方の思惑が拮抗してしまっている状態だ」と一縷は言う。タイガに死なれて困る派はTFAを下手に刺激してタイガの情報が漏れてしまうことを恐れ、死んでほしい派は下手な動きを見せれば反仙石であるとバレてしまうという、誰も動けない状態になっているのだ。そのために今回の事件の情報が自分のもとに入ってこなかったのだろう、と一縷は予想していた。
死んでほしい派とTFAは繋がりがあるのかハルトが聞くが、「現状は直接的な繋がりは見えないが完全に無縁とは言えない状態だ」と野上が答えた。そうこうしていると、とある人物が学園長室を訪れた。タイガの父である仙石那月(せんごくなつき)であった。野上は那月がきたためハルトとA組の生徒に教室へ戻るように命じた。

那月は一縷への挨拶もそこそこに、今回の事件に手を出すなと釘を刺してきた。仙石家にて対策委員会が結成され会議が始まっており、新型のウイルスが世界に拡大するようなことがあれば、最早日本だけの問題ではなくなり、対処を誤れば日本は世界から袋叩きにあってしまう。新型ウイルスの蔓延を防ぐために、対策委員会は医科大学を空爆して焼き払うことで新型ウイルスを焼却処分する方向を検討していた。というのも、TFAが新型ウイルスが手に入れられないと判断すれば、研究施設を爆破して新型ウイルスを拡散するために爆薬を持ち込んでいたためである。
空爆に対して一縷が乱暴がすぎないかと非難するが、那月はこの作戦は仙石家がC.I.R.S.の名のもとに国連と検討した結果であると告げる。そして、空爆には核を使う気であると続ける那月に一縷は驚きを隠せずにいた。一縷が「少人数で突入しての制圧という手段が残っている」と那月に言うが、失敗した場合の被害の大きさを指摘し、「一縷にその責任が取れるのか」と問う。一縷は非人道的とも取れる仙石家と那月の言動に「地獄へ落ちろ」と憎々しげにつぶやいた。

教室に戻ったハルトたちに野上は医科大学の空爆の件を話す。話している最中にクリスがいないことに気づいた野上が「クリスはどこに行った」と聞くと、レナがクリスはトイレに行ったと答える。ハルトはレナの言葉を聞いて茶化したようにクリスを弄ると、野上はハルトに「クリスが美浜学園を出て行くのを見逃したな」と責める。ハルトが「クリスは尻ぬぐいに余念がないだけだ」と答えると、野上は「トイレにクリスを探しに行く」と言って教室を出て行った。
話を聞いていた有坂がどういうことなのかハルトに聞く。クリスは待機命令を無視して単身でタイガの救出にいってしまったこと、もし野上が上にクリスの命令無視を報告してしまえばクリスは銃殺されてしまうことを説明した。有坂は「殺されてしまう可能性があるにも関わらず、なぜ飛び出して行ってしまったのか」と疑問を口にするとハルトは「クリスの過去と関係しているのかもしれない」と言った。
クリスは幼い頃に両親を爆弾テロで失くしており、母はクリスを抱きかかえて守ったことで死んでしまった。クリスは強くて優しい母に助けられたことから、自身も母と同じことをしようとしているのではないかとハルトは推測した。

一方、医科大学構内ではタイガを含む人質の学生が負傷者を治療していた。そばには銃を持ったTFAのメンバーが2人いた。メンバーの2人は薬物を使用しているために話が通じる状態ではなかった。事件が発生してすでに3時間が経過しており、タイガ同様に講義に参加していた28名の民間人のうち8人が射殺、2名が軽傷、1人が瀕死という惨状であった。
タイガは冷静に状況を把握しており、新型ウイルスをTFAに渡さないために政府はTFAとの交渉はしても譲歩することはないだろうと踏んでいた。そして、TFAの見張り役の2人のメンバーが素人であり、恐怖を薬物で誤魔化しているため少しのきっかけでパニックを起こす可能性を危惧していた。タイガは何もできない自身に無力感を覚えながら、こんな時クリスならどうするのだろうと考えていた。

医科大学構内のダクト内にクリスはいた。クリスはタイガ救出のために命令違反を犯し、「タナトスシステム」の協力のもと構内のタイガの居場所を探っていた。「タナトスシステム」によりTFAの情報とタイガの居場所が分かったところで大学構外で爆発が起きたのクリスは察した。「タナトスシステム」は「TFAの日本支部は薬物中毒者か、小動物を殺している馬鹿学生の集まりであるが、リーダーがそこそこ頭がいいらしく無差別に一般人を殺すことで自身らの本気度を周りに示したのだろう」と言う。
美浜学園の学園長室では那月が空爆使用の推進派から横須賀港へ核弾頭を搭載したミサイル駆逐艦の受け入れが決まったという連絡が入った。一縷が「非核三原則を掲げる日本に核を持ち込むことがどいうことかわかっているのか」と問うが、那月は悪びれもせずに放射線(核)によるガン(テロリスト)の治療だとのたまった。一縷と那月が張り詰めた会話をしているとA組の教室から窓ガラスの割れる音を聞いた野上が教室へ向かう。

教室では「タイガを救出に行く」と竹槍を持った有坂がA組の生徒により取り押さえられていた。野上はその光景に呆れつつ、ハルトに核の使用が決まったことを告げた。核使用が決まったことで、レナはラッキーと喜んだ。それに続いてトーカも喜ぶ。これは、核の使用が決まったことによりレナ達が現場に入って、仮に失敗しても現場処分が即座におこなわれるためである。ハルトはこの状況を虎視眈々と待っていたため、野上に突入許可を求める。野上は一縷に一応聞いてみると返事をして、一縷の元へ帰る。
話を聞いた一縷はハルトたちの突入を許可した。那月は最初は反対していたが、実の娘であるタイガが生きて帰ってくるかもしれないということから止めることをやめた。対策委員会に報告をするため電話をしに行こうとする那月に一縷は通話の内容は「タナトスシステム」により筒抜けだから言葉に気をつけろと忠告した。一縷は今回の騒動が那月、そして那月より上の仙石家の人間が黒幕であると踏んでいたのだ。
装備を整えたA組生徒は現場へと急行した。

医科大学構内ではクリスが「タナトスシステム」から戦術のアドバイスを聞いていた。装備はハンドガン1丁に弾は6発とセムテックス(プラスチック爆弾)だけであった。結果、人質のいる床をセムテックスで爆破して下の階に落として、その後クリスが突入してハンドガンでテロリストを制圧することに決まった。
一方タイガの方ではテロリスト2名に「仙石大雅という幼女を殺せ」という指示が入っていた。テロリスト2人がタイガを殺そうとしていたところに、クリスのセムテックスが爆発。床が抜けたところで爆発に困惑しているテロリスト2人のところへクリスがハンドガンを構えて突入した。クリスは被弾しながらもなんとかテロリスト2人の射殺に成功した。クリスはタイガの安否を確認するために階下に行き、タイガと合流した。クリスは他の人質に「タナトスシステム」が繋がっている端末を預け、「タナトスシステム」の指示に従い避難しろと指示した。タイガは負傷しているクリスを見て共に逃げることを提案したが、クリスは「敵の足止めをする」と言う。しかし、テロリストの銃弾が頭部をかすめて負傷していたために、クリスはその場に倒れてしまう。クリスはそれでも人質に避難を促す。タイガにも避難を促すが、タイガはクリスを置いて行けないと避難を拒んだ。タイガはクリスに背負われたことを思い出し、「今度は自身がクリスを背負う」と言う。
そうこうしていると、テロリストたちが爆破した部屋に入ってくる。タイガはクリスを守るためにクリスの持ってきた銃を構える。

テロリストに発砲するタイガ

タイガは恐怖で震える身体で銃を構え、やってきたテロストに発砲した。しかし、弾はテロリストの致命傷にはならなかった。テロリストがタイガを殺そうとしたところに、ハルトが突入してきた。ハルトの突入によりテロリストは制圧された。

一方、クリスは甘い香りのする川の上で船に乗っていた。この光景にクリスは見覚えがあった。それは自身が母と共に爆破テロに巻き込まれたときで、その時は母が船に乗っていた。それを思い出したクリスは自分は死んだのだと察した。そして、川の中からタイガが何かを叫びながら泣いて手を伸ばしてくるのだった。クリスにはタイガの声が聞こえず、ただ「大丈夫」と伝えるために微笑んだ。そして、母が船に乗っていた時、自身もタイガの様に母に叫びながら手を伸ばしたが、母はただ微笑んでいたことを思い出した。あの時は母がなぜ微笑んでいるのか疑問であったが、ただクリスの声が聞こえていなかったのだと知った。そして、タイガの手を取ってしまえばタイガも死なせてしまうことに気づいて、伸ばされた手を取ることはできなかった。
「そこに行くな」というタイガの声が聞こえた。クリスが目を覚ますと、自身の治療を懸命にしていたタイガが目に入った。そして、側に来ていたムラサキから「ハルトも来た」と教えられる。「もう大丈夫」と言ってムラサキはクリスに眠るように指示した。

外ではトーカと恵のペアが人質を追うテロリストたちを狙撃により排除していた。ハルトもテロリストを排除しており、グループの指揮を執っていた学生の男を残すのみとなった。ハルトは「絶対に悪いようにはしないからグループのことを話せ」と言うが、泣くだけの男をムラサキが殺してしまった。ムラサキ曰く「即決断できるような人間なら宗教にはハマらない」とのことだった。そして、重症のクリスを運ぶことになった。
一方レナとマキは構内のテロリストの排除をしていた。レナのところにハルトから「クリスとタイガを連れて現場から離れる」という連絡が入った。ハルトは「リーダーは見つかったか」と聞くが、見ていないとレナは答えた。そして、ハルトは「黒幕を知りたいからリーダーは生け捕りしてくれ」とレナに頼んだ。マキが手当たり次第殺していってしまうなか、レナは1人のテロリストを見つけた。「何者だ」と問えば「ただの学生だ」と答えた。しかし、ただの学生がアサルトライフルをクリアリング(周囲を警戒しながら銃を構えて移動すること)しているうえに、血の匂いがするとレナが指摘する。マキに「こいつがリーダーじゃないか」と聞くが、リーダーらしき男に暴言を吐かれたことにキレたマキが、レナが止める間もなく男を殺してしまった。殺してしまったものは仕方がないとして、現場を引き上げることになった。

野上も構内に侵入しており、なにか黒幕につながる手掛かりがないかとリーダーの死体を漁ったが、何も出てくることはなかった。一縷に報告するが、これ以上は何も出ないだろうと踏み、警察が突入するから引き上げろと指示された。
その後は、仙石家の力が働いたため事件はただのたてこもり事件として処理された。そして、事件を解決したのは本庁の特殊部隊と地元警察であり、テロリストたちは追い詰められた末に集団自爆をおこなったということになっていた。死者69名、重症者144名という国内最悪のテロ事件としてしばらく騒がれたが、核投入や仙石家のお姫様であるタイガがいたことは公表されず闇へと葬られた。

数日後、学園長室にて一縷は仙石家のゴタゴタに巻き込んだことをハルトたちに詫びた。ハルトが「今回の事件のようなことが何度も起きては困る」と一縷に言うと、一縷は「仙石家の人間は那月を含めてしばらく動けなくなったから心配するな」と答えた。那月が今回の事件に絡んでいたことはわかっていたが、一縷はクリスの独断行動という弱みがあったためにあえて尻尾を掴まずに放置することにした。そして、今回の事件が原因で那月はタイガの代理人をおりて、一縷に譲った。そのことにより、タイガは成人まで美浜学園で面倒を見ることになったが、一縷は「母の役割などできない」と言ってハルトに丸投げした。

クリスは負傷の治療のために入院しており、寮では食事の準備が当番制となっていたが、クリス以外は食事を作るのが上手ではなかった。そのため、クリスがいない寮内は混沌を極めていた。そんな混沌の中、クリスが帰ってくる。まだ傷は癒えておらず、痛々しい姿であったが寮が心配になってしまい、帰ってきたのことだった。クリスを心配したタイガが「クリスの代わりをするから無理をするな」と言うが、クリスはタイガを安心させるように抱きかかえた。

縛はテロのあったあの日、クリスを守った母は笑っていた。母は本当に満足していたのか、それを確かめるすべはクリスにはない。しかし、タイガを抱きしめるクリスは母に助けられたことは意味があったのだと感じていた。クリスはあの時生き残ったこと、これからも続く自身の生き様を死んでしまった母への返歌にしようと思った。

グリザイア:ファントムトリガー vol.5

医科大学でのテロ事件後、負傷が原因で入院していたクリスが帰ってきた。クリスは自身が不在の間に溜まったであろう仕事を手伝うためにハルトの元へ行こうとしていたが、ムラサキがその役目を担うことにした。その後、ムラサキはクリスに変装をしてハルトの元へ訪れるが、1発でバレてしまった。ハルトは折角だからとクリスの恰好をしたムラサキで遊ぶことにした。しばらく遊んで満足したハルトに「仕事を手伝いに来た」とムラサキが言う。
しかし、組の所属メンツが増えたために、1人当たりの仕事が減ったので「仕事はない」とハルトが答える。ムラサキは「自分から仕事を探しにいかないと、そのうち何もさせてもらえなくなってしまいそうだ」と不安を口にする。ハルトはそんなムラサキに「きちんと役にたっている」と声をかけるが、ムラサキは少し納得がいっていないようであった。

有坂がクリスの補修を終えて、クリスを見送ったあと教室の1つの机に花が供えられていることが気になっていた。それは毎日供えられているわけではないが、花が供えられていることから「死んでしまった生徒がいるのだろうか」と考えていると、ムラサキが机に新しい花を供えた。有坂が聞くと、ムラサキは「遠くに行ってしまった姉の机である」と言う。有坂はムラサキの姉が亡くなってしまったのかと思っていると、教室の出入り口から声を掛けられた。そこに立っていたのはムラサキの姉である狗駒悠季(いこまユーキ)であった。有坂が困惑していると、ムラサキは「姉は遠くに行ったと言っただけで死んでいるとは言っていない」と有坂に言った。ムラサキはユーキに「なんで帰ってきたのか」と問うが、ユーキは交通手段しか答えなかったために、ムラサキが怒る。しかし、ユーキは気にも留めないで話をつづけた。ムラサキはユーキの態度に付き合うことなく、教室から出て行ってしまった。有坂がムラサキが珍しく感情を露わにする態度に戸惑っていた。ユーキは有坂にハルトの研究室の場所を聞くと教室を出て行った。

ハルトが自身の研究室でクリスと話しているとセクハラの話になり、ハルトは現在の自身に起きていることはセクハラに当たるのではないかとクリスに聞く。それはハルトの頭に豊満な胸を乗せているユーキに対してのものであった。しかし、クリスは「男性ならばうれしいものなのでは」と返す。そして、その光景を見ていたレナがうらやましいと叫び、トーカは「よくわからない女を拾ってきた」と呆れていた。ハルトが「ユーキはムラサキの姉であり元C.I.R.S.時代からの知り合いである」と紹介した。ハルトがユーキに何をしに来たのか問うが、「好きな男に会いに来ただけ」とはぐらかされる。そうしているとユーキが愛用している靴を模した携帯が鳴り学園長室へ呼び出された。ユーキはハルトを連れて学園長室へ向かった。

学園長室へ行くと一縷と野上が待っていた。一縷と野上はユーキが世界を回って集めた情報を口頭で説明するように要求した。内容は「ロシア生化学研究所からフィロウイルスを奪った傭兵はゲランで確定したこと」、「ゲランに強奪を命じたのはウイリアムであること」、「ウイリアムはゲランから入手した武器の保管庫として利用していた組織がTFAであること」、そしてTFAの詳細についてであった。医科大学テロ事件で使用されていた銃からラムダの刻印がでたことから確定したという。
一縷はタイガの実戦配備について聞くと、ハルトは問題ないだろうが心苦しいと答えて学園長室を出て行った。

レナは寮でムラサキを捕まえてユーキのことを聞いていたが、ムラサキは詳しく話そうとしない。しかし、戦力が知りたいというレナにユーキの戦績や戦闘力を説明しているとユーキが寮へ帰ってきた。ユーキは気さくにレナに話しかけ、「気になることは直接自身に聞いてかまわない」と言い、浴場へ向かっていった。レナは驚きつつ、ムラサキとユーキが似ていると話をするが、ムラサキは「ユーキとスペックが違い過ぎて、ユーキが本気を出せば自分の仕事が奪われてしまう」と難しい顔をする。
寮の自室でムラサキとユーキの姉妹は他愛のない話をしながら、ユーキがムラサキに「ムラサキの好きそうなフィギュア」をお土産として渡す。ムラサキは自身のことを覚えていたのかとユーキに聞くと、「たった2人の姉妹なのだから当然だ」と答えた。ムラサキは素直にうれしいと答えフィギュアを受け取った。ムラサキはユーキを嫌っているわけではないが、姉であるユーキには勝てないという意識にとらわれてしまい、ユーキとうまく接することが出来ていなかったのだった。

スパイを生業にしているプロニンジャのユーキは人間関係の構築が上手であったことから、一週間がたつ頃にはすっかりA組の生徒と馴染んでいた。ある朝、ムラサキがユーキに話しかけるが、ユーキはムラサキが妹であると認識しておらず、姉と呼ばれてはじめてムラサキが妹であることに気づいた。ユーキはとある負傷が原因で長期記憶と短期記憶の連携がうまくいかず、日記などの外部記録から記憶を保管する必要があったのだ。記憶の連携がうまくいかなくて困るのは一般人だけであり、潜入工作を行うニンジャからしたら、仮に拷問を受けたとしても覚えていないことは薬を使われても吐けない、ということからユーキは特に困っていることはなかった。
ムラサキはユーキがまたすぐに美浜を出て行くだろうと思っていたが、ユーキはムラサキの予想に反して美浜に馴染んでいき、A組の生徒とも仲良く交流するようになっていった。ある日、ユーキは地下の射撃場で射撃訓練をしているレナ、マキ、トーカ、ムラサキとそれを監督していたハルトの元を訪れた。そこで、ユーキがAK(アサルトライフル)の話をしていると恵がやってきて、「自身はアサルトライフルを撃つ資格を持っていないから扱うことが出来ないが、使えたら便利だと思う」と言う。そして、アサルトライフルの使用資格を持つトーカに指導をしてほしいと頼み、トーカはそれに了承して訓練に向かった。話を聞いていたレナも「ハンドガンの使用資格しかもっていなかったからアサルトライフルの資格が欲しい」と言い出し、マキも「火力は欲しい」と言った。しかし、アサルトライフルの試験は難しく、「資格を持つトーカに教えを請おうにもレナに教えるのは面倒くさいから教えたがらないだろう」とハルトは言った。そこに、アサルトライフルの使用資格を持っているユーキが「指導してあげようか」と提案する。レナはすぐさまユーキに指導を頼み、マキもそれに続いた。

ユーキが指導にあたるならばと、後のことを山本に任せてハルトが射撃場を後にしようとすると、ムラサキがハルトを引き留めようとしたが、とくに何も言わずにハルトの背中を見送った。山本はムラサキもユーキにアサルトライフルの指導をしてもらったらどうだと提案するが、ムラサキは断った。山本は楽しそうだと言うが、ムラサキはユーキの指導には加わらず「いつも通りの訓練でいい」と答えた。訓練が終わるとユーキはA組の生徒に「一緒にお風呂に行こう」と誘う。レナはムラサキに声をかけるが、ムラサキはそれを断った。
断られたレナは心配してユーキに「ムラサキが自身の誘いを断ってしまったが、なにかあったのだろうか」と言うが、ユーキは「ムラサキは自身と一緒にいると息が詰まってしまう」と言う。そしてユーキ達姉妹の関係は好きや嫌いでははかれない問題があるのだと続けた。
一方ムラサキは1人、外の電柱の上で物思いにふけっていた。深淵に棲むニンジャは自身を持たない。常に死と隣り合わせのニンジャの世界は温もりとは程遠く、暗く肌寒いのが常である。ニンジャは勝利に固執せず、負けそうになったらならば逃げればよい。だから、今自身が取っている行動はニンジャなのだから間違いはないと、自分に言い聞かせていた。
翌日、夜に電柱の上で考え事をしていたせいか、ムラサキは風邪を引いてしまった。ムラサキの部屋にはベッドがないため、ベッドがあるハルトの部屋で養生することになった。ハルトのベッドで休んでいるムラサキの状態を見たタイガは「風邪だ」とその場にいたハルトに言った。タイガが出て行ったあと、ハルトはムラサキを気にかけていたが、ムラサキはハルトにはやることがあるだろうと言い、「気にかけなくても大丈夫」と続けた。ハルトがムラサキに「ゆっくり休め」と声をかけて部屋を出て行こうとすると、ムラサキは「桃缶が欲しい」とぼそりと呟いた。ムラサキは「言ってみただけ」と続けたが、ハルトは「コンビニまで買いに行くよ」と言った。そのやりとりをユーキは部屋の外で聞いていた。

その後、ムラサキが風邪で寝込んでいる間、A組の生徒は各々見舞いにやってきていた。そして、その中にはユーキも混じっていた。ユーキはムラサキへの見舞いの品として黄桃の缶詰を渡してきた。ムラサキは「風邪には白桃という日本の常識を姉にもかかわらずなぜ知らないのか」と考えていると、ユーキは病床に臥せっているムラサキにとどめを刺すように「ムラサキが寝込んでいる間は自身がムラサキの仕事をやるから」と言った。ムラサキが「自身の仕事を奪う気か」と聞くとユーキは「それが嫌なら早く風邪を治せ」と笑った。これはユーキなりの皮肉のきいた激励なのだろうとムラサキは思ったが、ユーキは実際にムラサキの仕事を奪い始めた。これに伴いムラサキは自身の存在価値が薄れていくのを感じていた。
ムラサキは「自身よりベテランのユーキが仕事を請け負うのは、その方が不安が少ないため」と思うようにしていたが、徐々に居心地の悪さを感じて教室に顔を出すことをやめていき、A組の生徒とも顔を合わせづらくなっていった。そんな中でもユーキはA組の生徒と距離を縮めていった。

銃撃の訓練を終えて雑談をしていたハルト、有坂、レナ、マキ、ユーキにムラサキも「終了した」と告げて射撃場を出て行った。有坂はムラサキがいつもと違う様子なのでまだ本調子ではないのかと心配していた。そんな中でふと、ユーキとハルトの話になった。かつてハルトは師匠から一人前と認めてもらうために、刀の扱いと、ムラサキとユーキの故郷であるニンジャの隠里に伝わる秘伝の技を習得するために、ユーキと共に隠里へ訪れていた。
ユーキはハルトを連れて実家へ行き、狗駒家の当主でありムラサキとユーキの父貞時を連れてきた。ハルトはに技を教えてほしいと頼む。しかし、貞時は「簡単に教えるわけにはいかない」と教えることを拒否する。しかし、ハルトは諦めず、教えてもらうまで隠れ里に滞在することにし、その間は狗駒家に居候することになった。ユーキはハルトに「隠れ里の秘伝の技がどんなものなのか知っているの」と聞くと、ハルトは「詳細は知らないがどうせものにするなら強い物がいいから詳細を教えて欲しい」と答えた。ユーキは「技の詳細は隠れ里の人間ですら詳細を知っている者が少ない上に、昔、外部から来た人間に技を伝授しようとしてトラブルが起きたことで里の人間がナーバスになっており、簡単には教えてもらえないだろう」と言う。話を聞いたハルトは「先は長そうだ」と呟いた。
ハルトは「世話になる上で何もしないわけにはいかない」として畑仕事などを手伝っていたことから、里の人間からも少しずつ受け入れられていった。ハルトはこの頃に幼かったムラサキと出会った。その頃のムラサキは大人しく、言いたいことがあってもうまく伝えられずに我慢して黙ってしまう子であった。

話を聞いた有坂は、「今のムラサキがそのような状態にあるのでは」と言い、教師としてムラサキに話を聞きに行くことにした。有坂はムラサキを見つけて話を聞こうと声をかけた。ムラサキは「射撃場でハルトが秘伝の技を求めてニンジャの里に訪れていたという過去を話していた」と有坂から聞いて、ムラサキは有坂に自身の過去を語りだした。
ムラサキは姉を避けているつもりではないが、ユーキの方がムラサキに対して悪感情を持っている気がしていたのだった。ムラサキは昔からユーキに様々なところを指摘されて「直せ」と言われていた。元々ムラサキとユーキは相性が悪い姉妹であったが、ムラサキからしたらそれが普通であり姉妹とはそういうものなのだろうと思っていた。しかし、明確にユーキと距離が離れたきっかけはハルトであることを確信していた。

ハルトが狗駒家に居候するようになってから、ムラサキはハルトと交流を持つようになっていた。ムラサキはハルトと交流を深めるうちにハルトに惹かれていったが、自身の大人しさ、ともすれば暗い性格、目つきの悪い顔や所作を考えると、ムラサキから見たら輝いているハルトに比べて何も取り柄がないと思っていた。
ハルトは毎朝貞時について行って農作業をしながら技の教えを乞うていたが貞時は頑として技を教えなかった。また、「この里にはまともに技を使える者がいない」と貞時は続けた。狗駒家では技を継ぐ者には「邑」の字を継ぐ習慣がある。しかし、「ユーキは仙石家へと預けられたせいで技を使うことが出来ても『邑』を継ぐことはできず、ムラサキとユーキの母・裕子も昔は邑子という名であったが、現在は『邑』の字を返上して裕子に戻っている」と貞時は言った。現在正式に「邑」の字を継げるのはムラサキ(この時は「邑」を継いでいないため名前はサキとなっている)だけであるが、未熟故にまだ継がせられないという。
「技を教えることは簡単であるが、技の本質やあり方を知るとなれば別問題であることから教えることはできない」と貞時は改めて伝えた。

ハルトが居候してからしばらくしても、貞時の宣言通り技を教えてもらうことはできずにいた。ムラサキはこの時ハルトを兄の様に慕っていたことからハルトに「自身の主になってほしい」と頼んだ。
ニンジャは1番好きな人のために働き、1番大切な人のために生きるという考えがあり、ムラサキはハルトの側を望んだが、ハルトはムラサキを子ども扱いして両親に相談してから決めるように促した。幼かったムラサキは素直に母である裕子に相談した。裕子はムラサキに「主に使えるからには幸せになろうと考えず、地獄に堕ちてもいいと思える相手に仕えなければならない」とムラサキに言うが、ムラサキは「愛されなくてもただ側にいてニンジャを必要としてくれるならそれでいい」と返す。裕子はムラサキの考えを受け入れたが、貞時は「村の宝」であるムラサキを簡単に預ける訳にはいかないと反対した。
ムラサキは親に相談してだめならば、姉であるユーキに相談することにした。ユーキは「ハルトを連れてきたのは自身なのだから、欲しいならば我慢しないで自身から奪い取れ」と促した。ムラサキは誰かを我慢させるくらいなら自身が我慢する、という性格を知っていての言葉であった。この時、ムラサキはユーキと腹を割って話し合い、姉妹間にあったわずかなわだかまりが解けて、ムラサキはユーキを姉として好きだと思いなおしていた。

ある日、ユーキがハルトを「買い物へ行こう」と誘い、ムラサキも誘ったが、ムラサキは断った。ユーキはムラサキが自身に遠慮しているのだろうと考えた。ムラサキは2人と会話が合わないだろうと考えており、ハルトが自身のような人間にやさしくする理由もわからないままであった。ユーキに「奪え」と言われたが、具体的にどうしていいかわからないムラサキは何かが起こるのを待つしかなかった。しかし、ユーキとハルトが買い物へ向かう仲睦まじい2人を見て、やはり買い物についていけばよかったと後悔していた。
ムラサキは考え事をするときに高いところへ上る癖があり、山の高い木へ登って考えていた。

ユーキとハルトが買い物へ行ったあと、里で子供2人が戯れていると1人が男にぶつかった。子供の1人が男に噛みつくが、もう1人の子供が止めに入る。しかし、男は噛みついてきた子供を刀で斬り捨てた。そして、もう1人の子供も続いて斬り捨てた。
男は以前、里に秘伝の技を教わりに来ていた桃太郎という人物であり、強くなる自身に酔いしれ享楽のために人殺しをしていた男であった。桃太郎は強さに固執することから、子分を連れて里へ戻り里の人間を皆殺しにすれば自身が最強であると考えてやってきたのだ。
買い物を終えて里に帰ってきたハルトとユーキは斬り捨てられた子供の遺体を発見した。ユーキは斬り口を見て犯人は桃太郎であると気付き、武器を構えて自宅へ急いだ。自宅へ帰ると桃太郎の子分が貞時を襲っており、貞時は血塗れで床に倒れていた。ユーキが子分を撃ち殺し貞時に駆け寄ると、貞時は「ムラサキはどこへ行った」とユーキへ問いかける。同じように負傷していた裕子もムラサキを心配しており、貞時は桃太郎の狙いは「村の宝」であるムラサキであるから探して保護しろとユーキに頼む。裕子は武器として自身の刀を使うようにハルトに言い、ユーキとハルトは倒れ伏す2人に死ぬなと声をかけてムラサキを探しに出た。ユーキはムラサキの癖を知っているためハルトと共に山へ向かった。

ムラサキは山へ行き木に登ったまま寝ており、騒ぎに気付いていなかった。目を覚ましたムラサキは異変に気付き、里へ下りる。ムラサキが里の長の元へ行くと、長も負傷していた。長に何があったのか聞くと長は「あんな男に技を教えようとしたのは間違いだったのだ」と言い、ムラサキに逃げるように促して息絶えた。ムラサキは長の発言にハルトがこのようなことをしたのだと勘違いした。そして自宅に急いで帰るが両親は息絶えていた。そして、母の刀が消えていることに気づいた。
ムラサキは両親を手にかけて誰かが持ち去ったのだと考えた。ハルトがやったと認めたくないが、「自身のような子供に優しくしていたのはなにか目的があったのではないか」と思った。ユーキとハルトは仲睦まじい姿をムラサキに見せつけてせせら笑っていたのだと考えてしまった。

秘伝の技の封印を解いたムラサキ

混乱してしまったムラサキは自身が何をすべきかを見失い、家族を蹂躙されて何もしないのは臆病者だと自身に言い聞かせ、封印されていた秘伝の技を解放した。

一方、山に入りムラサキを探していたハルトとユーキは桃太郎に遭遇していた。桃太郎を見たユーキは憎々しげに桃太郎の行いを責める。しかし、桃太郎は気にも留めず、自分語りを始めた。そんな桃太郎を気に留めないでハルトは刀で切りかかった。その援護をするようにユーキが銃を発砲する。ハルトとユーキでうまく連携して桃太郎を攻めると、桃太郎は激昂するが、ハルトとユーキの連携にかなわず首を切り落とされて死亡した。
桃太郎を殺したあと、ムラサキを探そうとしていると生首がハルトとユーキの足元に転がってきた。それは桃太郎の子分のものであった。ムラサキが姿を現し、ハルトとユーキに斬りかかってきた。咄嗟にハルトとユーキは逃げだした。

狗駒の技とは本来主の命が無ければ発動しないが、主を持たないムラサキの技は裕子によって制御されていた。しかし、裕子が死んだことでムラサキは暴走していたのだ。ハルトはムラサキを止める方法をユーキに聞くが、「基本的にはない」と答えられてしまう。また、ムラサキは暴走状態にあるためこのままでは技の負担から脳が焼き切れて死んでしまうかもしれないとユーキは続けた。ハルトがムラサキを止める方法を模索していると、ユーキが自身に「ムラサキを殺せ」と命令してほしいとハルトに頼んだ。このまま苦しませて死なせてしまうより、殺してしまおうというユーキなりの優しさであった。「ハルトを簡易的に主にすることで命令により技を発動して、事が終わったら元に戻れるようにするためだ」と言うので、ハルトはその提案を受け入れた。
そして、ハルトはユーキに「ムラサキを殺さず、ユーキも死ぬな」と付け加えた。ユーキは獄刀・邑鬼(ユーキ)を発動して、秘伝の技である幻刀(ファントムブレード)を発動しているムラサキと対峙する。

ムラサキの使用する幻刀とは究極の「自己暗示」と「他者暗示」により発動するものである。ムラサキは「思い込む」ことでアドレナリンを過剰分泌させて血圧と心拍数を上昇させることで筋肉が緊張し、筋細胞と神経細胞を活性化させ、肉体の強化を行う。さらに、そのような状態になったムラサキと相対した人間はムラサキの所作に共振、同調させられることでトランス状態に陥り、ムラサキに刀で斬られたと相手が思ってしまえば、たとえ実際に傷を負っていなくても斬られたという思い込みで心室細動を起こし、死に至ってしまう。
その防ぎようのない技の前にユーキも重症を負い、倒れてしまう。そこにハルトが裕子の刀を持ち、ムラサキの前へ出た。

幻刀を使い襲ってくるムラサキ

ハルトはムラサキの幻刀による認識の歪みに圧されながらも、今まで戦ったことのないタイプの技に楽しさを見出していた。そして、ハルトは幻刀に斬れないものがないのなら、幻刀使いも斬れるのではないかという発想にいたり、斬りかかってきたムラサキの幻刀を白羽取りして奪い取ると、ハルトはムラサキを斬りつけた。斬りつけられたムラサキは地面に倒れ伏した。そして、意識のないムラサキは夢の中で死んだ裕子に会っていた。
ムラサキは母の姿を認めると、本当はハルトが犯人ではないことを知っていたが、両親が殺されたことで怒りに飲まれ暴走した挙句、周囲に八つ当たりをしてしまったことを悔いて涙を流し、裕子に縋った。裕子はそんなムラサキを受け入れつつ「こちらには来てはいけない、生きなさい」と促す。しかし、ムラサキは自責の念から「死んでしまいたい」と裕子に言う。裕子は「死んで責任など取れない、甘えるな」と厳しい言葉をかける。「どこにも逃げられないのか」とムラサキが言うと、裕子はムラサキを安心させるように「大丈夫」と言い、「ムラサキは1人ではない」と続けた。
裕子はムラサキに「どんなに辛くても自身にできる精一杯をしなければならない、だってニンジャなのだから」と激励の言葉をかけてムラサキを見送った。

ムラサキが目を覚ますと、そこにはハルトがいた。ハルトは目を覚ましたムラサキがハルトのことを呼んだことで、ハルトのことを覚えていることに安堵した。それは目を覚ましたユーキが発動した技の影響で脳が焼き切れたために記憶が欠落しており、ハルトのことやムラサキのことを忘れてしまっていたからだった。ムラサキは自分のことを忘れてしまったユーキに抱き着き、涙を流す。ユーキは戸惑いながらもムラサキを慰める。ハルトはユーキにユーキの名前と、ムラサキが妹であることを教えると「もう忘れないからね」とムラサキに言った。

その後、ムラサキはロシアで1年間修業をして1年ほど仙石家で仕事をした後に然るべき場所での隠密の仕事が決まっていた。しかし、ユーキが抜けた空席を埋めるニンジャがいないために、ユーキにより美浜に呼ばれた。ムラサキはユーキは自身に気を使ったのだろうと思っていた。ユーキに自身の代わりにハルトの役に立ってほしいと言われたのだ。
ムラサキからしたらハルトは初恋の人間であり、あのようなことがあった後にどんな顔をして会えばいいのかと考えていた。しかし、ムラサキはハルトへの恋心を抑えられずハルトの元で仕事をすることを選んだ。ユーキが戻ってきた今、ムラサキが「美浜学園にいる理由がなくなったか」とつぶやくと、ムラサキの話を聞いていた有坂がムラサキはユーキの代わりではなくムラサキに出来ることをしていけばいいと励ました。

寮に戻ったムラサキは「ハルトに話がある」と言うが、ハルトに「今はユーキに話があり、探しているから明日でもいいか」と言われる。ハルトは夕食の時にユーキの姿が見えなかったことから「外へ酒を飲みに行っているのだろう」と考え、心あたりを探してみると言って外出した。
ユーキを見つけたハルトは「大事な話があるから来い」と言っていたのに、来なかったユーキを咎めるがユーキは「忘れていた」と答えた。「ユーキは自分の代わりにムラサキを置いて行ったのに、なぜ今更帰ってきたのか」とハルトは聞いた。ユーキはハルトに好意があることからその言葉を聞きたくなくてハルトの話を避けていたのだが、結局言われてしまったことに苦笑いをこぼす。ユーキは「自身はニンジャだからふっと来てフラッといなくなる」と言う。ユーキは「ムラサキの負担になっていることはわかっているから美浜に長居するつもりはない」と続けた。

寮の自室でハルトが就寝していると、ムラサキがハルトの上に跨りハルトを起こした。ムラサキは「日付を越えて明日になったから来た」と言う。ムラサキはハルトに「自身の主になってほしい」と頼むが、ハルトは自身がまだ未熟であることから断った。ムラサキは納得せず、「女子が男子の部屋にやってきた意味を理解しているのか」と聞くが、ハルトはムラサキに「慌てなくていい」となだめ、「今は自分の側にいればいい」と言う。ムラサキはハルトの言葉に、「ハルトは本当に自身を必要としてくれているのか」と不安を口にする。ハルトは「ムラサキは必要であり、不要なら処分している」と言うとムラサキはようやく納得した。
ハルトは明日も早いから寝ろと促すと、ハルトのベッドにそのまま横になった。

どんなに辛いことがあろうとも、悲しいことがあろうとも、ムラサキ自身に出来ることを精いっぱいやればいい、死んでも責任を取ることはできない、それは死に逃げただけの無責任であり、ムラサキは無事に自分が帰ってくるのを待っている人のところへと帰るということだけやればいいのだと納得した。
その後、ユーキは突然美浜学園を去った。ハルトはユーキを見送りに空港にやってきていた。ユーキは「唐突に呼び戻しを食らったために急な出発を余儀なくされた」とハルトに語るが、「それは嘘だろう」とハルトに指摘される。ユーキはムラサキの邪魔になっているのがわかっているから美浜を発とうとしていた。ニンジャは嘘を吐く生き物であり、本当のことを言うのは主に対してだけである。ユーキがハルトに嘘を吐くのは、ユーキが主を待たずにたった1人の妹のために生きることを決めているからだった。ハルトはユーキに「気が向いたら帰っておいで」と声をかけると、ユーキは行きにくくなると怒りながら日本を発った。
そして、顔を出さなかったがムラサキもユーキの見送りに空港にやってきていた。ハルトが「顔を合わせなくてよかったのか」と聞くと、ムラサキは「言葉を交わさなくてもユーキと繋がっているから大丈夫」と言った。

ムラサキの幼い頃には邪魔だとすら思っていたユーキだが、死にかけたあの時に裕子から言われた「ムラサキは1人ではない、振り返って見てみろ」という言葉に従って振り返ればそこにはユーキがいた。それだけで十分で、たとえ死に分かれてもムラサキに後悔はない。「その程度には分かり合えている姉妹なのだと思っていたい」と、日本を発つユーキをムラサキは泣かずに見送った。

『グリザイア:ファントムトリガー』のゲームシステム

壁紙集

PlayStation Vitaのホーム画面とスタート画面用にデザインされた壁紙を収録している。
ゲーム開始時から使用可能な壁紙と、特定のストーリーを読了することで使用可能になる壁紙とがある。

PlayStation Vita専用のコンテンツになっており、PC版およびNintendo Switch版には収録されていない。

ボイスコレクション

ゲーム中に使用されている好みのボイスを登録して、繰り返し聴くことが可能な機能。
ボイスコレクションに登録したボイスは任意の順番で再生することが可能であり、ゲームに使用されているBGMを設定することで、オリジナルのボイスドラマを作ることができる。

PlayStation Vita専用のコンテンツになっており、PC版およびNintendo Switch版には収録されていない。

『グリザイア:ファントムトリガー』の登場人物・キャラクター

主人公

蒼井春人(あおいはると)

右側男性

CV:代永翼(アニメ版)
誕生日9月4日。AB型。

元C.I.R.S.職員で、美浜学園の戦術教導員。レナのマスターの青年。本人曰く年齢は19歳くらい。
青髪で長い髪をしており、顔も中性的であるため少女に間違われることもある。見た目は若いが、実戦経験が豊富。また、元C.I.R.S.職員ということもあり現役C.I.R.S.職員とも交流がある。
性格は「温厚で老人のよう」と言われることもあるが、実際は少々子供っぽいところがある。特に女性からは「ガキ」と言われてしまうこともある。

レナをラスベガスの人身売買のオークションで購入している。レナを初めて見た時にまだ幼い少女が殺し屋として売られている事実に眩暈を覚えていた。
この時、たまたま空いていた席にラッキーと座ったが、その席の落札ボタンが壊れていたため、永遠に提示金額が上がり続けて落札することとなった。この時、レナの定価は32万ドルで、値引きされて25万ドルとなっていたが、最終的にハルトは36万ドルで買うことになってしまった。
ハルトがレナを買った理由は殺すよりも生かすことのできる「装置」が欲しいというものであった。人を殺すのは簡単にできるが、生かすというのは存外難しいものであり、それができる「国防装置」を求めていた。

自身の過去について話すことはほぼない。これはハルト自身の記憶が曖昧なためであり、履歴も真っ白である。本人曰く0歳のうちから現場にいたという。
戦闘については銃が苦手であり、あまりにも当たらないことから「わざと外しているのでは?」という噂が立っている。なので、戦闘においては刀を使用する。使用する刀は日本刀のようであるが作成工程が日本刀とは違うため、厳密には日本刀ではない。
刀の扱いがうまく、45ACP弾(45口径弾)を斬ったことがある。「初速が秒速300メートルを超えるものを斬るのは難しい」と発言した。また、これをやると刀がだめになってしまうからやらないだけで、ハルト以外にもできる人間は存在する。

近接戦を得意とするため、初等部の生徒におこなう講義内容は近接戦ものである。竹槍を安価で壊れても替えがきき、かつ地味な嫌がらせができるものとして戦闘において重要なものであると教えている。

実戦現場では、主に作戦指揮をしているため前線にでることはあまりない。

食への頓着がないため、ほうっておくとサラダしか食べない。
運転免許を所持している。

目隠しに雑音が流れているイヤホンをしたうえで剣道をしていたことがあり、この時見ていた有坂に性別を間違われていた。剣道のあとに一縷に頼まれて有坂に学園の説明をした際に、美浜学園のことやC.I.R.S.のことクソと言い、さらに連呼していた。

レナのマスターであるが故に、レナに激しい好意を持たれていることから教室に入った際にレナによく捕まる。最初は無視を決め込むが、ハルトの匂いに興奮してきて奇行をさらすレナにうっとおしさを感じてきて、アームロックからスリーパーホールド、立ち三角締め、最終的にフロントチョークを決めて投げ飛ばす。

射撃訓練場はうるさくて嫌い。また、髪の毛に火薬の臭いがつくことも嫌っており、そのことを山本に「女子か!」と突っ込まれていた。

有坂が拉致されてしまった際には、野上が有坂救出に対して費用とリスク面を心配するなか、見捨てたことで後悔することを嫌がった。また、この時有坂を死なせるには惜しい善人であると評した。有坂救出作戦ではクリスと共に車内で指揮を担当。しかし、レナが人吉を逃がしてしまったため、ハルトが追いかけた。人吉と対峙した際に人吉からクソガキと罵られ、これに対してクソ大人と返している。
また、世界を腐らせることしかできない大人と若者が人殺しをしなければならないことに対して嫌悪している様子を見せる。
悪人を殺す時には「次は善人に生まれてきてください」と声をかける。

「女の扱いがうまいのは宇川にも責任がある」と言っている。昔セルビア部隊にいた際に宇川が新しい指輪を買ったと見せてきたことがあり、似合うかと聞いてきた宇川にうんとだけ返事を返した。しかし、うんと頷くだけではなく言葉にして似合うと言わなければ女には伝わらないと指摘されたことがあるためである。

恵を山中から捕まえるためにトーカの方まで誘導する際にブギーマンを名乗り、身の毛もよだつ殺気を放ちながら後ろから迫った。

生まれた頃から仙石家と関りがあり、タイガが生まれた時も仙石家にいた。タイガの乳母たちでもタイガを泣き止ませられないときはタイガの抱っこ係をしていた。抱っこ係というが、実際は相談事や迷ってしまったときに側にいるような役目であり、兄のようなもの。
タイガ救出のために突入した時にムラサキに手渡されたスモークグレネードを投げろと言われたためにテロリストの頭に投げつけて倒した。本来の使い方と違うことをムラサキに指摘されるが「タダの人斬りだからわからないよ」と言った。この時グレネードのピンすら取っていなかった。(ピンを取って投げないとスモークが出ない)

クリスが不在の間は睡眠や食事を管理する人がいないために風呂すらまともにしていなかった。

ハルトの師匠が刀を扱っていたために、1人前になるために剣術とムラサキたちのニンジャの隠れ里に伝わる秘伝の技を求めてユーキについていきムラサキの父貞時から認められようとしていた。

『グリザイアの果実』主人公・風見雄二を師匠と呼び、風見流スーパー護身術を使う場面がある。

ヒロイン

深見玲奈(ふかみれな)

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