ハンニバル(映画)のネタバレ解説・考察まとめ

『ハンニバル』とは、2001年の米英伊合作によるサイコ・スリラー映画である。原作はトマス・ハリスの同名小説で、大ヒット作『羊たちの沈黙』の続編に当たる。監督はリドリー・スコットが務め、主人公レクター役は前作から引き続きアンソニー・ホプキンスが担当した。元精神科医で狂気の連続殺人鬼「ハンニバル・レクター博士」を巡る、極めて猟奇的な物語。FBI捜査官クラリスは彼を追うのだが、その先には身も凍る恐ろしい惨劇が待っていた。息を飲むスリリングな展開と、絵画のような映像によるコントラストは必見である。

フィレンツェは、イタリア共和国の中部に位置するトスカーナ州の州都である。14世紀後半に起こったルネサンス運動の文化的中心地として栄え、当時の面影が街のそこかしこに色濃く残る美しい観光地だ。
レナルド・パッツィは、ここフィレンツェで刑事として職務に当たるしがない中年男である。カッポーニ宮にある文書室の司書をしていた男が行方不明となり、その捜査の一環で外国人のフェルという人物に会いに来ていた。
カッポーニ宮とは、14~15世紀ルネサンス文化運動の際に、フィレンツェ共和国の有力領主カッポーニ家によって建築された建物である。現在は19世紀になって2つの建物をひとつにまとめる改築が為され、ネオ・ルネサンス様式と呼ばれる建物になっている。歴史的建造物として保護されているものの、一部は賃貸アパートなどの施設として今でも普通に利用されている。地震などの天災が少ないうえ、頑丈な石造りであるため、ヨーロッパにおける古い建築物の扱いとしてはそれほど珍しいことではない。

そのフェル博士は、空席となった司書の後任候補としてやってきた男で、今のところ仮雇いの身分である。中世ルネサンス文化、特にダンテの専門家であり学者だという。この時すでに前任者の部屋に寝泊りしながら、遺品の整理と管理も任されていた。遺書やメモの類は見つかっていないが、周囲は自殺とみていた。また、長らく空席にしておける役職では無いこともあり、すでに後任人事が始まっているのだ。一方で警察の捜査は、地味ながらまだ続いていた。
パッツィは、司書の後任を決める会議が終わるのを待った。話し合いは難航したが、後日フェル博士がダンテに関する講演を行ったうえで、複数の専門家を交え最終的な判断をするということに決着したようだ。

洒落た黒いスーツにオフホワイトのパナマハットを合わせた初老の紳士に「フェル博士ですか?」とパッツィは声を掛け、振り向いたその男に身分と職業を伝え、名を名乗ると「コメンダトーレ(勲位保有者)の?私に何かご用ですか?」と、フェル博士は答えた。
知性と教養を感じさせる優雅な身のこなし、穏やかな口調、そして印象的な青い瞳。フェル博士は、紛れも無くハンニバル・レクターであった。しかし、ここイタリアではアメリカで起きた猟奇殺人犯の顔を詳細に知る者など、ほぼゼロと言っていいだろう。そのためレクターは、大胆不敵なことに一切の変装をせず、そのままの姿でフェルと名乗り学者に成りすましているのだ。

経験豊富な刑事であるパッツィも、目の前の男がまさかあのレクターだとは気付いていない。元司書の遺品や、カッポーニ文庫から何か見つかったら知らせるよう依頼しただけで、すぐに立ち去ろうとした。
しかし、レクターはパッツィを呼び止める。「以前は連続殺人事件を扱っていましたよね?新聞記事で読みました。なぜこんな地味な事件を?何か理由があるのですか?」と、パッツィが嫌がるような事をあえて言葉にした。おそらく、彼を探っているのだ。パッツィは実際にその殺人事件に関わる中で失態を犯し、第一線の捜査から外されていた。その失態の内容は不明だが、若く美しい妻アレグラを娶り、彼女に金が掛かるため常に金欠だと周囲にこぼしている。もしかすると、その辺りの事情かもしれない。ともかくその件以降、パッツィは職務に身が入らない様子である。
案の定、不愉快そのものと言える表情を浮べたパッツィはそれには答えず「司書の遺品などはまだありますか?」と、詰め寄るように聞き返す。「もちろん、私が整理してリストにまとめてありますよ」と、レクターは答えた。それを聞き、パッツィはうろうろと視線をレクターから外しながら「そうですか。それではまた誰かに取りに来させます」と言って表情を崩した。レクター自身に対する興味は無さそうな態度である。しかし、立ち去るパッツィの背中を、レクターは注意深く観察するような目で見送っていた。

レクター博士からの手紙

クラリスの元に古風な手紙が届けられる。

クラリスの捜査室は暗い地下室にあり、証拠や手掛かりを検証するための機材が所狭しと置かれている。その捜査室に、束になったいくつもの郵便物が届けられる。FBIが各所に呼びかけ、情報提供を募っているのだろう。だが、そのほとんどは冷やかし半分のものや、無用な情報ばかりであった。
あまり期待もせず、クラリスはその郵便物をひとつずつ確認してゆく。そして、ある封筒を手にするなり、目を見開きピタリと動きを止めた。美しい純白の封筒に「クラリスへ」と記された見覚えのある筆跡。封蝋(ふうろう)と呼ばれる蝋により封がなされており、古式ゆかしい習慣を好む人物からの便りだと思われた。
高鳴る鼓動を抑えつつ、クラリスは慎重の上に慎重を重ねるように最大限の配慮をしながら、その郵便物を開封する。それは思った通り、レクターからの手紙であった。
その内容は、まずフィッシュマーケットの件でクラリスの置かれた状況に対する同情と慰めに始まり、それらが政治的思惑やマスコミによる短絡的で一方的な見方に起因する魔女狩りのようなものであること。FBIが指定する10人の凶悪犯リストにレクターが加えられたこと。そしてその担当捜査官にクラリスが就任したことなどにも触れられていた。
続けて「そろそろ社会復帰を考えている」と記しており、これまで鳴りを潜めていたレクターだったが、おそらく犯行を再開するという暗示だと思われる。まさか精神医学や、その他の分野で社会貢献するなどと言う話では無いだろう。

鑑識官の見解では、封筒や便箋そしてインクに至るまで全てがありふれた品物であり、世界中の文具店で入手可能なものであるということだった。また、消印についても転送サービス会社を経由しており、手掛かりにはならなかった。

しかし、クラリスはこう考える。あのレクターが何ら手掛かりを残さず、こんな手の込んだ便りを寄越すはずが無いと。これも彼のお遊びであり、謎かけなのだ。そして、念入りに封筒と便箋を調べてゆくうち、クラリスは微かではあるが特徴的な香りを感じ取る。しかし、それが何なのか彼女には特定できなかった。
すぐさま、香りの専門家である調香師に分析を依頼する。すると、その成分は主に竜涎香(りゅうぜんこう)が使われており、テネシー・ラベンダー、そして微かに羊毛の香りの混ざった「ハンドクリーム」であるとの結果が得られた。

竜涎香はマッコウクジラの結石から取れる香料で、捕鯨が行われている日本と北欧で入手できるが、かなり貴重なものである。そうしたハンドクリームはそれらの国々と、その他にフランスやイタリアにある一部の専門店で特別に調合され売られている品である。調香師はそう言い切り、リストにするとしても数は少ないと付け足した。
これは有効な手掛かりになり得ると考えたクラリスは、そのような調合を行っている専門店(主にヨーロッパ地域)の監視カメラ映像を取り寄せ始めるのだった。

国際指名手配犯ハンニバル・レクター

パッツィ刑事はフェルことレクター博士の正体を知る。

一方フィレンツェのパッツィは、同僚のフランコ・ベネッティ刑事がダビング(テープのコピー作成作業)している様子を何気なく見ていたが、そこに写ったある人物に引っ掛かる。どこかで見たことのあるその風貌は、先日会ったフェル博士ではないかと思い当たった。
ベネッティに尋ねると、アメリカFBIからの要請で「高級化粧品を扱う専門店に設置された、監視カメラ映像を送るよう」依頼されたと言う。FBIは詳細について伏せており、聞いても教えてくれなかったらしい。

パッツィはまだその人物がレクターだとは知らなかったが、刑事としての勘が働いたのだろう。その足ですぐにフェル博士の元へ向かった。そして、距離を置き彼を観察し始める。フェルは、カフェレストランのような場所に立ち寄りワインを注文する。その際、持参した布ナプキンで包み込むようにステム(ワイングラスの脚)を持ち、飲み終えると今度はその布を使ってリム(飲み口部分)も拭き取っていた。その仕草は優雅でさりげないもので、ただ単に「神経質」なだけかもしれないが、指紋やDNAを残さないための慎重な行動にも見える。

帰宅したパッツィは、若く美しい妻アレグラにオペラのチケットが取れたことなどを話しながら、自身のパソコンを使いFBIのデータベースにアクセスした。警察関係者であるため、イタリア当局のサーバー経由で海外の犯罪者情報を閲覧できるのだろう。手にした封筒には「FBIスターリング捜査官宛て」と記されており、おそらくベネッティを言いくるめて送信する前の郵便物を奪い取ったのだ。中身は例の化粧品店の監視映像テープである。パッツィはこの情報を、個人的にFBIに売ろうとしているのか、あるいはもっと高額で買い取る相手を探すつもりなのかもしれない。
ともかく、アクセスの制限が掛けられたデータベースには、国際的に指名手配をされている10人の凶悪犯に関する情報が掲載されていた。その中にひとり、フィル博士にそっくりな人物の写真を見つけ、パッツィの手が止まる。それは、15年ほど前に連続殺人犯として逮捕・収監されたが、7年前に3人を殺害して脱走した元精神科医のハンニバル・レクターの記録であった。

さらに調べると「レクターの確実な居場所に関する情報提供者に、懸賞金300万ドル(約3億3700万円)を進呈」と書かれた怪しいホームページにたどり着く。FBIがレクターに懸けた賞金25万ドル(約2800万円)と比較すると、そのページは冗談に見えるほど破格の金額を提示していたのだ。

しかしダメで元々と考えたパッツィは、この一攫千金のチャンスに飛び付いた。興奮を隠せず、タバコを持つ手は小刻みに震える。そして、画面に記された電話番号を控え、公衆電話から連絡を取った。だが、相手先は「現在使われておりません」と、機械的な音声を流すのみである。やはりイタズラなのかと思い、大して落胆もせずパッツィは電話を切る。
ところが、すぐにその公衆電話はけたたましいベルを鳴らし、返信があることを知らせる。周囲を気にしつつ、パッツィは受話器を取り「レクターの情報がある」と言うと、男の声で「まず警察に連絡するのをお勧めします」との返答があった。さらに話を進めると「弁護士を紹介します。電話番号は……」と案内があり、パッツィはその番号に掛け直す。すると今度は音声ガイダンスが流れ始め、情報に対する報酬とその条件についての説明であった。ヨーロッパ中に情報を募っているらしく、フランス語やスペイン語での案内も聞けるようだ。
まず前金10万ドルを支払うとあり、重要な条件として「DNAや指紋などの物的証拠の提出」が求められ、情報が確かであればスイス銀行に報酬の全額が送金されるという。これを聞いたパッツィは本物に違いないとの確信を持ち、証拠を手に入れるため動き出すのであった。

証拠を手に入れろ

レクター(右)とすれ違うニョッコ(左)

失踪した司書の私物を取りに来たという名目で、パッツィはレクターの住むカッポーニ宮を訪れる。なんとかして、レクターの指紋なりDNAの付着したものを入手するのが目的である。
ところがレクターは、唐突にパッツィの先祖について話を始める。500年前に有力貴族であったパッツィ家のフランチェスコという人物が、対立する貴族を暗殺しようとした罪で捕らえられヴェッキオ宮殿で処刑された時の話だ。ヴェッキオ宮殿は、すぐ近くを流れるアルノ川を渡った先にあり、13世紀頃に建てられた砦のような宮殿である。その先祖は首を縛られたうえ、宮殿のバルコニーから吊るされた。その際、腹を割かれており内蔵が飛び出していたという。
「この街でパッツィを名乗るのは、気が引けませんか?」と、レクターが尋ねるとパッツィは、その問いかけに対し軽く否定したうえで「覚えている限り、この話をしたのはあなただけだ」と返す。するとレクターは「人は考えを言葉にしない。ただ、あなたの出世を邪魔するのみだ」と言う。
レクターのあまりに率直な物言いにパッツィは黙ってしまい、顔を引きつらせた。もしかすると過去に、何の脈絡も無く嫌がらせを受けた経験があるのかもしれない。ともかく、パッツィはレクターに手伝ってもらい、元司書だった男の荷物を運ぶ。しかし、それはとても重いスーツケースだったうえに部屋の内外はとても寒かったため、レクターは手袋を履いて作業をした。これでは把手から指紋を採取するのは不可能である。かと言って、彼の私物を盗もうにも油断なく気が配られており、その隙はついに見つけられなかった。

パッツィが次に立てた計画は、誰か別の人間を差し向けることだった。パッツィ自身がレクターに近付き、証拠を手に入れるために動けば、その意図を気取られる可能性があるからだ。
パッツィは、以前に逮捕したことのあるスリの常習者ニョッコを雇う。そして、露店で購入した銀の腕輪をニョッコに装着させ「レクターに近付き、腕輪を掴ませろ」と指示する。わざとスリに遭ったと気付かせ、腕輪に彼の指紋を付ける作戦だ。「失敗すればまたムショに送り込んでやるぞ」とパッツィが脅すと、ニョッコは「俺はプロだぜ?任せろ」と言って、その仕事を引き受けた。

雑踏の中、ニョッコはレクターの指紋入手に成功する。だがパッツィが近寄ると、ニョッコは力なく崩れ落ちてしまう。「タマを潰されかけたが、よけてやったぜ」と、笑みを浮べるがニョッコは太ももの付け根(大腿動脈)を切られており、鮮血が吹き出していた。パッツィは「しっかりしろ」と言いながら、その吹き出す血を押さえているニョッコの手を取った。しかしそれは、彼を心配するあまりに取った行動というより、傷口を露出させて出血を促す行為だった。ニョッコは「やめろ、触るな」と訴え、わずかに抵抗するがすぐに力尽き動かなくなった。パッツィは、絶命したニョッコをその場に置き去りにしたまま立ち去る。

レクターの指紋が付着した銀の腕輪はすぐにヴァージャーの元へ届けられ、専門家の鑑定により一致が認められる。パッツィの情報提供により、ついにヴァージャーはレクターの潜伏先を突き止めることに成功したのだ。

動き出した計画

ヴェッキオ宮殿のバルコニーから吊るされたパッツィ刑事

ヴァージャーは、サルディーニャ島にいる配下のカルロに連絡を取った。イタリア半島西方の地中海に位置し、領内ではシチリアに次いで2番目に大きい島だ。この風光明媚な美しい島で、周到に準備された恐ろしい計画が動き出す。ヴァージャーはカルロに依頼し日本名「モリイノシシ」と呼ばれる巨大な豚のような動物を10頭ほど飼育させていたのだ。いわゆる「うり坊」の頃より、録音された「男の叫び声」を聞かせられ、それをきっかけに食欲が刺激されて興奮するよう育てられた。モリイノシシは丈夫な歯と牙を持ち、雑食であるが死肉を好むと言われる。この特殊な育ち方により、いっそう獰猛(どうもう)になり人間を襲って食料とするよう仕込まれた。
カルロはヴァージャーに向け、デモンストレーションを行う。人形に餌を取り付けたものを囲いの中に固定し、「絶叫音声」を流す。そこへモリイノシシを放つのだ。すると彼らは一斉に人形に群がり、餌を貪り始めた。もしこの人形が生きた人間であれば、その苦痛や恐怖は筆舌に尽くしがたいだろう。

一方でクラリスも調査を進め、少しずつではあるがレクターに近付いていた。犯罪者データベース、特にレクターのページへの閲覧履歴を解析したクラリスは、あるIPアドレスからのアクセスが集中しているのに気が付く。「博士、あなたなの?」とつぶやき、クラリスはさらに分析を進めた。
化粧品店の監視カメラ映像、しかもある地域のものだけがいつまでも届かず、クラリスはフィレンツェ警察に電話を掛けベネッティ刑事に送り直して欲しいと訴えた。そして、ようやく送られたその映像を検証する中、クラリスはついにレクターの姿を発見する。その後IPアドレスの解析が進み、どうやら場所はフィレンツェらしいということで、例の化粧品店とも繋がった。
フィレンツェ警察のパッツィに電話を掛けたクラリスは、レクターの潜伏先である可能性が高い事や彼がいかに凶悪で狡猾な人物か愉し、彼に近付くのは危険だと警告する。彼女はレクターに関する情報提供に懸けられた賞金の事も、それがヴァージャーによる手配であることも承知しているのだ。初めとぼけていたパッツィだったが、自宅PCからのIPアドレスがレクターの情報を閲覧していた件を指摘されると、話の途中で通話を切ってしまう。

パッツィはここまで全て順調に事が運んでいると考え、レクターには感付かれていないと信じていた。ベテランの刑事とはいえ大金に目が眩んでいるのか、それともレクターを出し抜く強い自信があるのだろうか。もはや、後戻りなど出来るはずも無いパッツィであった。

その後、パッツィはヴェッキオ宮殿に足を運ぶ。フェル博士ことレクターが、ダンテの講義を行っているのだ。情報提供後、ヴァージャーの配下から「あなたの関与はここまでにするほうが良い」と言われたパッツィだったが、彼は「最後まで見届けさせてくれ」と答えている。それは単に刑事としての好奇心なのか、それとも金のためとはいえ仕事をきっちり終わらせたいというプロ意識なのかは分からない。度重なる警告を無視したパッツィは、さらにレクターに接近するのだった。もしかすると、危険だという強い警告にプライドが刺激されたのかもしれなかった。

ヴァージャーの配下であるカルロ一味もすでにフィレンツェに到着しており、パッツィと合流していた。講義を終えたレクターが、ひとりになったところを捕らえる手はずなのだ。パッツィは講義の様子を後方の目立たない場所から観察するつもりだったが、そこへ思いがけず携帯電話の着信音が鳴る。それは、アメリカに居るクラリスからの連絡であった。ようやくパッツィ個人の番号を突き止め、連絡を取ってきたのだ。
ほとんど会話もしないまますぐに切ったが、その着信音によってレクターに存在を知られたパッツィは、彼に促されるまま止む無く着席して講義を聴くことにした。これまで何度かの接触で、パッツィとレクターは顔見知りとなっていた。先日もオペラを観劇した際、レクターも偶然ながら同席しており、その場の流れで妻アレグラに引き合わせてもいるのだ。何らかの別用があるとしても、パッツィがこの講義の席に現れても不思議ではなかった。

レクターは、あるダンテの作品について触れる中で「中世において強欲の罰は首くくりと決められていました」と語った。「強欲、首くくり、そして自滅」と続け、そんな運命を辿った人物の言葉を流暢な古代の言語(おそらくラテン語)で紹介する。そして最後に「私は我が家を絞首台にしてしまった」と、その罪人による悔恨の言葉で締めくくった。
レクターは専門家を交えた聴衆の喝采を受け、講義は大成功のうちに幕を閉じる。聴衆が引き上げると、会場はパッツィとレクターふたりだけの空間となった。お祝いの言葉を述べるパッツィに対し、レクターは彼にある絵を見せる。それは、先日カッポーニ宮で話題に出したパッツィの先祖で、敵対する貴族を暗殺した罪で絞首刑に処せられた男の絵だった。男は窓から放り出され、臓物を垂らした状態で吊るされていた。そして、まさにこの会場こそ刑が執行されたヴェッキオ宮殿であったのだ。
レクターはすでにパッツィの策謀を看破しており、その背後にヴァージャーが居ることも分かっていた。先祖の惨たらしい最期を描いた絵を見つめるパッツィに対し「私は本気で考えているんだ。君の奥さんをどうやって食べるか」と告げ、レクターはハンカチに染み込ませた麻酔薬で、驚き戦慄する彼を眠らせる。どうやら捕らえるチャンスを探っていたのは、パッツィだけでは無かったのだ。

パッツィを拘束したレクターは、階段運搬機に彼を載せて階上まで運んだ。窓のそばまで到達する頃、すでにパッツィは目覚めていたが口元もテープで塞がれており、話すことも出来ず呻くのがやっとだった。レクターは彼を尋問するが、まばたきの回数によってイエスかノーだけで答えさせる。そこへ、パッツィの携帯電話が再び着信を知らせる。レクターはそれを取り、相手がクラリスだと知ると親しげに話し始める。手紙とハンドクリームの件を持ち出し「楽しんでもらえたかな?」と問いかけるが、「今はタイミングが悪くてね。いずれまた」と、一方的に通話を切った。
そしてパッツィをバルコニーに移動させると、「はらわたを垂らすのが良いか、垂らさないのか」という残酷な質問を投げかける。当然、言葉を発することも出来ず呻くパッツィに対し「自分では決められないか」と言いながら、レクターは鋭利な刃物で腹を裂いて彼を窓から突き落とす。
パッツィの身体は外に投げ出され、首吊りの状態でバルコニーにぶら下がった。その様子は、広場を訪れていた多くの観光客が目撃することになる。すでに陽が落ちた薄明りの中、パッツィははらわたを垂らし、自身の先祖と同じ姿で死んだのである。
その光景を目にして、最も驚き慌てたのは屋外でパッツィからの知らせを待っていたカルロたちである。急ぎ、ヴェッキオ宮殿に向かいレクターを捕らえようと駆け出した。ヴァージャーの指示は「生け捕り」であったが、カルロは「場合によってはぶっ殺せ」と手下のマッテーオとピエロに命令した。しかし、マッテーオはレクターによって喉を切りつけられて殺されてしまう。そのままレクターは行方を晦まし、カルロたちはやっとの思いで見つけ出した彼の捕縛に失敗してしまったのである。
観光客が撮影したのであろうか、パッツィ殺害の映像はニュースとして放映される。暗闇にうっすらと不気味に浮かび上がる、殺人鬼レクターの様子は世界中に知れ渡ることとなった。
クラリスは捜査室でひとり、複雑な思いでそのニュース映像を見つめる。一方では畏敬の念を抱く男の、真の姿をまざまざと見せつけられたのだ。人として捜査官として怒りと憎しみが湧き上がり、なんとかして彼を捕らえなければとの決意を新たにする。
そして、ヴァージャーも同じ映像を見ながら主治医のコーデルに話し掛ける。暗闇で軽く手を挙げたレクターの所作について「あれはバイバイと言っているのか、それともハローだろうか?」
そんなヴァージャーの問いかけに、コーデルは何も答えようがなかった。

キツネ狩り

広大な敷地に佇むヴァージャー邸

周到に計画されたヴァージャーの企みは頓挫した。レクターを捕らえるどころか、情報提供者であったパッツィ刑事そして手下のひとりを失い、それは散々な結果となったのだ。だが、ヴァージャーは諦めない。少なくともレクターは生きており、どこかに存在している。
どうにかして彼をあぶり出す方法は無いか。ヴァージャーは、さらなる手を打つべく動き出す。まず彼は、クラリスとレクターの関係性に注目する。なぜレクターはクラリスを殺さないのか。そして、レクターの心理になって思考すると、見えてくるのはクラリスの価値である。レクターは、彼女のどこに魅力を感じているのか。女性としての美しさは、もちろんあるだろう。だがそのうえでさらに、ひたむきで高潔な人格と倫理観を持つクラリスの、悲しみや苦しむ姿がたまらないのだ。仮に、クラリスが不当に虐げられたとしたら、レクターは興味を示すに違いない。ヴァージャーはこう考えた。
「キツネはウサギの悲鳴を聞いて飛んで来るが、その目的は助けるためではない」ヴァージャーはそう言うが、聞いているコーデルにはピンとこなかった。コーデルにとってそこまで関心が無いうえ、心地よい話題でもないからだ。コーデルとしては、単に機会が無かっただけでレクターはクラリスを殺すか食うだろう、それはクラリスでなくても別に誰でも良いのだろう、くらいに考えていたのだ。

そのような考え方は、司法省のポール・クレンドラーも同様であった。今や彼は金のため、ヴァージャーの手先と言ってよいくらいの働きをしていた。だが、ヴァージャーの指示を聞いても何がしたいのか、当初は分からなかった。
「君は理解する必要はない」としたうえで、ヴァージャーはある陰謀を画策していた。それは、レクターからクラリスに宛てられた「ラブレター」を、彼女が証拠品であるにもかかわらず隠匿しているという話をでっち上げることだった。もちろん、そんな事実は存在せず、内容は全てヴァージャーが考案して自ら執筆したものである。
フィッシュマーケットの件でクラリスに手を差し伸べ、利用するつもりだったヴァージャーだったが、レクターの捕獲に失敗したため方針転換したのだ。今度はクラリスを餌に、レクターをおびき出す策謀なのである。そして、クレンドラーの工作によって事は運び、クラリスは追い詰められる。FBIの査問に掛けられることになり、彼女は停職処分となって銃と身分証を取り上げられてしまう。当然、彼女は抵抗したが聞き入れてもらえず「筆跡鑑定を行い、これが偽物と判ればすぐに復職させてやる。だが、余計な行動を起こせばそれも叶わない。慎むように」と、上層部から念を押された。
この件はニュースでも報じられ、司法省のスポークスマンであるクレンドラーはインタビューでクラリスをかばう様な発言をする。しかし、世間にはそれで通るとしてもレクターに対しては明らかなるメッセージであった。ラブレターの件は本人が書いていないのだから偽りなのは当然分かるとして、クレンドラーが暗躍しなければFBI上層部もここまで簡単に騙されないだろう。そして、レクターにしてみればこのような茶番に自らが利用された事も、はなはだ不愉快に感じたに違いない。
ヴァージャーがそこまで計算したのか定かではないが、アメリカに入国したレクターはまずはクレンドラーを狙うべく動き始めた。彼の自宅に侵入し、郵便物などを物色する。そして、クレンドラーが別荘地での休暇旅行を計画していることを知る。それに合わせる形で、レクターも彼なりにクレンドラーを「もてなす」準備をする。そう、レクターの「趣向」でもてなすのだ。
必要なものを調達すると、今度はゲストを招く準備にも取り掛かった。FBIから停職を命じられ、思いがけず不当な扱いを受けたクラリスのことである。ライフワークとも言える大好きな仕事をさせてもらえず、クラリスは暇を持て余していた。旅行や趣味に勤しむ気分になどなれるわけもなく、久しぶりに自宅の片付けや掃除などをして過ごす。そして、レクターとの録音テープを肴に、ひとりで酒を飲んで眠りこけていた。
そんな彼女の元へ、レクターは音も立てず現れる。飲み残した酒のグラスを静かに動かし、クラリスの長い髪に触れる。
やがて朝になり、クラリスは電話のベルで起こされる。部屋の様子が、明らかに違っていることはすぐに分かった。殺風景だったテーブルは、燭台やファッション雑誌で美しく演出されていた。ハイセンスなドレスを着たモデルの頭部には、新聞の切り抜きだろうか、クラリスの顔写真が貼られている。この演出も含め、これはレクターからの招待状であろう。
レクターは携帯電話のバッテリーに細工したのか、クラリスに指示して充電器にあるものと交換させる。別の電話で逆探知の連絡を入れさせない為であろうか。その後、車に乗るよう促す。クラリスはイヤホンを装着し、その電話をつないだまま車を発車させた。その後を、怪しいワンボックスカーが追尾してくる。すぐにクラリスは気付いたが、それはレクターでは無くヴァージャーの手下カルロであった。
レクターは別の場所に居て、やはり車の中から電話でクラリスに指示を出していた。道順を示し、誘導する。最終的にワシントンD.C.にあるユニオン駅駐車場に停車させ、駅構内の施設に向かわせる。ユニオン駅とは、複数の鉄道会社が共同で乗り入れるために使用する鉄道駅を総称する呼び名である。シカゴやカンザスシティなど、複数のユニオン駅が存在する。

会話を続けながら、レクターもクラリスと同じ商業施設に入ってゆく。中は大勢の買い物客でごった返しており、ストリートミュージシャンの奏でるトランペットの音色や、イベント会場のバンド演奏も聞こえてくる。電話口から伝わる、そんな雑踏の音からクラリスはレクターの位置を探ろうとしていた。しかし、ヴァージャーの手下らしきふたりの男はすぐに発見できたが、レクターは一向に姿を見せない。
「私には尾行が付いてる。ヴァージャーよ」と、クラリスは警告する。だがレクターはそれを承知しており、彼らがウサギを餌にしたキツネ狩りをしていることも、自らがそのキツネだということも分かっている。そのうえでレクターは「君にとってはジレンマだろう。私を探し出せば、彼らに差し出すことになってしまうからな」と、むしろクラリスを気遣う。
クラリスは単独でレクターを捕縛し、さらにヴァージャーの手下を捕らえようと考えているがかなり困難な状況である。「血の海になるぞ?フィッシュマーケットの二の舞だ」と、レクターは言う。そしてFBI上層部が行った彼女への仕打ちを挙げ、「私が彼らを痛めつけてやろうか?」と、おそらくヴァージャーの手下たちのことも含めた報復を提案する。しかし、レクターはすぐに「君は反対に苦しむだろうな。完璧な善悪の観念と倫理観を持っているからね。汚れ切った彼らは、そんな君が妬ましいのだ」と、前言撤回をクラリスに告げた。そして「すぐ近くにいるよ。手掛かりはこれくらいでいいだろう。あとはひとりでやるんだ」と言い残す。実際にレクターはこの時、メリーゴーラウンドの動きを利用してクラリスの髪に触れるのだが、その様子はクラリスを注視していたカルロも目にすることになる。アメリカ都市部の雑踏に紛れるため、一般的な老人に見えるラフな服装に帽子とサングラスで変装していたが、彼らはそれをレクターだと見抜いた。普通の状況ならば、気付かれないようさりげなく女性の髪に触れようとする老人など居ない。
一方のクラリスは、怪しい場所を見つける。バッグの中で銃を手にしつつ、その写真撮影サービスの小部屋に近付いてゆく。コインを入れて個人撮影するためのボックスだ。そして、一気に間仕切りカーテンを開けると、そこには洒落たハイヒールが置かれていた。レクターはそのタイミングで「プレゼントだよ。気に入ってくれるといいんだが。バーイ」と告げて通話を終わらせた。心理分析と誘導によって、完璧にクラリスの行動を予測し準備をしていたようだ。

ユニオン駅を出た直後、レクターはスタンガンによってショックを与えられ、カルロたちに連れ去られた。その様子を目の当たりにし、クラリスは彼らの車に銃を向けるが、人混みの中での発砲は不可能であった。
FBIとD.C.警察に通報したクラリスは、その現場でピアソール捜査官と会う。当初のうち彼は、クラリスの虚言ではないかと疑う。なぜなら、政界や司法省と通じ合った大富豪ヴァージャーの仕業などと言うからだ。「ヒステリー状態ではないか」と言う彼の懸念を、クラリスは明確に否定する。ピアソールはそんな彼女をよく知っており、常と変わらず冷静な態度でもあることからクラリスを信じた。
「誘拐事件と捉え、ヴァージャー邸を任意ということで捜索してみよう。状況証拠だけでは令状は取れないからな」と言うピアソールにクラリスは同行を求めたが、停職中の彼女にそれは許可できない。「家に帰ってろ」と強く念を押され、クラリスは反論を諦めた。

大勢の警官と捜査官が敷地と邸宅を調べたが、ヴァージャー邸からは何も出なかった。ピアソールはクラリス宅にその連絡をしたが、留守番電話になっており彼女は出なかった。「君は停職中だ。行動は慎むように」とあらためて警告し、「トイレに行っているのだと理解しておこう」と言って通話を切った。
その頃すでにクラリスは、車を走らせヴァージャー邸に到着していた。正面ゲートではなく、広大な農場などがある側のゲートを破壊して敷地に侵入したのである。邸宅ではレクターが、車輪の付いた台車に拘束されたうえ乗せられており、それをカルロが押してどこかに移送中であった。
FBIと警察の人間が帰ったのち、ヴァージャーの指示により捕縛したあと監禁・待機させていたレクターを連れて来させたのだ。つまり、家宅捜索があるのも折り込み済みの計画だということであろう。そこへ男の声が響く。「ヒュロコエルス・メイネルツハゲニ」モリイノシシの英名である。ヴァージャーは器用に電動車椅子を操りながら、レクターに近付きそして「生物の授業で習っただろ?」と言った。
どうやら、そのモリイノシシの晩餐会にレクターを招待するらしい。ただし、食材はレクターの方だと言う。始め両足を「オードヴル」として食したのち、メインディッシュはその7時間後に振る舞われる。その間、食材であるレクターには「コクのある」点滴が投与され、生かしておくようだ。ひと思いに殺さず長時間、恐怖と苦痛を与え続けたいようである。

「どうだ、悔しいだろう」と言いたげなヴァージャーに対し、レクターは「今の君のほうが好きだよ」と笑顔を見せた。顔面が完全に崩壊しているヴァージャーである。彼が、どのような表情をしたのか分かりにくいが、レクターの言葉には返答せず「ディナーは午後8時からだ」とだけ告げ、ヴァージャーは奥の部屋へと消えた。

恐怖の晩餐会

モリイノシシはレクター博士を素通りしてゆく。

長い間、待ちわび続けた晩餐会を前に、ヴァージャーは正装に着替えてめかし込む。その際、着替えの世話をしているコーデルに「お前もこの晩餐会を見物したいだろう?」と得意げに尋ねた。するとコーデルは「お許しいただけるなら、遠慮させて下さい」と答えた。実際のところ、コーデルは主人の異常性と傲慢(ごうまん)な人格にうんざりしているのだ。長い間、仕事として彼に仕えてきたが、どんな人間にも限度というものがある。もちろん、ヴァージャーがそれを許すはずも無かった。
広大な農場の一角にある、大きな古い納屋を改造した倉庫にレクターは運び入れられる。サルディーニャ島から空輸された10頭のモリイノシシもすでに到着しており、けたたましい鳴き声を上げていた。レクターを運んだワンボックスカーは邸宅へ取って返し、車椅子のヴァージャーとコーデルを搬送する。カルロとピエロは倉庫に残り、モリイノシシをレクターに襲わせる準備を始めた。
そこへ、慎重に音を立てない様にクラリスが侵入する。離れた場所からワンボックスカーを確認したあと、この倉庫にレクターが監禁されていると確信してやって来たのだ。その手には、個人的に用意した銃を携えている。職務外であるうえ、無許可の銃所持は違法である。

「FBIよ!手を挙げなさい!」クラリスが大声で警告すると、カルロとピエロは不意を突かれて驚いていた。しかし「いい女だぜ」と言いながら、カルロは華奢(きゃしゃ)で小柄なクラリスを見て、舐めてかかったのか「ピエロ、撃ち殺せ!」と叫ぶ。急ぎ銃を構えたカルロは、一瞬にしてクラリスの放った銃弾に倒れ、死亡したか意識を失った。ほぼ同時にピエロにも命中させたが、これは致命傷とはならなかった。そのままピエロは倒れ込み、うめき声を上げ始める。おそらく、戦闘力は完全に喪失しており今の時点で障害は排除されたとクラリスは考え、それ以上の銃撃は控えて次の行動に移った。

すぐさま、クラリスはレクターの拘束を解き始める。だが彼女は気付いていないが、ヴァージャーを連れて戻った運転手の男が上からクラリスを銃で狙っていたのだ。銃撃戦の最中、傍観者だったレクターは男の存在を察知しており「私の背後だ」と、クラリスに彼の位置を告げて危険を知らせた。数発の銃弾が飛び交い、男はクラリスに撃たれて絶命した。しかし、クラリスも肩を撃たれて昏倒する。その間にレクターは自ら拘束を解き、クラリスから銃を奪ったうえで彼女を抱きかかえた。そこへ、ゲートを破ったモリイノシシたちが乱入する。彼らは静かに立っているレクターには見向きもせず、逃げ出そうともがいていたピエロそして血を流して動かないカルロに群がった。ふたりは、食欲旺盛で獰猛(どうもう)に飼育されたモリイノシシの食料となったのだ。

慌てたのはヴァージャーである。コーデルを伴い、車椅子で見物席(階上にある)に到着したがすでに時遅く、レクターを葬るはずの処刑場は意図するものとは違う形で修羅場と化していた。
ヴァージャーはひどく動揺し、「コーデル、下に落ちている銃を取ってレクターを撃ち殺せ!」と声高に叫んだ。しかしコーデルは「私にあの中に入れと言うのですか?」と言い、激しく躊躇(ちゅうちょ)する。
「コーデル。そいつを車椅子ごと突き落とせ。私がやったと言えばいい」レクターが示したこの恐ろしい提案に対し、コーデルは一瞬だけ迷った。しかしすぐに意を決し、ヴァージャーの乗る車椅子を押し始めたのだ。
「コーデル、何をする。やめろコーデル!」ヴァージャーは強く懇願したが、コーデルはそれを無視した。そして、まさに惨劇が繰り広げられている中に、自らの主人を突き落としたのだ。ヴァージャーはほとんど身動きも出来ないまま、地面に突っ伏してしまった。そこへ、まだ空腹を満たせていないモリイノシシたちは襲い掛かり、彼の肉に食らいついたのである。そして、レクターはクラリスと共にどこかへ去って行った。

レクター博士の饗宴

レクター博士(中央)は特別なディナーを振舞う。

クラリスは意識が混濁する中、レクターが肩の弾を摘出し傷口を縫い合わせていることに気が付く。部屋の装飾などから、どうやらヴァージャー邸ではなく他の場所であると思われた。しかし、そこまで確認するのが精一杯で、すぐに麻酔を注射されクラリスは眠りに落ちる。

一方、クレンドラーは独立記念日の休暇を取るため、湖畔の別荘地を訪れていた。秘書には「週明けまで戻らない。誰からの電話も取り次ぐな」と言い付ける。ヴァージャーから大金が手に入り、ゴージャスな食事と高級娼婦でも呼んで羽目を外す予定なのだろうか。
ワインとつまみを買い込み、別荘に着いたクレンドラーはすぐにキッチンの異常に気付いた。小さな花火の明かりと、整然と並んだ食材の数々。まるで、腕の良いシェフがゲストを招いて饗宴でも始めるような雰囲気である。クレンドラーは料理の心得など無いし、招くゲストも居ない。いぶかしげにそれらを見つめていると、背後から「ワインは歓迎だ」と言いながらレクターが襲いかかり、クレンドラーは気を失う。何らかの麻酔薬を嗅がされたようだ。

ベッドの上で目覚めたクラリスは、黒いイブニングドレスを着せられていた。大胆にカットが施されており、肌の露出が多めである。遅い時間帯に催される格式の高いパーティーや、晩餐会などに好まれるきらびやかなドレスだ。
すぐに起き上がって行動すべきだが、まだ意識がハッキリしない。モルヒネのような、強い痛み止めのせいだろうか。窓の外には湖と桟橋、小さなモーターボートも見える。遠くで男の会話が聞こえ、クラリスは階下に下りてゆく。机の上に手錠や財布など、自分の所持品とその中に銃も見つけたが弾は入っていない。電話線は切断されており、外部との連絡は妨害されていた。だが、クラリスはなんとか導線をつないで通報することに成功する。地元警察は「10分で到着します。可能なら逃げて下さい」と、彼女に告げた。

キッチンでディナーの準備をしていたレクターは、電話機のランプが点灯した事に気が付く。つまり、クラリスが目覚めて通報したことを知ったのだ。時計を確認し、残り時間とこれからの行動を計算する。当初の計画より少し早い、とレクターは感じたがやむを得ない。
階下に下りたクラリスは、食卓にクレンドラーが腰掛けレクターと談笑している異様な光景を目の当たりにする。逃亡中の殺人鬼と、それを追う立場にある司法省の役人なのだ。親しく食卓を囲む間柄ではない。傍らにあったスノードーム(雪景色を模した球体の玩具)を手に取り、彼らのいるダイニングルームに入って行った。
レクターは何かの調理を進めている。フライパンにバターが溶ける音がして、香ばしい匂いが辺りに立ち込める。彼はシェフとしても一流の腕を持っており、過去の犯罪において被害者を調理して自ら食したり、ゲストに饗したりもしているのだ。
クレンドラーはクラリスに気付いたが、様子がおかしい。どうやら椅子に拘束されているらしく、ほとんど動けないようだ。さらに、「彼女に挨拶を」と促され「こんばんは。スターリング捜査官」と、レクターの命じるままに従っている。何か特殊な麻酔薬か、自白剤のようなものを投与されたのだろうか。
レクターは調理の手を休めず「私を殴るつもりか?手に持っているものを置いて座りなさい」と、今度はクラリスに命じた。彼女にも同じような薬剤を投与したのか、それとも簡単に見破られて諦めたのか。クラリスはふらふらと体勢を崩しながら、手にしたスノードームを素直にテーブルに置いた。そして、クレンドラーと同様にレクターの言葉に従う形で席に着く。
レクターから食前の祈りを求められたクレンドラーは、神を冒涜するような意味の祈りを捧げた。本心からそう思っていたのか、自分が神に恵みを与えるという本来とは真逆の言葉をすらすらと口にする。さらに、クラリスの事を「白人のクズ」と呼び「彼女を私に仕えさせたまえアーメン」と締めくくった。「見事な祈りだ。使徒パウロも舌を巻くだろう」と、レクターはそんな彼を賞賛した。使徒パウロとは、初期のキリスト教徒であり新約聖書を著したうちのひとりでもある。レクターいわく、パウロも女嫌いだそうだ。
さらに調子に乗ったクレンドラーは、クラリスを悪しざまに侮辱し続ける。彼から見れば女など生殖器を付けた物体に過ぎないのにもかかわらず、有能な捜査官でありながら高潔で優れた人格を兼ね備えるクラリスという女性の存在が我慢ならないのだ。また、彼女が駆け出しの頃デートに誘って無下に断られたことを、まだ恨みに思っているのかもしれない。

「私は無礼なヤツは嫌いだ。大人しくスープを飲め」と言い、レクターは皿にチューブを差してクレンドラーにスープを飲ませてやった。やはり拘束されているのか、手は使えないようである。そして「ヘンな味がする」と言って、クレンドラーは顔をしかめた。
「君のスープは特製だからな」と言いつつ、レクターはクラリスの席にもスープ皿を振る舞う。すると、クレンドラーはさらに意識が飛んだように虚ろな表情になった。調理したスープでは無く、さらに強い薬剤を飲ませたのであろうか。そして「次の料理は死ぬほどうまいぞ」と、レクターは楽しそうに言う。
その間にクラリスは、密かに手にした食事用の銀ナイフで近付いてきたレクターに攻撃を試みた。だが、焦点が定まらないうえ力も入らず、簡単に阻止されてしまう。
彼女からナイフを取り上げた後、レクターはクレンドラーの被った野球帽を外す。髪の毛が短く刈られており、額の中央を横切る赤い線が後頭部まで続いているように見える。レクターは片手でクレンドラーの頭頂部を押さえながら、その赤い線に沿って丁寧にメスの先を入れてゆく。すると、クレンドラーの頭部は丸い器を逆に被せたような形で切り取られた。そして、レクターがその「逆さの器」を持ち上げると、クレンドラーは頭蓋骨の上部を完全に失い、脳の上半分がむき出しとなってしまう。しかし、そのような状態であるにもかかわらずクレンドラーは薬剤の効果なのか、全く意に介していない様子だ。
クラリスが寝ている間に、医療用の電動ノコギリによりクレンドラーの頭蓋はすでに切れ込みを入れられていたようである。
「やめて、レクター博士」あまりに惨たらしい光景を目の当たりにして、クラリスは涙を流しレクターに懇願する。そして「国境警察の手配情報を渡すからすぐに逃げて。間に合わなくなる」と、逃がす代わりにそれ以上の行為を止めるよう取り引きを持ち掛けるが、レクターは聞かない。「そんな安っぽい事を言うなクラリス。君らしく無いぞ?古い銅貨を舐めた時のようにチープで汚れた味がするだろう」と、独特の比喩表現を使いレクターは彼女をたしなめた。
そして「脳は痛みを感じないんだ。まずは脳髄を包んでいる膜を剥がそう」と言いながら、レクターはクレンドラーの頭部にメスを入れ、薄いビニールのような髄膜を取り去った。吐き気を催すような、おぞましい光景にクラリスは堪え切れず激しく取り乱した。
やがてバターの溶けたフライパンに、白い脳の切り身が投じられ、音を立てて熱せられる。立ち上る香りを嗅いだクレンドラーが「うまそうな匂いがする」と言う。彼が物欲しそうな表情を見せたタイミングでレクターは、たった今調理したばかりの彼自身の脳味噌ソテーを彼の口に運んでやった。美味しそうに租借するクレンドラーの様を見て、クラリスはついに嘔吐し始める。

「私を捕まえたら復職できるかもな。そして、奴らから勲章をもらうのか?FBIだよ。君らは互いに軽蔑し合っている。なのに君はその勲章を額に入れ、壁に飾って喜ぶのか?清廉潔白で高潔な精神と、自身が示した勇気の証しとして?」レクターが発するその言葉を、クラリスは黙って聴いている。そして、「証明する必要なんて無いんだよクラリス。鏡を見ればわかる事だからね」そう言って、レクターは優しい笑顔を見せた。
反論も議論の余地も無い。クラリスは認めざるを得なかった。レクターが彼女にとって、一番の理解者であり、真の意味で友人なのだ。否、それ以上の存在かもしれなかった。だが皮肉な事に、たとえそうだとしても彼を捕まえるための情熱は失わない。そこに、何のためらいも迷いも感じない。それもまた、クラリスなのである。

レクターは、そんな彼女だからこそ愛でているのだろうか。クラリスには全く危害を加えることなく、クレンドラーをキッチンに運ぶ。そして、奥で何かの作業に取り掛かっていた。クラリスは、おぼつかない足元でふらふらと歩き出す。まだ薬剤の効能が残っているのだ。机の上にある燭台を手に、背後からレクターを襲ったがこれも回避され、冷蔵庫に背中を押し付けられる。

「地球を半周して戻って来たのは、君が走る姿を見るためだ」レクターはそう言って、冷蔵庫の扉を開き束ねられたクラリスの長いうしろ髪を挟んだ。そうしておいてから冷蔵庫のドアノブを破壊したため、もう扉を開くことが出来なくなった。
動きを封じられたクラリスに対し、レクターはこう囁く。「私に言ってみろ。愛しているなら止めて。と」それを聞いたクラリスは「死んでも言わないわ」と答えた。
レクターは「それでこそ君だ」と告げ、クラリスに噛み付くような素振りを一瞬だけ見せるが、それは威嚇なのか。それとも、彼なりの愛情表現なのだろうか。
レクターは、噛み付く代わりにクラリスの唇に熱いキスを与えた。彼女は抵抗しなかった。しかし、その隙を突いたクラリスはレクターに手錠を掛けることに成功する。彼の左腕と自らの右腕を、ひとつの手錠でつなげたのである。

「面白いことをするじゃないかクラリス」と、レクターは皮肉混じりに言って表情を変えた。彼にしては珍しくミスを犯したのだ。彼女にキスするというアドリブを加えたため、油断したのであろう。「だが、時間が無い。キーはどこだ?」とクラリスに迫ったが、彼女は答えない。
仕方なくレクターは、チョッパーナイフ(肉切り包丁)を手にする。そして、つながれた互いの手を台の上に置き「上か、それとも下がいいか?」とクラリスの細い手首にナイフの刃を当てる。「かなり痛いぞ?」と宣言したあと、ナイフを持つ方の手を高々と上げる。ためらうような一瞬の間を見せたレクターであったが、意を決するように強くそのナイフを振り下ろした。大きな打撃音が響き、クラリスは悲鳴を上げた。

ほどなくして、地元警察が現場に到着する。しかし、レクターの姿はどこにも見当たらなかった。クラリスは表に出て、湖の桟橋に停泊していた小型ボートを確認する。ボートは桟橋に無かったが、視認可能なすぐ近くの水面を漂っていた。遠くで独立記念日を祝う花火が上がり、湖面を美しく照らしていた。
近付いてきた警察官が数名、銃を構えて「手を挙げろ!」と、大声で警告する。クラリスは両手を上げ、FBI特別捜査官だと告げ、名を名乗った。どちらの手にも武器は無く、ふたつの手のひらが花火の明かりで白く光っていた。

どうやって逃走したのか不明だが、機上の人となったレクターは「ディーン&デルーカ」の箱を不自由そうに片手で開けていた。左手を白い三角布で肩から吊り下げており、右手しか使えないためだ。ちなみに「ディーン&デルーカ」とは、セレブ御用達の高級食材を扱うブランド店の名前である。機内食が口に合わず、飛行機に搭乗する際はこうして自前の食事を持ち込むのが彼の常なのだ。
レクターはクラリスを傷付けるのをためらい、自らの手首を切り落として逃走した。生存本能が旺盛な狼は罠に掛かった足を自ら食いちぎって逃げると言うが、その様とよく似ている。
ワインをひと口飲んだあと、片手でフォークとスプーンを使い分けながらレクターは食事をし始める。すると、隣の席に座るアジア系の少年が目を輝かせながら寄ってきて「美味しそう」とつぶやく。きらびやかな料理の数々に、興味津々の様子だ。
イチジクやキャビアなど、数ある珍味の中からフォアグラに似た薄灰色のソテーを見つけた少年は「少し食べさせて」とおねだりをする。レクターは「これは君の口には合わんよ」と言うが、少年は物欲しそうに見つめている。
「君は面白い子だ。ママに言われたんだね?何でも食べなさいと。私の母も同じように言っていたよ。“特に新鮮なものを”とね」そう言うとレクターは、クレンドラーの脳味噌で作ったソテーを少年の口に運んで食べさせてやった。

この飛行機がどこに向かっているのか、その後、レクターがどうなったのか。それを知る者は、おそらくこの世にひとりも居ないだろう。
ただこの時点で分かるのは、彼の食欲が尽き果てるのはまだまだ先になりそうだということ。それだけは確かである。

『ハンニバル』の登場人物・キャラクター

主人公

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