ふたがしら(漫画・ドラマ)とは【ネタバレ解説・考察まとめ】

『ふたがしら』とは、『月刊IKKI』(小学館刊)また増刊『ヒバナ』(小学館刊)で連載されていた時代劇漫画、およびそれを原作とした連続テレビドラマである。時は江戸時代。盗賊「赤目一味」の頭目だった辰五郎が死去。その際に、手下である弁蔵と宗次二人に一味のことを託したことからすべては始まった。『ACCA13区監察課』や『レディ&オールドマン』数々の人気作品を生み出してきたオノ・ナツメが描く、巧妙な駆け引きと巧みな騙しあいが織りなす時代劇盗賊エンターテインメントだ。

弁蔵と宗次が大坂にある盗賊一味「夜坂」の元頭目、隠居に会いに来た時のセリフ。「何を盗む気だ」と隠居に聞かれ、手下になるわけではないが将来でっけぇ一味を作り引っ張れるように修行したいという意味で「俺たちにいるもの、全て」というセリフが飛び出した。弁蔵と宗次の意志の強さが表れている。

宗次「だったら別れはしっかりやっとけ」

弁蔵が備中にある実家に里帰りし、二日ほど滞在した時に宗次が弁蔵に言ったセリフ。翌日には実家を離れることになるが離れてしまったら、二度と戻ることはないから「だったら別れはしっかりやっとけ」という宗次なりの気遣いが表れているセリフだ。これから先は修行し、一味を作って忙しくなることを見越して弁蔵に放った言葉だった。

弁蔵「箱根を超えた向こう側に、壱師の花を」

盗賊一味「壱師」を率い府中に腰を据えていた弁蔵が言ったセリフ。大阪を離れたのち何年かは府中で名をはせていたが、今度は「箱根を超えた向こう側に、壱師の花を」というセリフから、箱根を越えその向こう側にある江戸でも名をはせよう、という弁蔵の信念がこもったセリフだ。

芳「わしらの骨埋める場所なんやから」

夜坂が解散したのち、弁蔵と宗次に付いて壱師に入った芳が四兄弟の一人、銀五郎に言ったセリフ。隠居の墓参りくらいは行きたいと思いつつも、戻らなくてもいいようにとしっかりと別れを済ませてきた芳。まだ何年も経っていないのに昔のことのように感じる、と言った銀五郎に対し「わしらの居場所になっとるということ」と返している。そのあとに「わしらの骨埋める場所なんやから」と壱師の一員としてやっていこうという意思が表れている。

『ふたがしら』の裏話・トリビア・小ネタ/エピソード・逸話

別作品にも登場する弁蔵と宗次

2006年から2010年まで『月刊IKKI(小学館刊)』で連載されていた『さらい屋 五葉』に弁蔵と宗次が登場する。「仏の宗次」と呼ばれていた宗次は隠居生活を送り、作品に登場する「五葉」一味から人質を預かるなどキャラクターとして登場している。しかし一方の弁蔵は、率いていた「壱師」とともに名前だけ登場している。

『ふたがしら』は持ち込みを考えていた

弁蔵と宗次が少しだけ登場する『さらい屋五葉』はオノ・ナツメが描く、こちらも時代劇作品だ。なので、この次の連載は時代劇じゃないものをやろうという話も出ていたようだが、どうしても弁蔵と宗次の物語を描こうと思い、オノ・ナツメは『ふたがしら』を月刊IKKI(小学館刊)へ持ち込みを考えていた。しかし「ふたがしらを描きたい」と担当に相談したところ、快諾してくれたので他誌への持ち込みはなくなったのだ。キャラクターの派生物語を描くことで有名なオノ・ナツメだが、それを自ら持ち込みをするというのは驚きだ。

弁蔵はセリフが増えた

WOWOWの連続時代劇ドラマ『連続ドラマWふたがしら2』で弁蔵を演じた松山ケンイチは、頭になる前となった後の弁蔵について「セリフが増えた」と語っていた。ドラマシーズン1の時よりもほかのキャラクターとの掛け合いが多かったり、壱師を引っ張る頭になったことで視点も変わったため、弁蔵の立ち居振る舞いにも変化があったようだ。そのため「弁蔵がこんなにしゃべるキャラクターだったとは」と驚きを隠せないでいたのだ。

感情が表れるクールな頭

WOWOWの連続時代劇ドラマ『連続ドラマWふたがしら』で宗次を演じた早乙女太一は「宗次はクールな印象が強く、物事を考えていそうで実はそうではない」と語っていた。しかしシーズン2で前作同様、宗次を演じたときは壱師を作り上げた当初と違い感情が表に出るようになったというのだ。それは子分が増え本格的に壱師を引っ張るようになったからだ。宗次のクールさを引継ぎつつ、キャラクターのふり幅を大きくするというのはチャレンジだったようだ。

『ふたがしら』の主題歌・挿入歌

メインテーマ:SOIL&“PIMP”SESSIONS『THEME FROM "FUTAGASHIRA』

ドラマ『ふたがしら』のメインテーマおよび劇伴は『昼顔~平日午後3時の恋人~』の主題歌を担当したジャズバンド「SOIL&”PIMP”SESSIONS」が担当している。時代劇とジャズ、という新しい組み合わせになっている。予告編も公開されており、メインテーマとなる曲が使用されている。

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