鉄人28号(Gigantor)のネタバレ解説・考察まとめ

『鉄人28号』とは、横山光輝による漫画を原作とする、日本初の巨大ロボットものシリーズである。
少年探偵「金田正太郎」と、彼に操られる巨大ロボット「鉄人28号」の活躍を描く。
元々は少年探偵漫画だった所に「巨大ロボット同士のプロレス」という内容が加わった事で、昭和30年代に凄まじい人気を誇った。
『鉄腕アトム』と並び、我が国の漫画・アニメ黎明期における金字塔に輝く作品として、強く日本人の記憶に残り続ける作品である。

『鉄人28号』(第4期)

2000年代に放送された、アニメ第4期。
放送当時は深夜アニメ枠であった。このため、メインの視聴者層を20代以上の大人に設定。

その結果、これまでの荒唐無稽かつ勧善懲悪の、少年漫画の世界を崩さなかった世界観を大きく逸脱。
物語の舞台は昭和30年代(1950年代)として設定され、放送時期より半世紀以前の時代を描いている。すなわち広義の意味での時代劇(狭義の時代劇が、明治維新以前を舞台にしたものとして)になった。

そしてテーマを「第二次世界大戦後の混乱期を克服し、高度成長期を突き進む日本と、今なお戦争で受けた傷に苦しみ、翻弄され、時代に取り残された人々。そして、それらを見つめる旧日本軍の遺産、鉄人28号」とし、暗く重い空気が漂う作品となっている。

正太郎が偶然、鉄人28号の操縦者になり、敷島博士と大塚所長の手助けを経て、敵と戦っていくという流れ自体は原作と同一である。
ただし、戦いに至る「理由」が、正義と悪の構図ではなく、上記のテーマに併せて「戦争を原因、あるいは遠因として犯罪の道に足を踏み入れざるを得なかった者達と、それを取り締まるものの戦争を知らない正太郎」というものになっている。

終盤の物語は特に原作から大きく改変され、鉄人に「太陽爆弾」という、爆発すれば世界が滅んでしまうような恐ろしいものが仕掛けられている事実が判明する。
これにより、鉄人は日本政府より危険視され、必要のないものとして見なされるようになっていく。

その事に正太郎は苦しむが、それでも鉄人を使って日本の危機に立ち向かう。
しかし最終決戦を終えた鉄人は、正太郎のコントロールを離れ自ら溶鉱炉へ向かっていく。リモコンが破壊され、制止も効かない。
だが、溶鉱炉へ「自殺」しに行く鉄人のその様は「自分は暗く辛い記憶の遺産であり、もはやこれからの日本には必要がない。お前(正太郎)はこちらに来なくていいのだ」とする、鉄人自身と、そして制作者たる父、金田博士の別れの言葉を伝えているかのようであった。

『鉄人28号ガオ!』(第5期)

2010年代に放送された、アニメ第5期。

第4期とは打って変わって、視聴者対象を幼児に設定。
『アンパンマン』のような世界観となり、明るくポップで可愛らしいデザインのキャラクター達が、楽しげな掛け合いをする作品となった。
原作版よりも視聴者の対象年齢が低い構成のため、特に第4期でシリーズのファンとなった視聴者からは、見向きもされなかったという逸話、もしくは失敗談がある。
その反面、放送期間そのものは3年弱にも及び、歴代アニメ最長の放送期間を誇っている。

物語はオムニバス形式を取っており、基本的に一話完結。ショートアニメのため、1話の尺は8分程度と短い。
まるで教育アニメかのような内容の回が多いが、最終回付近では、ややヒーローらしさが出て「人類滅亡危機一髪!」などとして、鉄人が地球に迫る危機を救った。

『鉄人28号 白昼の残月』(劇場版)

アニメ第4期と世界観を共通させる、劇場用作品。
ただし設定はアニメ第4期をリセット・再スタートしたものとなり、話は続いておらず単独の物語となっている。

ある日、鉄人28号と共に活躍する正太郎の前に、同じ「ショウタロウ」の名を持った男が現れる。
その人こそは、正太郎の義兄であった。彼はなかななか子どもが生まれない金田夫妻の元に引き取られた養子だったが、非常に大切にされた。だが、戦争で正太郎が生まれるよりも前に死んだと思われており、父の金田博士は悲しみのあまり、二人目の息子にも同じ「正太郎」の名を付けていたのだ。

しかし、兄のショウタロウは、戦争で心を大きく傷つけられており、平和の世界に馴染めない。
やがて金田博士もう一つの遺産「大鉄人」が東京に姿を現す。大鉄人はその名の通り、鉄人の何十倍もの大きさを誇る決戦兵器だった。そのボディのあちこちをkり離し、着弾地点を灰燼に帰す事が可能な広域破壊兵器「廃墟爆弾」を発射可能な脅威の存在だ。

それが、今の世に復活してしまった。
だが、そんな兵器のある世の中こそ心地が良いと、ショウタロウには思えてしまっていた。
なぜなら、ショウタロウは鉄人の正規操縦者として育てられていた人間だからだ。戦う事でしか己に存在意義が見いだせない。しかし、それを実現する「鉄人の操縦者」としての立場は、正太郎の誕生によって、自身の名前と共に奪い去られてしまったという思いがあった。

だから、今の世の中で、自分の存在意義を確立するには、正太郎から鉄人操縦者の資格を奪うしかないと思い詰めていたのだ。
だが、大鉄人の復活に対応して必死の姿を見せる正太郎に心が変容していき、二人は和解する。

正太郎とショウタロウは力を合わせ、鉄人28号を使って大鉄人を止めた。そして「この日本の時代の波に流し消されないよう、戦って、生き抜いていくつもりです」と誓いを立てるのであった。

実写版

『鉄人28号』(テレビドラマ版)

鉄人28号(画像左側の、手を掲げている人型の物体)。

1950年代に、アニメ版第1期よりも先行して放映された実写版。
おおよそ原作版の物語をなぞるものであったのだが、特撮技術と予算の不足により、原作者の横山光輝からも痛烈なダメ出しを貰うほどに出来が悪く、ほぼ打ち切りの形で終わっている。
その後のアニメ版の評判が高かったために、余計に影が薄くなり、2000年代まではほぼ忘れられたものとなっていた。

だが、2010年代前後に、当時のフィルムから起こされた映像がネット上に出回り、あまりの出来の悪さを「からかう」といった形で人々の記憶に蘇った。
巨大ロボットという設定のはずなのに「せいぜい2メートル程度あるかないかのサイズの出来の悪い着ぐるみ(鉄人28号)が、プルプル震えている。視聴者にはまったく脅威に映らないが、登場人物は恐れおののいている」というシーンが公開され、視聴者の笑いを大いに誘う。

『鉄人28号』(劇場版)

2000年代に公開された、劇場用実写映画。鉄人28号と、ライバルメカとなるブラックオックスはフル3DCGで描画される。

鉄+勇気をテーマに、鉄人の操縦者に選ばれた正太郎と、悪の科学者、不乱拳博士の戦いを描く。
本作では原作版およびアニメ版の正太郎が「少年ながらに大人顔負けの頭脳を持って活躍する」人物であったのに対し、本作では「普通の少年」として描かれており、圧倒的な力を持った鉄人との接し方が解らずに苦悩する物語となっている。
最終的に鉄人28号がブラックオックスを打倒して、日本の平和が守られる。

しかし、本作の評価はすこぶる低い。
本作の設定は『鉄人28号』が元来持っている「少年探偵もの」あるいは「少年ヒーローもの」としての本質を真っ向から否定したものであり、さりとてアニメ第4期のように重いテーマがあるわけでもない。
残ったものは、低予算で描かれたCGの鉄人28号と、それとまったく相容れない人間ドラマであった。
このような内容のため、ファンからの評判は最悪であり、新規のファン獲得も失敗。よって興行収入も振るわないと、完全なる失敗作の烙印を押された。

失敗の原因としては「実写映画はアニメよりも格上。邦画監督にメガホンを持たせるべし。漫画・アニメ関係者は除外せよ」という、日本映画界の悪癖が炸裂してしまった事が挙げられる。
その結果どういう構成にすれば漫画・アニメファンが喜ぶのか、という事すら解らない人間が監督になってしまい失敗に繋がった(監督が悪いのではなく、監督からしてミスキャスティングであったという事)。

『28 1/2 妄想の巨人』(劇場版)

押井守による映画作品。
厳密には『鉄人28号』の物語ではなく、舞台版『鉄人28号』の制作に関わった人間達を描いた映画である。
ただしノンフィクションのメイキング映画ではなく、創作劇である。

ある日、舞台版『鉄人28号』のスチルカメラマンであった言子(あきこ)は、現場で時折「正太郎少年」の姿を見てしまうようになる。
しかし正太郎は架空の人物であり、現実には存在しないはずだ。
どうした事かと混乱している内に、舞台監督の馳戸護(はせど まもる)が失踪してしまう。

本作は押井守の得意とする「現実と虚構」の境界線を描いた物語となっている。

ラジオ版

『鉄人28号』(第1期)

1959年、ニッポン放送にて放送されたラジオドラマ。
スポンサーは「あみ印食品工業」1社協賛番組だったとされている。

『鉄人28号』(第2期)

1978年、ニッポン放送『キリンラジオ劇場』にて放送されたラジオドラマとされている。
主にアニメ第1期に基づいたキャスティングがなされた。

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