ウィザードリィ外伝II(古代皇帝の呪い)とは【ネタバレ解説・考察まとめ】

『ウィザードリィ外伝II』とは、1992年に発売されたゲームボーイ専用カートリッジで、3Dダンジョン・ロールプレイングゲーム。副題は『古代皇帝の呪い(CURSE OF THE ANCIENT EMPEROR)』。日本国産ウィザードリィの第二作である。
城塞都市アルマールで遺跡が発掘され、埋葬された古代皇帝の呪いが災厄となって街を襲う。その災いを取り除くべく、冒険者たちが遺跡に挑むというストーリー。

『ウィザードリィ外伝II(古代皇帝の呪い)』の概要

『ウィザードリィ外伝II』とは、1991年に発売されたゲームボーイ専用カートリッジで、3Dダンジョン・ロールプレイングゲーム。副題は『古代皇帝の呪い(CURSE OF THE ANCIENT EMPEROR)』。発売元はアスキー(現在は株式会社角川アスキー総合研究所)、開発はゲームスタジオ(現存する株式会社ゲームスタジオとは全く別の会社である)。
メインストーリー及びゲームバランス構成は、ノベライズ『隣り合わせの灰と青春』や『風よ、龍に届いているか』を手掛けたベニー松山が担当。モンスター及びキャラクターのデザインは『外伝I』から引き続き池上明子が手掛けている。
好評だった国産携帯版の『ウィザードリィ』シリーズの中でも、前作からさらにゲームバランス(アイテムや職業)が洗練されており、専用武器や迷宮内の謎解きにも、東洋的な世界観や陰陽五行思想が取り入れられている。そしてハック&スラッシュの中毒性から、特にユーザーからの評価が高い傑作である。
城塞都市アルマールで遺跡が発掘され、埋葬された古代皇帝の呪いが災厄となって街を襲う。その災いを取り除くべく、冒険者たちが遺跡に挑むというストーリー。

『ウィザードリィ外伝II(古代皇帝の呪い)』のあらすじ・ストーリー

交易都市で発見された古代遺跡

大陸東域に位置し、東方世界との接点と呼ばれる城塞都市アルマール。西方諸国の出城でもあるこの町は、しかしここ数世紀の間は戦乱に巻き込まれる事もなく、交易都市として発展を遂げてきた。
代々アルマールを預かってきた地方領主ウディーンが遺跡などに興味を抱いたのも、元はと言えばその長い平和と、交易で得た莫大な富のせいだった。退屈に飽いた彼は街からそう遠くない、砂に埋もれた古代遺跡の発掘調査を思い立った。
それは明らかに都市ではなかった。そう気づいた時点で止めればまだ間に合ったのかもしれない。しかしそこで止めるには、ウディーンは資金をかけ過ぎていた。

古代皇帝ハルギスの復活と、災厄の始まり

ある日、大規模な落盤が起きた。作業中の数百の人命を巻き添えに、それはついに地底へと通じる禍々しき顎を開いた。
地上部は遺跡のほんの一部に過ぎなかった。地底には地上とは比較にならない規模の広大な地下迷宮が存在していたのだ。そして入り口付近からメッセージの刻まれた古い金属板が発見され、そのプレートには古代文字でこう記されていた。

『最後の皇帝にして、闇と結びし邪悪なる妖術師、ハルギスここに眠る。その眠りを妨げる事なかれ。墓所の封印に触れる事なかれ』

その警告が遅すぎた事をウディーンは思い知った。崩落に巻き込まれ、埋葬された者たちの遺体が次々と起き上がり、腐臭を放ちながら地底へと入り込んでいったのだ。邪悪なる皇帝の魂はすでに、永遠の眠りから解き放たれていた。

領主の娘マナヤ、危篤状態に

災いはウディーン本人ではなく、その最愛の娘マナヤに降りかかった。15歳になったばかりのマナヤは、突如として光を失った。続いて聴覚が、そして言葉が失われた。このハルギスの呪いに対して、あらゆる癒しの術は無意味であった。
美しき愛娘を襲った不幸にウディーンは嘆き、発掘によって手に入れた財宝をすべて迷宮に放り込んだ。それでもやはりマナヤの呪いは解けなかった。
一方、墓所から滲み出す瘴煙に人々の精気は失われつつあった。活気あふれる交易都市アルマールは、次第に絶望と無気力のはびこる無法の街へと荒廃していった。

領主の布告と、集う冒険者たち

愚かなる領主は退屈からすべてを失おうとしていた。手段など選んでおれぬ。ハルギスが復活したなら封じれば良い。彼はそう考えた。だが士気の低下したアルマール駐留兵たちは、死に切れぬ者たち意が徘徊する墓所に立ち入ることを拒否した。
やむなくウディーンは布令を出した。ハルギスの迷える魂を封じ、マナヤの呪いを解いた者には破格の報酬を与えると。
やがて命知らずの冒険者たちがアルマールに流れ込んできた。ある者は一獲千金を求め、ある者は名誉欲にかられ、そしてまたある者は死を賭した戦いを渇望して。

真相と結末

冒険者たちの活躍によってハルギスが打倒されるものの、真の災厄はまだ終わっていなかった。
領主の娘マナヤが危篤に陥った原因。それは地上への復活を目論む竜の女帝スケイリーエンプレスの陰謀であり、彼女はマナヤの肉体を己の依り代にするつもりだったのだ。
冒険者たちは地下迷宮のさらに奥深くに隠された「黄泉界」へ乗り込み、竜の女帝を打ち倒す事に成功する。
領主ウディーンは己の欲と愚かさを恥じ、マナヤに領主の座を譲って贖罪の旅に出る。冒険者に救われたマナヤは、アルマールを統治する女領主となるのだった。

『ウィザードリィ外伝II(古代皇帝の呪い)』のゲームシステム

本作の拠点、城塞都市アルマール

本作の舞台は東西貿易の中継地点となる城塞都市アルマール。
交易都市であるため、これまでの『ウィザードリィ』シリーズの侍、忍者といった東洋風のアイテムやフレーバーを、ごく自然な形で登場させる事に成功している。

アルマールの施設

都市名こそ正伝シリーズのリルガミンではないが、本作に登場する拠点施設の名称はリルガミンのものと同一となっている。

ギルガメッシュの酒場

訓練場に登録したキャラクターの合流や解散ができる。性格が善と悪のキャラクターは同時に選択する事はできないため、混成パーティを組みたい場合は工夫が必要(「キャラクターについて・性格」の項目を参照)。

冒険者の宿

冒険者のHPやMPの回復、レベルアップを行うための施設。MP回復とレベルアップはここでしかできない。宿でHPを回復させようとすると時間経過が早く老化しやすいため、大抵のプレイヤーは「馬小屋」(無料。MP回復のみ。1日経過)に足しげく通う事になる。

ボルタック商店

アイテムの売買を行う。不確定アイテムの鑑定や、呪われたアイテムを外す事もできる。売却したアイテムが即座に倍額になって棚に並ぶため、プレイヤーからは「ボッタクリ商店」などと陰口を叩かれている。

szk-917228
szk-917228
@szk-917228

Related Articles関連記事

ウィザードリィ外伝III(闇の聖典)とは【ネタバレ解説・考察まとめ】

ウィザードリィ外伝III(闇の聖典)とは【ネタバレ解説・考察まとめ】

『ウィザードリィ外伝III』とは、1993年に発売されたゲームボーイ専用カートリッジで、3Dダンジョン・ロールプレイングゲーム。副題は『闇の聖典(SCRIPTURE OF THE DARK)』。日本国産ウィザードリィの第三作である。 城塞都市ダリアを治めるアガン王が、黄金の仮面の呪いを受け狂気に陥り引きこもった。呪いを解き、王を正気に戻すため冒険者たちが集められるというストーリー。

Read Article

ウィザードリィ外伝I(女王の受難)とは【ネタバレ解説・考察まとめ】

ウィザードリィ外伝I(女王の受難)とは【ネタバレ解説・考察まとめ】

『ウィザードリィ外伝I』とは、1991年に発売されたゲームボーイ専用カートリッジで、3Dダンジョン・ロールプレイングゲーム。副題は『女王の受難(SUFFERING OF THE QUEEN)』。日本国産ウィザードリィの記念すべき第一作である。 女王アイラスが即位してから災厄続きのリルガミンの街。宮廷魔術師タイロッサムまでもが裏切り「呪いの穴」に立て籠もった。彼を討伐すべく冒険者たちが召集される、というストーリー。

Read Article

ウィザードリィ #5(Wizardry #5)とは【ネタバレ解説・考察まとめ】

ウィザードリィ #5(Wizardry #5)とは【ネタバレ解説・考察まとめ】

『ウィザードリィ #5(Wizardry #5)』とは、1988年アメリカのサーテック社より発売された3Dダンジョン・ロールプレイングゲーム。副題は『災禍の中心(Heart of the Maelstrom)』。「ハック&スラッシュ」の元祖とも言える古典RPGシリーズ第5作。 世界を滅ぼす力を持つという「災禍」。これを制御できる力を持つ魔法使いゲートキーパーは、悪しき魔女ソーンに捕らえられた。冒険者たちは世界を救うためソーンを倒し、ゲートキーパーを救わねばならない。

Read Article

ウィザードリィ #4(Wizardry #4)とは【ネタバレ解説・考察まとめ】

ウィザードリィ #4(Wizardry #4)とは【ネタバレ解説・考察まとめ】

『ウィザードリィ #4(Wizardry #4)』とは、1987年アメリカのサーテック社より発売された3Dダンジョン・ロールプレイングゲーム。副題は『ワードナの逆襲(The Return of Werdna)』。 「ハック&スラッシュ」の元祖とも言える古典RPGシリーズ第4作。第1作で倒された魔術師ワードナが主役となり、魔物を召喚し、冒険者たちを殺戮しつつ地上を目指し、奪われたアミュレット(護符)を取り戻すというストーリーである。

Read Article

ウィザードリィ #1(Wizardry #1)とは【ネタバレ解説・考察まとめ】

ウィザードリィ #1(Wizardry #1)とは【ネタバレ解説・考察まとめ】

『ウィザードリィ #1』(Wizardry #1)とは、1981年アメリカのサーテック社より発売された3Dダンジョン・ロールプレイングゲーム。副題は「狂王の試練場(Proving Grounds of the Mad Overlord)」。6人パーティを組み、地下迷宮を探索し、モンスターを倒して宝箱からアイテムを得て、キャラクターを強化・育成する、いわゆる「ハック&スラッシュ」の元祖とも言える古典RPGシリーズの第一作である。

Read Article

ウィザードリィ外伝IV(胎魔の鼓動)とは【ネタバレ解説・考察まとめ】

ウィザードリィ外伝IV(胎魔の鼓動)とは【ネタバレ解説・考察まとめ】

『ウィザードリィ外伝IV』とは、1996年に発売されたスーパーファミコン専用ソフトで、3Dダンジョン・ロールプレイングゲーム。副題は『胎魔の鼓動(THROB OF THE DEMON'S HERAT)』。日本国産ウィザードリィの第四作である。本作はオーソドックスなハック&スラッシュでありながら、和風テイストな舞台やイベント、ホラー要素を盛り込み、数多くのNPCとの交流や勢力争いを楽しめる。緋蓮城の先代城主の死に端を発する地方の反乱を治めるため、冒険者に「三種の神器」を集めさせるというストーリー。

Read Article

ウィザードリィ外伝 五つの試練(The Five Ordeals)とは【ネタバレ解説・考察まとめ】

ウィザードリィ外伝 五つの試練(The Five Ordeals)とは【ネタバレ解説・考察まとめ】

『ウィザードリィ外伝 五つの試練(The Five Ordeals)』とは、2006年にWindowsで発売された3Dダンジョン・ロールプレイングゲーム。日本国産の『ウィザードリィ』シリーズの1つである。 正伝シリーズへの原点回帰をうたい、初期の5種族8職業というシンプルなゲームシステムと、前作の『戦闘の監獄』のUI(ユーザーインターフェース)を採用。ストーリーが独立した公式5本のシナリオに加え、ユーザーが作成したシナリオを遊ぶ事もできるエディタが組み込まれている事が特徴。

Read Article

ウィザードリィ #3(Wizardry #3)とは【ネタバレ解説・考察まとめ】

ウィザードリィ #3(Wizardry #3)とは【ネタバレ解説・考察まとめ】

『ウィザードリィ #3(Wizardry #3)』とは、1983年アメリカのサーテック社より発売された3Dダンジョン・ロールプレイングゲーム。副題は『リルガミンの遺産(Legacy of Llylgamyn)』。 「ハック&スラッシュ」の元祖とも言える古典RPGシリーズ第3作。世界的な天変地異の原因を探るべく、偉大なる龍ル・ケブレスの守る宝珠を持ち帰る事が、冒険者たちに与えられた使命である。

Read Article

ウィザードリィ #2(Wizardry #2)とは【ネタバレ解説・考察まとめ】

ウィザードリィ #2(Wizardry #2)とは【ネタバレ解説・考察まとめ】

『ウィザードリィ #2』(Wizardry #2)とは、1982年アメリカのサーテック社より発売された3Dダンジョン・ロールプレイングゲーム。副題は「ダイヤモンドの騎士」(Knight of Diamonds)。 「ハック&スラッシュ」の元祖とも言える古典RPGシリーズの第二作。「ダバルプスの呪いの穴」に消えた、リルガミンの街を守護する「ニルダの杖」を持ち帰る事が、冒険者たちに与えられた使命である。

Read Article

目次 - Contents