星の王子ニューヨークへ行く2(映画)とは【ネタバレ解説・考察まとめ】

『星の王子ニューヨークへ行く2』とは、2021年に公開されたアメリカのコメディー映画。全世界で興行収入2億8800万ドルを超える大ヒットを記録したエディ・マーフィ主演映画『星の王子ニューヨークへ行く』から33年経ち満を持し続編が公開された。日本では2021年3月5日からAmazon Prime Videoでの配信となった。監督は『ルディ・レイ・ムーア』の監督クレイグ・ブリュワー。前回から引き続きの懐かしいキャストはもちろん音楽面でも注目されている。

『星の王子ニューヨークへ行く2』の概要

『星の王子ニューヨークへ行く2』(原題:Comming 2 America)とは、2021年に公開されたアメリカのコメディー映画。本作の監督は、『ターザン:REBORN』、エディ・マーフィが主演を務めた『ルディ・レイ・ムーア』のクレイグ・ブリュワーが努めた。脚本は前作から引き続きバリー・W・ブラウスタイン、デヴッド・シェフィールドとジャスティン・カニューによって書かれた原作を元にして書かれた。そして、『ランダウン ロッキング・ザ・アマゾン』のケヴィン・ミッシャーと主演エディ・マーフィが製作を行った。
配役は、前作に引き続き、エディ・マーフィがアキーム役、アーセニオ・ホールがセミ役などオリジナルメンバーも登場する。またエディの実娘ベラ・マーフィも見逃せない。複数役をこなしていたエディ・マーフィ、アーセニオ・ホールは今回も同じように複数役をこなす。

アキームは、前作で花嫁探しのためニューヨークを訪れ、ある慈善イベントで出会ったリサに一目惚れし、彼女の父クリオ・マクドゥーウェル経営するハンバーガーショップ「マクドゥーウェル」でアルバイトを始め彼女のハートをつかむことに成功して自国ザムンダ王国に連れて帰り結婚することができた。それから早30年の時が流れていた。アキームの国王就任を目前としたところで、アキーム本人も知らなかったアキームの息子がアメリカに存在することが発覚する。ザムンダ王国は、男子にしか国王継承権がないため娘しか子供がいないアキームはそのことに日々負い目を感じていた。現国王でありアキームの父であるジョフィ・ジャファの願いもあり、まだ見ぬ自分の息子をザムンダ王国に連れて帰ってくるため30年ぶりにニューヨークへと出向くのだった。
数々の問題を乗り越えて最後には一家が一つとなるその過程も見どころだが、前作から引き続き登場するキャストの約30年後の姿や、前作からさらにパワーアップしたユニークなキャラクターは見ものだ。例えばザムンダに来たアキームの息子のラヴェルと、彼の母親メアリーの場違いだがマイペースな言動は特に見どころだ。
本作は、25か国語に翻訳され、日本を含めた240か国以上で配信となった映画で、日本では、Amazon Prime Videoにて2021年3月5日から配信されている。
前作公開の後、2017年1月には映画『星の王子ニューヨークに行く』の続編が準備中だということが公表されていた。2019年1月には続編にもエディ・マーフィが主演として登場し、監督にはクレイグ・ブリュワーが就任したことが発表された。

『星の王子ニューヨークへ行く2』のあらすじ・ストーリー

ザムンダ王国王子アキーム・ジョフィ王子の結婚30周年の日

アフリカのザムンダ王国の王子アキーム・ジョフィが、ニューヨークへ花嫁を見つけるために旅に出た。そしてクイーンズでリサ・マクドゥーウェル と出会い、結婚して30年の時が流れた。30周年の朝は、愛娘のミーカ、オマ、ティナーシュの3人から祝福されて始まる。

ニューヨークからファーストフードを自国ザムンダに持ち帰り、マクダウェルというファーストフード店も同じくオープンから30年が経っていた。こちらも30周年記念として新商品を開発したが、ザムンダの公式ドリンクであるペプシで流さないと飲み込めない代物だった。

隣国ネクスドリアとの関係

王宮の敷地内で、アキームが3人の娘たちと格闘技の稽古をしていた。しかし、補佐兼親友のセミが現れ、国王である父ジョフィから「至急、王の元に来るように」という伝言を告げる。

アキームとセミがジョフィの元へ向かっている途中、隣国のネクスドリア武装兵士がこちらへ向かっているという報告を受ける。アキーム達は慌てて王宮の入口へ向かうと、ネクスドリア最高指導者イジー将軍とネクスドリア武装軍がいた。

アキームが訪問の意向を尋ねると、イジーは妹のイマニを前に出した。イマニは30年前アキームの妃候補だったが破断となった相手だった。しかしアキームはイマニの問答にうんざりし「犬のように吠えてみろ」と言って以来、その呪縛がいまだ解けていない。
イジーは「この縁談が破談となったせいで、両国の合併がかなわず、ネクスドリアが貧困から脱出することができなかった。そして今もなお貧困に苦しんでいるのはアキームの責任だ」と言い、いまだに恨んでいるのだ。

しかしアキームは過去に何度も救済の手を差し伸べたが、ネクスドリアの状況は快方に向かわなかった。
そして今回は、イジーの息子イディとアキームの長女ミーカを結婚させるよう要求してきた。イジーはアキームに世継ぎがいないことを馬鹿にし、血を流すよりいいだろうと言い捨て去って行った。

王位継承問題

イジーたちが引き上げた後、アキームはセミと占い師ババと共に、ジョフィの部屋へと行く。ジョフィは「そろそろお別れの時が来たようだ」と言う。アキームは後継者となる男子が生まれず失望させたことを謝るが、ジョフィは負い目に感じるなと励ましてくれる。

そこに占い師のババが突如「アキームの息子が見える」と言い、アキームの婚外子の息子の存在を仄めかす。アキームは全く身に覚えがなく、リサ以外に関係を持った女性はいないと断言した。そこで、ジョフィはセミに詳細を話すよう命じた。ここから当時の回想をする。

30年前、夜な夜な理想の女性に出会うため、アキームとセミは2人で場末のクラブに来ていた。そこでアキーム達は、メアリー・ジョンソンとその友達に出会った。アキームはメアリーや友達と一緒に彼女らのアパートへ行き、ハーブを吸わされて意識がない状態で関係を持っていたのだった。

半狂乱となったアキームはセミに八つ当たりし、なぜ黙っていたのかとジョフィを責めた。しかしジョフィから、アキームに男子が生まれることを期待したと言われ何も言えなくなる。

占い師ババは、タブレットに描いたアキームの息子の似顔絵をアキームに見せ、予言をした。その予言ではザムンダを救うには、息子を迎え入れるしかないというものだった。そしてジョフィは「生きているうちに盛大な葬式をしよう」と言うのだった。

ジョフィの希望により生前葬が執り行われることとなった。豪華絢爛な生前葬は順調に進み盛り上がりを見せる中、ジョフィはアキームを近くに呼んだ。そして「自分の教えを忘れるのではないぞ」と言い残し息を引き取った。

アキームは悲しみに暮れるが、同時にネクスドリアからの侵攻も心配していた。そしてアキームはジョフィの希望をかなえるため、アメリカへと飛び立った。

クイーンズのアキームの息子との対面

アメリカに着いたアキームとセミは、なじみのマイ・T・シャープ理髪店へ立ち寄っていた。そこでとある大学のバスケットボールの試合で、チケットを売るダフ屋が似顔絵の男性によく似ているという情報を得る。

早速球場へ向かったアキームとセミは、球場の広場でラヴェルを見つけた。ザムンダの正装では目立つと考えたアキームは、アメリカ風の服装に着替え接触を試みる。アキームがラヴェルに出生や身分について語ると、ラヴェルは驚きのあまり言葉をなくす。

そして、アキームはラヴェルと一緒に彼の家を訪問する。この日はラヴェルの31歳の誕生日で、親戚や友人が集まって誕生日会の準備をしている真っ最中だった。アキームとメアリーは30年ぶりの再会を果たし、メアリーもアキームだと気が付く。

アキームはアメリカに来た理由を告げ、ラヴェルを連れ帰ると言うが誕生日会に集まった人たちは反対した。しかし、アキームはわざと持ってきたアタッシュケースに当たり、中に入っていたインゴットや札束を見せた。

するとラヴェルはすぐに考えを変え、メアリーを連れていくことを条件にザムンダに行くことに同意した。

ラヴェルのザムンダ王国での生活

目的を果たしたアキームとセミは、ラヴェルとメアリーを連れザムンダへ帰国する。ザムンダ帰国後、アキームはすぐにリサに経緯を説明する。しかし何も知らなかったリサはアキームを責めたが、なんとか納得してもらうことが出来た。
そこにラヴェルとメアリーが、田舎から初めて都会に出て来た「おのぼりさん」のように王室のロビーに入ってくる。

ただ事ならぬ状況を感じ取ったアキームの娘たちもロビーに来たため、その場でアキームはラヴェルに娘たちを紹介する。しかし娘たちやリサは、ラヴェルとメアリーのマナーの悪さや、ノリの軽さに嫌悪感を感じていた。
その頃、ネクスドリアでもアキームが息子を連れて帰ってきたというニュースが、イジーに伝えられる。イジーは自分の娘のポポトを、アキームの息子の嫁にするチャンスだとほくそ笑んでいた。

翌朝、立派な寝室で気持ちよく目覚めたラヴェル。そんなラヴェルを待っていたのは、身の回りの世話をしてくれる3人の侍女だった。
メアリーは王宮待遇を満喫し、ドレスを着飾りご満悦の様子だった。2人は着飾った姿で正式にアキーム国王とリサ王妃に接見するが、メアリーの着ていたドレスがリサのものだったのでリサは憤慨した。

イジーが王宮の広間へやってきて、息子が見つかった祝いの品を持ってきたと言う。それはイジーの娘のポポトで、ラヴェルはセクシーなポポトに目を奪われた。
イジーはアキームにラヴェルとポポトの結婚を提案するが、アキームはラヴェルが望むならと言う。そこにババが現れ、ラヴェルが王子になるためには試練に合格しなければいけないと告げる。

ラヴェルの王子試験への挑戦

ラヴェルが王子となるための試験が準備されていく。試験は「文化」「批判的思考」「勇気」の3つに分かれている。「何から始めるか」と問うセミに対し、ミーカはまず「王子には王子たるエレガントな歩き方から教えたらいいのではないか」と、皮肉たっぷりに言う。アキームはそれに賛同する。

ラヴェルの教育は進むが、王子としての才能は全く開花しない。ラヴェルは歴代の王たちの名前を覚えられず、風格のある歩き方もできない。

最後の試練はアキームから伝えられ、ライオンのひげを切ることができたら王子になれるというものだった。ラヴェルは小さなハサミを渡されるが、試練を乗り切れる気がせず呆然としている。

ラヴェルは「自分が生きる場所はここではないのでは」と、王宮の美容師ミレンベに愚痴をこぼしていた。そんなラヴェルに、ミレンベは「ザムンダの王子になるのではなく、クイーンズの王子になればいい。あなたの思う道を歩みなさい」とアドバイスする。ここからラヴェルの快進撃が始まる。

まずラヴェルは叔父のリームをザムンダに招いて相談役にし、ラヴェルのやり方で試練を少しずつ乗り越えていった。最後に残ったのはライオンのひげの試練だった。

最期の試練へのチャレンジ

アキームは、ラヴェルに最後の試練へのアドバイスとして「ペットの大きな猫だと思え」と言った。少しずつ父と息子の関係は良くなってきていた。

ミーカは、どれだけ頑張っても自分は女であるため、アキームの後継者にはなれないことに悩んでいた。
しかし「自分の存在は自分が思う場所にない」という同じ悩みを抱えていることを知ったラヴェルとミーカは、距離を縮めていく。そのミーカからもアドバイスを貰いながら、一緒に作戦を考えていった。

そして最後の試練、ラヴェルはアキームたちが見守る中寝ているライオンのいる方へ向かっていく。ラヴェルはライオンを起こすと、すぐに用意しておいた竹で出来た檻の中に入った。檻がライオンに潰されかけたものの、ライオンは突然おとなしく檻を舐め始める。

ラヴェルはアキームの助言を参考に、檻にキャットフードを塗っていたのだ。ライオンがおとなしくしている隙にライオンの髭を切ることに成功した。

ラヴェルの結婚式前夜祭

王宮の暮らしにも慣れてきたラヴェルは、ザムンダの生活も悪くないと思うようになった。ラヴェルはミレンベと庭を散策中、ミレンベにキスをしてしまう。ミレンベはすぐに後悔の念に駆られてしまう。翌日はラヴェルとポポトとの結婚式前夜祭が控えていたからだった。

結婚式前夜祭当日、ホールはたくさんの人であふれている。リサはメアリーにブルガリの高価なネックレスをプレゼントし、二人の仲は急速に深まる。

ラヴェルは妻となるポポトを知るため、アキームがイマニにしたような質問をする。しかし返答は全てラヴェルの思ったものではなく、要領の得ないものばかりだった。
ラヴェルはポポトにその場で待つよう指示を出してから、ミレンベの元へ向かう。そしてミレンベに「ポポトとは結婚したくない、君と一緒にいたいんだ。君のおかげで僕は王子になれたんだ」と言う。ラヴェルは父へ報告するためアキームの元へ向かった。

しかし、イジーがアキームに「結局アキームも国のために自分の息子を駒にして、国の平和のために政略結婚をさせたのだろう」と話をしているのを立ち聞きしてしまう。それを聞いたラヴェルはアキームから遠ざかっていく。
ミレンベの元に戻ったラヴェルは、「駆け落ちしよう」と言い王宮から叔父、母を連れて逃げ出す。アキームはその後すぐ、ラヴェルが逃亡したという報告を受けた。

そこにイジーがやってきてラヴェルの所在を聞きにくるが、アキームは何とか誤魔化す。イジーは「明日の結婚式にはきちんと出席するように」と、アキームにくぎを刺して去っていく。

アキームの想い

結婚前夜祭が終わり自室に戻ったアキームは、逃亡したラヴェルのことを恩知らずだと文句を言っていた。しかしリサは仲良くなったメアリーを残念に思っており、酔った勢いでアキームを責めた。
リサはアキームに古い習慣ばかりに囚われ、新しい風を吹かそうとしたあなたはどこに行ったのかと問いただす。しかしアキームは全く聞く耳を持たないため、リサはアキームを寝室から締め出した。

寝室から締め出されたアキームは、深夜のマクダウェルに行く。そして30年前ニューヨークに行ったときと同じように、ファーストフード店の床掃除をした。

そこにリサの父クリオ・マクドゥーウェルがやってくる。クリオはアキームに調子を尋ね、アキームはモップ掃除は嫌いじゃないと答える。そして「30年前掃除をしていたころから少しずつザムンダでの心地よい生活に慣れてしまい、感覚がマヒしていた。今になってようやく目が覚めた」と続ける。

ラヴェルが愛のために、30年前の自分のようにアメリカに逃亡したのは自分のせいだと後悔するアキーム。アキームは「俺は父親失格だ」と肩を落とした。
そんなアキームにクリオは「君は父親だけでなく一国の王でもあるんだ。王冠を載せた頭はさぞ重いだろう」と言う。そしてクリオはアキームの想いを的確に語ってくれる。

お互いにお互いの城を守るために、改めて激励の言葉を掛けた。アキームはクリオの言葉に感謝し、目にはまた力がみなぎっている。そんな彼の背後からクリオは、「アキームのお母さんだったらこの状況を見て何というかな」と問う。

アキームは、しばらく考えたのち「ラヴェルを連れ戻しに行くから準備せよ」と告げる。それを聞いたセミは「明日の結婚式にはイジーがやってくる。結婚式が取りやめとなり、アキーム不在となれば一気に攻め込まれるのは目に見えている」と訴える。
しかし、アキームは留守をセミに任せ、家族を守るように頼んでアメリカに飛び立った。

3度目のニューヨーク訪問

こうして3度目の渡米になったアキーム。まずはマイ・T・シャープ理髪店に立ち寄り、ラヴェルたちの結婚式の場所を聞き出す。そのころ、ラヴェルとミレンベはメアリーやリームたちと一緒に、教会へ入るところだった。
教会で誓いを交わす時、アキームが教会に到着し式を中断させようとする。そんなアキームにラヴェルは「おれは俺の人生を愛する女性と歩むんだ」と宣言する。

アキームは「もう国の問題は背負わなくていいよ。お前がクイーンズで彼女と暮らしたいのなら邪魔はしない。私は今から恐れを捨て去り、自分が理想とする国王になり自分らしく生きることにするよ。お前と同じようにね」と告げ、そのまま式を続けるように指示をした。

しかし、ミレンベはクイーンズで結婚式をしていいのか迷いを見せる。アキームはミレンベのため、クイーンズの家族や友人をザムンダに連れていくと約束した。

一方ザムンダではイジーが王宮にやってきて、ラヴェル不在を問いただしていた。国王の代わりにミーカが対応しているが、イジーは国王が現れるまでミーカを捕らえろと部下に命令した。
ミーカはイジーの部下を叩きのめすが、不意を突かれ絶体絶命のピンチとなる。しかしそこへセミやオマ、ティナーシュが加勢し形勢逆転となる。姉妹で力を合わせて武装軍を制圧し、武力に頼らず正当な外交交渉により事なきを得たのだった。

アキームたちはクイーンズの親族一同と共にザムンダに帰国した。アキームは帰国早々、楽団を集めて音楽を奏でながらリサと仲直りする。

宮殿ではラヴェルとミレンベの結婚式が盛大に行われた。アキームは自分不在のザムンダを勇敢に守ったとミーカに感謝し、自身の後継者とする。そしてラヴェルは、駐米ザムンダ大使に任命する考えを伝えた。
イジーはアキームが妹イマニの呪いを解いてくれたこと、両国間の商業協定について感謝の意を表した。

祝宴が大盛況のなか、最後にアキーム一家全員で記念撮影をして幕を閉じる。

『星の王子ニューヨークへ行く2』の登場人物・キャラクター

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