Piece(彼女の記憶)のネタバレ解説・考察まとめ

『Piece』とは芦原妃名子により『ベツコミ』(小学館)にて2008年~2013年まで連載された漫画作品である。
単行本は全10巻で、連載当初は『Piece~彼女の記憶~』というタイトルだった。
作者曰く、テーマは『考えるな、感じろ!』である。2013年1月、第58回小学館漫画賞少女向け部門受賞。

『Piece(彼女の記憶)』の概要

『Piece(彼女の記憶)とは』は芦原妃名子によって『ベツコミ』(小学館)にて2008年5月号~2013年5月号まで連載された漫画作品。単行本は全10巻。作者によると、テーマは「考えるな、感じろ!」である。2013年1月、第58回小学館漫画賞少女向け部門を受賞している。物事に冷めたところのある主人公水帆が過去を紐解きながら少しづつ変わっていくミステリー、恋愛作品。各キャラクターの知りたい、知られたくないという気持ちのさりげない攻防が魅力の群像劇。

大学生活を送る水帆のもとに、高校時代のクラスメイト折口はるかが亡くなったと連絡が入る。親しかった覚えはないが、折口は自身の母親に水帆のことを親友だと言っていたらしい。そのことがきっかけとなり、水帆は折口の母親に折口が付き合っていた男を探してほしいと頼まれる。折口は地味で、男の影など感じられないタイプであったが高校時代に妊娠、堕胎をしていたと言われる。それを皮切りに水帆は過去のクラスメイトたちを訪ね、彼女の足跡を辿り始めると否応なく自身の苦い過去とも向き合うこととなった。

『Piece(彼女の記憶)』のあらすじ・ストーリー

1巻「主要人物集合」

大学二年生の須賀水帆(すが みずほ)のもとに高校時代の友人、礼美(れみ)から当時のクラスメイト折口はるか(おりぐち はるか)の訃報が届く。正直折口の印象が薄かった水帆だが、彼女の母親から娘の生前仲良くしてくれてありがとう、「お願いしたいこと」があると言われ事実を否定。それを見ていた同じくクラスメイトであった成海皓(なるみ ひかる)から話に乗ってやってもよかったんじゃないのかと言われ、水帆は己の薄情さについて考える。後日、水帆は折口家を訪れ折口はるかの墓参りをし、その際に葬儀場で言っていた「お願いしたいこと」とは何なのかを尋ねる。すると返ってきたのは「はるかがお付き合いしていた人を探してほしい」ということで、水帆は失礼を承知でそういった人間がいたとは思えない旨を伝えると「でもいたのよ。確実に!はるかはその男性の赤ちゃんを身籠ったことがあるの」と言われる。

どうしても信じられなかった水帆だったが、女癖の悪い成海皓なら何か知っているのではないかと思い直接連絡を取る。成海皓は誰にでも平等に距離が近く、たくさんの女と関係を持っていたのだ。そんな成海皓に直接会い折口はるかと交際していたかを聞く水帆だったが「付き合ってないんじゃないの」という曖昧な返答しか得られず諦めかける。しかし、そこで成海皓の口から折口はるかのことを好きだった人間なら知っている、という情報を得る。それが、一つ上の学年の矢内高史(やない たかし)である。水帆はその日のうちに矢内高史に連絡を取り、折口はるかと交際していたかを聞くが交際していない、と返される。ここで引いては情報が途絶えてしまうと考えた水帆は「なんでもいいんです、知っていることがあれば教えてください」と直接会って話しがしたいと申し出る。その申し出に答えてもらった水帆は後日、成海皓と共に矢内高史に会いに行く。

矢内高史は折口はるかが恋人らしき人と電話している場面に遭遇していた。だがそれ以上の事は分からず、しかし矢内高史は折口はるかを好きだったかは自分でも分からないが、アンテナに触れたのは確かであると言い、その気持ちがなんだったのか確かめたい、自分の知らない折口はるかがいるのなら興味があると言い協力してくれることとなる。場面は変わり3年前、水帆は偶然外で遭遇した成海皓と遊んだ夏休みのある日を思い出した。水帆は当時からどこか浮世離れした成海皓を気にしていたのだ。一方、成海皓は水帆をいつも澄ましていて顔色の変わらない人と評していた。そんな成海皓と海まで遠出したのだがそこで不良二人に絡まれる。向こうは「成海君じゃん」と成海皓の頭をつかみ、雰囲気が変わって誰だか分からなかったと言ったのに対し、成海皓はお二人の事は知っていますよ、といった内容で挑発をし返した。それを皮切りに殴り合いに発展したが成海皓が優勢になり、それを水帆が止め喧嘩は終わる。水帆は成海皓といるときの自分がとても好きだったが、同じくらいこんな男に反応する自分がとても嫌いだ、と思っていた。そんなことを思い出しつつ水帆は学校のアイドル瀬戸内円(せとうち まどか)に連絡を取る。一方、矢内高史は折口はるかのバイト先である書店を訪ねていた。書店員は「一度だけ折口はるかを訪ねて柄の悪そうな男が訪ねてきたことがある。意外な組み合わせだなとちょっと気になっていた」と述べ、矢内高史は詳しく聞かせてほしいと頼み込む。

2巻「ストーカーの正体」

水帆は瀬戸内円宅を訪ねていた。瀬戸内円に折口はるかの恋人について聞いても手掛かりは得られなかったが、「折口はるかは僕が懲らしめてあげるから」と書かれたメモ帳を差し出された。折口はるかは一時期クラスでいじめを受けていたのだがそれと関係があるのだろうかと考えたところで他にもあるよ、と大量のメモ帳を差し出される。瀬戸内円曰く、高校生当時定期的に机やノートの隙間に入っていたもので所謂ストーカーであったが恋人ができた途端、ピタリと止んだそうだ。後日、友人と温泉に行った水帆はそこで当時のクラスメイト菅原勇(すがわら ゆう)も瀬戸内円を好きだったという話を聞く。詳しく掘り下げてみると、修学旅行の写真が瀬戸内円の写っているものだけ盗まれた事件のあった数日後に廊下で菅原勇とぶつかってしまった水帆の友人はぶつかった際に散らばった荷物の中に綺麗にファイリングされたたくさんの瀬戸内円の写真を見たという。それを聞き、もう一度瀬戸内円に会いに行った水帆は瀬戸内円から「今朝、こんなメモがポストに入っていた」と言い、「まだあんなくだらない男と付き合っているの?これ以上自分を堕とすのは止めなよ。もう子供じゃないんだから」と書かれたメモを見せられる。そこで、温泉での話を伝えた水帆だが今すぐ菅原勇の家へ行って確認してくるという瀬戸内円について行くこととなる。菅原勇の家へ着き、部屋へ上がらせてもらった水帆と瀬戸内円は単刀直入にメモに覚えがないか聞く。覚えはないと言われる二人だが水帆が同じメモ帳を見つけてしまい言い逃れのできなくなった菅原勇に瀬戸内円はもう関わらないでほしい旨を伝え出ていく。水帆は何故折口はるかを懲らしめるなどと言ったのかを聞くと、体育の授業の度に瀬戸内円に触っていると噂されていた通称セクハラ宮本をかばったからだという。また、折口はるかが宮本の家を出入りしているところも目撃しており、あいつらはできていたんだという。

その話を聞きセクハラ宮本こと宮本先生の家へ向かうこととなった水帆、瀬戸内円、矢内高史は宮本先生の家庭が父子家庭だと知る。息子はまだ小学生だがしっかりしていて宮本先生とは正反対に愛想もいい。しかし、どうしたことか単刀直入に先日亡くなった折口はるかのことで、と述べたところで「はるかちゃん、死んじゃったの?」と泣き出しその日は解散。後日、改めてその日のメンバーに加えて宮本先生、息子の宮本秋人(みやもと あきと)の五名で折口家へ線香をあげに伺ったが折口父母から娘とはどのような関係であったかを尋ねられる。三年前、宮本先生は校則違反を厳しく罰せられたことが気に入らなかった一部の女子生徒によりセクハラをしたという嘘をでっち上げられていた。そのでっち上げにより宮本家の周辺では嫌な噂が立ちそれが原因となり離婚へと発展する。離婚後、宮本秋人は宮本先生についていくが噂のせいで誰も遊んでくれなくなってしまい一人で遊ぶ日々を送るようになる。そのときの遊び場の一つであった書店で働いていたのが折口はるかであり、折口はるかが子供に厳しい店長のいるその本屋より、児童図書館のほうがいいと連れて行ったのがきっかけで折口はるかは休みの度に宮本秋人と会うようになる。しかしそんなある日宮本秋人が熱を出して倒れたことをきっかけに宮本先生に今までの事がばれ、その後宮本秋人が寂しくないように三人で会ったり、宮本家に入るようになったりする。それが菅原勇の言っていたことの真相であった。しかしそれも菅原勇の「不倫女」というメモにより終わりを迎え、最後に折口はるかの大切な人が描いたという絵を置いていく。宮本親子はその絵を折口父母に渡すが水帆は絵の隅っこに「H・N」というイニシャルを見つけてしまう。その足で成海皓の家へ行った水帆は絵に覚えはないかと聞くが「キャラじゃないでしょ」と一蹴される。そのまま帰ろうとする水帆だったが「帰るの?三年前はよく入り浸ってたじゃん」と言われ成海皓の家へ上がってしまう。

3巻「成海皓の過去」

三年前、水帆はよく成海皓の家に入り浸っていた。関わってはいけないと思いつつもどのようにしたらあのような人間が出来上がるのか興味があったのだ。しかし成海家の家政婦、七尾(ななお)からは「女の子はどんな男の子と付き合っていたか身体が記憶する。自分を粗末に扱ってはいけない」と言われ、水帆は自分は所謂間違ったバスと知りながらも乗り続けるタイプであると改めて自覚する。毎週金曜日、友達にも内緒で成海皓の家へ通い続けた水帆は次第に何故自分は成海皓に反応するのか、どうしたら成海皓を自分のものにできるのか知りたいという欲求が大きくなっていった。そこで、成海皓の母である精神科医、成海理沙子(なるみ りさこ)の著書を読みふけるようになるが欲しい答えは載っていなかった。そんな水帆は日に日に成海皓の顔を見ることが辛くなり、最終的にもう行けないと伝える。しかし、ある日もう一度成海皓の家へ立ち寄った水帆は開かずの間であった成海理沙子の部屋へ入ってしまう。そこはその家で監視カメラで記録された幼少期の成海皓が映っており、成海皓が四六時中監視されていたことを知る。そのタイミングで外出していた成海皓が帰宅し、秘密を覗き見したことがばれてしまう。それがきっかけで成海皓から傷付けられ、水帆は成海皓の家へ行かなくなった。そして現在、水帆は成海皓を巻き込みたくなったという理由で折口はるかの大切な人が描いたという絵を成海家へ置いてきてしまう。

4巻「折口はるかの恋人」

三年ぶりに成海皓の家へ行くようになった水帆は成海皓のつかいっぱしりとなっていた。そんな中矢内高史は成海皓こそ折口はるかの恋人だったのではないかと疑い続ける。しかし水帆は折口はるかの恋人の特徴に当てはまらないと否定。卒業名簿を洗い直しイニシャルに当てはまる人と、元美術部員を一人づつあたってみることにした。しかし誰も折口はるかの存在すらほとんど記憶に留めておらず、ここにきて情報が途絶え完全に行き詰ってしまう。そんなある日、成海皓の家を訪れた水帆は成海家の家政婦、七尾に再会する。七尾は水帆とお茶がしたいと言い水帆を連れ出す。

カフェで七尾は誰かに成海皓のことを知って欲しかった、成海皓をあんなにバランスの悪い人間に育てたのは自分なんだ、と打ち明ける。16年前七尾は娘と上手くいかなくなり成海心療内科を受診していた。はじめは一度きり、二度とこんな場所へは行かないと思っての受診だったがだんだんと通うようになり、欲しい言葉をくれる医者の成海理沙子に見捨てられることが怖くなったという。そんなある日成海理沙子からベビーシッターを頼まれる。その子供が成海皓だった。はじめは断ろうとした七尾だったが、指針を失ってしまうと思った七尾は承諾。しかし家中に監視カメラが付いていることに気づいた七尾は、そのことやあまりにも機械的な一日のスケジュールを成海理沙子に問いただす。が、「なら、あなたの子育ては正しかったのか」と言われ一旦引き下がる。しかし、日に日に成海皓の好きなものを取り上げていく教育法に反発、そこでも「皓を見捨てるの?」といった発言を受け引き下がる。その後、成海皓に「おばちゃんのこと好き?」と聞き成海皓が頷いたのを見て「じゃあ、皓くんがおばちゃんを嫌いになるまで一緒にいましょうね」と継続を決意。隙を見ては成海皓の好きなものを与え続けた七尾だったが「だからあの子を混乱させてしまった。二人を会わせなければよかった」と発言する。そのタイミングで水帆に矢内高史から連絡が入り、連絡のつかなかった元美術部員が3年前の冬休みに何度も折口はるかを目撃していたという。

元美術部員の松浦(まつうら)は冬休みの間、茨城県の駅構内でデッサンをしていたがその際何度も同じ場所で折口はるかを見かけていた。松浦のスケッチブックには大きなキャンパスを抱えている折口はるかのデッサンもあり、そのキャンパスには「H・N」というイニシャルがあった。それを見た水帆と矢内高史は松浦に茨城県まで案内してもらうこととなる。そうしてその場所まで来た一行だが、そこで折口はるかが乗り換えをしていることに気づき行き詰る。しかし、三年前の夏休み、成海皓と海へ行った水帆はその駅に覚えがあった。さらにそこは七尾からもらった乗り継ぎメモの中継地点でもあったのだ。七尾の言った「あの二人」とは成海皓と、飲み込んだ言葉の全てを絵で表現することのできる一つ上のいじめられっこの兄、成海比呂(なるみ ひろ)である。成海理沙子は近い遺伝子を持った二人のうちの片方を茨城県という遠く離れた土地でほぼ同じ環境を用意して同じストレス、ときに正反対のストレスを与えて育てていたのだ。成海比呂ならイニシャルも、折口はるかの恋人の条件にも合うと判断した水帆は急いでメモの場所へ向かうがそこには成海皓の家とほぼ同じ佇まいの家があった。

成海比呂の家と思われる場所を訪れた三人だったが、そこは既に別の住人が住んでいた。しかし住人曰く売主は成海理沙子でその息子の成海比呂は独立して家を出たという。惜しいところで情報の途絶えた水帆、矢内高史は東京へ帰ろうとするが帰り際住人から成海兄弟の子供時代のアルバムを渡される。どうやら忘れものらしい。それを受け取り東京へ帰った水帆は成海皓が家を空けていることに気づき、すぐに七尾を呼び家の中へ入る水帆だったが、置いていった成海比呂の絵が壊されていることに気づく。そして、七尾に頼み成海理沙子へ会いに行こうと決心する。そうして成海理沙子と対面した水帆だったが、何故か成海理沙子は水帆のことを知っており、水帆は気持ち悪さを覚える。しかし、亡くなった同級生の過去を今更掘り下げている理由を聞かれ、折口はるかが成海比呂の子供を妊娠して堕胎したかもしれない旨を伝えると「それならうちの子じゃないわ」と言われる。理由を尋ねると「比呂は物理的に女に触れないのよ」と返ってきた。

5巻「幼少期」

大学が休校になった水帆は再び茨城県へと向かうことにする。途中、高校時代の友人西田礼美に会い、今まであまりいい顔をしていなかった西田礼美だが付いてくるというのだ。そうして茨城県に到着した水帆と西田礼美は元、成海比呂の家の近隣住民に話を聞くことにしたのだが、家政婦と二人で暮らしていた上に中学生へと上がった頃から暗くなった成海比呂のことは誰も分からず、成海比呂の現在の居場所も知ることはできなかった。失意の中成海比呂と成海皓が会っていた図書館を訪れた水帆と西田礼美だったが、なんとそこの館長は二人を覚えていた。成海比呂に絵を描くよう勧めたのは館長だったのだ。そうして館長は「比呂君は静かな子だけど比呂君の絵はとってもおしゃべりだ。館長さんから比呂君に言葉のプレゼントです」と絵描きセットをプレゼントする。しかし、それは一度家政婦の手によって教育方針に反すると返却されるが館長の「あの子から言葉を取り上げないでほしい」という発言を受け家政婦は成海理沙子を説得。幸い成海理沙子の教育方針にはさほど影響がないと判断され成海比呂は絵を描くことを許された。そしてさらに館長は成海比呂はいじめを受けていたと発言。相手は二つ上の悪ガキ軍団だという。そんなときに成海皓は成海比呂を助けていたがその様子がなんのためらいもなく怖かったという。しかしその結果成海皓が茨城県にいる間は成海比呂をいじめるものはいなくなり、いつしかどこへ行ってもいじめられる成海比呂が被害を受けるたびに成海皓が駆け付ける、といった妙な関係になっていったという。だがそんな成海皓は中学校へ上がった頃から顔を見せなくなったという。さらに話を聞くと館長の知っている成海比呂の交友関係はそのいじめっ子たちのみであり、彼らは一度も本を借りたことがなかったことから彼らの小学校をあたることを勧められる。リーダーの名前は坂田コウジ(さかた こうじ)であり、目立つ子だったのでどこかしらからは情報が出てくるはずだという。

そうして図書館を後にした水帆は後日、矢内高史、瀬戸内円と共に小学校を訪れる。対応した教員曰く午前中も人が訪ねてきたらしい。その特徴は西田礼美によく当てはまっていた。水帆は坂田コウジの友人である山根直紀(やまね なおき)と前川健治(まえかわ けんじ)、そして坂田コウジの住所をなんとか聞き出し小学校を後にする。

連絡のつかなくなった西田礼美を探しに水帆と瀬戸内円が東京へ帰った後、矢内高史はひとり茨城県で調査をしていた。はじめに山根直紀の家を訪ねたが西田礼美が先に訪れていたことと当時の仲間、木戸純平(きど じゅんぺい)の働いているコンビニしか情報が得られなかった。そのまま木戸純平のいるコンビニで本人に会った矢内高史は裏で待っててほしいと言われる。一方、東京へ戻った水帆と瀬戸内円は西田礼美の家を訪れる。無事に本人に会うことができた二人は西田礼美が坂田コウジを探していた件について尋ねるが人違いだと否定される。そのまま追い返される形となった水帆と瀬戸内円はその日は解散した。そして茨城県の矢内高史は木戸純平からあっさり坂田コウジの現住所が名古屋であることを教えてもらえたことに驚いていた。山根直紀が関わりたくなさそうにしていたから驚いた、と伝えた矢内高史は木戸純平から「あいつは坂田コウジが成海皓とつるみだして変わってから真っ先に逃げた」という情報を入手する。成海皓と坂田コウジは対立していたのではないのかと尋ねた矢内高史に木戸純平は「坂田コウジは思い通りにならない成海皓を仲間に入れて支配下に置こうとしたが、人はアクの強いほうに引っ張られるから失敗した。成海皓は昔人を殺しかけてる」と発言する。その頃、東京の水帆は連絡のつかなかった成海皓から連絡が来て状況を聞く。どうやら名古屋県で弱っているらしい成海皓のために至急名古屋県へ飛んでいった水帆だったが、金欠により腹を空かせていただけ、旅番組を見ていたら思い立って名古屋へ行きたくなっただけ、としか聞き出すことができず翌日に解散。その後すぐに矢内高史から電話がかかってきて、坂田コウジは名古屋県にいると知らされる。一方、水帆と別れた成海皓は木戸純平からの電話に出て、「お前の指示通り、お前の探し出した坂田の住所を伝えておいた」と言われる。

6巻「罪」

12年前、坂田コウジは家庭環境の鬱憤を成海比呂にぶつけていた。坂田コウジは成海比呂に「武器をもって戦え。それができなきゃ一生誰かの奴隷だ」と発言しそれがきっかけで成海比呂は隣町の恐れられている不良、丸尾(まるお)を叩いてしまう。話を聞いた成海皓は慌てて駆けつけたのだが、後を追った坂田コウジらが追いついた頃には成海皓は血だらけで丸尾が立ち上がれないまでに打ちのめしていた。坂田コウジのお前がやったのか、という問いに成海皓は頷き坂田コウジは警察を呼ぼうとした他の仲間たちを制止し、事故に見せかけるため丸尾を崖から蹴り落した。

そんな話を木戸純平から聞いた矢内高史は水帆に「お前はそういう奴を愛せるの?」と言い放つ。坂田コウジの居場所と言われていた名古屋の家を訪れた水帆と矢内高史だったが、坂田コウジはその家に居候していただけであり既に出ていったという。家主は行き先は分からないということであったが、坂田コウジが成海皓らしき人物と会っているのを目撃していた。その後東京へ帰った水帆は後日、西田礼美の大学まで押しかける。西田礼美からは連絡してこないでほしいと言われたが今まで無意識に雑に扱ってしまっていたことを謝罪したかったのだ。謝罪の流れで坂田コウジは名古屋にいると伝えると西田礼美は激昂、その日は解散となる。しかししばらくしてから西田礼美から「聞いてほしいことがある」と電話が来て水帆は駆け付ける。その頃、矢内高史は折口はるかが入院していた病院の看護師と話をしていたが、折口はるかが亡くなった後、つい最近そこでもガラの悪い男が訪ねてきていたという情報を得る。

高校生の頃、西田礼美は自分が太っていることを気にしていた。昔から容姿のいい子と比べては卑屈になっていたのだ。ある日の合コンで西田礼美は飲み役のピエロに徹していた。合コン後、吐きそうになっている西田礼美に声をかけて介抱した人物がいる。それが坂田コウジだったのだ。二人は成海皓の話題から打ち解け連絡先を交換した。それから二人は連絡を取り合う中になる。そんなことを思い出しながら西田礼美は水帆に会いに行こうとするが、今まで話せていなかったことの何から話せばいいのか分からなくなってしまい水帆にキャンセルの電話を入れる。電話を受けた水帆はちょうどそのタイミングで矢内高史から電話かかかったきて、病院の看護師から聞いた話と、その男が人を探していたことと業務用バイクに乗っていたことを話す。

7巻「折口はるかの行動を追って」

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