アウターゾーン(THE OUTER ZONE)のネタバレ解説・考察まとめ

『アウターゾーン(THE OUTER ZONE)』とは、光原伸によるホラー・ファンタジー漫画。
連載雑誌は『週刊少年ジャンプ』であり、同誌掲載の漫画作品としては珍しい一話完結のオムニバス形式と、登場する美女キャラクター「ミザリィ」の強いインパクトとで、注目を浴びた。
また、続編として世界観をまったく同一にする『アウターゾーン リ:ビジテッド』が『コミック特盛』で連載され、同誌休刊後はホーム社Webマンガサイト『画楽ノ杜(がらくのもり)』にて残りのエピソードが発表されている。

『アウターゾーン』の概要

『アウターゾーン(THE OUTER ZONE)』とは、光原伸によるホラー・ファンタジー漫画である。
一話完結のホラー作品が連載される、いわゆる『笑ゥせぇるすまん』的なオムニバス形式を採用している事が特徴。
連載雑誌は『週刊少年ジャンプ』であり、1991年14号を初掲載として、同年の24号までを第1部としている。続く第2部が1991年51号から、1994年15号までの連載された。
また、続編として世界観をまったく同一にする『アウターゾーン リ:ビジテッド』が2011年から2015年まで『コミック特盛』で連載されていたが、同誌休刊につき第21話と第22話はホーム社Webマンガサイト『画楽ノ杜(がらくのもり)』にて発表されている。

光原伸の深いホラー・オカルト作品知識を基に、映画黎明期~作品執筆当時(1990年代および2010年代)まで渡る、幅広い世代のアメリカ・欧州のホラー映画やオカルト映画などを作品モチーフとしている。
また、それらを『アウターゾーン』においては掲載誌が掲げている「努力・友情・勝利」の、いわゆるジャンプコンセプトに落とし込んで、読者層向けに再構成した事で、本物のホラー映画が持つ陰惨・陰鬱な空気を可能な限りそぎ落としつつ、ライトなホラー作品として仕上げている。

『アウターゾーン リ:ビジテッド』では掲載誌が怪談誌(連載当時)に移った事によって少々大人向けの作風になった。
ただし、作品そのものが従来ファン向けという体裁であったため、大幅に作風が変更される事はなく、前作のイメージはしっかりと維持されている。

全てのエピソードで、登場人物達は「アウターゾーン」と呼ばれる、現実とは似て非なる異世界へ紛れ込む。そして、そこで様々な恐怖・超常体験をしていくのだ。
前述の通り、オムニバス形式の漫画作品であるため、基本的に物語と登場人物はそれぞれのエピソードで独立している。
ただし、物語の案内人という名目で「ミザリィ」なる登場人物が、作品の全体にわたってエピソード解説者の役(案内人)で登場しており、これが絶大なインパクトを放った事で、読者の記憶に強く残されるものとなっている。

この"絶大なインパクト"というのは、主にその容姿だ。
1990年代前半当時の、まだ「美少女もの」が隆盛を極める前の時代の少年誌キャラクターとしては、異色なほど色気を前面に押し出したキャラクターであり、時折ヌードシーンなども挿入された事から、ホラー・オカルトとは異なる方向からも人気を集めた。

そんな『アウターゾーン』における、物語のおおよその流れは以下の通り。

・ミザリィが案内人として登場し、その回の作品世界を紹介する(現代とは限らない)。
・その回の登場人物によるホラー・オカルト物語が展開し、収束する(収束しないまま終わる、いわゆるクリフハンガー方式の結末パターンもある)。
・再びミザリィが登場し、その結末に己の意見を交えつつ、読者に判断をゆだねる形で終幕となる。

総じて本作は、エログロ・ホラー・オカルトという大人向けの趣向を少年誌向けに落とし込んだ初のジャンプ漫画であり、連載期間はそれほど長くなく、作品人気も中堅どころであったにも関わらず、当時の読者が大人になっても記憶している作品としてコアな評価がある。

『アウターゾーン』のあらすじ・ストーリー

『アウターゾーン』

『マジック・ドール』編

敏腕刑事、火牙明は、自身の仕事の際に巻き添えに遭って死んでしまった女性、坂内マキの魂が入った“人形”と知り合う。
実はあの世で書かれる「死ぬ予定の人物ファイル」の記載ミスによってマキは死んでしまっており、そのためマキは新しい肉体(新鮮な死体)が見つかるまで、仮の肉体として人形を宛がわれていたのだった。
マキは、その間の現世で生きるためのパートナーとして火牙を指名する。
最初はこれを拒否する火牙だったが、マキが死亡したのは自身の手落ちもあった事から彼女を迎え入れる。そして「人形を連れた刑事」として、事件の解決にあたるも周囲からは変態扱いされてしまうのだった。

火牙とマキは、世にも奇妙な刑事コンビとして数々の難事件に挑みこれを解決に導いていく。
やがて火牙はマキの事を一人の女性として意識するようになるも、その矢先に乗り込んだ豪華客船でシージャックが発生。
これを解決するために奔走する中、マキは仕掛けられた解除不能の爆弾を処理するため、その身を犠牲にして自爆してしまう。
失意の火牙は、しかし残った乗客達を救うため、シージャックの首謀者と決闘におよびこれへ勝利した。

こうして人形の身体を失い、再びあの世へ戻ったマキだった。
だが、ちょうど新しい肉体が見つかったと、あの世の死者の門担当のハゲ親父こと、マイク・ピンキー2世に告げられる。
さっそく生まれ変わったマキとして火牙へ会いに行こうと考えるのだが、新しい肉体に魂が入っても、元の肉体の記憶が優先され、マキとしての記憶は封印されてしまうと説明されてしまう。

これに「そんな事聞いていなかった」とマイクに詰め寄るマキだが、どうする事もできないと言われうなだれるしかなかった。
しかし、そんなマキを見てマイクは「火牙があなたを愛していれば、記憶がなくてもきっと気づいてくれる」と彼女を励ます。
果たして新しい肉体に転生したマキは「真奈美」という人物に生まれ変わった。

マキの記憶は封印されてしまったが、お節介を焼いたマイクがタクシー運転手に扮して、真奈美を火牙の元へと届ける。
そして、真奈美を見た火牙はすぐに「マキ……!?」と彼女のマキの魂がある事を感じ取るのだった。

『狙われたミザリィ』編

『狙われたミザリィ』編表紙

本編の最終章にあたる物語。
それまでの案内人に徹して物語には大きくは関わってこなかったミザリィが、完全な主役として抜擢されたものである。

ある夜、一人で歩くミザリィを付けて歩くコートの男が居た。
すぐにその追跡を撒いて、自分から「私に何か用?」と男の背後から声をかけるミザリィ。
だが、男は彼女を狙った刺客だった。

男の名は草波龍志郎。
ミザリィを「邪悪な存在」として命を狙ってきたのだ。草波はミザリィをも傷つける事のできる刀を使って彼女に攻撃をしかけてくるが、路上での事であったためすぐに警察が出動。
お互いに面倒を避けるため、戦闘を中止した。

その後、草波がミザリィを狙った真の理由が明かされる。
草波の妹が意識不明に陥ったからだった。そしてその元凶がミザリィにあると、黒沢なる男に吹き込まれていたのだ。
だが、それは嘘であった。
妹は軍事用に研究されている寄生虫の人体実験も兼ねて、黒沢の手によって昏睡状態にされていたのだ。
ミザリィは冤罪によって命を狙われるハメになったのである。

ミザリィと知り合いの新聞記者の男、的屋によれば、状況はこうだ。
「ミザリィはこれまでに散々悪党を酷い目に遭わせてきたため、方々の悪人から恨みを買って、このような状況に陥っている」
しかし、それこそ逆恨みである。

ミザリィは自分を狙ってきた黒沢を始末するため、再度襲ってきた草波を撃退すると、しかし命を取らずに真相を話して彼を味方へ引き入れる。
そして共闘する形で黒沢を追い詰め、彼が関わっていた軍事用の寄生虫研究も壊滅させ、草波の妹をも救い出す活躍を見せる。
やがてミザリィは草波の前から姿を消した。

再び姿を現したのは、物語の中の登場人物に対してではなく『アウターゾーン』の読者である「あなた」の目の前だった。
「あなた」の前で、ミザリィは『アウターゾーン』の連載終了に伴って、お別れになる事を告げてくる。
そして「ここから先の物語は、あなた自身で作るのよ……」と言い残して「あなた」の前から去っていくのだった。

禁書

漫画をはじめとする、いわゆる「サブカルチャー」などの創作物に共産主義国家も真っ青になるほどの徹底的な規制が入る事になった未来の話である。
そこでは大人達の決める「道徳的」である漫画だけが出版を許され、少しでもその道徳的であるとされる概念からそれた部分のある作品は「禁書」とされ、まるで覚醒剤のように執筆から所持にいたるまでが重罪とされてしまってきた。

そんな中で一人のイラストレータが、隠し持っていた数々の「禁書」を近所の少年に見せていたが、やがてそれが周囲に発覚して、イラストレータの男は投獄され、そして獄死してしまう。
そんな悲劇を見た少年は成長して大人になった。
彼がしている仕事は、イラストレータであり、かつて自分に「禁書」を見せたために獄死した男と同じ事をするようになっていた。

それはなぜか。
「禁書」とされるものは、決して不道徳だとして処分されるに相応しくない「素晴らしい漫画の数々」であったからだ。

この物語は「臭い物には蓋」という考えで、青少年に悪影響を与える作品を次々に発禁処分にしようと運動する市民団体や、それに突き動かされる政府を揶揄している。
「臭い物には蓋」という考えの本質には、まさに共産主義国家のように異なる思想を認めない、すなわち表現の自由を認めない、危険で窮屈なものではないのか、という鋭い指摘がなされた内容になっているのだ。

作者の光原伸の思想でもあり『アウターゾーン』の読者や漫画評論家から、一定の評価がある。

ママと悪魔

悪いものには「悪魔が取り憑いている」と盲信する母親の息子、ひろしを主人公とした話。
母親はひろしに事ある毎に辛くあたり、ついにはひろしに悪魔が取り憑いたと叫び包丁をふるいはじめる。
しかし、その時アウターゾーンからもたらされた杖が、母親をその真の姿である"悪魔"へ脱皮させ、この世から消滅させた。
そしてひろしの身の上は、学校の優しい教師ゆうこが預かるのだった。

解放者達(リベレーターズ)

飼い犬を捨てた一組の夫婦は、犬型異星人が人間を奴隷として支配するアウターゾーンへ紛れ込む。
そんな世界では、かつて飼い犬を大事にした人間だけが身の安全を保証されていた。
夫婦は飼い犬を捨てていたため、ガス室での処分決定が下される。
ガスで死ぬ瞬間、夫婦は現実に舞い戻った事で犬を飼い続ける決断をするが、夫の腕には異世界で施された個体管理番号の刻印が残されていたのだった。

わしはサンタじゃ!!

教育ママに嫌気がさした少年は、家を飛び出した。
その矢先に出会ったよぼよぼの老人を助けると、老人はサンタを自称して、少年に彼が失ったはずのロボット玩具をプレゼントする。
少年が大変に喜ぶと、老人はエネルギーを取り戻していく。

サンタは人の喜びの感情を得て生きる存在だが、現代ではプレゼントでは欲望を満ちるだけでうまくいかないというのだ。
だが、やがて老人は人の欲望を満たすものではなく「失った思い出の品」のような、心を満たすプレゼントをする事で、人々から喜びのエネルギーをもらえると確信し、それを実行した。
すると、元気だった頃の姿を取り戻し、再び夜空へトナカイのソリで舞い上がるのだった。

デス・フライト

とある会社の社長が、数人の人間に空の旅行をプレゼントした。
しかしそのプレゼントは、かつて吸血鬼に娘を殺された仇を討つための、犯人(吸血鬼)探しの旅を伏せたものだった。
集められた旅行客は全員が娘殺しの被疑者なのだ。

やがて航空機で空を飛ぶ旅行客に真相が知らされ、その内の一人が吸血鬼の正体を現す。
だが、まもなく吸血鬼は死んだ。
吸血鬼は朝日を浴びると死ぬが、航空機は夜間に日本を飛びだち、より早く日が昇る東へ飛行していたためだった。

妖精を見た!

ホラーマニアの少年の身の回りでは、なぜか物を紛失する事が続いていた。
それはホラーショップ店主に扮するミザリィによれば、妖精の仕業なのだという。
曰く、妖精は自分の姿を見た人間を殺戮するらしい。

恐怖した少年の前に、妖精が姿を現してしまう。
少年はそれから逃げまどい、なんとか罠を作ってこれを撃退した。
それでも妖精は死ななかったが、少年に復讐を誓ったところをミザリィに捕獲され、剥製にされてしまった。

魔女狩りの村

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