新暗行御史(漫画・アニメ)のネタバレ解説・考察まとめ

『新暗行御史』は、『サンデーGX』で連載されていた史実を元にしたファンタジー漫画およびそれを原作としたアニメ映画。
作者は原作・尹仁完、作画・梁慶一の二人の韓国人。
聚慎(ジュシン)という国の滅亡後、訳あって暗行御史となった元将軍文秀(ムンス)が放浪の旅でお供の山道(サンド)や房子(バンジャ)に出逢い、行く先々で遭遇する問題を解決していく。
道中で聚慎滅亡・親友・恋人の死全ての原因となった阿志泰(アジテ)に再会。
過去への葛藤を乗り越え、悪魔の圧倒的な力に勇敢に立ち向かう様を描く。

活貧党と洪吉童(ホンギルドン)

正義を行う時にしか出現しない幽幻兵士が洪吉童の号令の元出現し、金海の兵士たちを倒していく

文秀はミス黄が捕らえられている金海(キムヘ)と呼ばれる土地へ向かう。
金海は膨大な量の地下金脈を有しており、聚慎最大の黄金保有地。
今回活貧党は『要求した黄金を寄越せ、さもなくば金海一帯を火の海にする』と領主に脅迫状を送り付け、居合わせたミス黄は一人立ち向かうも返り討ちにあってしまった。
活貧党は盗賊集団だが、富を貧しいもの達に分け与える義賊である。
総裁は文秀の死んだ恋人桂月香(ケウォルヒャン)と名乗っているが、実際は母違いの姉洪吉童。
文秀は桂月香と同じ謎の呼吸器系の病に身体を蝕まれており、パイプ(吸引機)が無いと思うように身体が動かせない。
そこで今回一時的に発作を抑える薬を服用し、全力で活貧党に立ち向かっていく。
桂月香を文秀が殺めたと思っている洪吉童は活貧党の仲間たちに文秀を殺してと命じるが、文秀はしぶとく食らいついていく。
そこで活貧党の1人で洪吉童の恋人の白龍(ベリョー)が合気を使い、戦闘をしていた仲間の船ごと海に沈めてしまう。
一方監視役の漱(ス)が寝ている間に檻から脱出したミス黄は、海に沈んでいく文秀を救い出す。
ミス黄は文秀に、活貧党は義賊である事を話し、自分たちと同じ目的を持った彼女たちを裁けるのかと迷う心を打ち明けた。
「いくら腹が減っても、パンを盗んだガキは…そのケツを引っぱたかなきゃならねぇんだ。所詮は盗賊の集まりじゃねぇか。」そう一刀両断した文秀はミス黄と共に洪吉童の元へ向かう。
そこにはミス黄から奪った馬牌を構えた洪吉童と領主、領主を救出しようとする金海の兵士たちと房子が睨み合っていた。
馬牌は正義を行う者だけが幽幻兵士を召還出来る筈が、盗賊である洪吉童の号令に召還され、文秀の幽幻兵士と対峙する。

桂月香を文秀が殺していない事を察し、文秀を刺そうとしていた剣を捨て、どうして彼女を守れなかったのかと泣き崩れる洪吉童

洪吉童が金海の兵士に殺されそうになったその時、白龍がその場にいる兵士と幽幻兵士を消し去り洪吉童を助ける。
その直後、不意を突かれた白龍は領主の刀に首を斬られてしまい、文秀によってとどめを刺される。
恋人・仲間を失った洪吉童は剣を持ち、文秀を殺そうとする。
文秀は真に裁かれるべきは自分だとまるで洪吉童に殺されるのを望むかのように動かない。
過去に洪吉童の義理の妹である桂月香を結果的に自分の手で殺してしまったからだ。
それを見た房子が洪吉童の足にしがみ付き「不幸な人がいない、そんな世の中をつくろうって言ったじゃないですか!」と叫ぶ声をきき、敵の筈の文秀が自分と同じ志を持っていると知る。
洪吉童は桂月香を文秀が故意に殺していない事を察し、文秀を刺そうとしていた剣を捨て、どうして彼女を守れなかったのかと泣き崩れる。
領主が彼女の死罪を求めたことで、文秀の目の前で洪吉童が自らの胸に剣を突き立て自害する。
自分の見ることが出来なかった夢を文秀に託し洪吉童は息を引き取る。

阿志泰の登場に虫の息だった文秀が、最後の力を振り絞る

肺が潰れかかり、苦しそうに喚く文秀の元に阿志泰が姿を現す。文秀の最期を誰も邪魔しないように、阿志泰に付き従う狂気の黒魔術師・ルウに「後片付けを頼む」と命じると、生き残っていた周りの人間が殆ど殺されてしまう。
阿志泰は虫の息である文秀に近寄り「人間の善と悪の概念を消し去り、新しい世をつくる」と楽しそうに話す。
「文秀は阿志泰の胸倉を掴むと「たとえこの世がブッ壊れようが絶対にお前の好きにはさせねぇ!」と宣言する。
阿志泰が去った後泣きわめく房子に文秀は、手掛かりにと持っていた柳義泰の曼荼羅華の鍼を自分の体に打つよう命じたのだった。

曼荼羅華の夢

鍼を打たれた文秀の身体は心臓も呼吸も止まっているのに腐敗せず、曼荼羅華の力で過去へ過去へと時間を逆行する。
自分が安らげる場所を見つけたらそこで永遠に生き続けるのだが、文秀には安らげる場所などなく、夢の最後に現れた阿志泰によって目覚める事が出来た。
文秀が眠っている間に、阿志泰による、人間を無に帰す作業が金海を根城に進んでいった。
伝説の軍人達と悪獣の筆頭である快堕天を蘇らせ、先人に定められた善と悪など様々な束縛から解き放ち自由に生きるという全人類の悪魔化改革で世は混沌に陥っていた。
目覚めた文秀は己を蝕んでいた病が嘘のように治癒していたが、弥土はそれは蝋燭の風前の灯だと危惧し、いつ死んでもおかしくない状態だと文秀に告げる。
そんな中旅の途中で親しくなった国の兵達と、文秀の旧知の仲であるルシード将軍の兵を集め、文秀軍と阿志泰率いる悪魔軍で人類の未来を懸けた戦争がはじまる。

日食

日食が終わり、太陽の光に目がくらみ動きが止まった悪獣たちに一気に反撃する
文秀はこの一瞬を狙っていた

文秀軍の野営地に突如として阿志泰が単独で乗り込んでくる。
宣戦布告をするつもりだった阿志泰だったが、文秀は全く動じず「数日後の日食の日に行くぜ。一匹残らず、根絶やしにしてやる」と追い払った。
日食まであと一日という夜、巨大な悪獣が野営地を襲う。
その正体は快惰天に弄ばれた元述であった。
文秀は悲痛の思いで足元にある火薬庫を爆破させ、元述を逝かせた。
それから兵たちの雰囲気は重苦しいものになり、「自分は阿志泰に勝てるのか」と文秀の表情からは余裕が無くなった。
日食の日、戦争は開始された。
襲いくる悪獣達に、サイコロを振って出鱈目な軍の侵攻をする文秀。
しかし、日食が終わり太陽が顔を覗かせると悪獣たちの目を眩ませ、その一瞬の隙に文秀軍が反撃にまわる。
ミス黄の山道が快惰天の首を斬り悪獣達は消滅した。
城内へと侵攻する文秀と房子の前に、文秀達の元を離れてから阿志泰の元で修行し、暗示にかけられた山道が立ちはだかる。

阿志泰と決着

文秀の言葉に洗脳が解け、再会を喜ぶ三人

阿志泰に操られた山道は文秀たちに容赦なく襲い掛かる。
文秀の言葉に心が揺らぐも房子の腹を斬り、文秀の左腕を肘から斬りおとしてしまう。
なおも攻撃を仕掛ける山道の足元に文秀のヘアバンドが取れて転がり、それをみた山道は夢龍や文秀と過ごした日々を少しずつ思い出す。
葛藤の中、山道は再度文秀の左腕を根元からバッサリ斬り落としてしまうが、阿志泰の洗脳を解きなんとか自分を取り戻す。
ごめんなさいと泣きわめく山道と三人で再会を喜ぶも、阿志泰が目の前に現れ戦闘中の人間たちの殆どを消し去ってしまう。

迫る文秀に人間のように恐怖する阿志泰

阿志泰の圧倒的な悪魔の力は10年前聚慎滅亡の時、文秀だけには通用しなかった。
10年前、文秀が快惰天との戦争に勝利し、西洋へ旅に出た際押しかけ女房のようについてきた桂月香と甘酸っぱい幸せな日々を送っていた。
しかし彼女がずっと抱えていた謎の病が悪化し、余命幾ばくかになってしまう。
その頃聚慎で不穏な動きをする者がいた。
文秀の親友であり聚慎の王・解慕漱(ヘモス)はわざと反乱を起こさせ反逆者を炙り出し一掃する為に、一時的に王座を離れ西洋に赴いていた。
医術でなくてもいいから彼女を助ける方法はないのかと焦る文秀に、「桂月香のためならなんでもできるか」と解慕漱は問う。
その結果、解慕漱に同行していた文秀の部下・阿志泰に、桂月香の病と文秀の健康を入れ替える黒魔法を行わせる。
黒魔法のお陰で阿志泰の悪魔の力は通用しなかったのだが、曼陀羅華の鍼で目覚めた文秀にはもう黒魔法の力は残っていない。
阿志泰は今までのように一瞬では殺さず、文秀の左腕と右目を潰してしまう。
それでも死なずに歩みを進める文秀に、何故死なないのだと恐怖に叫ぶ阿志泰。
目の前まで来たところで、阿志泰を鋭い眼光で睨み立ったまま文秀は息絶える。
それに安堵した阿志泰に山道が襲い掛かる。刃を避けようとするが文秀の目に一瞬怯み、その隙に服の端を踏まれ動けずそのまま切り裂かれ命を落とす。

エピローグ

戦争が終焉して2か月後、房子は亡き文秀に手紙を書く。
仲間のそれからや国の事が書かれており、かの地で手紙を読む文秀が笑み桂月香に呼ばれ、先に命を落とした仲間たちの元へ歩いていく。
房子は暗行御史を見つけてはしつこくお供し、山道は困っている人を見つけては助ける日々を送る。

新暗行御史 外伝

新暗行御史外伝は、山道(春香)と夢龍の出会いの物語【新春香外伝~銀色の蜃気楼(ミラージュ)~】、花郎になりたての若き元述と、悪獣の長快惰天との出会いを描く【元述外伝】、”生涯房子”を貫く房子と一馬牌を持つ元の主との物語【房子外伝】、幼い文秀・桂月香・解慕漱の出会いの物語【新暗行御史外伝~空と風、そして星の歌~】、新暗行御史誕生のきっかけとなった尹仁完、梁慶一による日本でのデビュー作【THE FOOLS】を収録している。

『新暗行御史』の登場人物・キャラクター

文秀一行とその助力となる者

keeper
keeper
@keeper

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