怪物事変(漫画・アニメ)のネタバレ解説・考察まとめ

『怪物事変(けものじへん)』とは藍本松による人気のダークファンタジー漫画である。「ジャンプスクエア」にて2017年より連載中。シリーズ累計発行部数は420万部を突破しており、2021年1月から3月までアニメも放映されている。
舞台は東京にある隠神探偵事務所、主人公である夏羽(かばね)が消息不明の両親を探すため、怪物による数々の怪異事件を仲間である隠神(いぬがみ)達と共に解決していく物語である。

『怪物事変』の概要

『怪物事変(けものじへん)』とは藍本松による人気のダークファンタジー漫画である。「ジャンプスクエア」にて2017年より連載中。
シリーズ累計発行部数は420万部を突破しており、2021年1月からTVアニメがTOKYO MXなどでスタート。監督は数々のアクションアニメーション作品を世に送り出す藤森 雅也監督が務めている。

昔々、まだ人間と怪物がお互いの存在を認識し、垣根なく暮らしていた時代に大きな争いがあった。勝ったとも負けたとも言えない争いの果てに、賢く強い怪物の長たちがそれぞれの力を込めた怪物の石を作りだし争いを収めた。それから長い月日が経ち、舞台は架空の日本。多くの人間や怪物が住む街、東京にある隠神探偵事務所。
怪物の世界には知能レベルに差があるため法律がない。知能が高い化け狐が秩序のため取り締まっているのみである。そのため怪物による怪異事件は多く存在するが、人間には怪物が見えない者が多く、怪物が引き起こした事件は迷宮入りしてしまう事件は多い。
そんな怪異事件を取り扱うのが隠神探偵事務所の仕事である。主人公、夏羽はとある事件で知り合った隠神に隠神探偵事務所で働かないかと誘われる。
両親の顔を知らない夏羽は唯一の手がかりである命結石を頼りに両親に会いたいと願い、怪物の世界へ足を踏み入れる。
夏羽の持つ命結石を狙い襲ってくる飯生やその部下達と戦闘を繰り返しながら、隠神探偵事務所へ届く怪異事件を夏羽やその仲間達が解決していく物語である。

『怪物事変』のあらすじ・ストーリー

鹿の子村の泥太坊

夏羽は鹿の子村で子供達から泥田坊と呼ばれていた

鹿の子村(かのこむら)の旅館を営んでいる叔母の元で暮らしている主人公の日下 夏羽(くさか かばね)は生まれつき体臭がきつく、人前に出られない。農作業ばかりしており、土や肥料まみれなため叔母の息子である日下 弥太郎(くさか やたろう)や村の子供達から田んぼに棲む妖怪に因んで”泥太坊”と呼ばれていた。
鹿の子村で内臓を食い荒らされ腐敗している家畜の死体が見つかるという不可解な事件が起こる。
夏羽はその事件を解決するため依頼され東京からやってきた隠神 鼓八千(いぬがみ こはち)という探偵に出会う。最初は弥太郎が隠神の世話役をしていたが隠神たっての希望で村に滞在している間、夏羽が隠神の世話役になる。夏羽はこの事件について自分がその家畜の処理をしていることや処理を任されるのは新月の翌朝であることを伝える。次の新月まで鹿の子村に滞在することになった隠神は夏羽に夏羽がこの鹿の子村に預けられたときに持っていたという石について「これは命結石と言って特殊な状況下でしか生み出されず、この石にしか存在しない成分がありとても貴重な石であるとかで、捨てる子にあげるような代物ではない。夏羽の両親はどうしても女将さんに預けなければいけない事情があったんだろう」と告げる。
これまで自分は両親に捨てられたと思っていた夏羽は隠神に「親に会いたいか」と聞かれると「よくわかりません。でも会いたいかもしれないです」と伝える。

命結石を奪われ、半分怪物の姿になった夏羽

新月の夜、隠神を待っていた夏羽はこの事件は物の怪(もののけ)の仕業ではないかと考えていた。そんな夏羽の前に叔母の息子である日下 弥太郎(くさか やたろう)が怒りの形相で現れる。隠神の世話役を母から任せられていた弥太郎は東京に憧れており、隠神から気に入ってもらおうと思っていた矢先に母から世話役の交代を告げられたため、普段自分たちが夏羽のことを泥田坊と呼び馬鹿にしている仕返しに世話役の交代を夏羽が隠神に頼んだと勘違いしていた。そんな弥太郎は夏羽に「おめぇ親に捨てられたからここにおるん忘れんなや!従兄弟ってだけで面倒見んといけん俺や母さんの身にもなれや!」と怒鳴りつける。すると夏羽は弥太郎に「捨ててない」と言い返す。口答えされさらに逆上した弥太郎は命結石を指差し「そんなもんしとるけぇ勘違いするんじゃ!」と言い夏羽から命結石を奪い取る。命結石を奪われた夏羽は半分怪物の姿に変わってしまう。そんな夏羽の姿を見て怯え切った弥太郎は叫びながら逃げていく。

今日は新月で先程夏羽の姿を見て逃げ出した弥太郎が事件のことを知らずまだ外にいることを思い出した夏羽。夏羽の言った通り弥太郎は夏羽から逃げるため泣きながら走っていた。弥太郎はある建物に着き「泥田坊に殺される。あいつは物の怪だったんだ」とドアを叩きながら叫ぶ。ドアが開いた先に居たのは本物の物の怪だった。夏羽の話を聞き、ギリギリのところで弥太郎に追いついた夏羽と隠神は物の怪の首をはね、倒すことに成功する。あまりの恐怖に気を失った弥太郎を自宅に送り届ける途中夏羽は「弥太郎は自分の正体を知ってしまった。きっとこの事件の犯人にされてしまうのでこの村に居られない」と話す。そんな夏羽に隠神は「とてもすてきなアイデアがある」と言い、夏羽に銃を向ける。そして夏羽に「実はお前を殺すよう依頼されて来たんだ。女将さんはお前の母さんからお前を預かったときに聞いていて正体を知っていたらしい。そんな時、今回の事件があり、秘密裏にお前を殺すことを決意した」と隠神は告げる。隠神はそのまま銃を向けたままもう一度夏羽に「親に会いたいか?」と聞くと、夏羽は少し笑って「殺してください」と返す。その直後、山に銃声が響き渡るのであった。弥太郎と夏羽の死体を持って依頼人である女将さんの元へ戻り依頼完了の報告をした隠神は「死体の処理もサービスしますよ」と言い夏羽の死体をキャリーバッグに入れ東京へ持ち帰るのであった。

夏羽が目を覚ますと車の中でそこには自分を殺したはずの隠神がいた。夏羽は隠神に「俺は死んだのでは?」と聞くと「屍鬼は殺しても死なないって言っただろ」と説明する。隠神が運転する車は東京に向かっていた。そして到着したのは地下にあるバーのようなところだった。先に進んで行った隠神は振り返り「ようこそ、隠神探偵事務所へ」と告げるのであった。

三尸蟲(さんしちゅう)

好物の罪悪感に群がる三尸蟲

東京に到着した隠神と夏羽だったがすぐに緊急の依頼を受け現場に向かう。現場は人間の住む一軒家で目張りを施されたその一部屋を覗くと三尸蟲(さんしちゅう)と呼ばれる怪物が人間に群がっていた。三尸蟲は普段は寝ている人間の皮膚を少し齧るだけの無害な怪物だがある好物を奪おうとするものを敵と見なし攻撃してくるため危険な怪物に変わる。
三尸蟲が群がっている人間を救うためその部屋に入ろうとするが普通に踏み込めば三尸蟲の攻撃を受けてしまう。隠神は変化で自身の全身の皮膚を鉄に変えれば齧られても無事なため変化の準備をしているが全身を変化しなければいけないため、この変化には時間がかかる。すでに通報から30分経過しており、人間が食い尽くされるまで1時間程度。全身を鉄に変化していると間に合わないかもしれない。
そんなとき夏羽が「俺でよければ行きますが」と声を掛ける。隠神はそう言った夏羽に人間の救出を任せることにする。三尸蟲は好物を奪おうと入ってきた夏羽を攻撃するため襲ってくる。だが夏羽は血液や痛覚を持たない屍鬼のため、三尸蟲が襲ってきてもためらわず近づいていく。そして三尸蟲が群がっていた人間が抱えていた”ある物”を持ち上げるとそれに群がり人間から離れていった。

三尸蟲は”罪悪感”を好物にしており群がっていた”ある物”とは三尸蟲が群がっていた人間が万引きした靴だった。無事人間の救出をした夏羽と隠神の元へその人間の家族がお礼を言いながらやってくる。家族から「自分たちは自宅を引っ越すべきなのか?」という問いに「悪さをしなければ大丈夫、靴は自ら返しにいくよう言っておいてくれ」と隠神は伝える。

隠神探偵事務所

夏羽達が働く隠神探偵事務所

鹿の子村から隠神と共にやってきた夏羽を出迎えたのは先輩従業員である蓼丸 織(たでまる しき)と岩木山雪里白那之 五十六子 晶(いわきやましらさとしろなの ごじゅうろくし あきら)だった。織は蜘蛛(アラクネ)というクモの糸を体から出して自在に操る怪物と人間の半妖、晶は雪男(ゆきおのこ)という水を氷にして操る怪物だった。
自分の服を勝手に着た夏羽のことが気に入らない織は夏羽が入るお風呂に自らの糸を混ぜてその糸を硬質化することで夏羽がお風呂から出られない様にするなど、色々な嫌がらせをするが夏羽は何事もなかったかのように躱して織の嫌がらせを嫌がらせと気付かない。
晶は終始フレンドリーな様子で夏羽に近づくが晶の女の子らしい見た目や言葉遣いから夏羽は晶のことを女の子と間違ってしまい怒らせてしまうのであった。
隠神はそんな様子を見かねて「夏羽と織はもっと仲良くなる必要がある」と言い、織に夏羽を警視庁、警視である飯生 妖子(いなり ようこ)の元へ挨拶のため連れて行くように命ずる。

夏羽と織は飯生と会うために警視庁に向かうと出迎えたのは紺(こん)という化け狐の少女だった。紺は夏羽のみを飯生のいる部屋へ案内する。
そして飯生は夏羽が持つ怪物特有の飢えを抑える命結石について話始め、その隙に紺が夏羽の首にかけている命結石を奪うため飯生は「首をハネて、箱へつめろ」と紺に指示して自ら夏羽の首をはねる。屍鬼は死なないため再生ができないよう頭のみを小さな箱の中に入れてしまう。
30分後紺は夏羽に化け、織とたまたま通りかかった晶の元へ戻るが織が飯生のことを”狐ばばあ”と呼んだ際に変化が解けてしまう。
仕方ないと言い紺は織と晶を殺すことにする。織は紺の猛攻の中、本物の夏羽の首が入った箱を奪取することに成功する。そして暴れ続ける紺を止めるため織と協力し、首だけの夏羽が紺の喉元を噛みちぎり撃退するのであった。
目を覚ました紺は、夏羽の首を飯生の元へ持ち帰るために隠神探偵事務所に戻る夏羽達の前に立ち塞がるが、空腹のため倒れてしまう。そんな紺を夏羽は織に反対されながらも隠神探偵事務所に連れ帰り、ご飯を与える。紺は飯生の命令で夏羽の首を持ち帰らねばならないが安易に渡すわけにはいかない。そんな時、隠神が紺に「ある依頼を手伝ってくれるなら夏羽の首をあげる」と提案するのだった。

猫憑き

猫又により猫にされてしまった元人間達

隠神探偵事務所の看板には怪物を引きつける効果がある。ふらりとやってきた男、夜野もその一人だった。
夜野は物珍しそうに事務所の中を見渡しながら出された酒を飲む。そして「自分はひとりの女性に恋をしている」と話しだす。話を聞いているうちに夜野の目の前に一匹のねずみが通る。その瞬間、猫のようにねずみに飛びつき「今度その女性に会えたらプレゼントするんだ」と言い、バッグの中に捕らえたねずみを入れる。そのバッグにはたくさんのねずみの死骸が入っていたのだ。夜野は元は人間だが猫の怪物である猫又によって人間を手下の猫に変えてしまうという猫憑きにされてしまっていた。
そんな夜野の依頼を受け、夏羽と織、紺は夜野の想い人であるまおちゃんの職場前で張り込むことになる。

仕事が終わる時間になってもまおちゃんは出てこなかったが一匹の猫を見つける。その猫がまおちゃんだったのだ。まおちゃんは自身を好いている客を猫に変えていた。その事実を知った夜野は少し驚いたような様子を見せたが「ぼくを猫ににしてください。ぼくはキミのために生きたい。人間の生活に未練はないです」と告げる。

後日、隠神探偵事務所へやってきた夜野はまおちゃんと共にやってきた。なんとまおちゃんは夜野を猫にせず「最初は猫にしようと思っていたが、人に飼われていれば食べる物にも困らないし安全だし便利だしあたしに惚れているならこいつに世話してもらえばいいやと思ったんだ」と言い夜野の飼い猫になっていたのだった。そしてお礼の品を夏羽に渡し街に消えていくのであった。

人を喰って異常化した蛙の怪物

人間に住処を奪われ、憎しみを抱き人間を喰うことにより凶暴化した蛙の怪物

ある日晶がお風呂に入っているとゴキブリがでた。雪里育ちの晶は虫が苦手で夏羽がいる別の部屋まで聞こえるような絶叫が響き渡る。晶の絶叫を聞き駆けつけた夏羽はゴキブリを素手でつかみ、外へ放り投げる。そんな夏羽を見た晶はキラキラした目をして「僕はカワイイと頼もしいを両立した男の子になりたいんだ」と言い出し、夏羽の弟子入りを申し出る。その時、隠神から渋谷川の移設工事をしている作業員が、白骨化した遺体で見つかっている事件の調査の話を聞く。「本来は隠神と夏羽で行こうかと思っていたが晶がやる気なら任せてもいい」と隠神は言う。俄然やる気の晶に対し、織は「渋谷川は建物でフタをされていてほとんど下水道じゃん。汚いから絶対パス」と言い自室に戻る。そんな中、夏羽が「自分がやりましょうか?」と申し出る。夏羽の話を聞いた晶が「自分も夏羽に付いていく」と言い出す。隠神は「晶は汚いや気持ち悪いが嫌いだだろう」と止めるがそんな制止にも晶は耳を貸さなかった。そして隠神から「今回の事件は元々渋谷川には先住民が住んでおり移設工事によって先住民の怒りを買ったのであろう」と聞かさせる。

夏羽がひとりで渋谷川に到着すると全身を作業着で覆った人がいた。「どちら様ですか?」と夏羽が声をかけると「僕だよ、晶だよ」と作業着の中身は晶だった。「これだったら上からクモが降ってきても足元にネズミがいても怖くないでしょ」と意気込む晶だったが早速ぬかるんでいる道を歩き滑って転ぶ。「もう少し歩きやすい服にした方が」と助言する夏羽に「大丈夫大丈夫」と歩みを進める晶の後ろから蛙の怪物が後ろから襲いかかる。野生の動物は何もしなければ襲ってこないが捕食するときは例外だ。その捕食のため晶に襲いかかった蛙を退けたのは一匹の狸だった。狸は退けただけでなく地面に”人を食って異常化した怪物。知性なく誇りを失い食欲のまま人を襲う。外に危険が及ぶ。”と書いた。そして”準備しろ、俺が誘き寄せる。”とも書いたのだ。怯える晶に夏羽は「無理そうなら出口まで送る」と言うが晶は今までの依頼で周りから助けられてばかりで仲間外れになっていると思い込み「役に立たないかもだけど仲間外れはもうやだ」と言い、残ることを決意する。

話がつくと狸は徐に自分の腕を切り、血を下水道に流す。そうすると大量の蛙の怪物が襲いかかってくる。夏羽と狸は晶を守りながら応戦するが晶は恐怖のあまり頭が真っ白になる。そんな晶をかばった夏羽が蛙の怪物に腕を噛まれ食われていく。心配する晶をよそに夏羽は「大丈夫。食べられても生えてくるから」と冷静に受け答えをするが晶は過去に双子の兄に言われた「お前は弱いから何もしなくてもいいんだ」という言葉を思い出し「やだよ、夏羽クンは友達だもん。僕だって役に立ちたいんだ!」と晶が叫んだ瞬間下水道一帯が蛙の怪物ごと氷ついた。自分の力に驚いている晶に対し「すごい、一網打尽だ」と夏羽が称賛の声を上げる。
その後、蛙の怪物に襲われることなく出口にたどり着いた夏羽と晶は狸がいないことに気づいたが、ひとまず報告するために隠神探偵事務所へ帰還するのであった。

隠神探偵事務所に住まう吸血鬼(ヴァンパイア)

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