∀ガンダム(モビルスーツ)とは【徹底解説・考察まとめ】

∀ガンダムとは、テレビアニメ『∀ガンダム』に登場する主役メカ(モビルスーツ)であり、同時に全ての「ガンダム」が辿り着く終着点のようなキャラクター性を付与された、最強にして究極のガンダムである。
『∀ガンダム』の作中時間軸では、すでに忘れ去られた「黒歴史」の時代に建造されたモビルスーツであり、あらゆるもの砂と化す「月光蝶システム」を使用して黒歴史時代の地球文明を滅ぼしてしまったとされている。
『Gのレコンギスタ』発表までは、ガンダム正史上で最後に存在するガンダムとしても有名であった。

∀ガンダムの概要

∀ガンダム(ターンエーガンダム)とは、テレビアニメ『∀ガンダム』に登場する主役メカ(モビルスーツ)である。
また、同時に全ての「ガンダムと呼ばれる存在」が辿り着く終着点のようなキャラクター性を付与され、ガンダムにまつわる歴史に終止符を打つための機械仕掛けの神(エクス・デウス・マキナ)でもあった。
『∀ガンダム』の作中時間軸では、すでに忘れ去られた「黒歴史(これより過去のガンダムシリーズの物語を地続きとして解釈したもの)」の時代に建造されたモビルスーツであり、蝶の鱗粉のごとく撒かれるナノマシンよって、あらゆるものを砂と化する「月光蝶システム」を使用して黒歴史時代の地球文明を埋葬してしまったとされている。
上記の特長のため、全く世界観の違うSDガンダムシリーズを除き「最強のガンダム」として、ガンダムワールドに君臨している。

ただし『Gのレコンギスタ』発表後は、左記作品が『∀ガンダム』と監督を同じくして富野由悠季(とみの よしゆき)であったため、その立場が塗り替えられるような側面も存在する(富野が『Gのレコンギスタ』の世界は『∀ガンダム』の500年後であるとした発言をしているため)。

作中では序盤、地球上で岩に包まれた状態で安置されており、ビシニティと呼ばれる近代ヨーロッパないしは近代アメリカ的な都市の人々に神体「ホワイトドール」として崇め奉られていた。
しかし地球帰還を目的とする月の民「ムーンレィス」の襲撃に反応。
パイロットとして、偶然その場に居合わせた少年ロラン・セアック"を乗せて起動した。

その後は長らく岩の内部へ封印されていた影響で、様々な機能が停止したままムーンレィス、あるいは地球の人々と戦闘を交えつつ、時には洗濯機件物干し台代わり、川を渡すための橋代わりなど「生活のための道具」としても使われていった。
本機は自己回復機能を持っており、それによって物語の進行と共に徐々に元の力を取り戻していく。

最終的には黒歴史時代の地球文明を埋葬したとされる月光蝶システムの機能をも回復するが、時を同じくして本機の兄弟機である「ターンX」が戦乱を望む野心家ギム・ギンガナムの手に渡ってしまう。ギム・ギンガナムは己の目的がためにターンXの月光蝶システムを発動し、これを止めるために本機もまたロランの操縦によってカウンター的に月光蝶を発動する。
そうしてぶつかり合った本機とターンXは、しばらくの格闘戦の後、お互いが月光蝶に包まれてナノマシンの「繭」に変貌し、その役割を終えるのであった。

なお、その見た目と「ガンダム」という存在が地球上からは忘れられている設定のため、もっぱら「ヒゲ」や「ホワイトドール」と呼ばれ、ガンダムと呼ばれる事はほとんどない。
また、どうして本機が造られたのかの経緯はぼかされており、なんのために本機がかつて地球文明を埋葬してしまったのかもはっきりとは設定されておらず、その正体不明さが売りとされているガンダムでもある。

だが、なにより話題とされるのはその見た目である。

美観は人それぞれなものの、本機のデザインは多くのガンダムファンからも「素直に格好良い」とは評価されておらず、最大級に近い賛美として「動く姿が美しく作品の世界観に調和している」というものが限度となっている。
つまり、お世辞にも「格好良くて子どもが玩具を欲しがるロボットデザイン」とはいえず、事実、玩具として展開された「∀ガンダム」の売り上げはまったく振るわなかった。

しかし、このデザイン的に「どうにも理解できない」部分へ、正体不明の機体という設定が加わった事が唯一無二の存在感を示す(人間はよく解らないものに対して、好奇心をはじめ、憧れ・恐怖・崇拝・憎悪などの様々な感情・衝動を引き起こすため)。
すなわち「全てのガンダムが行き着く先」という、考えようによってはとんでもなく傲慢で幼稚な設定から、洗濯機のような日用品として使われてしまうといった演出まで、なにもかも「∀ならそれもアリだ」と、ファンに受け入れさせてしまう魅力を持ったガンダムである。

∀ガンダムの機体スペック

型式番号:System-∀99(本来の型式番号)
WD-M01(ミリシャにおける型式番号)
全高:20.00m
重量:28.6t
装甲材質:FE型
動力源:DHGCP(縮退炉)×2
推定出力:27,000kW(±5,000)

∀ガンダムのバリエーション

ターンX

正面(左)背後(右)

『∀ガンダム』作中で、∀ガンダムのライバルとなる機体。
その正体は∀ガンダム以上に謎に包まれており、∀ガンダムの兄弟機、後継機、あるいは地球外文明の兵器であるなど、あえて設定がぼかされており、様々な説があるとされている。

確かな事は、∀ガンダムと同じく月光蝶システムを使用できる事であり、単機で圧倒的な戦闘力を誇る事。
そして∀ガンダムに接近すると、お互いが自動で呼び合う、あるいは反発しあうような反応を見せる事である。

また、∀ガンダムには不可能な、頭部および四肢を分離してコントロールできる機能を備えており、これを活用して目標を全方位から攻撃するような運用も可能となっている。
さらに過去の「ガンダム」との関連は不明だが『機動武闘伝Gガンダム』の前半主役機「シャイニングガンダム」の必殺技と同じ「シャイニングフィンガー」を使用する事も可能。

最終的には、ロランの乗る∀ガンダムと一騎打ちになり、お互いに月光蝶を発動させつつも相打ちとなり、∀ガンダム共々、ナノマシンの繭に包まれて機能を停止した。

パイロットはギム・ギンガナム。

スモー

背後(左)正面(右)

ムーンレィスのモビルスーツ。
その名の通り、力士のような体型をしている事が最大の特徴である。
∀ガンダムにはだいぶ劣るものの、縮退炉を搭載しており、スペック上はガンダムシリーズに登場する、ほとんどのモビルスーツよりも高性能である。
ワンオフ機ではなく、少数が生産されている機体。
パイロットのハリー・オードは、このスモーを金色に塗って自身のパーソナルカラーとしていた。

なお、設定的には∀ガンダムのバリエーションではなく、ほぼ無関係の機体だが「∀ガンダムの没デザイン」という意味で深い関係性を持っている。
というのも『∀ガンダム』のメカニックデザインは、全てのガンダムを含むという設定であるにも関わらず、過去作から流用されたモビルスーツおよびメカ以外、ことごとく過去のガンダムシリーズに出てきたものとはかけ離れたデザインをしているのである。

また、その事の説明は制作側から一切、説明がされていない。
なので、こういう背景を考慮に入れた上で、このスモーが、なぜガンダムとしては「没にされ」∀ガンダムが「OKとなったか」を推測する事が『∀ガンダム』の世界観を読み解く、一つのカギになっている。

主なパイロットはハリー・オード。

∀ガンダムの兵装・特殊装備

固定兵装

ビームサーベル

初代ガンダムことRX-78-2 ガンダムから続く伝統の兵装。
超高熱のビーム刃を生成し、これによって刃の触れた箇所をことごとく溶断する。
本機のビームサーベルは、宇宙世紀を代表とするかつてのモビルスーツが運用したものより圧倒的に高出力とされている。その分、太いビーム刃を生成する必要はなくなり、見た目として細身の剣といった印象になっている。

ビームドライブユニット

∀ガンダムはIフィールドビームドライブという磁気フィールドの「糸」を機体に張り巡らし「操り人形」のように駆動するシステムを採用している。
それによって、機体内部の駆動装置の大半を除去できた。
特に上半身は、ほぼ「がらんどう」であり「マルチパーパスサイロ」という多目的ウェポンベイになっている。

ビームドライブユニットは、そのマルチパーパスサイロに内蔵できる拡散ビーム砲である。
ビームが拡散する範囲は非常に広く、上空から地上へ撃ち出した場合には辺り一帯にまるで雨のようにビームが降り注ぐ。
作中で使用された回数はわずかなものの、パイロットがロランではなく、ジョゼフだった時に使用された事で印象に残る。

そのジョゼフが使用した時に勝利を確信して言う「やったぜフラン!」というセリフに基づいて、ファンからは「やったぜフラン砲」などとも呼ばれる。
また、名称を単純に「腹部ビームキャノン」とする資料もある。

月光蝶システム

機体背部から出でる虹色の羽根らしき部分。

本機の最大の兵装であり、同時に本機を最強のガンダムとして位置づけたもの。

機体の背部から、Iフィールド(磁気フィールド)を形成。
そこから無尽蔵といえるほどのナノマシンを放出する事により、∀ガンダムがその本体よりも何倍も巨大な、虹色の蝶の羽根を生やしている状態に見える事からこの名称が付けられたとされる。

放出されるナノマシンの作用は凄まじく、触れたありとあらゆる構造物を砂に変える、もしくは消滅させてしまう。
また、放出空間が大気中であった場合には台風を引き起こす効果もあり、このために月光蝶を発動させ続ければ、やがては地球全土にナノマシンが撒かれて、全文明が消滅してしまうのである。

オプション兵装

5chutamaruo
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