香港発活劇エクスプレス 大福星(映画)とは【ネタバレ解説・考察まとめ】

『香港発活劇エクスプレス 大福星』とは、サモ・ハン・キンポー監督&出演による、ジャッキー・チェン、ユン・ピョウ出演によるアクション・コメディー作品であり、『福星』シリーズ第2弾。全編日本ロケで行われた。香港警察の刑事マッスル(演:ジャッキー・チェン)とリッキー(演:ユン・ピョウ)が、日本でヤクザ「かかし組」を追うが、リッキーが捕まってしまう。マッスルは香港から応援としてキッド(演:サモ・ハン・キンポー)を応援に要請し、彼の仲間達も日本へやって来て、リッキー救出と「かかし組」の撲滅に挑む。

CV:天地麦人(日本語吹き替え版)
香港警察の刑事だったが、押収したダイヤを盗んで日本へ逃亡した経歴があり、その後、ヤクザの「かかし組」につく。常にサングラスを着用しているが、本作クライマックスの格闘場面では外している。
日本でオフダと共に自分達を追いかけてきた、マッスルやリッキーと共に激しいカーチェイスの末に、「かかし組」のアジトがある富士急ハイランドまでたどり着く。大勢の観光客の中でマッスル達が自分達を見つけ目の前にやって来るが、忍者集団を従えて、彼等とマッスルやリッキーと戦わせている間にオフダと「かかし組」のアジトへ逃亡する。
以降登場回数は少ないものの、「かかし組」からもてなしを受けたキッド達にボスが、香港での「銀行強盗」としての活躍を見込んで、「かかし組」との付き合いを持ちたいと告げた際にも現れ、キッドがマッスルの仲間だという事を告げている。
また本作のクライマックスでは、「かかし組」のアジトにて檻から開放されたリッキーと格闘を繰り広げる。「仕事熱心だな」と言ったのに対し、リッキーは「昇進したくてね」と答え、互いに蹴りやパンチの連続と、激しく格闘を続ける。最後は、逃亡しようとしたところをリッキー、マッスル、そしてキッドの3人が囲まれた末、マッスルとリッキーによって取り押さえられる。
汚職警官役を演じたラム・チェンインは、1970年代からスタントマンとして活躍、ブルース・リー作品にも出演、『燃えよドラゴン』では武術指導補佐を務めた。そして1980年代からはサモ・ハン・キンポーのスタントチーム「洪家班」のメンバーとして活躍する傍ら、俳優としても活躍し始める。なかでも1985年からシリーズ化された作品『霊幻道士』の道士役は当り役となった。晩年は病魔と闘いながら撮影に臨んだが、1997年11月に44歳の若さで亡くなった。

オフダ(演:ラウ・カーウィン)

CV:二又一成(日本語吹き替え版)
「かかし組」の部下であり、何故か海賊の様な眼帯を着けており印象を残しているが、汚職警官と違い、セリフはあまり無い。
日本で汚職警官と共に自分達を追いかけてきた、マッスルやリッキーらと共にカーチェイスを繰り広げ、「かかし組」のアジトがある富士急ハイランドまでたどり着く。マッスル達が園内を探し回り、自分達を見つけ目の前にやって来るが、忍者集団を従えて、彼等とマッスルやリッキーと戦わせている間に汚職警官と「かかし組」のアジトへ逃亡する。
また本作のクライマックスにて、「かかし組」のアジトにてキッドが部下達と格闘を繰り広げるなか、自身(オフダ)との格闘を行う。最後はキッドにみぞおちへ数発鉄拳を叩きつけられた挙句に、近くにあったガラステーブルへ殴り飛ばされ勝負がつく。
オフダ役のラウ・カーウィンは、俳優で武術指導監督のラウ・カーリョンの実弟であり、自身も多くのカンフー・アクション映画に多く出演。主な出演作に『燃えよデブゴン 豚だカップル拳』(1978年)、『Mr.ノーボディ』(1979年)等がある。

「かかし組」の部下(演:ディック・ウェイ)

「かかし組」の部下の一人であり、黒い学生服の様な姿で登場し、常にボスの傍にいる。クライマックスにて「かかし組」のアジトへやって来たマッスルと一対一の対決を行い、拳技・蹴り技共に優れており、マッスルを圧倒させる。しかし最後はマッスルにより劣勢へ追い詰められ、アジトの2階ベランダにてマッスルが回し蹴りをしたはずみで下へ落とされて勝負がつく。
1960年代終盤から映画界へ進出し、大手映画会社「ショウ・ブラザース」の作品に多く出演。1980年代からは「ゴールデン・ハーベスト」作品に出演、『プロジェクトA』(1983年)の海賊の首領役や、『サイキックSFX/魔界戦士』(1986年)の悪魔役といったどれも印象的かつ体を張った役を務めた。

その他(ゲスト出演)

歯科医の不倫相手の夫(演:ヤン・スエ)

物語前半に登場。喧嘩っ早い性格なのか、強盗目的で歯科医院に行き歯科医を装ったローハイドを本物の歯科医(妻の不倫相手)と思い込み、彼を殴り飛ばす。ローハイドが慌てて(歯科医のマスクを外し)素顔を見せ「偽物」だと証明するも、同行した(妻である)女性は何故か「この男(不倫相手)よ、男らしくして」と答えてローハイドに詰め寄る。それを聞き、更に痛めつけようとしたところへ警察と名乗ったキッドハーブがやって来た事で、仕方なくローハイドを解放する。
歯科医の不倫相手の夫役を演じたヤン・スエは、映画『燃えよドラゴン』でボロ役で一気に知名度が上がる。その後も、カンフー・アクション映画のみならず日本のドラマや映画にも出演。なかでも倉田保昭出演の刑事ドラマ『Gメン'75』(1975~1982年)での香港空手シリーズで常連キャラクターとなり、視聴者の注目の的となった。1990年代以降はハリウッドに進出し、ジャン=クロード・ヴァン・ダム主演『ダブル・インパクト』(1991年)等に出演。

『香港発活劇エクスプレス 大福星』の用語

都営新宿線

本作の撮影場所であり、オープニングにて刑事のマッスルとリッキーが、汚職警官とオフダの二人を追跡し始める場所である。この頃(1980年代中期頃)の都営新宿線は現在と違い、終着駅が「船堀」で、「本八幡」まで繋がっていなかった。

富士急ハイランド

富士急ハイランドの観覧車の枠の上から、汚職警官やオフダを探すマッスル刑事。

本作の撮影場所であり、山梨県富士吉田市に位置する遊園地である。園内のお化け屋敷が、本作に登場するヤクザ「かかし組」の隠れ場所となっている。
またマッスル刑事を演じたジャッキー・チェンは観覧車の上によじ登り、そこから飛び降りるスタントで骨折というアクシデントに見舞われた。

『香港発活劇エクスプレス 大福星』の名言・名セリフ/名シーン・名場面

バーバラ「あなたの勇気で悪人を倒して欲しい」

任務の為に日本へ向かった後、宿泊先のホテルにてサンディ達が寝静まった頃にバーバラがキッドを起こし、二人でスクーターに乗り外へ出て今回の任務の本題を切り出す。今回の件にマッスルが関わっている事が分かると、キッドはスクーターを降りて帰ろうとする。バーバラが追いかけると、今回の依頼を下りると言い出す。
キッドはマッスルを施設時代より嫌って、昔マッスルが盗みを行った時もキッドを犯人に仕立てたり、キッドがカジノへ強盗に入る計画を告げたら「警察」と名乗ったマッスルに逮捕されたり、散々な扱いをされた事を話し、キッドはマッスルを「役病神」扱いしていた。
そんなキッドに対し、バーバラが彼を説得し「あなたの勇気で悪人を倒して欲しい」と言い、キッドはバーバラの言葉に惹かれ、彼女と共にマッスルの隠れ家に行く事となった。
マッスルを酷く嫌っており、与えられた任務の放棄しようとさえしていたキッドの心を動かし、改めて任務を遂行しようとしたバーバラの熱意ある言葉である。

リッキー「昇進したくてね」

出典: stat.ameba.jp

本作のクライマックスにて、「かかし組」のアジトで檻から開放されたリッキーが汚職警官と格闘を繰り広げ、「仕事熱心だな」と言う汚職警官に対し、リッキーは「昇進したくてね」答え、体を張って職務を遂行しようとする。そして汚職警官相手に蹴りやパンチの連続と、激しく格闘を続ける。最後は、逃亡しようとする汚職警官をリッキー、マッスル、そしてキッドの三人が囲んだ末に、マッスルとリッキーが汚職警官を取り押さえる。
リッキーの「刑事」という職務を全うする事と、警察を裏切り悪の道(押収した宝石を盗んで日本へ逃亡、「かかし組」の配下につく)に走った汚職警官に対する怒りが込められている。

minaminaq7
minaminaq7
@minaminaq7

Related Articles関連記事

七福星(香港映画)とは【ネタバレ解説・考察まとめ】

七福星(香港映画)とは【ネタバレ解説・考察まとめ】

『七福星』とは、サモ・ハン・キンポー監督・主演のアクション・コメディー作品で、『福星』シリーズ第3弾。『あぶない刑事』の同時上映として公開された。前作『大福星』にてヤクザ撲滅に協力したキッド(演:サモ・ハン・キンポー)ら一同は、褒美としてパタヤ旅行へ行く事となった。またその先でも思わぬ魔の手が立ちはだかっていた。一方で香港警察の刑事マッスル(演:ジャッキー・チェン)やリッキー(演:ユン・ピョウ)達は香港で捜査に乗り出していた。ジャッキー・チェンやユン・ピョウは『福星』シリーズ出演最後となった。

Read Article

スパルタンX(映画)とは【ネタバレ解説・考察まとめ】

スパルタンX(映画)とは【ネタバレ解説・考察まとめ】

『スパルタンX』(映画)とは、スペインのバルセロナを舞台に、トーマス、デヴィッド、そして探偵のモビーの三人が、謎の組織に誘拐された美女シルヴィアを救出すべく奮闘するコメディ・アクション映画である。また、この作品を題材にしたアーケード&テレビゲームが制作された。 本作のクライマックスで繰り広げられる、ベニー・ユキーデとの一騎打ちは、ジャッキー・チェン映画における名ファイトシーンとして多くのファンから絶賛されている。

Read Article

ファースト・ミッション(香港映画)とは【ネタバレ解説・考察まとめ】

ファースト・ミッション(香港映画)とは【ネタバレ解説・考察まとめ】

『ファースト・ミッション』とは、1985年に公開されたサモ・ハン・キンポー監督、ジャッキー・チェン主演の香港映画である。刑事のフォン・シャンヤンは上司のウォン警部達と宝石の密輸を行うシンジケートの捜査を行っていた。その矢先、彼の兄シャンタクはある出来事によりシンジケートの事件に巻き込まれる事となる。監督のサモ・ハンの意向でドラマ重視の作品となったが日本公開時にはアクション場面とジャッキー・チェン歌唱の主題歌が追加された。

Read Article

炎の大捜査線(映画)とは【ネタバレ解説・考察まとめ】

炎の大捜査線(映画)とは【ネタバレ解説・考察まとめ】

『炎の大捜査線』とは、1991年に台湾・香港で製作・公開された刑務所を舞台としたアクション映画である。警察官のウェイが、異動に伴い署長のもとへ挨拶に行った矢先、何者かにより署長が殺害される。署長を殺害した男は逃走用の車に乗った直後に爆死。男の死体を調べると、彼は3ヶ月前に死刑が執行されていた。ウェイは、犯人が収監されていた刑務所に何かあると考え、自らの入所を試みる。ジャッキー・チェンをはじめ、1990年代の香港の人気俳優が総出演。

Read Article

ポリス・ストーリー/香港国際警察(ジャッキー・チェン)とは【ネタバレ解説・考察まとめ】

ポリス・ストーリー/香港国際警察(ジャッキー・チェン)とは【ネタバレ解説・考察まとめ】

『ポリス・ストーリー/香港国際警察』とは、ジャッキー・チェンが監督・脚本・主演・武術指導を兼ねたアクション映画。 香港警察のチェン刑事は他の刑事達と共に、麻薬密売を行うチュウ率いる犯罪組織の取引現場へ潜入する、張り込みが一味にバレて銃撃戦へと展開。チェンの活躍でチュウ達を逮捕するが、更なる波乱が待ち受けていた。 現在でも、なおジャッキー・チェンのベスト作品としても人気が高い。

Read Article

死亡遊戯(香港映画)とは【ネタバレ解説・考察まとめ】

死亡遊戯(香港映画)とは【ネタバレ解説・考察まとめ】

『死亡遊戯』とは、1978年に公開されたロバート・クローズ監督、ブルース・リー主演の香港映画である。 スター俳優のビリー・ローはシンジケート組織からの契約を迫られるが、それを頑なに断る。ある日の撮影中に、ビリーは銃弾を浴びて銃弾を受けて殺害されたと思われたが、実はビリーは死んでおらず、単身でシンジケート組織へ戦いを挑む。 1972年にアクション場面を撮影後、ブルース・リーが急逝。 数年後に代役スタントマンを起用して追加撮影したうえで1978年に制作された。

Read Article

ラッシュアワー(映画)とは【ネタバレ解説・考察まとめ】

ラッシュアワー(映画)とは【ネタバレ解説・考察まとめ】

『ラッシュアワー』とは、1998年にアメリカで公開されたアクションコメディー映画である。本作は公開第1週で興行収入3,300万ドルの収益を上げ、北米興収1位となった。大変好評であったため、『ラッシュアワー2』『ラッシュアワー 3』も公開される。いずれもブレット・ラトナーが監督を務めている。香港警察のリーと、ロス市警のカーターが誘拐された領事の娘を救うために協力する話である。

Read Article

デッドヒート(香港映画)とは【ネタバレ解説・考察まとめ】

デッドヒート(香港映画)とは【ネタバレ解説・考察まとめ】

『デッドヒート』とは、1995年に公開された、ジャッキー・チェン主演のカーアクション映画である。レーサーであるジャッキーは、父親が経営するレーシング・ショップを手伝いつつ、親子で街に蔓延る改造車の摘発を警察の協力のもとで行っていた。そんななか一台の車がジャッキーの目の前を爆走する。運転手は国際テロリストのクーガーだった。ジャッキー・チェンの車好きが高じたのか、全編にわたり、カーアクションが繰り広げられる。

Read Article

ラッシュアワー2(映画)とは【ネタバレ解説・考察まとめ】

ラッシュアワー2(映画)とは【ネタバレ解説・考察まとめ】

『ラッシュアワー2』とは、2001年に公開されたアメリカで制作されたアクション・コメディ映画である。『ラッシュアワー』の続編であり、主人公は同じくジャッキー・チェンとクリス・タッカーである。全世界で3億4,730万ドルの収益を上げた。『ラッシュアワー』よりアクションシーンが多くなっている。監督は『ラッシュアワー』に引き続きブレット・ラトナーである。休暇を取り香港観光に来たカーターだったが、リーの父親を殺した犯人の捜査に協力することになり、2人は息の合ったコンビネーションで事件を解決していく。

Read Article

ポリス・ストーリー2/九龍の眼(ジャッキー・チェン)とは【ネタバレ解説・考察まとめ】

ポリス・ストーリー2/九龍の眼(ジャッキー・チェン)とは【ネタバレ解説・考察まとめ】

『ポリス・ストーリー2/九龍の眼』とは、1988年に公開された、ジャッキー・チェン主演のポリスアクション作品である。犯罪組織のボスであるチュウ一味を逮捕したチェン刑事だが、彼等逮捕する際に器物破壊等の行為で多大な損害を出してしまう。これにより制服警官への降格、交通係への勤務を命じられる。地道に働くチェンだったが、その背後で爆弾事件が発生する。人気シリーズ第2弾であり、派手な格闘、爆破シーンが話題となった。

Read Article

サンダーアーム/龍兄虎弟(香港映画)とは【ネタバレ解説・考察まとめ】

サンダーアーム/龍兄虎弟(香港映画)とは【ネタバレ解説・考察まとめ】

『サンダーアーム/龍兄虎弟』は、1986年に香港で製作されたジャッキー・チェン主演のアクション映画。 冒険家のジャッキーは、友人アランから恋人のローラが邪教集団に誘拐されたと告げられる。一方で教団は、ジャッキーを利用して世界各地にある五つの「神の武具」をジャッキーに集めさせ、恐るべき力を手に入れようとしていた。 本作品での撮影中に、主演のジャッキー・チェンが頭蓋骨骨折という大怪我を負った事は有名であり、現在も彼の脳が飛び出さない様にプラスチックの栓がしてある。

Read Article

タキシード(2002年の映画)とは【ネタバレ解説・考察まとめ】

タキシード(2002年の映画)とは【ネタバレ解説・考察まとめ】

『タキシード』とは、並外れたドライブテクニックを持ったタクシー運転手のジミー・トンが、タキシードを着ることによりスーパーマンのように強化し、雇い主であるデヴリンの代わりに、ミッションを遂行するアクションコメディー映画である。ジャッキー・チェンの映画では珍しく、「タキシードを着ないと強くならない」という設定である。監督はケヴィン・ドノヴァンである。アメリカでは2002年9月27日に劇場公開され、日本では2003年3月15日に日比谷映画系列で公開された。

Read Article

ダブル・ミッション(映画)とは【ネタバレ解説・考察まとめ】

ダブル・ミッション(映画)とは【ネタバレ解説・考察まとめ】

『ダブル・ミッション』とはアメリカ合衆国で制作され、2010年に公開されたアクション・コメディ映画である。監督はブライアン・レヴァントであり、主人公はジャッキー・チェンが演じている。CGやスタントに頼らない、人間離れした体当たりアクションがジャッキーならではの映画となっている。主人公ボブはジリアンと結婚するために、スパイを引退するつもりでいた。ジリアンの息子・イアンが、ボブのパソコンからテロリストの極秘ファイルをダウンロードしてしまい、テロリストから狙われてしまうという話である。

Read Article

目次 - Contents