BEAST COMPLEX(ビーコン)とは【ネタバレ解説・考察まとめ】

『BEAST COMPLEX(ビースト コンプレックス)』とは、擬人化した肉食獣と草食獣が織り成す社会模様を描いた、板垣巴留(いたがき ぱる)による漫画作品。
スマホなども存在する現代風の世界。そこでは二足歩行する能力と高い知性を持った動物たちが、文明的な生活を謳歌していた。それでいて彼らは獣としての本能を捨て切れず、肉食獣は隣人たる草食獣の肉を欲してやまず、潜在的にそれを理解している草食獣は肉食獣を恐れている。危うい均衡で成立する社会の中、苦悩しながらも歩み続ける獣たちを描いた短編集。

ニシキヘビの少年。中学生で、人気のない校舎を這うのが好きなため、朝は誰よりも早く学校に向かう。
ムロウにイジメられており、首吊り自殺した彼の第一発見者となった時は「自分が疑われるのでは」とパニックに陥っていた。ムロウがどのような苦悩の末に自殺を選んだのかを漠然と理解した後は、周囲の目に遭わせて自分を歪めていた彼のことを「優しいハイエナ」と称した。

ムロウ

ハイエナの少年。カメジのクラスメイト。
イジメっ子で、クラスの何匹もの生徒に暴言や暴力を向けていたが、ある日唐突に教室で首吊り自殺する。しかし発見が早かったためか、咄嗟に遺体を隠そうとしたカメジの胃の中で息を吹き返す。
自殺した理由は詳細に語られていないが、カメジは「周囲に合わせて“ハイエナのイメージ”の通りの自分を演じ続けた結果、本来の自分との乖離に耐えられなくなったのではないか」と推測している。これが合っているか否かは不明ながら、蘇生した後にカメジに「よかった」と伸し掛かられた際は、不満そうにしながらもそれを跳ねのけようとはしなかった。

第16話

サグワン

レゴシの暮らすアパート「コーポ伏獣」の住人。海の世界の生き物たちのための翻訳家を目指し、陸地の言語を実地で勉強中。陸の獣の言葉もまだ学んでいる最中で、セリフはカタカナで書かれる。
ある意味ドライで、ある意味包容力に満ちた海の世界の思想を陸地においても大事にしている。レゴシはバイト中にサグワンと出会い、次第にその陸地とはまるで違う価値観や考え方に興味と敬意を抱いていき、現在は友人の間柄。サグワンからすると「陸で初めてできた友達」である。
海には“服を着る”という文化が無いため、部屋の中では裸で過ごしている。

母タコ

陸の獣に誘拐された娘を探していたタコ。本名不明。
海を出ると満足に動けないため、たまたま通りかかったレゴシとサグワンに娘の捜索を依頼する。時すでに遅く、娘は解体されて串焼きにされてしまっていたものの、海の流儀に則りサグワンがそれを食べてくれたことに感謝していた。

第17話

キヨスミ

ヤギの少女。学校では学級委員を務める優等生だが、「他人に指示されないと動けない」一面を持つ。
曲がった角を持つヤギは、成長と共にそれが自分の脳に向かって伸び続け、最終的に命を落とすケースがある。キヨスミはまさにこの状態にあるものの、自分の命に関わることだというのに、誰にも何も言われないことを理由に角の切除手術を受けることを決められずにいた。

アブ

カメの少年。キヨスミのクラスメイト。背中に「地獄」というタトゥーを彫り込んでいる。
普段は甲羅の中に隠しているが、実は肩や太腿にもタトゥーを入れている。将来は彫り師になることを望んでおり、これらのタトゥーのほとんどが練習を兼ねて自分で入れたもの。
キヨスミの角が将来的に彼女の命を奪うだろうことに気付いており、自身の興味と切除手術を受けることを暗に促すためにこれにタトゥーを入れる。その後もキヨスミが「誰かに指示されないと決断できない」という悪癖を改め、自身の考えで前に進めるよう様々に心を砕いており、彼女にただのクラスメイトとして以上の想いを抱いていたように描かれている。

第18話

アコ

ウサギの女子大生。進学したハルの友人として、『BEASTARS』にも登場している。
「周囲から特別な目で見られたい」という想いが強く、これが高じてライオンのエアドと交際。互いに恋愛慣れしていたため若い恋人同士として無難に付き合っていたが、ある時肉食獣としての本能を抑えられなくなったエアドに襲われ、顔に大きな傷跡が残るほどの怪我を負ってしまう。
手術とリハビリを乗り越えて大学に復学し、そればかりか“ライオンに襲われて傷ついても健気に明るく振る舞う自分”を演じることで再び周囲から特別視されようと画策。一方で自分の愚かな選択と、自慢だった美貌を台無しにする顔面の傷跡に心は悲鳴を上げており、これを利用して伸し上がらんとするのは生来の性格に加えてある種の代償行為である。

エアド

YAMAKUZIRA
YAMAKUZIRA
@YAMAKUZIRA

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