BEAST COMPLEX(ビーコン)とは【ネタバレ解説・考察まとめ】

『BEAST COMPLEX(ビースト コンプレックス)』とは、擬人化した肉食獣と草食獣が織り成す社会模様を描いた、板垣巴留(いたがき ぱる)による漫画作品。
スマホなども存在する現代風の世界。そこでは二足歩行する能力と高い知性を持った動物たちが、文明的な生活を謳歌していた。それでいて彼らは獣としての本能を捨て切れず、肉食獣は隣人たる草食獣の肉を欲してやまず、潜在的にそれを理解している草食獣は肉食獣を恐れている。危うい均衡で成立する社会の中、苦悩しながらも歩み続ける獣たちを描いた短編集。

シバイヌの中年男性。レゴシの暮らすコーポ伏獣の住人として、『BEASTARS』にも登場している。
少しメイクして顔を整えると異様に愛くるしく見える顔立ちの持ち主で、“絶対的愛されキャラ”として十年以上もモデルとして活躍している。世間的には女性だと思われていたようである。
もともとシバイヌは気性の激しい種であり、そんな自分本来の姿と世間での受け止められ方のギャップに思い悩むようになっていく。そのことを揶揄された結果暴力事件を起こしてしまい、一夜にして“絶対的愛されキャラ”としての評判を失う。しかし詫びるために契約している会社に出向いたところ、「今度は気性の激しさを前面に押し出す形でやってみよう」とマネージャーから持ち掛けられ、意外とその方向のキャラクターの受けがいいことに驚いていた。

この路線変更は成功し、後に「キレる中年」キャラとして好評を博したことが、第18話で語られている。

シバイヌの店員

ムギが行きつけのコンビニで働く若いシバイヌ。本来気性の激しいシバイヌが、見た目の愛らしさから“愛されキャラ”を要求されることについては思うところがあったらしく、ムギが暴力事件を起こした後に買い物した際、「自分より大きな肉食獣相手にケンカするなんてカッコいい」と漏らした。

第9話

エビス

アルビノのカラスの青年。“ブライト”と呼ばれる、全身が白い毛並みの獣だけが暮らす0地区の住人。“ブライト”はその希少性から犯罪被害に遭いやすく、0地区は彼らが自衛のために作り上げた街である。
オリオンを一目見てその美しさに心奪われるも、彼女が0地区で暮らすためにどんなオスにも抱かれることを甘受していると知って衝撃を受ける。せめて自分だけは彼女をそんな悪意から守ろうと誓い、不器用かつ真摯なアプローチを繰り返した。
かなりマイペースな性格なのか、0地区のほとんどのオスが知っているというオリオンの素性や事情を知らなかった。

オリオン

カンガルーの若い娘。0地区で暮らす“ブライト”の両親の下に生まれたが、十二歳の頃に太ももにオリオン座に似た斑点ができてしまう。これにより0地区で暮らす権利を失うも、区のお偉方から「0地区のオスたち全員に抱かれるなら追い出さない」という提案を示される。0地区の外の恐ろしさを教えられながら育った彼女はこれを断れず、自分の身を質にすることとなる。
オリオンというのはこの斑点の形状からつけられた一種の蔑称で、本名は別にある。
生きるために辛酸を舐め続ける中で次第に感情を失っていったが、自分を抱こうとせず、対等の友人として接しようとするエビスと親しくなっていく。カンガルーだけに脚力は相当なものらしく、エビスを襲った犯罪者を一蹴りで撃退している。

第10話

ライカ

オオワシの青年。レゴシの暮らすコーポ伏獣の住人として、『BEASTARS』にも登場している。
スナネズミのフィーナのヒモとして暮らし、彼女を背に乗せて送迎している。そのために鳥類が街中で飛ぶための飛行免許を取得しており、“ヒモとしては”わりとマメな性格。しかしフィーナが結婚すると聞いて「自分のヒモ生活が終わってしまう」と衝撃を受け、様々に手を尽くしてそれを翻意させようと無駄な努力を重ねる。
雷を嫌っているが、これは飛行中だと避難する場所が無いという以上に、稲光が「孵化した瞬間を卵の中から見た光景」に似ていることが原因。この頃から「安全で楽ちんな卵の中に留まっていたい」と考えるほどの怠け者だったらしく、それを思い出した際は愕然としていた。

フィーナ

スナネズミの女性。レゴシの暮らすコーポ伏獣の住人として、『BEASTARS』にも登場している。
キャリアウーマンで、ヒモとしてライカを養うほどの稼ぎがある。同僚で自身と同じスナネズミのプジオカと交際しており、めでたく彼と結婚する運びとなる。それをライカに告げた際、彼が「理想のヒモ生活」が終わることを嫌がり、“より磨きをかけた理想的なフライトを提供して翻意させる”という明後日の方向に努力する様を見た時は「どれだけ働きたくないのか」と心底呆れていた。
結婚したらライカを追い出すつもりではいたが、彼との生活自体は気に入っていたらしく、ようやくまともに働くことを決意した彼に「あんたと見た景色は常に最高だった」とエールを送った。

第11話

キム

シマリスの女性。一月前から樹獣社という出版社に勤め始めた、新人編集者。
勤め先の文芸誌の看板作品の原稿を受け取るため、作家のイチジクの下を訪れる。実は学生の頃からイチジクのファンであり、その繊細でナイーブな作風から「きっと草食の小動物の女性に違いない」と思い込んでいた。実際にイチジクと会った時は、その作風とのギャップに驚愕する。

イチジク

YAMAKUZIRA
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@YAMAKUZIRA

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