ブルーピリオド(漫画・アニメ)のネタバレ解説・考察まとめ

『ブルーピリオド』とは、2017年より山口つばさが『月刊アフタヌーン』(講談社)にて連載している「芸術」に向き合う若者を題材にした青年漫画である。特に熱中できるものもなく、日々の生活に虚しさを覚える高校2年生の主人公が、美術の授業をきっかけに絵の世界に惹き込まれ、日本で一番高い倍率を誇る「東京藝術大学」を受験することを決める。芸術の世界の厳しさに何度打ちのめされても、諦めきれずにもがき続ける主人公と仲間達の苦悩や葛藤が描かれた青春群像劇である。

八虎は、家に帰りたくないというユカに付き合い夜の海を訪れ、そこで宿を探し泊まることになった。翌朝、ユカの提案で自分の裸を書くことになった2人は、初めて面と向かって話し合う。女装をして自分の好きを貫くユカを、八虎は他人の目を気にしない人だと思っていた。しかし、その実ユカは他人の目ばかり気にしていたのだ。祖母が日本画を好きだからというそれだけの理由で本当は書きたくない日本画を選び、男子を好いていた方がわかりやすいという理由で「女装はしているが実は女子が好き」という複雑な感情を隠して生きていた。そして、自分で勝手にキャラ作りしてしまう気持ちが八虎には分かるのだった。

自分の裸を描き終えた2人は、海旅行から帰り駅で別れる。その後すぐに予備校へ向かい絵を描き始める八虎だが、その心は軽やかだった。ユカと向き合い、裸の自分と向き合ったことでどこか吹っ切れた八虎は、いよいよ2次試験に臨む。

藝大の2次試験の課題内容。

2次試験当日、八虎の体は悲鳴をあげていた。受験教室へ行く階段で蕁麻疹と眼精疲労で動けなくなってしまう八虎。通りがかった世田介のこともすぐには識別できないほどである。そんな危機的な状態で始まった2次試験、その課題はヌードモデルだった。直前に自身の裸体を描いていた八虎は、ヌードモデルの課題にすでに向き合っていたことを幸運に思う。そして万全でない体調の中でもなんとか1日目の作業を終える。その日の夜に八虎に電話をかけた大葉先生は、体力的な限界を感じて今年の受験を諦めることを提案しようとするが、全く諦める気のない八虎に感心する。そして、薬で何とか症状を抑えて受験を続行出来るようにサポートする。

二次試験終了の鐘。

満身創痍で迎えた2次試験2日目。1日目の遅れを取り戻そうと思考する八虎だが、テーマがまとまらないまま昼休みに突入する。そんな時、八虎はふと森本先輩の言葉を思い出す。それは、八虎が初めて絵を描こうとしたときに言われた「あなたが青く見えるなら、りんごもうさぎの体も青くていいんだよ」という言葉だった。この言葉を思い出し、自分から見える裸で良いと考えた八虎は、八虎にとっての裸をテーマにまとめて2日目を終了する。

2次試験最終日、八虎のテーマは完全に決まっていた。そして、描きながらもその過程で八虎はさらに自分を理解していく。自信はないけど傲慢で、この世界の誰よりも自分に期待している。そんな情けない、自分にとっての裸を八虎は描き切った。

受験はどうだったのかと佐伯先生に尋ねられ、後悔はないと断言する八虎。

何とか自分の答えを見出し、2次試験を終えた八虎に合格発表の日が近づく。そんなある日美術部顧問の佐伯先生に試験の出来を聞かれ、後悔はないと言い切った八虎を見て佐伯先生は安心する。そして、八虎は藝大合格を勝ち取った。一緒に受けたマキと悠は落ちたが、世田介は現役で合格する。マキはもう1年頑張ることを決意し、悠は多摩美術大学に進学する。こうして、予備校で共に過ごした仲間たちはそれぞれの道を歩み始める。

大学生活篇

新たな出会いと受験絵画の否定

博士過程1年である真里亞は、新入生である八虎と世田介に助言をする。

無事藝大に合格した八虎と世田介は、入学式当日の昼間から酒を飲んでいる1年の花陰真里亞と出会う。八虎たちと同じ1年油画だという彼女に、大学でしかできない経験から何を感じ取るかが大事であるという助言を受け八虎のモチベーションが高まる。そして、入学式直後の油画科1年のオリエンテーションで、同じ1年でも花陰は博士1年の大先輩だったことを知る。そして早速、自己紹介を兼ねた作品紹介を行うことを告げられる。

自分の作品を何となく紹介していく矢虎に、自分の軸を問う槻木教授。

絵で上位に入る自信のない八虎は、得意な人前での発表でいかに面白く自己紹介をするかを考え当日を迎える。しかし、他の人の発表を聞いて自分が見当違いだったことを知る。そこでは、自分が何を表現したいのか、どのような作品を作りたいのかを問われていた。何を表現したいのかが伝わらないという槻木教授の言葉に打ちのめされた八虎は、その気持ちを引きずったまま1つ目の課題である自画像に取り組み始める。

藝大に入学後の最初の課題で、槻木教授は評価に値しないと八虎に言い放つ。

それでも何とか形にするべく大学で作業する八虎のもとに槻木教授が訪れる。その時、八虎は自分の自己紹介が教授の記憶に残っていないことを知る。入学早々他の学生や教授陣に圧倒され、押し潰されそうになる八虎だが、他の同期の表現方法を取り入れることで何とか自画像を形にする。しかし、付け焼き刃の技術で作ったため、作品が講評している最中に壊れてしまう。そして、教授陣からは評価すらしてもらえずに1つ目の課題を終えた。

教授陣にこてんぱんにされた八虎に、そう簡単に受験絵画を捨てられるはずがないと助言する桑名マキ。

自己紹介と1つ目の課題で完全に戦意喪失してしまった八虎に、2つ目の課題が出される。しかし、どこか気持ちを入れることができない八虎は、藝大生に会うことを避けるべく上野動物園に足を運ぶ。そこでばったり浪人した桑名マキに遭遇する。たまたま会ったマキに落ち込んでいることを見抜かれた八虎は、その理由をマキに尋ねる。そして、現役かつ首席で合格したマキの姉も入学後に苦しんでいたことを知る。教授陣が言った「受験絵画を捨てろ」という発言に苦しむ八虎の悩みは、マキの姉も経験していた。そして、そう簡単に捨てられるはずがないというマキの言葉に八虎は救われる。

桑名マキとの会話で、自分の好きなようにやれば良いと考え直す八虎。

さらに八虎は、受験中にずっとマキが戦っていた恐怖についても理解する。一度評価されると、「その期待を裏切りたくない」と変化をすることを恐れてしまう。一家全員が藝大出身という肩書きを持つマキだからこそ知っていた恐怖を、藝大現役合格という肩書きを持った八虎は理解できた。そして、そんなマキと話すことで八虎は自分の人生なのだからなんだってやっていいと思えるようになる。周りとの差ばかり気にして焦っていた八虎は、一度立ち止まることを決める。そして、まずは自分の好きを見つけようと少しずつ歩き始める。

1年生に対する2つ目の課題で、猫屋敷教授は高難易度のものを出す。

2つ目の課題を進めるために油画科全員で江戸東京博物館を見学することになる。伝統芸能の敷居が高いと感じ、いまいち歴史に興味を持てないでいた八虎は、ガイドさんの知識によりそのイメージをガラッと変えられる。歴史の面白さに魅せられた八虎は意気揚々と課題制作に取り掛かるが、思いのほか進まない。猫屋敷教授は、かなり高い難易度の課題を八虎たちに課していたのだ。難しい課題に対し納得のいく進捗を産めなかった八虎は、そのまま中間講評に突入する。八虎は、これまで2回の講評で教授陣に相手にすらされなかったため一瞬怯むが、開き直って講評に臨む。しかし、そこで猫屋敷教授は八虎がどうしたら良いのか分からなくなっているところを言語化してくれたのだった。

文化祭と神輿制作

夏休みのビックイベントへ向けて気合が入る柿ノ木坂。

言語化したことで少し課題を整理できた八虎は、再び試行錯誤をし始める。それでも多過ぎる情報に頭を抱える八虎に、同期の村井八雲と鉢呂健二が息抜きに釣りに行くことを提案する。自信家である八雲を毛嫌いしていた八虎だが、釣りをしながら交わした会話で八雲がただの自信家でないことがわかる。八雲は、東京の歴史を単なる知識としてだけでなく、あらゆる方面で結びつけて考えることができていた。八雲の自信には積み重ねがあったのだ。八虎は、この出来事から積み重ねをイメージした作品を作る。そして、猫屋敷教授に初めて褒められるのだった。少し前進した八虎に、今度は夏休みのビックイベントが待っていた。

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