デス・ウィッシュ(映画)のネタバレ解説・考察まとめ

『デス・ウィッシュ』(Death Wish)とは、アメリカ合衆国で製作されたアクション・スリラー映画である。1974年に映画化された『狼よさらば』のリメイク作品。舞台はシカゴ、もはや警察でさえお手上げな無法地帯と化した町でブルース・ウィリス演じる外科医ポール・カージーは何不自由なく暮らしている。が、ある日何者かに襲われ妻を亡くし、娘は昏睡状態となる。家族の復讐を心に誓ったポールは「シカゴの死神」と化して自らの手で悪を成敗していく。監督のアメリカ銃社会への問題提起が伝わる映画である。

『デス・ウィッシュ』の概要

『デス・ウィッシュ』とは、2018年公開となった、アメリカ合衆国で製作されたアクション、スリラー映画で、さらに、主人公が正当な司法の措置を取らず、私刑や復讐のために犯罪者に挑むというジャンルの自警団映画(別名:ヴィジランテ映画)でもある。監督はイーライ・ロス、主演はブルース・ウィリス、その他には、『ジュラシック・ワールド』のビンセント・ドノフリオ、『バトル・オブ・ザ・セクシーズ』のエリザベス・シューらが出演。

本作はブライアン・ガーフィールドの小説『狼よさらば』を原作とし、1974年にマイケル・ウィナー監督、チャールズ・ブロンソン主演で公開された映画『狼よさらば』のリメイク版となっている。この作品は、シリーズ化されるほどの大ヒットを記録した。

映画製作費には約3千万ドルが費やされた。2018年3月アメリカ公開時には、全米2847館で公開され、公開日の週末には、アメリカ全土で1301万ドルを稼ぎ週末興行収入ランキング初登場3位となった。日本での興行収入は1億5100万円となった。

警察すら手に負えない無法地帯となったシカゴで外科医として病院に勤務するポール・カージー。郊外の家で妻と娘と一緒に幸せな日々を過ごしている。ある日、ポールの留守中に家族が強盗に襲われ、妻は死亡し、娘は頭を撃たれて昏睡状態になる。警察の捜査は一向に進まず、歯がゆい現状に我慢のならないポールは、自らの手で復讐することを誓い「シカゴの死神」となる。生まれて初めて銃を手にし、復讐のため強盗犯を探し街へと出る。街は犯罪に満ちていた。ポールは暴漢に襲われている女性を救うため路上で銃撃戦をしたり、病院に運び込まれた、銃弾を負った男の子を救うため麻薬の密売人を銃殺したりと夜間自警活動を始める。警察に進捗状況を聞きに行くが、未解決の事件が壁一面埋め尽くされている様子を見て、やはり警察に頼っていたのでは、いつまでたっても犯人は捕まらないだろうと悟る。そして、とうとう、妻殺害の強盗団を突き止めて、一人ずつ処刑を始めるのだった。ポールが「シカゴの死神」であることが弟のフランクにバレてしまい、やめるように説得されるがそう簡単にやめるわけにはいかないポール。
順調に復讐は進むが、強盗犯の最後の一人ノックスとの対決で仕留めることに失敗したポールだった。ポールは、返り討ちを予想し、すぐに正規銃取扱店で銃を購入する。その後、ポールの予想通りノックスは仲間を連れてポールの家へポールと娘ジョーダンを殺害するため押し入る。いち早くノックスとその仲間に気づいたポールは、娘を安全な場所に隠し、正規の手順で購入しておいた銃でノックス達を迎え撃ち全滅させる。やって来た警察は正当防衛であると判断し、ポールは銃を永久に手放すことを誓う。
『ダイハード』などのハリウッド映画を代表作とするアクションスター、ブルース・ウィリスが、YouTubeを見ながら銃の扱い方を勉強する外科医の役を演じる姿は、他作品で見られない斬新なものとして注目を集めた。
またただのアクション、スリラー映画ではなく、現在のアメリカ銃社会問題を浮き彫りにした内容にも注目すべき映画となっている。ロス監督は、正義を貫こうとした男が道を踏み外していく様や「善」と「悪」との境界線が少しずつずれていき、自分の行為を正当化していく主人公ポールの様を共感してほしいと言っているが、映画評論家の中には銃犯罪を促進するのではないかとの心配の声が上がっていた。

『デス・ウィッシュ』のあらすじ・ストーリー

シカゴと言う街

シカゴの街中を行き来するパトカーや救急車

「こちら911番です。どうされましたか?」「私の弟が銃で撃たれたの!助けて!」こんな緊急コールで幕を開ける。ニュースからは、「17歳、銃に撃たれて死亡」「殺人事件762件、3500件以上の銃を使った犯罪。もはや希望はない、政府は現状を改善する兆しもない」など、もはやコントロール不可能となったシカゴの街の様子を伝えている。突如、警察無線に、警察官が撃たれたとの情報が入り、応援が現場へ駆けつける。犯罪者に銃撃され一人の警察官が重傷を負う。彼は同僚にパトカーへ乗せられ病院へ緊急搬送されるが、手術室へ運び込まれた時には、もはや虫の息となっていた。
別室で手術中のポール・カージーは看護師に呼ばれ、撃たれた警察官の処置へと向かう。が、ポールが手術をすべくメスを握ったところで心臓は止まってしまい警察官死亡が確認されたのだった。

ポール・カージー 一家

左から娘ジョーダン、妻ルーシー、夫ポール

ポールは郊外の邸宅で美人妻のルーシー、娘ジョーダンと共に幸せいっぱいに暮らしている。
ある朝、食卓でポールとルーシーがゆっくり朝食をとっているところに、ジョーダンはニューヨークの希望大学からの合格通知を受け取り大喜びしている。娘の成長に少し寂しさを感じながらも幸せな父ポールと母ルーシー。
ある休日、ポールとルーシーは娘のジョーダンが所属しているサッカーチームの試合を見に来ている。多くの家族が試合を見守る中、ポールの近くにいた男性が、スラングだらけの応援、罵倒をしているのを聞き不愉快な表情をあらわにするポール夫妻。とうとう我慢がならなくなったポールは男性に注意をする。曲がったことが許せない性格のポールであった。不適切な言葉を注意したポールに向かって下品な男が、「おれがお前なら、おれはここで黙るぜ」と詰め寄るのに対し、ポールは「それはいい。おれになってみろ!俺を見習えよ。それでちょっとおとなしくしていろ」と落ち着いて応戦しなんとか事なきを得る。
試合が終わり、ポール一家はポールの弟フランクと共にレストランで食事を楽しみ、試合中にあったポールの一発接触のエピソードを語っている。治安の悪い街に住む一家なので、フランクはジョーダンに護身術を身につけろというが、実は、ジョーダンは週三回護身術のトレーニングをしているといい、フランクに護身術を披露して見せる。また、ルーシーは15年の努力の末博士号を取得し、ポールと同じ病院で医師として働くことが決まったとこの場で発表する。弟のフランクは刑務所あがりで前科があるため、なかなか仕事に就く事ができず、ポールにお金の無心をしている。

駐車場係がポールの車のカーナビからポールの自宅住所を調べ写メに撮っている

レストランでの食事を終えたポール一家とフランク、レストランを出たところでポールは自分の車の駐車券を駐車場係のミゲルに渡すと、ポールの車をレストラン出入り口まで運転して持ってくるのだが、ミゲルは、レストランに来たお金持ちのお客を狙い強盗を働く窃盗団の一味だったのだ。ポールをいい餌食だと思った駐車場係は、ポールのカーナビに登録してあったポールの自宅の住所を呼び出し写メを撮って何食わぬ顔でポールに車を引き渡した。そしてその住所を仲間へ送ったのだった。

ポールの誕生日の惨劇

自宅に押し入ってきた強盗犯の一人に捕まるジョーダン

ポールの誕生日パーティーの日、一家はエレガントな服装に着替えディナーに出かけようとしているところに、ポールの勤める病院から連絡が入り、その日の勤務医師が40度の熱のため欠勤となり代わりに出勤するよう要請され、ディナーを中止とし、病院へ駆けつける。そのころルーシーとジョーダンは仕事に駆り出されたポールのため、家で手作りバースデーケーキを作ることにして、材料を買い出しに行き、レシピを見ながらケーキを作り始める。
レシピ本のケーキのページを開くがどういうわけか違うページが開いてしまう。あたりを見渡すと閉めたはずの窓が開いており、床には靴跡と泥が残っている。異変を感じたルーシーは、悠長に電話をしているジョーダンにすぐに母の元へ戻るように何度も呼ぶが、どこ吹く風。とうとうジョーダンは2階にいた強盗に、ルーシーは1階にいた強盗にそれぞれ捕まってしまう。
強盗に金庫を開けるように命令されたルーシーは抵抗することなく金庫を開けようとするが、銃を押し付けられていて動揺し、なかなか金庫を開けることができない。ようやく金庫を開けることができ、強盗に中身を渡すが、1階ではジョーダンをレイプしようとしている強盗が仲間ともめている。隙をついてジョーダンは強盗の顔をナイフで切りつけ、ルーシーは熱湯を強盗の顔にかける。ジョーダンは一瞬の隙をみて逃げ出そうとするが、顔を切られた強盗はつい覆面を外してしまい、素性がバレてしまう。ルーシーとジョーダンを殺害するしか道はなくなってしまった強盗団は、その二人を銃で撃つ。

勤務病院で手術を行っているポール

病院で手術を行っている真っ最中のポールだが、館内業務放送で「緊急搬送二名、レベル1。一人は女性17歳で頭蓋骨骨折、もう一人は43歳女性で胸を拳銃で撃たれている」とアナウンスされているのを聞き、何かを感じたポールは別のドクターに後処理を任せて二人の元へと向かう。
運ばれた二人はやはり妻ルーシーと娘のジョーダンだった。二人のいる処置室に入ろうとするが、同僚、警官に阻止される。押しのけて部屋に入るが部屋はもぬけの殻。ジョーダンは手術室、ルーシーはすでに息を引き取っていた。

シカゴの警察官

シカゴ警察のポール家強盗殺人事件の担当警察官

警察官の事情徴収で、盗まれたものを報告しているポール。金庫からはジョーダンのパスポートと出生証明書、現金200ドルとポールが大事に保管していたスタンフォード大学卒業の際に作った卒業記念カレッジリングが盗まれ、机の上にあった、2つのパネライブランドの時計も盗まれていた。一つは真っ黒のもので、もう一つはバースデープレゼントでもらったばかりのシルバーと黒のものだった。警察官の「家に拳銃は所持していたのか?」という質問に対して「所持していない」と答える。この地区ではこの9か月の間に6件、拳銃盗難のための連続強盗事件がおきていた。
ポールの弟フランクも事情徴収に同席しているが、この連続強盗の話を聞き、このような凶悪犯罪が、住民には全く知らされていないことに怒りをあらわにする。しかし警察官は、凶悪で住民が知るべきならばメディアが発表するのだと拳銃強盗はまるで凶悪犯罪ではない日常茶飯事なものだという返答をする。
事情徴収が終わり、警察官は自身の名刺を渡し何かあれば連絡するようにと伝えて帰っていく。
ちょうどそのころジョーダンの手術が終わり部屋へ戻ってくる。頭を撃たれ銃弾の破片が頭内に残っていたがすべて取り除くことができ、手術は成功したのだが昏睡状態で目を覚ます気配はない。

頼りにならない警察

密猟者にむかって発砲するポールの義父

ルーシーの葬儀の日、ルーシーの父親もテキサスから駆けつけて参列し悲嘆にくれている。ルーシーの遺体は父の希望もあり故郷のテキサスへ連れて帰ることとなり、葬儀後ポールと共にテキサスへ車で向かっている。ポール家強盗事件の犯人探しの進捗状況は一向に進むことがなく、近所の住人が目撃した3人の修理工が乗った白いワゴン車がポールの家の近くに停まっていたという情報のみだったと、義父に話すポール。その時突然銃声が聞こえて車を緊急停車する義父。二人は銃声の元へと急いで向かうとそこには密猟者がいた。逃げる密猟者に向かって義父は発砲するが取り逃がしてしまう。義父は「警察が街を守ってくれるとみんな信じている。だが、それは違う。警察が駆けつけるのは犯罪が起こった後だ。手遅れさ。鶏小屋から出る狐を狩るようなものだ」とそして、「本当に大事なものを守りたいと思ったら、自分で行動するしかない」と言う。
ポールはシカゴへと戻り、またいつもの日常が始まる。朝のラジオでは相変わらず「死の街」(シカゴ)の週末に起こった事件を伝えており、「週末は48名が銃により負傷し13名が死亡、状況は日々悪化している。いったいいつまでこのような生活を続けなければならないのか?」という問いを投げかけている。
出勤途中のポールは運転中の車の中からルーシー殺害の担当警察官に電話をし、進捗状況を聞くが全く前進していないという。新たな情報があれば警察官からポールに連絡をするということで、納得はいかないが会話を終えるポール。

いまだに目を覚まさないジョーダンと友達のソフィー

ジョーダンの病室ではいまだに昏睡状態のジョーダンに同級生のソフィーが宿題に出ている課題本を読み聞かせている。そこへ登場するポール。娘を訪ねてきてくれたソフィーを歓迎し、今、読み聞かせていた難解きわまりないミルトン・フリードマンの『実証経済学の方法論』はきっと昏睡から覚めるには役に立たないよと冗談半分でいうが、ソフィーはジョーダンが目覚めた時に少しでも学校の遅れを少なくできるようにしたいと言って読み聞かせていた。
ポールはというと、カウンセリングに通うほど彼の精神状態は深刻で、仕事にも行けない、家にいることもできない、眠ることも食べることもできない毎日で、地獄にいるようだという。気持ちを落ち着かせるため、昔ポールが嫌いな父親から逃げるために電車に乗り、宿題をしたり時間をつぶしていた方法を実行してみるがどこへ行っても何をしても頭に浮かんでくるのはルーシーのことばかり。前にも後ろにも進めないポールはなんとか強くあろうともがくが自分の家族を守れなかった自分を責め続ける。「俺は妻を守れなかった、娘を守れなかった。男が果たすべきもっとも重要な役割なのに」と。

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