リトルバスターズ!(リトバス)とは【ネタバレ解説・考察まとめ】

『リトルバスターズ!』とは、2007年にビジュアルアーツの美少女ゲームブランドKeyから発売された恋愛アドベンチャーゲーム。主人公の直枝理樹は、旧友の棗恭介、井ノ原真人、宮沢謙吾、恭介の妹の鈴と共に全寮制の学校に通っていた。ある日、理樹が恭介に「昔みたいに何かしよう」と提案を持ちかけると、恭介は野球チームの結成を宣言。理樹の同級生達を巻き込み、その輪は大きくなっていく。彼女らとの交流を通じ、「世界の秘密」を知る青春アドベンチャーゲーム。2012年~2013年にはアニメ化もされた。

『リトルバスターズ!』の概要

『リトルバスターズ!』とは、2007年7月に株式会社ビジュアルアーツの美少女ゲームブランドKeyより発売された恋愛アドベンチャーゲームである。略称は「リトバス」。
2008年にはシナリオ・CGの加筆・追加、攻略対象ヒロインの追加のほか、性描写を盛り込み、18禁作品として『リトルバスターズ!エクスタシー』を発売。また、PlayStation 2、PlayStation Portable、PlayStation Vita、Playstation 3、Nintendo Switch等のコンシューマー向けに移植され発売された。各ハードへの移植版は『リトルバスターズ!エクスタシー』を元にしているが、性描写のシーンは割愛されている。
シナリオは同ブランドの美少女ゲームである『Canon』や『Air』、『CLANNAD』のシナリオを担当した麻枝准を筆頭に、都乃河勇人、城桐央、樫田レオが担当。キャラクター、CGデザインについては『Canon』、『Air』等のKeyブランド作品での原画を担当していた樋上いたるを中心に、Na-Gaが担当している。都乃河についてはKeyブランド内のシナリオライターとしては本作からの参加であり、ゲーム次回作の『Rewrite』においては、メインライターの麻枝が引退を表明していたこともありメインライターを務めている。
主題歌は「Little Busters!」。また、それぞれエンディング曲として、「Alicemagic」、「雨のち晴れ」、「Song for friends」、「Little Busters! -Little Jumper Ver.-」、が、劇中歌として「遥か彼方」が収録されている。歌手はいずれもRita。
さらに、エクスタシー版の追加エンディング曲として「Saya’s Song」が追加された。歌手は『Air』の「鳥の詩」や、『CLANNAD』の「ちいさな手のひら」を歌っていたLiaが担当している。

『Canon』『Air』『CLANNAD』と、「人と人との心のつながり」を描いてきたKeyであるが、本作においてもそのスタンスは変わっていない。本作のテーマは「友情」である。
学生生活における日常の描写が豊富に行われているほか、『Refrain』シナリオにおいては美少女ゲームとしては異例と言える男性キャラクターへフォーカスをしたシナリオが描かれている。

他にも本作ヒロインの1人である能美クドリャフカとのストーリーを描いた18禁ゲームの『クドわふたー』が、2010年に発売されている。

『リトルバスターズ!』のあらすじ・ストーリー

共通シナリオ

幼少の頃、主人公の直枝理樹(なおえ りき)は、両親を突然の事故で亡くし塞ぎ込んでいた。また、その時の精神的なショックからナルコレプシーと呼ばれる、突然強烈な睡魔に襲われ眠り込んでしまう病を患い、日常生活を送ることすらままならない日々を過ごしていた。
そんな時、理樹の前に「正義の味方・リトルバスターズ」を名乗る4人の少年が現れる。リーダーの棗恭介(なつめ きょうすけ)に手を引かれ、リトルバスターズの一員として様々な遊びや冒険に連れ出される理樹。彼らと過ごしているうちに、理樹は少しずつ立ち直りみんなの前でも笑えるようになっていく。
恭介、筋肉バカだけど根はやさしい井ノ原真人(いのはら まさと)、剣道一筋でクールな宮沢謙吾(みやざわ けんご)、そして恭介の妹で猫好きな人見知り、棗鈴(なつめ りん)。いつも騒がしく楽しいリトルバスターズの面々の中で、理樹は「こんな日常がずっと続けばいいのに」と願っていた。

数年後、高校生になった理樹は全寮制の高校に入学していた。
高校2年生の5月14日、「恭介が帰ってきた」という寮生の声で理樹は目を覚ます。理樹は、学生寮の同室で、かつてのリトルバスターズのメンバーである真人が部屋を出ていこうとしているのに気づいた。恭介が外出している間は喧嘩をしないというルールになっており、就職活動に出ていた恭介が帰ってきたので、真人は謙吾との決着をつけにいくと食堂へ向かう。真人はライバルである謙吾と、バトルを始める。
幼馴染同士の喧嘩を止めようとするも、非力な理樹ではどうすることもできず、帰ってきたばかりの恭介に喧嘩の仲裁を頼む。そこで恭介は、“素手での攻撃は禁止し、お互いに武器を使用する”、“使用できる武器は、喧嘩の野次馬に集まったほかの生徒が投げ入れたもののみ使用できる”というルールを決め、決着をつけるように言い放った。興を削がれた謙吾はその場を後にし、ネコを武器に謙吾との勝負に挑もうとしていた真人は謙吾を挑発する。そこにネコをいじめる奴は許さない、と乱入してきた鈴と真人が決闘。
恭介の定めたルールに則り、両者ともに投げ入れられた武器を使用して戦う。真人はうなぎパイを武器に鈴と決闘するが、三節棍を持った鈴に成すすべもなく敗北。
その様子を眺めていた理樹は、幼い頃からの日常が続いていることに満足していた。

いつものようにリトルバスターズのメンバーで騒いでいた時、理樹がおもむろに「昔のようにみんなで何かをしたい」と提案する。
恭介が足元の野球ボールを拾い、「野球チームを作ろう」と宣言。チーム名を「リトルバスターズ」とし、理樹たちの通う学園の野球部との試合を目標にトレーニングを始めることになる。
しかし、野球をするにはメンバーが9人は必要である。リトルバスターズのメンバー5人では野球の試合を開催することはできず、謙吾は部活動の剣道で忙しいという理由で、リトルバスターズへの不参加を表明してしまう。
そこで恭介は、理樹と鈴を野球チームのメンバー集めの役に任命する。理樹と鈴は、おのおの同級生達からリトルバスターズに参加してくれるチームメンバーの招集に奔走する。
しかしながら、鈴は生来からの極度の人見知りであり、メンバー集めをするにも困難を極める。そこで理樹が中心となってメンバー集めを行い、鈴とメンバーたちを交流させることで鈴の人見知りを治すことに。
一方で、理樹と鈴は、鈴が大量に飼っている猫のうちの1匹であるレノンに、謎の白い紙が結び付けられていることに気づく。その白い紙には、「世界の秘密を知りたければ、これから出す様々な指令をクリアしろ」という内容が記されていた。
誰かの悪戯かと理樹と鈴は訝しく思うものの、指令の内容はさしあたり難しいものではない。理樹と鈴は、興味半分で紙に記された指令を、メンバー集めと併せてこなしていく。

屋上でお菓子を食べていたクラスメイト、神北小毬(かみきた こまり)。理樹のクラスによく遊びに来る、騒がし役の女の子、三枝葉留佳(さいぐさ はるか)。ロシアと日本のクォーターで、宇宙に憧れる小柄な女子、能美クドリャフカ(のうみくどりゃふか)。数学の時間は中庭で絵を描いている、天才にして姉御肌の来ヶ谷唯湖(くるがや ゆいこ)。いつも木陰で本を読んでいる物静かなクラスメイト、西園美魚(にしぞの みお)。理樹と鈴は彼女たちを新たなメンバーに加えることに成功し、理樹たちの野球チーム「リトルバスターズ」が出来上がっていく。また、今までバスターズの3人しか友達がいなかった鈴も、新たに加わった5人のメンバーたちとの交流を通して成長していく。また、鈴は「世界の秘密」を解き明かす指令の中で、食堂の手伝いをしたりする等、様々な人と積極的に交流するようになっていった。
そして、野球部との試合の日。メンバーが1人足らず、センターなしで挑むことになった。

弓道の道に才覚を持ち、将来を嘱望されていた古式みゆき(こしきみゆき)という女子生徒。だが、彼女は病気で右目の視力を失い、弓道の道を閉ざされてしまう。同じく武道の心得があり、才能も持っていた謙吾が古式のメンタルケアを兼ねて話相手になっていたものの、古式の心が回復することはない。弓道以外に自分の生きる道を見つけられず、絶望した古式は学校の屋上から投身自殺を図ってしまう。そこに駆け付けた謙吾が、飛び降りる古式を追いかけて飛び降りる。
空中で謙吾に抱きかかえられた古式は一命をとりとめたものの、救助に向かった謙吾は左腕を骨折してしまう。腕の怪我のため、剣道部に参加できなくなった謙吾は、リトルバスターズに参加。
右腕だけでバットを振り、ホームランを出す剛腕にメンバーの皆は湧きたったのだった。勝利することはできなかったものの、図らずも善戦したリトルバスターズ。今までと変わらない騒がしく楽しい日々を過ごし、「この日常がずっと続く」そう思う理樹だった。

個別シナリオ

小毬ルート

野球の試合が終わった後、理樹は小毬から「兄」についての相談を受ける。
兄の存在を忘れていた彼女は、理樹に「存在しないはずの兄の夢をよく見る」という相談をする。彼女が大切に持っていた手作りの絵本にも、作者として彼女の兄の名前が書かれていた。不思議に思った彼女は両親にも「兄」の存在を尋ねるが、彼女に兄などいないという言葉を受けて困惑する。しかし、小毬は存在しないはずの「兄」のことがずっと気になっていた。
ある時、理樹は小毬と共にボランティアに行った老人介護施設にて、「神北小次郎(かみきたこじろう)」という1人の老年男性と出会う。ボランティア活動を通して、理樹は小次郎と関係を深めていくことになるが、小次郎は「小毬とわしを絶対に会わせるな」と理樹に忠告する。理樹は、名字が同じである小毬と小次郎の間に何らかの関係があることを察しながらも、小次郎の言う通りに2人を近づけることはしなかった。

ある日、理樹は小毬と共に出かけた帰り道で、水の溢れる側溝で溺れた猫の死骸を見つける。その猫の死骸を見た小毬は唐突に半狂乱となり、嗚咽を上げて泣き出した。その後、小毬の様子はどんどんとおかしくなっていき、理樹を存在しないはずの「兄」と認識するようになる。

理樹は小次郎が何か事情を知っているのではないかと思い、彼を尋ねることに。そこで小次郎から、「小毬は動物の死骸や血を見ると動転し、精神に異常を来す」という話を聞く。かつて小次郎が喀血した際にも同様の症状が起こったということだった。そのため、老い先短い自身の死に触れてしまえば、小毬の精神に異常を及ぼすことを恐れた小次郎は、小毬を自身に近づけないようにしていた。
小毬にその症状が現れるようになったのは、小毬の兄である「拓也(たくや)」が、小毬の前で血を吐き死んでしまった時からだという。兄の死がトラウマとなり、小毬は兄の存在をなかったことにした。それから、死そのものや死につながるものを見た時にトラウマが引き起こされ、精神を安定させるため小毬にとって身近な親しい者を「兄」と認識し、精神のバランスを取るようになってしまった。
また、小次郎は「自身の妻も、小毬と同じ症状を持っていた」という。小次郎は妻にとって「兄」の代わりになろうと生きてきたが、結局救えぬまま先立たれてしまったことを強く後悔していた。

「暫く時間が空けば、元の小毬に戻る」と言う小次郎だったが、理樹はそれでは根本的な解決にならないと彼女を兄の死によるトラウマから救い出すことを決意する。
小毬が忘れてしまった兄の死と向き合えるよう、理樹は小毬の兄と同じように絵本を創作する。
そして彼女にその絵本を渡し、「小毬は兄の死と向き合わなければならない」「兄がいなくなっても、これからは自分が傍にいる」と小毬を説得した。
理樹の言葉によって、小毬は兄の死と向き合い、トラウマを乗り越えた。

来ヶ谷ルート

理樹の告白を受け入れる来ヶ谷

野球の試合が終わった後も来ヶ谷との関係性は変わらず、理樹は数学の授業を抜け出して、彼女に数学を教わっていた。
ある日、理樹が登校した際、自分の下駄箱の上履きの中に画鋲が入れられていることに気づく。そこに、偶然来ヶ谷が通りかかる。理樹は以前、彼女の上履きに対して画鋲を入れるような嫌がらせがあったことを思い出し、来ヶ谷に尋ねる。
眉目秀麗にして、成績優秀・スポーツ万能。非の打ち所がない来ヶ谷であったが、それゆえに周囲から疎まれることも多い。しかし、彼女が主犯格たちの弱みを握ったことで、現在はそういった行為はぱったりと止んだという。
来ヶ谷と別れ、教室で画鋲について思いを巡らせる理樹。こういうことをしそうなのは、以前来ヶ谷に対して嫌がらせを行っていた連中しか思い浮かばないものの、理樹には彼女らから恨みを買うようなことをした覚えはなかった。
理樹は恭介、真人、謙吾に相談を持ち掛ける。標的はあくまで来ヶ谷で、その周囲の人間を攻撃の対象にしていること、そして理樹以外のバスターズメンバーにも危害が及ぶ可能性があることを恭介が指摘する。
来ヶ谷の周囲の人間を攻撃することで、彼女から人が離れていけば、結果的にそれが来ヶ谷への攻撃になるということだ。また、それを踏まえると小毬、クドリャフカも攻撃の対象になり得ると恭介は危惧していた。
そのうえで、理樹は来ヶ谷がバスターズメンバーに居づらくならないよう、来ヶ谷には相談せず自身のみで解決を図ることにする。

理樹への嫌がらせがエスカレートする中、謙吾はやはり来ヶ谷に相談するように言う。謙吾は「来ヶ谷は周囲からの嫌がらせで感情を揺さぶられるような人間には見えない」と言い、「理樹のしようとしていることは、来ヶ谷にとってただの徒労に過ぎないかもしれない」とも言う。嫌がらせがエスカレートしていく中、理樹のぼろぼろになった教科書が来ヶ谷の目に入る。来ヶ谷は深くは追及しなかったが、すでにバレるのは時間の問題と理樹は懸念する。このまま知られるくらいなら、直接嫌がらせをしてくる相手と話をしようと理樹は決心した。
理樹はクラスメイトの1人であり、嫌がらせの犯行グループである杉並(すぎなみ)に声をかけ、放課後話をつけることにした。しかしながら、当の杉並は「理樹への嫌がらせは知らない」という。
そこに、犯行グループの主犯格である高宮(たかみや)と勝沢(かつさわ)が現れる。追及する理樹に対し、白を切り続ける2人だったが、唐突にスピーカーから犯行時の音声が大音量で流れ出す。そこへ現れた来ヶ谷。一方で、開き直り来ヶ谷へ噛みつく2人。来ヶ谷が2人に頭を下げない限り、周囲の人間を傷つけると言い放つ。
その言葉に来ヶ谷は激昂し、教室のドアを蹴りで破壊する。怒る来ヶ谷に恐怖し、主犯の2人は逃げ出した。

来ヶ谷の超然とした立ち居振る舞いに、理樹は魅せられ恋心を抱く。理樹は彼女に振り向いてもらおうと、バスターズの男子メンバーに相談を持ち掛ける。
バスターズの男子メンバーと共に、作戦会議で様々な作戦を立てて来ヶ谷へアプローチをかけるが、鈍感な来ヶ谷にはほとんど効果がなく失敗に終わる。結局直接告白することにした理樹だったが、来ヶ谷は、「誰の気持ちにも応えることはできない」と告白を拒絶する。しかし、理樹は来ヶ谷の答えに対し変わらずにアプローチを続ける。
そうした理樹のアプローチに対し、少しずつ人の恋心を理解し始める来ヶ谷。恋心を理解し、自身が人の感情を受け入れることが出来ると思った来ヶ谷は、理樹の告白を受け入れた。

しばらくは、2人で仲睦まじい恋人生活を送っていた理樹と来ヶ谷だったが、ある時から周囲で奇妙な出来事が起こり始める。周囲の人間が理樹と来ヶ谷が付き合っていることを忘れていったのだ。それだけでなく、6月にも関わらず雪が降るという異常気象まで発生し始める。何かがおかしいと思った理樹がその原因を調べていくうちに、理樹は6月20日を何度も繰り返しループしていることに気づいた。世界がおかしくなった原因について来ヶ谷に相談を持ちかけるが、彼女からは「これはすでに決まっていたことだ」という答えしか返ってこない。
次第に、異変は理樹と来ヶ谷自身にも表れるようになる。お互いに付き合っている事実が徐々に思い出せなくなっていってしまう。変わらず繰り返される6月20日の中で、お互いを完全に忘れてしまうまで、理樹と来ヶ谷は恋人としての時間を過ごす。

そして、理樹と来ヶ谷の関係も、最終的には何もかもがなかったことになってしまった。6月20日のループを抜けた後、来ヶ谷は名前も思い出せない誰かをずっと待ち続けるのであった。

「Refrain」ルート攻略後は、エンディング分岐が発生する。ルート攻略後の選択肢で「来ヶ谷のことを覚えている」を選択した場合、理樹と来ヶ谷がお互いが恋人同士で会ったことを思い出し、再会するエンディングへ分岐する。

葉留佳ルート

理樹に掴みかかり、今まで受けてきた三枝の家での仕打ちを語る葉留佳

野球の試合が終わった後も、何かと理樹のクラスに現れては大騒ぎしていた葉留佳。
自販機を壊してみたり、風紀委員の腕章に強力磁石を仕込んでみたりなど、彼女の起こす様々なトラブルに巻き込まれていくうち、理樹は葉留佳と交流を深めていく。

ある時、理樹は授業に遅刻した罰ということで、廊下でバケツを持って立っている葉留佳を発見する。寮生活なのに授業に遅刻するのは何故か理樹が尋ねたところ、自宅に帰っているのだという。実家に帰っているのかと尋ねる理樹に対して、葉留佳は「実家のようなもの」といった曖昧な答えをする。理樹は深くは触れず、遅刻の原因がわかっているのであれば改善するべきだと言い、自身の寮室へ案内する。
そこでルームメイトの真人が使っている大量の目覚まし時計のうち、いくつかを葉留佳に選んでもらってプレゼントした。
その流れで、理樹は葉留佳に「自分の部屋を見てみないか」と言われ、葉留佳の自宅へ足を運ぶ。葉留佳の部屋で談笑をしているうち、葉留佳の両親が自宅へ帰ってきた。
目に見えて狼狽する葉留佳。部屋に現れたのは葉留佳の母親だった。せっかく来たのだからと、理樹に夕食を食べていくよう勧める葉留佳の母親だったが、心なしか葉留佳の表情は固く、普段の元気で明るい様子は見られない。食事の席でのあまりに表面的で上っ面だけの会話に、理樹は一般的な家族とはかけ離れた、ぎこちない印象を受けた。

またある日、理樹は相変わらず風紀委員から逃げ回っている葉留佳を見つける。いつものように会話をする理樹と葉留佳に、風紀委員長の二木佳奈多(にきかなた)が割って入ってきた。お互いに敵意の籠った会話をする葉留佳と佳奈多だったが、理樹に放った「葉留佳とは関わるな」という言葉に葉留佳は動揺し、そのまま走り去っていく。
その後、整備委員の活動として、中庭の椅子を修繕する葉留佳と理樹。
そこに現れたのは、またしても佳奈多だった。理樹と葉留佳が修繕した椅子は、元々廃棄予定の物だったという。葉留佳のやったことは無駄な事だと吐き捨て、彼女に向けて悪しざまに言葉をぶつける佳奈多。さらに風紀委員を集め、葉留佳の目の前で修繕されたばかりのベンチを木槌で破壊した。あまりの仕打ちに激昂する理樹だったが、縋りつく葉留佳に制される。その様子を見た佳奈多は、理樹に向かって「そんな厄介者といるのはやめろ」と重ねて警告した。
佳奈多に憎悪を剝き出しにする葉留佳と、葉留佳を追い詰めるような佳奈多の言動。
理樹は、厄介者を疎む佳奈多が葉留佳に辛辣に当たる理由はわかるが、葉留佳が佳奈多を目の敵にする理由がわからない。そんな時、学校中の教室の黒板に葉留佳への罵詈雑言が書き殴られ、彼女を中傷する内容のビラがばらまかれた。
ビラは、「三枝晶(さいぐさあきら)」という男が傷害事件を起こしたという過去の新聞記事だった。葉留佳は、三枝晶は「もうひとりの父親」であると言い、自身には父親が2人いることを理樹に明かした。かつて名家だった三枝家が血筋を途絶えさせないよう、彼女の母親に2人の男をあてがったのだという。そのうちの1人が、そうした異常な環境に耐えきれず事件を起こした。
また、葉留佳の母親は2人の女の子を同時に身籠り、出産した。そのうちの1人が葉留佳であり、もう1人が佳奈多である。
三枝の家では優秀だった佳奈多と比較され、葉留佳は三枝家の親族に虐待されて過ごしてきた。出来の悪い葉留佳は犯罪者の子だと言われ、学校にも通えなかったという。
今の葉留佳の「実家」は、三枝の家から追放された際に引き取られた場所だったのだ。ようやく自由になったのに、学校でも三枝の家のような目で見られるのは嫌だと彼女は泣いた。
しかし、彼女の思いとは裏腹に、学校内で噂の当人として奇異の目で見られる。ビラをばら撒いた犯人は佳奈多に違いないという葉留佳。そして彼女は、自身が出来損ないの子供でないことを証明するため、理樹に協力してほしいと申し出る。葉留佳の「実家」の両親に、話を聞く理樹と葉留佳。しかし、彼らはそれは教えられない、と言う。
また、傷害事件を起こした「三枝晶」が出所してこの街に住んでいることを知った彼らは、晶にも話を聞こうとする。しかし晶は、佳奈多と2人で来たら教えてやると言い、葉留佳を追い返す。葉留佳は佳奈多を晶のところへ連れて行こうとするが、当然佳奈多は応じない。

周囲の人間が、自分の出生についてひた隠しにする様子を見て、徐々に精神が不安定になっていく葉留佳。そんな彼女の様子を見て、理樹は「どうして自分がどちらの子か知りたいのか」と聞く。さらに、「佳奈多を貶めることは、決して問題の解決にはならない」と葉留佳を諭す。
そして葉留佳は、理樹の説得に諭され、「佳奈多を貶めたいわけじゃない。自分がどうやって生まれてきたのかを知りたい」と話す。自分たちの出生について、詳しい話を知っているのは両親を除けば佳奈多だけ。理樹は葉留佳に、佳奈多に協力を頼むべきだと言う。そして葉留佳は改めて、佳奈多へ自分の出生について教えてくれるよう説得する。佳奈多は「話すことは何もない」と言い、「どうしても聞きたければ土下座でもしてみろ」と言い放つ。反発するだろうと思っての発言だったが、その言葉通りに地面に額をつける葉留佳の姿を見て動揺する。そして葉留佳の、「もう逃げられない。初めて自分で向き合おうと思った」という言葉を聞き、2人の出生について語り始める。

幼少期の佳奈多は、葉留佳に勝ち続けることと引き換えに不自由のない生活を送っていた。常に優秀であれと言われ続け、何かあれば三枝の叔父たちに皮のベルトで鞭打ちにされることもあったという。葉留佳を守りたかった佳奈多だったが、「どうしてもというならお前が葉留佳になれ」「何ならお前か葉留佳、どちらかを間引こうか」という親族たちの言葉をぶつけられる。葉留佳を守るためには、嫌でも自分が優秀であり続けなければならない。しかし、それは佳奈多と比較され、出来損ないの烙印を押された葉留佳への虐待にも繋がってしまった。そうして過ごすうちに、2人の仲は決定的に壊れてしまった。葉留佳は佳奈多の言葉を聞き、佳奈多を抱きしめる。「自分だけが辛いと思っていた」「お姉ちゃんも辛かったんだね」という葉留佳の言葉で、2人はようやく和解する。

そして、2人でもう1人の父親である晶へ、葉留佳の出生の秘密を聞きに行く。
そこで葉留佳は、晶の口から2人とも望まれて生まれてきたこと、そして母親も2人を愛していることを知る。そして、どちらがどちらの子なのか。血でも持っていけばすぐにわかると言う晶。しかし葉留佳は、「自分で自分を愛せるようになったこと、誰かを憎まなくても良いと知ったこと。これが1番知りたかったことだから、もうどちらの子か知らなくても良い」と言った。

そして、母親と2人の父親、葉留佳、佳奈多の5人で、奪われた家族の時間を取り戻したのだった。

クドリャフカルート

野球部との試合が終わった後、理樹たちには実力テストが近づいてきていた。レポート型の試験ではなく、時間内に記述を行う日本の試験が苦手なクドことクドリャフカ。実力テストを受けない選択肢もあるが、その場合は期末考査のみで成績が決まってしまう。そうなると、時間制の試験が苦手なクドにとってはより厳しくなる。長い逡巡の末、実力テストを受けることにしたクド。苦手な英語を教えるべく、理樹と2人で家庭科部の部室で勉強会を開催する。勉強会の際の雑談で、クドがテヴア共和国の生まれであり、テヴアと日本の国籍を持つ二重国籍者であること、南方の生まれであることを知る。彼女の外国人らしい容姿や経歴に反して、日本文化に詳しく、得意料理も日本料理というクド。クドが苦手な英語に取り組む等外国人らしくあろうとするのは、自身の外見と内面のギャップに悩んでいるのでは、と理樹は思った。
次の日、クドは英語の授業での英文朗読がうまくいかず落ち込んでしまう。その後の食事中、現れた上級生たちに彼女の外国人らしくない振る舞いをからかわれ、より深く落ち込む。さらに自身の英語の赤点回避が、クラスメイトたちの賭けの対象にまでされていることを知ってしまう。クドは、自分は良いが理樹が笑いものになるのは嫌だと言う。彼女のことについて、真人に相談する理樹。真人との会話の中で、理樹はクドから向けられている好意の大きさを自覚し、よりクドを意識するようになる。

無事に実力テストも終了した翌日、理樹とクドは2人でデートをすることに。ヴェルカやストレルカ達との遊び等で、2人は楽しく時間を過ごす。
そしてデートの終わり、理樹はクドからの告白を受ける。彼女を意識していた理樹もそれを受け入れて、2人は恋人同士になった。

クドとの会話や故国でのおまじないを通して、彼女のことをより知っていく理樹。ある日の朝食時、食堂でテレビのニュース番組に釘付けになっているクドを見つけた理樹。ニュースではテヴア共和国のロケット打ち上げに新型実験炉を搭載するという報道が連日なされていた。ロケットの宇宙飛行士・打ち上げ計画の立案者として、会見で説明を行う女性。理樹はその女性の名前のテロップに、「ストルガツカヤ」という文字を見つける。理樹はクドと同じ名前の女性について、彼女に尋ねた。クドは、その女性こそ彼女の母親だと言う。クドは母親のようになりたいという一方、ニュースを見て理由もわからない不安に襲われ続けているという。理樹はクドの不安を取り除くようにクドと触れ合う。そして、母親に電話してみてはどうか、と言う。

忙しい中でも自分のために電話で話してくれた母親と理樹との触れ合いの中で、クドはその不安を忘れつつあった。
そんなある日、理樹とクドは学食のテレビで、テヴア共和国のロケット打ち上げが失敗し、その結果として未曾有の大災害が発生したというニュースを目撃する。テヴア共和国では大暴動が発生し、その結果ロケット打ち上げ計画の立案者としてクドの母親が全責任を取らされることになってしまう。大きなショックを受けたクドは、母を助けるべく祖国へ帰るべきか思い悩む。その様子を見た理樹は、今行かないと後悔するとクドを後押しし、彼女も理樹の言葉を受けて帰国することを決意した。
帰国の際、クドは理樹に1つの段ボール箱を渡す。段ボールの中には、クドの宇宙についての本や、軍隊のドッグタグ、溶けた機械の部品が入っていた。

クドが帰国したテヴア共和国では暴動がさらに激化しており、空爆が起こるなど、さながら内戦の様相を呈するほどにまで国内情勢が悪化していた。テヴア共和国に帰国したクドだったが、責任者の娘であるということから、情勢が悪化し暴徒と化した人々に「神に捧げる人柱」として地下牢へ監禁されてしまう。クドがテヴア共和国へ帰国して当初は彼女と連絡が取れていた理樹。しかし、テヴアの内情もあり徐々に連絡が取れなくなっていく。そして、クドからの助けてというSOSの電話があってから、一切の連絡が取れなくなってしまった。その日から、理樹はクドの夢を見るようになる。計画立案者の娘ということで、ロケット打ち上げ計画の反対派に捕縛されるクドの様子や、地下牢に監禁され、日に日に衰弱していくクドの夢である。
衰弱していくクドの様子を見て、自分にも何かできないかと、夢の中で彼女の力になりたいと強く願う理樹。その時、理樹の声がクドに届く。理樹の声に応えるクドだったが、彼女は「これは贖罪で、自分が願ったこと」「何もかもがちぐはぐな自分が、ようやく世界を動かす歯車になれた」と理樹に答える。

現実世界では理樹への想いを優先し、故郷へ帰らなかったこと。そして、母の死を修学旅行の直前に知ったこと。テヴア共和国での事故が起こった時に故国へ帰らなかった未練への、その贖罪だったと語るクド。そして理樹に渡した溶けた部品は、事故で墜落したロケットの残骸の一部だったという。
虚構世界のことを認識していない理樹には何のことかわからない。しかし、それでも理樹はクドに語りかけ続ける。そしてクドの「帰りたい」という想いに呼応し、理樹の持っていたロケットの部品がクドの手元に現れる。そして理樹の言うまま、そのロケットの部品を床に叩きつけるクド。クドを縛っていた鎖が砕け散り、彼女は地下牢から解放される。そしてクドは明るくなった空の下で、理樹の元に帰ろうと決意した。

その後、テヴア共和国では徐々に暴動が沈静化し、災害・暴動からの復興が始まっていた。理樹は街頭のテレビニュースで、テヴア共和国の生存者が希望国への送還を実施されるという知らせを聞く。ちょうど時を同じくして、クドからのメールを受け取る理樹。
急いで校門へ向かうと、そこにはテヴア共和国から帰ってきたクドの姿があった。ようやく再会することが出来た2人は、お互いに抱きしめあって喜びを見せるのだった。

美魚ルート

幼少期の美魚と、鏡の中から現れた美鳥

野球が終わった後も、バスターズメンバーとして活動を続ける理樹たち。その中に、美魚の姿もあった。
ある日の昼休み、中庭で理樹と美魚が食事をしていると、恭介が現れ1枚のチラシを手渡す。それは、学園文芸部主催の短歌コンテストの案内だった。
リトルバスターズが文武両道なところを見せてやりたいと息巻く恭介。そして、短歌コンテストの代表として参加してみないかと、美魚を誘いに来たのだった。理樹にどう思うか尋ねる美魚。理樹はより美魚のことを知りたいと思い、美魚と一緒に短歌コンテストへ参加することにする。
短歌コンテストに向けて、理樹と美魚は何か良いインスピレーションが浮かばないかと河川敷へ出かける。そこで、美魚から幼少期に仲の良かった子がいたこと、今はもういないが、いずれ近いうちに会えるだろうという話を聞いた理樹。そして美魚が学校を休んだ日。理樹は遅刻の常習犯であるクラスメイトから、「西園を外で見かけた」という発言を聞く。その日の放課後に美魚にそのことを尋ねるが、美魚は体調が悪く夕方までずっと寝ていた、という。そして美魚に似ている人がいるのだろう、と結論づけた。

美魚は理樹と出かけて得たインスピレーションをもとに、短歌コンテストの作品を書き上げた。
短歌コンテストに作品を提出した後、理樹と美魚は2人で出かけることに。お互いのことを話すうち、美魚が理樹に「行きたい場所がある」と告げる。その場所は海だった。美魚は、「終わりが始まる場所」と言う。理樹は、美魚がどこかに消えてしまうのではないかという錯覚を覚えたのだった。そして、美魚は「最後に一緒に居られてよかった」と、理樹にまるでもう居なくなってしまうかのような言葉をかける。

動揺する理樹に対して、美魚は自分の存在感がどんどん薄れていること、もう1人の自分が現れたことから、何かが起こると思っているのだろうと理樹に告げる。そして美魚と瓜二つの少女が現れる。西園美鳥(にしぞのみどり)と名乗るその少女は、美魚の日傘を奪い、美魚に影がないことを理樹に示した。
その後理樹は、持病のナルコレプシーを発症。そのまま睡魔に襲われた。

美魚と出かけた日の夜中。理樹は寮の自室で目を覚ます。ルームメイトの真人いわく、「西園がここまで運んできてくれた」という。美魚に感謝する理樹だったが、その日の夕方以降に起こったことを一切覚えていなかった。
その後、日常生活の中でも、理樹は美魚の存在を気にすることがなくなった。何かしら違和感を覚えながらも、理樹は今まで通りの日常を過ごしていると思っていた。そんなある時、ひょんなことから理樹は、美魚から借りた文庫本を手に取る。そして、その中にあった「若山牧水歌集」の巻頭詩、「白鳥は 哀しからずや 空の青 うみのあをにも 染まずただよふ」という詩を見つける。美魚が好きだと言っていたその詩を見て、美魚のことを思い出す理樹。
教室で真人や謙吾にも、理樹が忘れていた間の美魚のことを尋ねるが、「この何日間か、西園はいつも通りだった」という答えが返ってくる。そこに教室に入ってきた西園。彼女は美魚ではなく、美鳥だった。しかしながら、理樹以外の周囲の人間は、美鳥を美魚と認識しており、美鳥であることに気づいているのは理樹だけだった。
美鳥も、「今は自分が“西園美魚”だ」「理樹もいずれ自分を美魚と認識するようになる」と言う。
そんなことはない、自分は美魚のことを覚えていると断言する理樹だったが、美鳥からの揺さぶりを受け続けるうちに、美魚のことを、小さなことから段々と思い出せなくなってしまう。
美魚を記憶していることがだんだん辛くなってきた理樹だったが、ある日短歌コンテストの作品が展示されている教室の前を通りかかる。そこで、美魚の書いた短歌を見つける理樹。それは理樹にしかわからない、理樹への想いを詠った詩だった。それを見て、理樹は確かに美魚は存在していたことを確信する。変わらず理樹を揺さぶろうとする美鳥。それに対し、自分が好きなのは自分が知っている西園美魚だ、と理樹は拒絶する。
それを聞いた美鳥は、それを言う相手は自分じゃなくて美魚だ、と答え、美魚に会っても後悔するだけだ、とも答えた。そのうえで美鳥は、美魚をお願いと理樹に頼むのだった。

そして、理樹は美鳥の言葉をもとに、美魚と最後に会った場所である海を訪れる。
そこで美魚と再会した理樹。理樹は美魚に戻ってくるよう説得するが、美魚は拒絶する。美魚は「自分は白鳥になりたかった。誰でもない“わたし”になりたかった」と言い、理樹に自分を忘れるようお願いする。
なんとか答えを先延ばしにしようと、理樹は美鳥について美魚に尋ねる。そして、美魚は美鳥が生まれた経緯を理樹に話すのだった。

かつての美魚は、本の中の登場人物になるごっこ遊びが好きだった。登場人物になりきることで、西園美魚ではない「わたし」になることが出来たからだ。美魚は、それが妄想だと分かったうえでその世界に浸ることを好んでいた。ある日、白雪姫ごっこをしていた美魚は、魔法の鏡に問いかける。いつもは美魚が魔法の鏡の役割をする。だが、自分ではない誰かが、美魚の問いかけに答えた。それが美鳥だった。
想像の世界から生まれた美鳥の存在は、美魚に夢と現実がつながった喜びを実感させた。友達のいなかった美魚にとって、美鳥はかけがえのない存在となったのである。
しかし、美魚が小学校高学年の頃。美魚は両親に連れられて、児童精神科を受診する。投薬治療やカウンセリングを受けていく度、美魚と美鳥が会う日々は少なくなっていく。
そのうちに、美魚自身も、美鳥がいない日々が当たり前のようになっていった。ある日、国語の授業で若山牧水の詩に触れた美魚は、唐突に美鳥のことを思い出す。そして、詩の通りに、一羽の白鳥が飛び立つ音を聞いた。その時に影を失くした美魚。そして美魚は、美鳥が自分を忘れてしまった美魚を恨んでおり、忘れられない存在として、自身と入れ替わろうとしているのだ、と言う。そうして、自身と美鳥が入れ替わることで、美魚は海と空のはざまで誰でもない「わたし」になろうとした。

孤独であることで、唯一永遠の自己を手に入れられると言う美魚。理樹はそれを否定する。しかし、美魚は「自分が残れば、美鳥は消える。私たちの願いは表裏で一致している」と言い、そのまま白鳥の姿となり羽ばたいて行ってしまう。電話で美鳥の喝破を受けた理樹は、空の青、海の青の無限に溶け込んだ美魚を連れ戻すべく、海へ身を投じる。美魚を探して、海を泳ぎ続ける理樹。理樹の体力が限界を迎えた時、ひとつの白い点となった美魚の手を掴むことができた。海に沈んでいく中、理樹は美鳥と美魚の会話を垣間見る。美鳥は、美魚とひとつになることでずっと一緒にいられると美魚に語り掛ける。
そして美鳥は美魚に、これから他の誰でもない「西園美魚」になると言う。大切な人が傍にいて、初めて自分になると美魚に語りかける。
そして美魚が満たされたことで、美鳥も満たされたと言い、美魚に影を返し2人は1つになった。
美鳥の最後の力で、海から引き揚げられた理樹。そうして美魚を取り戻した理樹は、美魚と共に今まで通りの日常に戻っていくのだった。

Refrain

鈴のシナリオは、小鞠・葉留佳・クド・来ヶ谷・美魚の5人のルートをクリアしているか否かで分岐が発生する。他の5人のヒロインルートを攻略済みの場合のみ、「世界の秘密」に迫るRefrainシナリオへと発展する。

鈴ルート・他ヒロインシナリオを未クリアの場合

大量の猫と戯れる鈴

野球部との試合が終わった後日、理樹はクラスメイトの杉並睦実からラブレターを受け取る。理樹は杉並に対し、返事は待ってほしいと答えたものの、当の理樹本人には杉並と恋仲になるという意識は全くなかった。
そんな時、理樹の事情を聞いた鈴が、「あたしと付き合おう」と提案。理樹も鈴のことを好いており、鈴の提案を受け入れた。2人が恋仲になったことを祝うバスターズメンバー達。杉並に対しても理樹から事の次第を打ち明けるが、杉並もまた「そうじゃないかと思っていた」と2人を祝福した。

そんなある日、理樹たちの学校に理事長と地方の有力議員の2人が視察に来るという情報が入ってきた。時を同じくして、鈴の猫であるレノンに結びつけられた紙を発見する理樹と鈴。そこには、その視察の案内係に鈴が立候補するよう指示が書かれていた。
「世界の秘密」に辿り着けるよう様々な指示が書かれた紙に、鈴と理樹は今回も従い、ともに案内係に立候補する。目上の人に失礼のないよう、その日からバスターズメンバーと共に礼儀作法の訓練を行う鈴。しかし、鈴は恭介から与えられるシチュエーションにうまく適応できず、何度もダメ出しを受けてしまう。
その様子を見て、鈴が当日うまくいくのか心配だった理樹だが、紆余曲折あるも無事に理事と議員の視察案内を完遂することに成功した。

それから後日、鈴の元に併設校の交換留学生になるよう、担任から依頼を受ける。恭介が調べたところによると、併設校では影響力のあったグループがバス事故に遭遇。たった2人しか助からなかったという出来事が春休みにあったという。
新学期明けから、併設校の生徒たちは覇気がなく、暗いままの日々を過ごしているとのことだった。そこで、併設校へ鈴を派遣し、生徒たちの覇気を取り戻そうという事情である。
恭介や真人は賛成したが、理樹は「鈴のような子が、友達が1人もいない併設校に行ったところで何もできない。僕たちとずっと一緒にいたほうが良い」と反対する。
鈴もそれを受け入れ、併設校への交換留学生を辞退。今まで通り、バスターズのメンバーが揃った日常を過ごすことになった。

恋人の鈴と楽しく日常を過ごす理樹。だがそんな時、理樹にいつもの睡眠発作が起こる。傍に鈴がいる、と発作を受け入れ眠りに落ちていく理樹。そんな中、「次はお前が選ばなかった日常を迎えて見せろ」という声が聞こえてくる。理樹の意識はそのままフェードアウトしていった。

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