ピッチ・パーフェクト(映画)のネタバレ解説・考察まとめ

『ピッチ・パーフェクト』とは、2012年アメリカで公開され、大ヒットしたミュージカルコメディ映画。
トニー賞のミュージカル演出賞にノミネートされたこともあるジェイソン・ムーアが監督を務めた。
孤独を抱えて大学に入学した主人公ベッカはひょんなことからアカペラサークル「バーデン・ベラーズ」に入部する。個性溢れるアカペラガールズが、ヒットチャートを賑わせた大ヒットナンバーをカバーし、大学アカペラ選手権を目指す。彼女たちの葛藤、友情、恋、成長をコメディタッチに描いた青春サクセスストーリー。

『ピッチ・パーフェクト』の概要

『ピッチ・パーフェクト』(原題:Pitch Perfect)とは、2012年にアメリカで製作された青春ミュージカルコメディ映画。

主演のベッカを演じたアナ・ケンドリックは、子役としてもブロードウェイで活躍し、ジェイソン・ライトマン監督作『マイレージ、マイライフ』(2009)では、アカデミー助演女優賞にノミネートされている。個性溢れるアカペラメンバーの太っちょエイミー役を演じたレベル・ウィルソンはこの役で大ブレイクした。また海外人気TVドラマなどで活躍するアンナ・キャンプは衝撃的なゲロ吐き女役オーブリーを見事に演じきった。主人公ベッカに寄り添うボーイフレンド、ジェシー役を演じたスカイラー・アスティンとライバルアカペラグループのモラハラリーダー、バンパー役を演じたアダム・ディバインも素晴らしい歌声を披露している。

2012年にアメリカで公開され大ヒットとなり、2015年には『ピッチ・パーフェクト2』、2017年には『ピッチ・パーフェクト3ファイナルステージ』と続編が登場し、全シリーズの興行収入は5億ドルを突破した。サウンドトラックCDも発売され、こちらも記録的な興行収入を収める。特にアナ・ケンドリックが劇中で歌った「Cups」は、YouTubeで約1億9000万再生され、全米シングルチャートでは6位に入り、人々の注目を集めた。

周囲に心を閉ざし一人音楽にのめり込む主人公ベッカは、バーデン大学に入学し、伝統ある女性アカペラグループ「バーデン・ベラーズ」に入部する。そこで太っちょ、ゲイ、セックスマニア、サイコ、そして完璧主義者と個性豊かなメンバーと出会う。ポンコツだけどキュートなアカラガールズメンバーと共に、ベッカは戸惑いながらもアカペラの世界に引き込まれていく。ライバルである男性アカペラグループの「トレブルメーカーズ」の嫌がらせを受けたり、時にはメンバー同士衝突しながら絆を深め、いよいよ最終決戦の場である全米アカペラ選手権に出場する。

『ピッチ・パーフェクト』のあらすじ・ストーリー

大学アカペラ選手権での大失態

大会で吐き散らすオーブリー

大学アカペラ選手権の会場では連覇中のアカペラグループ「トレブルメーカーズ」が会場を沸かせていた。
次に登場した同じバーデン大学のアカペラグループ「バーデン・ベラーズ」の評価は惨憺たるもの。会場の観客もコメンテーターも彼女らをこき下ろす。
先輩からのプレッシャーとライバルからの嫌味に緊張したオーブリーは歌の途中で戻してしまい、勢い余って観客に吐き散らしてしまう。

時は過ぎ、バーデン大学は新学期を迎え新入生への部活勧誘が賑やかに行われていた。大学アカペラ選手権で優勝した「トレブルメーカーズ」の勢いが増す一方で、ゲロ吐き事件で一躍アカペラ会の笑い者になってしまったオーブリーとその親友クロエが所属する「バーデン・ベラーズ」には一向に部員が集まらない。
両親の離婚をきっかけに父との間に軋轢を抱えた主人公ベッカは、孤独を抱えたままバーデン大学に入学した。部活勧誘の華やかな雰囲気にも馴染めないでいたが、DJを夢見る彼女は大学内のWBUJというインディーズ音楽専門ラジオ局で見習いとして活動を始める。同じく見習いとして入った新入生で気さくな男子ジェシーとCDの整理をしながら、徐々に心を通わせていく。

「バーデン・ベラーズ」との出会い

シャワー室でクロエに勧誘されるベッカ。
クロエ(左)とベッカ(右)

入学後、ベッカは孤独ながらも大好きな音楽に没頭する日々を送っていた。そんなある日、大学の寮でシャワーを浴びながら鼻歌を歌っていると突然クロエが乱入し、無理やり歌えと催促する。「裸で?」と困惑しながらも、部員探しで必死のクロエの勢いに仕方なくベッカは歌うことに。しかしその歌にクロエがハーモニーを合わせ、ベッカははにかみながらもアカペラの楽しさを肌で感じる。クロエはベッカにアカペラグループの新入生オーディションを受けるように勧誘する。

いよいよアカペラグループの新入生オーディション。体も声も迫力ある太っちょエイミー、妙に小声でミステリアスな東洋人のリリー、デカパイでお色気ムンムンのステイシーなど個性バラバラの面々が登場する。クロエに誘われ戸惑いながらも参加したベッカは、その場にあったプラスチックカップを使ってリズムを取りながら歌声を披露し、クロエやオーディションを受けるためにその場に居合わせたジェシーの心を捉える。

無事に入会の儀式を終え、メンバー達は歓迎コンパに参加する。そこでライバルの「トレブルメーカーズ」に入部したジェシーにベッカは口説かれる。そんな二人にオーブリーは冷たい視線を投げかける。「バーデン・ベラーズ」には「トレブルメーカーズと性交したら声帯を引き裂さかれることでしょう」という鉄の掟があり、トレブル達に挿入されたらパワーを奪られると言い伝えられてきたのだ。

「バーデン・ベラーズ」活動開始と鬼コーチ・オーブリー

新入生を鍛え上げるオーブリー

いよいよ「バーデン・ベラーズ」の活動開始。
まずオーブリーが新歓コンパでトレブルメンバーとセックスした者達に非情にも退部を言い渡し「これは戦争なの。私が兵隊を鍛え上げ、歌と振り付けを完璧に覚えさせる」と息巻く。オーブリーは前回の大学アカペラ選手権で吐き散らしたリベンジをするため鬼コーチと化していたのだ。女性ヴォーカルの古い歌ばかりを歌うという伝統やワンマンなオーブリーのやり方にベッカは反発する。個性派の新入生たちは違和感を感じながらもオーブリーの言うままに厳しい練習をこなしていく。

そして練習の成果を発表すべく学生クラブのパーティーの余興としてアカペラを披露することになる。しかし気持ちも歌もダンスもバラバラ。惨憺たる有様で、途中退場を言い渡されてしまう。しかも唯一頼りにしていたクロエが小結節(声帯にポリープができる喉の病気)にかかり、高音が出なくなってしまう。クロエは小結節で喉の痛みに苦しむが、「好きだから歌う」とアカペラへの情熱と悲壮な決意をメンバーに見せる。

リフ・オフへようこそ

リフ・オフで一体となるベラーズ

バーデン大学のアカペラグループが夜の広場に集まり、即興で歌い競い合うアカペラバトル、リフ・オフが開かれた。観客は手にライトやアルコールを持って大盛り上がり。リフ・オフのルールは、ルーレットで当たったお題(1980年代の女性歌手やセックスなど)を早いもの勝ちで歌うのだが、歌っている曲に出てくる単語と同じ歌詞を持つ別の曲で割り込み、奪うことが出来る。最後まで歌を歌いきれたらそのチームの勝ちとなる、というもの。自由に個性を披露できる雰囲気の中で、「バーデン・ベラーズ」のメンバーは水を得た魚のようにアカペラを楽しむ。「トレブルメーカーズ」のジェシーもちゃっかりメロディーにのせてベッカへの愛を歌うが、まだジェシーを受け入れ切れないベッカが別の歌で対抗。ベッカの歌唱力でメンバーは勿論、会場が一体となり音楽に包まれる。しかし歌に割り込む際の単語が微妙に違ったため、ルール違反でアウトなってしまい、残念ながら「トレブルメーカーズ」の優勝となる。自然と歌が生まれたと感動するベッカだったが、あくまで勝ちにこだわるオーブリーにせっかくの一体感も消え失せてしまう。

これを機にベッカとジェシーの距離がより一層近づいていく。DJを夢見るベッカがミキシングした曲を聞かせたり、映画音楽制作を目指すジェシーの好きな映画『ブレックファスト・クラブ』を見ながら、S・マインズの美しい曲について二人は語り合う。そこでキスしようとするジェシーをベッカはさり気なく拒んでしまう。頑なな彼女はまだジェシーを受け入れる気持ちにはなれない。

練習を重ね、それなりに形になってきた「バーデン・ベラーズ」だが、小結節の影響でクロエがソロパートで高音を出せず、いまいち決まらない。そこでクロエはベッカを代わりにソロとして推薦する。その勢いでベッカは「選曲とアレンジをまかせてほしい」と申し出るが、オーブリーに「DJ女の言うことを聞くつもりはない」と一刀両断されてしまう。結局ソロパートはオーブリーの独断で太っちょエイミーが歌うこととなり、オーブリーとベッカは確執を抱えたまま、大学アカペラ選手権南東地区予選大会を迎える。

大学アカペラ選手権南東地区予選大会

地区大会で熱唱するベラーズ

いよいよ全米アカペラ選手権南東地区予選大会が開幕した。

厳しい練習の成果で「バーデン・ベラーズ」はそつなく歌う。ゲロ吐きは免れたものの、毎年同じ曲と同じ振り付けに名物コメンテーターのジョン&ゲイルも「象さえも眠るデカい麻酔銃だ」と揶揄し、会場も退屈を隠せない。しかし太っちょエイミーがソロパートで枠から外れた迫力のある歌声とダンスを披露し始めた途端、ボルテージは一気に上がり会場は興奮に包まれる。しかしオーブリーは完璧を目指すが故に納得がいかず、会場で目配せしあうベッカとジェシーも気に入らない。次に登場した「トレブルメーカーズ」はバットボーイズの歌を披露し、前回の優勝者の実力を見せつける。コメンテーターのジョン&ゲイルもベタ褒めで会場は大盛り上がりとなる。

結果は会場の予想通り「トレブルメーカーズ」の優勝。「バーデン・ベラーズ」も2位に食い込み、準決勝に進出する。
しかし興奮冷めやらぬトレブルメンバーは会場に来ていたカラペラOB達とケンカを始めていしまう。それを止めに入ったベッカは優勝トロフィーとガラスを壊してしまい、警察に逮捕されてしまう。助けようと保釈金を払ってくれたジェシーに最初は感謝するベッカだったが、確執のある父に連絡をしたことを知り、余計なことをするなと怒りを露わにしてしまう。落ち込んで大学の寮に帰るベッカだったが、ベラーズメンバー達が全員集合し、温かく迎えてくれる。そこでベッカはエイミーを評価し「平凡じゃ勝てない。リスクも必要だ」と自作のマッシュアップナンバーを聞いて貰おうとするが、オーブリーは全く聞く耳を持たない。

そして準決勝当日。他大学のレベルの高さを真の当たりにし、このままじゃ勝てないと思ったベッカは、オーブリーの「リハーサル通りに」という指示を無視し、途中でアドリブを入れてしまう。オーブリーは烈火のごとく怒りだし、ベッカにメンバー失格と言い渡す。ショックを受けたベッカは仲裁に入ろうとしたジェシーに八つ当たりし、その場から逃げ出してしまう。そして決勝への切符も逃すこととなる。

ゲロまみれのケンカ

大喧嘩するベラーズ達

大学アカペラ選手権準決勝戦終了後、大学は長期休暇に入る。
エクササイズに励むオーブリー、小結節の手術をするクロエ、メンズと戯れるエイミー、ギャンブルに興じるシンシア、とメンバーは思い思いに休みを過ごす。
ベッカは「バーデン・ベラーズ」」から離れ、WBUJ(大学内のインディーズ音楽専門ラジオ局)に入り浸るが、冷たく突き放したジェシーのことが頭から離れない。ジェシーとかつて一緒に見た映画「ブレックファスト・クラブ」を一人寮で鑑賞し、涙を流す。休暇が明け、ベッカはジェシーに謝るが「気にかけてくれる人をなぜジャマに?」と問いかけられ、拒絶されてしまう。落ち込んだベッカは父親を訪ね、話し合ううちに、問題は殻に閉じこもっている自分にあると気付く。

一方、大学アカペラ選手権決勝進出を果たした他大学グループのメンバーが年齢を詐称していたという違反行為が判明する。そのグループは失格となり、繰り上げで「バーデン・ベラーズ」が決勝にコマを進めることとなる。思いがけない敗者復活に喜ぶメンバーだったが、ますますワンマンぶりを発揮するオーブリーとベッカの復活を願うメンバー達の間でケンカが勃発してしまう。そしてブチ切れたオーブリーがゲロを吐き散らし、現場は大混乱に陥る。そんな中、自らを見つめなおしたベッカが登場し、勝手なアドリブと逃げたことを謝る。そこでオーブリーも、失敗を許さない父親に育てられたために完璧を目指してしまう自分の欠点をみんなに告白し、メンバーに厳しく当たってしまったことを謝罪する。それをきっかけにメンバー達は次々と自分の秘密を告白したことで絆が深まり、ベッカを中心に曲をマッシュアップし、メンバーの心は一つとなる。

そんな中、決勝進出を果たしたもう一つのグループ「トレブルメーカーズ」は余裕の日々をすごしていたが、リードーヴォーカル・バンパーのメジャーデビューが決まり、勝手に脱退してしまう。グループの危機にジェシーは機転を利かせ、親友のベンジーを誘い、決勝に挑む。

大学アカペラ選手権決勝

大学アカペラ選手権決勝で輝く「バーデン・ベラーズ」

いよいよアカペラメンバー達の夢であるNYリンカーンセンターで大学アカペラ選手権の幕が上がった。
連覇中の「トレブルメーカーズ」はバンパー脱退にも関わらず、新加入のベンジャミンが意外な程美しい歌声を披露し、会場はまたもや大盛り上がりとなる。

ベッカがマッシュアップしたナンバー、迫力のダンス、新しい衣装、すべてをリニューアルした新生「バーデン・ベラーズ」。曲中にはジェシーの大好きな『ブレックファスト・クラブ』のエンディング曲も登場させる。その粋なサプライズにジェシーはハッとし、ベッカと微笑み合う。メンバーそれぞれの個性を生かし、息の合ったステージに会場は興奮に包まれる。いつも辛口なコメンテーターのジョン&ゲイルでさえアカペラを楽しんだ。拍手喝采を受けて、ステージを下りたベッカはジェシーと熱いキスを交わし、「バーデン・ベラーズ」は悲願の全米アカペラ選手権王者に輝いた。

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