ワンダーエッグ・プライオリティ(ワンエグ)のネタバレ解説・考察まとめ

『ワンダーエッグ・プライオリティ』とは、脚本・野島伸司、制作・CloverWorksによるオリジナルアニメ作品。
中学生の大戸アイは、学校でイジメを受け、その際に庇ってくれた転校生の長瀬小糸と友人となる。しかし小糸もまた自身の悩みに追い詰められ、校舎から身を投げて死亡する。この一件でアイは不登校児となるが、ある時不思議な声に導かれ、謎の卵を手に入れる。卵の中で怪物を倒すことで、小糸を生き返らせる可能性を見出したアイは、同じく大切な人を蘇らせんとする少女たちと共に危険な戦いに臨んでいく。

『ワンダーエッグ・プライオリティ』の概要

左から青沼ねいる、大戸アイ、川井リカ、沢木桃恵。

『ワンダーエッグ・プライオリティ』とは、脚本・野島伸司、制作・CloverWorksによる2021年冬に放送されたオリジナルアニメ作品。
『101回目のプロポーズ』や『高校教師』など、著名なドラマ作品の脚本を担当したことで知られる野島伸司氏が初めて手掛けるアニメ作品であり、同氏のファンを中心に放送前から注目を集めた。ネット配信にも力を入れており、dアニメストアやHulu、Amazon prime videoなど合計26もの配信サービスを行っている。
秀逸な作画に加えて謎めいた世界観、野島伸司氏らしい思春期の少女の繊細かつ瑞々しい感情が好評を博し、2期シリーズや原作ありきの作品が多く放送された同シーズンの中にあって、まったくのオリジナル作品ながら高い評価を受けている。

中学生の大戸アイ(おおと あい)は、学校でイジメを受け、その際に庇ってくれた転校生の長瀬小糸(ながせ こいと)と友人となる。しかし小糸もまた自身の悩みに追い詰められ、校舎から身を投げて死亡する。この一件で学校と自分自身に絶望したアイは不登校児となるが、ある時不思議な声に導かれ、謎の卵を手に入れる。卵の中で怪物を倒すことで、小糸を生き返らせる可能性を見出したアイは、同じく大切な人を蘇らせんとする青沼ねいる(あおぬま ねいる)、川井リカ(かわい りか)、沢木桃恵(さわき ももえ)らと共に危険な戦いに臨んでいく。

『ワンダーエッグ・プライオリティ』のあらすじ・ストーリー

第1回 子供の領分

不登校児のアイは、謎の卵「エッグ」を手に入れる。

趣味である夜更けの散歩を楽しんでいた不登校児の大戸アイは、言葉をしゃべる奇妙な虫に導かれ、“普段は有料だが初回サービス”として不思議なガチャを回し、「君の欲しいものが入っている」という謎の卵「エッグ」を手に入れる。次に気が付いた時には自分のベッドで寝ていたが、先ほどの体験が夢ではなかったことの証拠に、その傍らにはエッグが転がっていたのだった。
母親に部屋から出るように促されても、担任の沢木修一郎(さわき しゅういちろう)が様子を見に来ても意に介さず、アイはエッグに興味津々。いったい何が入っているのか、割ればいいのか、温めればいいのかと様々に想いを巡らせ、その日の夜にもう一度エッグを手に入れた場所へと続く、木のうろの中の不思議なエスカレーターに乗ろうと考える。

しかしエッグを持って夜更けに出掛けたアイは、どういうわけか自分が通っていた“昼間の”中学校に辿り着く。そこでは、クラスメイトたちがアイに対するイジメの準備を楽し気に進めていた。その無邪気でおぞましい光景を前に思わず逃げ出し、トイレに籠るアイだったが、そこに再び昨晩の虫と同じ声が響く。促されるままエッグを床に投げつけてヒビを入れると、掌大だったそれは見る間に膨張し、中からアイと同年代の少女が姿を現す。
「なんでこんなところで割るのよ」とぼやく少女にアイはトイレから追い出され、そこに突然勇壮な音楽が鳴り響く。すると斧を持った女学生のような怪物が廊下に現れ、トイレから出てきた先ほどの少女と共にアイは慌てて逃げ出すこととなる。

少女によれば、この世界は“自分にとっては現実だが、アイにとっては夢の世界”であるらしい。その証拠にか怪物に襲われた際の負傷も、アイのものは消えて無くなった(まったく無傷の状態になった)のに対して、少女のそれはそのままになっていた。襲い掛かってきた怪物たちは「ミテミヌフリ」という存在で、次にチャイムが鳴るまでひたすら逃げ続けなければならないという。
どうしてこんなことにと嘆くアイに、少女は「エッグを割ったからだ」と告げる。エッグを割る者には必ず友達がいるし、友達がいない者がエッグを割っても意味が無い。そんな謎めいたことを口にする少女とアイがしばし語らう中、再びミテミヌフリが現れる。
少女は狙われているのは自分だけだと語り、アイに怖い思いをさせたことへの謝罪の言葉を残してその場を走り去る。自分を無視して少女を追うミテミヌフリを横目に、アイは彼女を見捨てる罪の意識から逃げ出すように学校を模した不思議な空間を歩き回る。そしてその果てに、屋上に友達だった長瀬小糸の彫像が置いてあることに気付くのだった。
小糸は転校生で、イジメを受けていたアイの初めての友達になってくれた存在だった。しかし小糸自身も様々な悩みを抱えており、最終的に彼女は校舎から身を投げて命を落とす。アイは小糸との思い出を想起し、“自分が裏切ったから”彼女は死を選んだのだと改めて深い後悔に苛まれる。

そんな時、アイは校舎の別の棟の屋上で先ほどの少女がミテミヌフリに追い詰められているのを発見する。もう見て見ぬふりをするのは、小糸を失った時のような思いをするのは嫌だ。意を決したアイは、少女を助けるべく、屋上の端から跳躍。するとアイが持っていた三色ボールペンが輝き出し、巨大な武器へと変貌する。
アイ「もうトサカに来たぜーっ!」
夢の中だからなのか、ボールペンの力か、アイは超人的な力を発揮してミテミヌフリの中でも一際強力な存在を粉砕。チャイムが鳴り響く中、アイは少女と握手を交わす。

少女は今さらのように“西城くるみ”と自分の名前を明かし、自身もまた名乗ったアイに「お別れだね」と告げて煙のように消えてしまう。アイが困惑していると、「助かるのはお前だけ。でも親友を取り戻したいなら元気を出せ」とあの不思議な虫の声が響く。もしやと小糸の彫像に触れてみれば、冷たい無機質なその彫像はほのかに暖かくなっていた。
「この世界で、もっともっと多くの人を救えば、小糸は生き返るかもしれない」。不思議な声はそれを否定するでも肯定するでもなかったが、アイは自分の推測に“死んだ友達を蘇らせる”という希望を見出す。エッグとはそのために存在するものだったのだ。

目覚めたアイは、夢の中で負った怪我がそのままになっており、病院に担ぎ込まれる。それでも小糸を蘇らせるため、退院するや即座にアイは財布を握り締めて木のうろの中のエスカレーターに乗り込む。
そこには美しい庭園と、二体の動く人形が待っていた。その内の一体は虫と同じ声でアカを名乗り、もう一体は裏アカというのだという。彼らから「先客がいるから待ってくれ」と告げられ、アイは自分以外にも友達を蘇らせようとしている者がいるのかと驚く。エッグを輩出するガチャに目を向ければ、果たして三つ編みの少女がそれを使用中だった。

第2回 友達の条件

自分以外にも友達を蘇らせようとしている子がいると喜ぶアイに、青沼ねいるは干渉を拒むような態度を見せる。

エッグは一度にたくさん割って、より大量のミテミヌフリを倒すことも可能だが、その分だけ危険も増す。アカたちにも心配されるほど大量のエッグを手に入れた三つ編みの少女についていくアイだったが、どれほど話しかけても彼女に無視される一方だった。
それでも諦めないアイに根負けしたのか、三つ編みの少女は「あなたは誰のために戦っているのか」と問いかけてくる。アイが小糸のためだと即答する一方、三つ編みの少女こと青沼ねいるは、己が戦う理由について「自分が死なせた妹のためだ」と語るのだった。
目的を同じくする仲間ができたと喜ぶアイだったが、ねいるは一人で戦いたいらしく、「自分と同じ日にエッグを割らないように」と告げて去っていく。

その晩、アイは再び自分の通う学校の校舎を再現した夢の世界に導かれていた。その気は無かったもののうっかりエッグを割ってしまい、以前と同じくエッグの中から現れた少女と共にミテミヌフリに襲われることとなる。しかし新体操をやっているというその少女・鈴原南は、くるみとは違い逃げることにどこか消極的で、アイは困惑する。それでも二人でなんとか生き残ろうと決意するも、そこに唐突にアカの声が聞こえてくる。
曰く、ただ逃げ回るだけでは友達は生き返らない。ミテミヌフリとはまた異なる存在、夢の世界こと“エッグの世界”の中核たる「ワンダーキラー」を倒さなければならないという。そこに人語を操るミテミヌフリが、南のトラウマが具現化した体育教師型のワンダーキラーが現れる。早速これを倒そうと身構えるアイだったが、ワンダーキラーに「もっと練習しろ」と怒鳴りつけられた南はおとなしく従い、その下に走っていってしまう。
彼女は体育教師から受けた猛烈なシゴキに耐え兼ね、完全に心折れていたのである。唖然として隙を晒したアイは、ワンダーキラーの強烈な一撃を受けて気を失う。

混濁する意識の中、アイは小糸と過ごした日々を思い返す。アイを庇った小糸は、次第にイジメのターゲットとして狙われるようになっていった。二人は協力してこの状況を打開しようとするも、小糸を助けたいと思う一方で“また自分がターゲットにされたらどうしよう”との恐怖から、アイは彼女の足を引っ張ってばかりいた。
小糸はそんなアイのことを言葉では許してくれたが、本当は助けてほしかったはずだ。今の南だってそうに違いない。そう考え、アイは再び立ち上がる。
愛の鞭と称した暴力を振るうワンダーキラーに、武器化したボールペンを手に立ち向かうアイ。本当は助けを求めていることを指摘されて吹っ切れた南のサポートもあり、アイはなんとかワンダーキラーを撃破する。くるみと同様、南もチャイムと共に煙のように消えてしまうものの、トラウマを乗り越えた彼女の顔は晴れやかだった。

現実世界に戻ったアイは、前回同様病院に担ぎ込まれる。そこで彼女は、ストレッチャーに乗せられて運ばれていく大怪我を負ったねいるを目撃する。
新しいエッグを購入するために庭園に向かったアイは、アカと裏アカが「ねいるは死にたがっているのかもしれない、助けに行って自分が死んでは世話は無い」と彼女を嘲笑する様を目にする。よくよく考えた末に、アイは夜中の病院に忍び込み、ICUで治療中のねいるに会いに行く。
<欲張るからだよ> <次、戻ったら> <友達になろう>
まだろくにしゃべることもできないねいるに、目の前でそんなLINEを送るアイ。後日、自分で立って歩けるほどに回復したねいるは、再びお見舞いにやってきたアイに「たまにはいいかも」と言葉を返し、サムズアップのスタンプで先日の提案を了承した旨を伝えるのだった。

第3回 裸のナイフ

エッグの世界で共に戦うアイとリカ。

新しいエッグを購入するために庭園を訪れたアイは、そこで見知らぬ少女と出会う。彼女は川井リカと名乗り、アイに「財布を忘れたからガチャを回すお金を貸してほしい」と頼み込んでくる。必ず返すという言葉に押し切られ、アイは彼女にお金を貸してしまう。
翌日アイがねいるの見舞いに向かおうとすると、家の前まで押しかけてきたリカも勝手についてくる。リカはアイに金を返すどころかさらに借りようとしており、ねいるはその図々しさと馴れ馴れしい態度に不快な顔をする。

リカは元ジュニアアイドルだったらしく、友達ではなく自分のファンだったチエミという少女を生き返らせるためにエッグを欲しているのだという。しかしリカはそのチエミに対して「ブスでデブで、お金を出してくれる以外にいいところがない」と言いたい放題。さらには大戸家に泊まっていくことを強引に決め込んでしまう。ねいるは彼女に露骨に警戒心を抱き、アイに<あの子は気を付けた方がいい>とのメッセージを送る。アイもアイで、今までに会ったことのないタイプの少女であるリカにどう接すればいいのか、戸惑うばかりだった。
その夜、アイは小糸の夢を見る。彼女に対するイジメが激しさを増していたある日、アイは小糸が担任の沢木と教室で抱き合う姿を目撃してしまったのである。それが何を意味するのかアイにはっきりしたことは分からなかったが、小糸の死には沢木が関係しているのではないかという漠然とした疑惑は感じていた。

そんな想いを抱えて寝入った矢先、アイは今までの校舎とはまったく違う、海沿いの崖の上に広がる花畑というエッグの世界に導かれる。見ればリカも同じ場所におり、彼女が言うには「極めて近い場所でほぼ同じタイミングで眠ったせいで同調した」らしい。リカの提案で二人同時にエッグを割れば、中から現れたのは「好きなアイドルの後追い自殺をした」というやたらとポジティブなみことまこという二人組だった。
いつものように襲い掛かってきたミテミヌフリの大群に、開けた場所では分が悪いと見たアイたちは近くにある灯台の中へと撤退。一息ついたところで、アイはリカにチエミとはどういう少女だったのかを尋ねる。本当にリカが言っていたような相手なのだとしたら、これほど危険なことをしてまで生き返らせようとするとは思えなかったのだ。

リカが渋々語るところによれば、チエミは売れないアイドルだった彼女を全身全霊で応援してくれた少女だったという。小遣いもお年玉も全てリカのために継ぎ込み、いつも笑顔を、心からの尊敬の眼差しを向けてくれた。
しかしある時、リカはチエミが金策のために万引きを繰り返していたことを知ってしまう。激しい嫌悪を抱いたリカは、「二度と来るな、第一デブと一緒にいると恥ずかしい」と辛辣な言葉でチエミを拒絶。それからしばらく後、リカはファンからチエミが死んだことを知らされる。駆けつけた葬儀の会場で見たチエミの遺体は、別人かと思うほどに痩せこけていた。自分が拒絶したことが、自分があんな言葉をかけたことが、こんな形でチエミを死に追いやったのだと理解して、リカは激しく後悔した。

もう一度あの頃のチエミに会えるならなんだってやってやる。そう叫ぶリカを見て、アイは彼女が本心では「どうして自分に相談してくれなかったのか」とチエミに伝えたいのだろうということを、同じように自分も「どうして悩みを打ち明けてくれなかったのか」と密かに小糸を恨んでいたことを悟る。
リカという少女の本質と、彼女にも心から救いたいと思う相手がいることを知って、アイはそれまで彼女に感じていた疑念を払拭。共に戦うことを宣言する。
そこにワンダーキラーが現れ、一向に襲い掛かる。アイとリカは巧みに連携してこれに善戦するも、追い詰められたワンダーキラーは石化ガスを吐いて二人を攻撃。これをまともに食らったリカは、アイに「がんばれ」と言い残して石と化してしまうのだった。

第4回 カラフル・ガールズ

自分たち以外にも友達を蘇らせようとする子がいた。互いの存在を知ったアイたちは、短い間に打ち解ける。

アイとリカが窮地に陥っていた頃、別の場所でもエッグの世界で戦う少女がいた。沢木桃恵(さわき ももえ)というその少女は、背が高く格好もボーイッシュで、エッグの世界の中で同世代の少年と間違われたり、エッグの中の女の子たちに恋心を抱かれたりすることも多かった。しかし、そういった事態に真面目に応じつつ、桃恵自身は男の子扱いされることに強い戸惑いを感じていた。
桃恵はハルカという同級生の少女を救うためにエッグの世界の戦いに挑んでいたが、ハルカの自殺の原因は「桃恵が自分を友人以上の存在(=恋人)として受け入れてくれなかった」ことだった。ボーイッシュなファッションを好むだけで、女性としての自意識を持つ桃恵は、どうすればハルカを救えたのか、自分に恋愛感情を向ける少女たちにどう接するのが正しいのか悩み続ける。

単身でみことまこを守ることを強いられたアイは、突如発生した深い霧の中でワンダーキラーを見失い、苦戦を強いられる。そんな彼女に、「何かに使えないか」とみことまこがアイドルの応援に使うペンライトを貸し出す。これによって形勢を逆転するも、不意打ちされた上に武器を失ったアイの下に、石化から回復したリカが駆け付ける。夢の中では、アイたち現実世界の少女はどれほどの深手を負っても、目と心臓以外なら時間経過で回復するのだ。
二人は連携してワンダーキラーを攻撃し、これを撃破。みことまこは大喜びしながら「あなたたちのファンになった」と言って消えていった。

この戦いの後、驚異的な回復を果たしたねいるは退院。それを祝うために病院にやってきたアイは、彼女と共にエッグを買いに行こうと盛り上がる。ねいるを迎えに来た車の中で、アイは彼女に「リカは良い子だ」と報告する。ねいるはそれについては半信半疑の態度を崩さなかったが、そうやってすぐに人を信じる点を「アイのダメなところだけど、素敵なところ。そういう子が時々いないと私たちは救われない」と称賛する。その後連れられていった大きなビルの一室で、ねいるは自分の秘書だという田辺美咲(たなべ みさき)という女性をアイに紹介する。ねいるは大きな会社の社長だったのである。

その後、エッグを買うために一人で庭園を訪れたねいるは、偶然リカと鉢合わせる。「財布を忘れたからお金を貸してほしい」といつものように集ろうとするリカを、ねいるは自分もアイもあなたの財布じゃないと棘のある態度であしらう。そんな折、二人の前を桃恵が通りかかる。
リカは桃恵のことを男と勘違いし、イケメンだと大はしゃぎする。ねいるも同様で、いつものように囲碁に興じていたアカと裏アカに「男子はいないはずだが、どういうことだ」と問いかける。彼らは「男は目的脳、女は感情脳、自殺の意味合いが違う」としてここには少女しか入ってこれないことを肯定し、「死の誘惑に惑わされ後悔しているかもしれない、そういう子供達を生き返らせたいと願う者のためにこの場所はある」と言葉を続ける。

ねいるたちがそんな話に興じている間に、桃恵は目的だったエッグも買わずに庭園を後にしていた。ハルカの想いを受け止められずに自殺させてしまった桃恵にとって、「男の子として見られる」ことはトラウマを強く刺激されるものでしかなかった。街中で一人泣き出す彼女の下に、庭園に向かう途中だったアイが現れる。
泣いている桃恵を案じて声をかけるアイに、彼女は「今の自分はどんな風に見えるか」と尋ねる。アイはそれに“泣いている女の子”と答え、桃恵は彼女が初対面なのに自分を女の子として見てくれたことに安堵を覚える。
なかなかやってこないアイを探しに来たねいるとリカもその場に現れ、四人は「自分たち以外にもエッグの世界に挑む仲間がいた」と短い間に交友を深める。改めて桃恵が自分の名を名乗り、その「沢木」という名字にアイは首を傾げるのだった。

第5回 笛を吹く少女

妹に“刺された”古傷は、ねいるを今も苦しめていた。

桃恵はアイの担任である沢木修一郎の姪だった。親睦を深めるためにアイの家に集まった四人は、それぞれの事情やこれまでの戦いについて語り合う。そんな中、小糸の話を聞いたリカは、「小糸は沢木と深い関係で、それが自殺の原因なのではないか」と言い出す。実の叔父を悪く言われた桃恵はそれに強く反発するも、アイは沢木が小糸をモデルに人物画を描いていたことを思い出す。
一方、自分のことを話そうとしないねいるに、リカは苛立ち紛れに飛び掛かり、徹底的にくすぐる。リカの前で鉄面皮を貫いていたねいるは、これでようやく表情を崩すのだった。

その後四人は全員でエッグを買いに出掛けるも、直接庭園には向かわず廃墟と化したボーリング場でガールズトークに花を咲かせる。そこに「早くエッグを買え」とアカの声が響くも、アイたちは「1ゲームくらいやりたい。これはカウンセリングの一種、好きにさせてくれないと自殺するかも」と彼を脅すようなことを口にする。すると裏アカが機械を作動させ、彼女たちは歓声を上げながらボーリングやそれに併設したゲームセンターで遊興する。

十分に遊び倒したアイたちは、ようやく庭園に足を運ぶも、何をするでもなく全員でレジャーシートの上に寝転がっていた。いいかげんエッグを買うようアカに促された時、不意にリカが起き上がって「もうこんなことやめよう」と言い出す。
チエミを死なせたことに対する罪悪感はある。アイたちだって同様だろう。だが自殺した相手を、自分の命を懸けてまで救う必要がどこにあるのか。たとえ蘇らせたところで、自殺した子はそれを望んでいないかもしれない。自分自身のためというより、アイたちを案じるがゆえに強い口調でそう言い募るリカに、ねいるは冷めた口調で「やめたいなら勝手にやめればいい」と告げる。

ねいるは妹を蘇らせるためにエッグの世界に挑んでいる。しかしそれは妹のためではなく、あくまで自分のためだった。ねいるの妹は、ある時不意に彼女を刺し、その後逃走する中で橋から身を投げて命を落としたのである。エッグの世界で戦う時だけ、妹に刺された傷の痛みが和らぐ。だから自分は戦うのだとねいるは語り、アイたち三人に背を向けてガチャを回す。
ねいるの悲愴な過去と決意を見て、アイたちもそれぞれにエッグを購入。彼女たちが去り、誰もいなくなった庭園で、アカは首尾よく少女たちにエッグを買わせた裏アカの手腕に感心するのだった。

第6回 パンチドランク・デー

コンプレックスでイジメの原因でもあったオッドアイをさらけ出し、「また学校に行く」と沢木に報告するアイ。

小糸を蘇らせるための戦いを続けていたアイは、ある時エッグの世界でより狂暴かつ攻撃的なミテミヌフリと遭遇する。エッグの中から現れた吉田ヤエという少女と共に逃げ回るも、相手の数の前に打つ手が無く、チャイムが鳴るまで防戦に徹することとなる。ねいるたちもそれぞれに同じ敵に襲われ、ワンダーキラーを探すどころではなかったという。
アカによれば、アイたちに襲い掛かってきた怪物はアンチという存在であるらしい。エッグの世界でアイたちが活躍したことによって彼女たちを“ヒーロー”と認識し、その華々しい姿を妬んで生まれたのだという。状況次第ではワンダーキラー以上に危険な存在にもなりうるアンチに対し、アカと裏アカは「対策を用意する」とアイたちに伝える。

自宅で目覚めたアイは、多恵に「今夜はすき焼きにする」と告げられる。それが大戸家では特別な日にしか食べないメニューであることを不審に思うアイに、多恵は沢木が家に来る旨を伝える。そろそろ先のことを考えよう、学校や先生に本気で向き合ってみよう。多恵にそう訴えられ、アイは渋々それを承諾。エッグを買いに行こうというリカの誘いを断り、多恵と沢木の二人と共に夕飯を取る。
しかしその場で聞かされたのは、アイの勉強や学校への復帰のことではなく、「アイさえ良ければ自分たちは交際しようと思っている」という多恵と沢木の唐突な告白だった。小糸の自殺に関わっているかもしれない沢木が自分の家族に近づいてきたことに、アイの心には漠然とした不安が広がっていく。

翌日、いつもの庭園に集まった四人は、アカたちから小奇麗なポマンダーを渡される。この中にアンチに対抗するための生き物が入っていると聞き、リカや桃恵は「どんな生き物なんだろう」と盛り上がる。一方、妙に元気がない上に荒れているアイに、ねいるたちは「何かあったのか」と言葉をかける。
アイが多恵と沢木の交際のことを説明すると、ねいるたちはそれぞれに反応を見せる。桃恵は「もし二人がうまくいったらアイと親戚になれる」と喜ぶも、リカは「沢木が小糸に手を出していたなら年下好きのはずだから、本当の狙いは多恵ではなくアイの方ではないか」と勘繰る。一方、ねいるはオッカムの剃刀(“何を説明する時、必要以上に仮定条件を盛り込むべきではない”ということを表現した用語)という言葉を持ち出して、アイが落ち着かない気分になるのはもっとシンプルな理由からではないかと推測。「アイも沢木のことが好きなのでは」と問いかける。

アカのアドバイス通り、自宅に戻ってからポマンダーを温めると、果たして中から掌大のカメレオンが現れる。同じくねいるの下にはヘビ、リカの下にはカメ、桃恵の下にはワニが現れ、彼女たちはそれぞれ新たな相棒と共にエッグの世界に挑んでいく。
再びヤエと会ったアイは、またもアンチの大群に襲われるも、ポマンダーの中から生まれたカメレオンが巨大化してこれを食い尽くす。レオンと名付けたこの相棒にアンチの相手を任せ、アイはヤエと共にワンダーキラーを探す。その際、アイがヤエに「なぜ自殺したのか」と尋ねると、彼女は「怖かったから」と言葉を返す。
ヤエはこの世ならざるもの(=死者の霊や人の怨念)が見える体質で、そのために周囲から白い目で見られ、ついには病院に入れられてしまった。しかし、病院の中にはそういった怨念がより濃く渦巻いており、日々それに追い詰められたヤエは“死”という逃げ場を選んだのだった。

「自分には恐ろしい怪物が見えていることを誰も信じてくれない」と嘆くヤエを慰める中、アイは不可視のワンダーキラーに襲われて負傷する。ヤエにはそれが見えているらしく、必死に手近にあったものを投げつけて援護するも、アイは見えない相手に手も足も出ない。しかしあわやというところで、ヤエが咄嗟に投げつけた数珠に触れたアイは、不意にワンダーキラーの姿を視認できるようになる。混濁する意識の中、ねいるから言われたことを頭の中で反芻しつつ、アイは渾身の一撃でワンダーキラーを撃破する。

その後もアイは悶々とした想いで日々を過ごすも、多恵に声をかけられたことを機に、意を決して家を飛び出していく。学校まで駆けつけた彼女は、そこにいた沢木の腕を取ると、「私また学校に行きます」と笑顔で報告するのだった。

第7回 14才の放課後

父親のことを知りたがるリカに、母の千秋は“その可能性がある五人の男性”の写真を渡す。

YAMAKUZIRA
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