MURCIÉLAGO -ムルシエラゴ-(漫画)とは【ネタバレ解説・考察まとめ】

『MURCIÉLAGO -ムルシエラゴ-』とは、よしむらかなが『ヤングガンガン』で連載している百合系バトル漫画作品。元大量殺人者・紅守 黒湖(こうもり くろこ)が国選処刑人となって、相棒の屠桜 ひな子(とざくら ひなこ)らと共に悪党討伐を行っていく。紅守黒湖達の標的はいずれも法では裁けない凶悪犯罪者ばかりで、本作最強である紅守黒湖の戦闘シーンは最大の見所。尚『マンガUP!』では2018年からスピンオフ漫画『MURCIÉLAGO BYPRODUCT ARAÑA -アラーニァ-』が連載されている。

ある日体内に血液がほとんど残っていない女性の遺体が発見される怪事件が発生した。同時期にゴールドマリーの遺体が消失し、弟のローズマリアも姉が死亡してから行方不明となっていた。

ヴァージナルローズ元幹部の鳴海は独自に調査を開始するが、潜入先の下水道で化物を発見する。化物の正体は何者かにより体が接着され、得体の知れないものになったゴールドマリーとローズマリアだった。下水道内には拉致された少女達が集められており、鳴海は彼女達を守る為に尽力する。窮地に追い込まれた鳴海は、ちょうど救出のために駆け付けた黒湖と蘭に保護された。

黒湖が少女達を逃がしている間、蘭は化物を追跡する。俊敏な動きで蘭を翻弄する化物だが、最後は体を引き裂かれてローズマリアは即死した。僅かに息があり正気を保っていたゴールドマリーに黒湖が止めを刺そうとするが鳴海はそれを制止する。真意は別にして自らを保護してくれた彼女に、最後の別れを告げて首を絞めた。

結局背後で糸を引く人物は分からず仕舞いだったが、怪事件は一応の解決ということになる。

THE ENTERTAINER_喜劇作家とひな子の覚醒編

10年前に催眠術を操り多くの人を殺害した「喜劇作家(コメディーライター)」。今回アドバルーンに大勢の人が四股を固定され吊るされるという手口の事件が起き、それは喜劇作家の手口に似ていた。

捜査を開始すると、バグジャースサーカス内で同僚団員の目にナイフを投げるという別の事件が発生する。この2つの事件の共通点は被害者の記憶が失われていることだ。ふたつめの事件の犯人はバグジャースサーカス団の団長・真理男レガシー(まりおレガシー)だった。
真実を突き止めた黒湖は彼を呼び出し橋を爆破するが、追い詰められた真理男は自らの罪を認め命乞いをする。ところが黒湖は迷わず彼の胸にナイフを突き刺し、自ら幕引きを図りたい真理男は海へ身を投げ自殺を試みる。黒湖も橋から飛び降り、水面下で深々とナイフを刺し真理男は死亡した。

アドバルーンの方の犯人は未だに不明だった。事件の犯人が警察からフランシスという薬品を盗んだ犯人と同一人物だと気が付いた元警部の寺田 巌(てらだ いわお)は、鑑識で働く息子の寺田 昌弘(てらだ まさひろ)が怪しいと刑事に打ち明けた。
昌弘は定年退職して抜け殻のようになっていた父の活気を取り戻した「喜劇作家」に感謝するかのような言動を見せていた。
警視庁の御剣 燈悟(みつるぎ とうご)と君原 茶々(きみはら ちゃちゃ)は事件が内部犯の仕業だと断定する。昌弘が証拠整理の為にその場を離れると直後に橋の爆発が発生し、周囲は慌ただしくなる。黒湖の指示でひな子が昌弘の尾行を開始するのだった。

昌弘を追いかけたひな子は、駐車されている彼の車の窓ガラスを破壊し車内に「お前がやったのは分かっているぞ」とメモを残す。それを見た昌弘は動揺し、山中の隠れ家に急いだ。
尾行していたひな子は、昌弘が隠れ家に入るのを確認すると無謀にも彼の前に姿を現した。すると昌弘から致死量の覚醒剤を投与されてしまう。しかしひな子は倒れず、強引に拘束を破り強烈な足蹴りが炸裂する。その場で大量の涙を流し、昌弘にとどめを差そうと迫る。
間一髪のところで後から到着した警視庁の君原がなんとかひな子を止める。昌弘は逮捕され、心労がたたった寺田を心配させない為に、燈悟たちは昌弘が自主したと嘘を報告するのだった。

針千本_魔弾の射手編

柳岡会では刑務所から出所したヤクザ・鉄 善八(くろがね ぜんぱち)を、会長の娘の千代を始めとした組員全員で祝っていた。しかし同時刻に起こった事件がきっかけで、柳岡会の周囲に怪しい影が動き始めることになる。
歩道橋を歩いていた男性が、刺突剣と思われる凶器で滅多刺しにされ殺害されていたのだ。

警察の調査により、数々の暴力団同士の抗争に圧倒的な強さで勝利したとある人物が浮上する。その人物とは元フェンシング選手・千堂把月(せんどう はづき)で、彼はかつて唯一敵わなかった相手である善八を一方的に敵視していた。善八に勝利しようとする執念は凄まじく、組の守りが手薄になる頃を見計らい襲撃してきた。
千堂から千代を守る為、善八は死闘を繰り広げるが敗北する。今度は千代に刃を向けた千堂と対峙したのは玄流だった。奮闘する玄流にあっさりと勝利する千堂だが、妹の危機を察知した玄乃の魂が目覚め、幻覚を見せられた千堂は追い詰められる。半狂乱になった千堂は怜子によって射殺された。

こうして善八・玄流・怜子などの活躍により再び柳岡会は平穏を取り戻すことになる。

罰恋_過去の罪と友情編

凛子が通う私立まりも學園初等部に、ある日転校生がやって来た。その人物こそ凛子がキラーだった頃に殺害した男性の娘、戸隠のえる(とかくし のえる)だった。

凛子は彼女の過去を知らず、暗い雰囲気ののえるに優しく接するのだった。二人が信頼関係を築くのに時間はかからなかったが、のえるの自宅に遊びに行った際、彼女の父親の写真が仏壇に置かれていることに気付く。自身の罪に苛まれた凛子は、事実を正直に打ち明けるべきか悩んだ。
凛子が苦悩していた時、ある凶悪犯の男がのえるの自宅を襲撃。のえるを誘拐した男は自らの娘が使っていた部屋で、のえるを亡き娘の身代わりにし奇妙な同居生活を始める。

一方警察は、かつて鍵村昭一が引き起こした幼女連続誘拐殺人事件の被害者遺族が、今回ののえる誘拐事件の犯人ではないかという線に辿りついた。
被害者遺族の住所を頼りに、燈悟と茶々が黒湖達を伴い訪問する。妻によると犯人である夫とは別居して3年目で、娘の紬(つむぎ)が殺害されてから徐々におかしくなっていったのだという。
妻が渡してくれたのは犯人の実家の住所が書かれたメモだった。燈悟と茶々はそこに向かうが犯人の姿はなく、ミイラと化した子供の遺体と彼女への謝罪の手紙のみがあった。

犯人の居場所は不明だったものの、手紙には紬との約束が生きる糧となっていることが書かれていた。母親が見せてくれた発表会のビデオと手紙の情報から考えられる犯人の行き先は流々家タワー(ルルイエ)かステキツリーだった。
二手に別れ各タワーを見張っていると、藍子と凛子が流々家タワーに入っていく犯人とのえるを発見した。展望台へと向かった犯人は燈悟が待ち構えていることを知り、のえるを人質に窓の近くまで移動するが、高周波ブレードを構えた凛子が現れた。凛子は窓ガラスごと犯人を蹴り飛ばしてのえるを救出する。さらに立ち向かってくる犯人を一刀両断する。

事件は解決したが、目の前で凛子が人を殺すところを見たのえるは気を失ってしまう。病院のベッドの上で目を覚ましたのえるは、父親を殺害したのが凛子だと薄々気付いていたことを告白した。

山津神家の一族_異常な家族の泥沼連続殺人事件編

ひな子が見つけた温泉旅館に、千代と鳴海も誘い訪れた黒湖たち一行。普通の温泉旅行になるはずが、この一帯の地主である山津神葉蔵(やまつかみ ようぞう)の三男である、山津神三四郎(やまつかみ さんしろう)の遺体を発見したことで事態は急展開するのだった。

三四郎の死を皮切りに、次男の山津神桂(やまつかみ けい)に長男の山津神新治(やまつかみ しんじ)と立て続けに何者かに殺害されていく。一連の事件には長男の悪事を見てしまい、死亡したはずの小山内アヤコ(こやまうち あやこ)と、彼女に好意を抱く山津神 美禰󠄀子(やまつかみ みねこ)が関与していた。
アヤコは葉蔵が妾に生ませた子供だったが、アヤコに一目惚れした美禰󠄀子は妹を幽閉し死なせた兄達を恨んでいた。アヤコが復活したことで山津神家連続殺人事件を引き起こすことになる。

アヤコ復活には薔薇色の牢獄で黒湖達が見た、夢中遊行(チェザーレ)が関係していた。証拠は、次女山津神 真砂(やまつかみ まさご)の遺体付近にあった薔薇の葉だった。黒湖の指示で山中を探索していた鳴海が、夢中遊行の原料の一部を大量に発見している。

黒湖に追い詰められた美禰󠄀子は、自身が連続殺人事件の真犯人で、アヤコと協力して兄妹達を殺害したことを認めた。
事件は終息を迎えようとしたが、アヤコの幽閉を知りながら見てみぬふりをした当主への美禰󠄀子の恨みは変わっていない。自ら病院に入院した当主は、黒湖立ち合いの元美禰󠄀子に殺害された。全ての復讐を終えた美禰󠄀子は、アヤコと共に黒湖預かりとなる。

『MURCIÉLAGO BYPRODUCT ARAÑA -アラーニァ-』のあらすじ・ストーリー

大手ゼネコン建設"下鴨建設"編

下鴨建設経理部の社員は、「不正経理の証拠がある」と同じ部署の同僚・髙嶋 邦広(たかしま くにひろ)に脅された。高嶋の目的は会社の弱みを握り金をせしめることだ。
脅された社員は、凄腕のスナイパー・朽葉怜子(くちば れいこ)と元地下格闘家・桃山照美(ももやま てるみ)に、高嶋の殺害を依頼する。金の受け渡し場所に現れた高嶋と協力者のヤクザを排除し、不正の証拠が収められたディスクを回収した。そして依頼料を受け取りに行くと、複数の男に待ち伏せされ取り囲まれる。しかし怜子の銃撃で社員も含めて全滅した。

中国マフィア"黑社會"_真の斑蛇編

今回の依頼人は「黑社會(ヘイシャーホェイ)」で幹部を務める龙(ロン)。組織は内部紛争真っ只中で、下部組織「黒桃」の長・梁浩然(リャンハオラン)は前首領を殺害し反乱を企てた。
黑社會のボスであり、乱を起こした梁浩然に狙われるカオリにロン、それに幹部の虎(フー)を伴い、怜子は黒桃のアジトを目指す。

内部の捜査を開始したフーと照美の前に討伐対象である梁浩然が登場する。しかし謎の暗殺者・斑蛇(バンシヲ)が立ち塞がった。一方カオリ、ロン、協力者の給仕係らは屋敷内の敵を排除した。ロンの活躍によるところが大きかったが、突然味方であるはずの給仕係が彼の胸を刀で貫いた。

給仕係の正体は暗殺者・斑蛇(バンシヲ)だった。実は斑蛇はもう一人存在しており、フーと照美の前に現れていた方は無事に討伐された。フーと照美は梁浩然を殺害しようとするが、前首領を殺害した人物は別にいると聞き、とりあえず梁浩然を生かし怜子と合流することにしたフー達だった。

その頃怜子はロンを殺した裏切り者の二人を始末し、全員が集まるとカオリが突如豹変し虎を殺害してしまう。なんとカオリ自身が斑蛇のボスで、殺し屋から組織のボスになることを目論んでいた。怜子は依頼料さえもらえればいいと介入を避けていた。玲子はカオリに迷惑料も含め2500万を請求した。事件後正式に組織の長になったカオリだが、組織運営がうまくいかず結局逃亡するはめになる。不憫に思った玲子の恋人弔村 鴇(とむら とき)により、彼女の家に居候させてもらうことになった。

サジタリウスの矢_死のウィルス編

野生のハヤブサ「サジタリウス」を保護した目銅大学準教授の萩野目正(はぎのめただし)は、とんでもないものを発見してしまう。サジタリウスの血液中には人に感染すると数日で死に至るウイルスが含まれていた。
他の研究所に移送中何者かにサジタリウスを強奪された萩野目は、怜子にサジタリウスを消滅させるよう依頼した。

強奪したのは御勢湯製薬工業株式会社の人間だった。清掃員に扮し内部に潜入したカオリは、研究室で厳重にケースで管理されていたサジタリウスを発見し、始末しようと行動を起こす。しかし自らの足を引きちぎり施設外に逃走したサジタリウスは、その直後に怜子に尾を撃ち抜かれたことで急降下し、最後は玲子のライフルに止めを刺され完全に死亡した。

国家公務員(仮)_vsテロリスト編

国家公務員(仮)編より、調印式の会場で狙いを定める怜子。

クトニア国内ではレアアースの発掘が行われて、現大統領はこれを用いた国家単位の事業を目指していた。それは日本とのレアアース開発の共同開発や技術提供だった。
日本に娘達と来日した大統領だったが、事業に反対するテロリストに狙われていた。

護衛に任命された怜子とカオリ、斑蛇の一員でありカオリの部下である苺の活躍によりテロリストは撃退される。しかし敵からの攻撃は止まらず、迎えた調印式では会場内に小型の銃を隠し持つ人物が潜んでいた。怜子は敵の銃弾を銃弾で弾き返す神業を披露し、参加者達の足の僅かな隙間を狙いゴム弾を当ててみせた。こうしてテロリストから大統領一家を守ることに成功する。

幻の蝶_新種の発見と争い編

朽葉怜子の(くちば れいこ)の元に来た依頼は新種の蝶「オオルリタザワシジミ」と、その発見者・田澤(たざわ)の排除だった。しかし依頼者で大学教授の八尾有次(やお ゆうじ)が記憶障害を負った原因は、田澤ではなくカオリにある。下積み時代のカオリは田澤から蝶の強奪依頼を受け、襲撃していた。怜子にとって真実は依頼の障害にならず、田澤は予定通り殺害されてしまう。報告を受けた八尾は研究室の同僚で片想いしていた柴田茜(しばた あかね)の心を独占出来たことに満足していた。そこに現れたカオリは仕事の後始末をする為に八尾を殺害。最後まで残っていたのは同じ病院に入院していた記憶喪失の患者柴田。看護師から八尾の名前を聞いても思い出せなかった。

成功例_鴇の誘拐編

鴇はマリモ學園初等部に教育実習生として赴任するが、初日から自らの巨乳に関連した争いが発生してしまう。なんとか初日を終わらせて瑠璃と一緒に帰宅中、瑠璃とよく似たひすいという子供に間違われ何者かに誘拐されてしまう。
人違いだと判明するが、人身売買されそうになる。鴇は怜子からGPS付きの発信器を渡されていたので、隙を見て作動させるがそれに気付いた誘拐犯により、別の基地に移動される途中に照美が現れるのだった。

『MURCIÉLAGO -ムルシエラゴ-』の登場人物・キャラクター

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