天穂のサクナヒメ(ゲーム)のネタバレ解説まとめ

『天穂のサクナヒメ』とは、同人ゲームサークル「えーでるわいす」が制作し、マーベラスから発売されたアクションRPG。PS4、Nintendo Switch、PC版が発売されている。戦神であり豊穣神でもある主人公・サクナヒメが鬼の蔓延る島「ヒノエ島」で稲作に従事しながら鬼を退治し、島の秘密を解き明かしていく物語。ゲームは稲作とアクションの2つのパートに分かれて進行する。稲作パートの本格的な作りこみから「農林水産省のHPが攻略wikiになる」と話題になった。

『天穂のサクナヒメ』の概要

『天穂のサクナヒメ』とは、同人ゲームサークル「えーでるわいす」が制作し、マーベラスから発売されたアクションRPG。PS4、Nintendo Switch、PC版が発売されている。
発売直後には独自の稲作システムがSNSを中心として話題となり、パッケージ版が売り切れとなる店舗が続出、「令和の米騒動」などと称された。実際の稲作を忠実に再現したシステムから、農林水産省のHPを攻略サイトとして推奨する声があがるなど、独自の盛り上がりを見せた。
農業業界紙である「日本農業新聞」で紹介され、農林水産省からインタビューを受けるなど、ゲームファンのみならず農業業界からの反響も大きい。

戦神と豊穣神の子であるサクナヒメは、神々の住む「御柱都(みはしらのみやこ)」で両親の財産を食いつぶしながら気ままに暮らしていた。あるとき、神の世界に迷い込んだ人間たちと騒動を起こし、都を追放となってしまう。鬼が巣くう島「鬼島」の調査を命じられたサクナヒメは、神の世界から帰れなくなってしまった人間たちとともに鬼島に移り住み、自給自足の生活を送ることになる。
武家の生まれだが戦場から逃げ出した田右衛門、海外からやってきた宣教師ミルテ、手先が器用だが問題児のきんた、いつもきんたの後をついて回る少女ゆい、泣き虫のかいまる、そしてサクナヒメの父タケリビに仕えていた剣の精霊タマ爺と共に送る生活は問題続きで、神であるサクナヒメは否応なしに対応に追われることになる。
狩猟や採集で生活を支えながら米を作るが、すぐに大量の収穫が得られるわけもなく、苦しい生活が何年も続く。働きづめの生活に嫌気がさしてもサクナヒメの代わりはおらず、個性豊かな仲間たちとの衝突も絶えない。めげながらも働き続けて島を拓き、田んぼを広げ、少しずつ生活が豊かになっていくにつれ、サクナヒメには神としての自覚が芽生えていく。

本格的な稲作システムが話題にされがちだが、怠惰でわがままだったサクナヒメが地道に稲作に打ち込み、神としての責任感に目覚めていく、王道の成長物語でもある。

『天穂のサクナヒメ』のあらすじ・ストーリー

怠惰なサクナヒメ

青い着物を着ているのが田右衛門、白い被り物をしているのがミルテ、髪の長い少女がゆい、髪を結んだ少年がきんた、頭頂部を剃っているのがかいまる。

飢えて疲れ果てた人間たちが、長い橋を渡っていた。人間たちの住む「麓の世」と、神々の住まう「頂の世」を繋ぐ橋だ。
山賊に捕らえられた女子どもと、彼らを逃がした元・山賊の男が橋を歩いていると、石丸という山賊が後を追ってきた。あわや斬り合いになるかと思われたとき、ひとりの少女が橋の向こうから近づいてくる。上等な衣をまとって酒の匂いをさせた少女は、戦と豊穣の神、サクナヒメだ。石丸に子ども扱いをされたサクナヒメは怒り狂い、「わしゃ大人じゃ!!」と石丸を橋から蹴り落としてしまった。そして人間たちに、橋が消える前に引き返すよう言い捨てると、上機嫌で宴の席へと戻っていった。
「宴」と聞いた人間たちは、サクナヒメの後をつけていけば食べ物にありつけるかもしれないと考え、こっそりとその後をついていく。

画面手前がサクナヒメとお付きのタマ爺。なかなか働きを認めてもらえないと悩む親友ココロワヒメ(画面奥)にこの一言。

宴の席に戻ったサクナヒメは、上機嫌で酔っ払っていた。両親が家に残した米を主神に貢ぐだけで神としての役目を果たしているサクナヒメは、すっかり怠惰で傲慢に育ち、目付け役の精霊・タマ爺の忠言にも耳を貸さず、親友であるココロワヒメにさえ無神経に出自をひけらかす始末だ。
サクナヒメはふと、宴会場の外を歩いていく人間たちを目にする。橋の上で会った者たちだ。神々の住まう「御柱都(みはしらのみやこ)」に下界の人間たちの侵入を許したとあっては、サクナヒメが咎めを受けることは必至。サクナヒメは慌てて宴席を立って人間たちの後を追う。
サクナヒメが人間たちに追いつくと、彼らはよりによって主神への貢物が収められている御饌殿(みけでん)に入り、保存されていた米を貪り食っている。怒ったサクナヒメが武器を振り回すと、火が灯った高灯台(たかとうだい)が倒れた。御饌殿の中には米の他に、酒や油も保管されている。宴席でサクナヒメを待つタマ爺やココロワヒメの元に、爆音と香ばしい匂いが届いた。

主神カムヒツキに爆発騒動の責任を問われるサクナヒメ。人間たちのせいにしようとしてさらに怒られる。

主神への貢物を倉ごと吹き飛ばすという事件を起こしてしまったサクナヒメは、主神カムヒツキから咎めを受け、罰として勅命を下される。鬼が無数に生まれ、未だカムヒツキの支配下にない「鬼島(おにじま)」という島に住み着き、鬼が蔓延る原因を調べるというもので、その任が終わるまでは都を追放となってしまう。
人間たちが渡ってきた橋は「天浮橋(あめのうきはし)」といって、人間の世界と神々の世界を繋ぐ橋だ。不定期に出現と消失を繰り返すこの橋の動向は主神であるカムヒツキにすらわからず、人間たちは元の世界へ帰れなくなってしまっていた。そのため、サクナヒメと共に鬼島に渡り、生活するよう命じられる。
生まれて初めて都を離れることになったサクナヒメは泣いて抵抗するが、なすすべなく船に乗せられる。港には、友であるサクナヒメとの別れを惜しみながらも、何故か安心を覚えるココロワヒメだけが残されるのだった。

鬼島での生活

右にいるのがアシグモ。個人名はなく、一族の名前で呼ばれる。サクナヒメがまとっている羽衣は母から受け継いだもので、戦闘において大きな力を発揮する。

鬼島はかつてサクナヒメの母トヨハナが暮らし、父であるタケリビと出会った島でもある。タケリビは鬼島に巣くっていた悪神「大龍(オオミズチ)」を討ち取ってその名を挙げたのだった。
やっとの思いで島に到着し、峠にあるトヨハナの生家を目指して進むサクナヒメだったが、その行く手をイタチに似た何者かが阻んだ。サクナヒメを「カムヒツキの手のもの」と断じた何者かはサクナヒメに戦いを挑むが、地震が起きるとどこかへ立ち去ってしまう。
サクナヒメが峠に到着すると、イタチに似た者も峠にいた。彼は「アシグモ族」という一族の末裔で、かつてトヨハナに仕え、タケリビと共に大龍と戦ったことがあり、タマ爺とは旧知の中であった。家がある峠は「不知の峠」といい、そこに峠があると知っているものしか辿り着けない術がかけられており、そのために鬼たちの侵入を防いでいる場所だった。アシグモはタケリビとトヨハナが去った後も家の手入れを欠かさず、サクナヒメが大恩ある二神の子どもであると知ると快く家を明け渡してくれた。

大失敗に落ち込む田右衛門。

家に到着すると、さっそく都にいた頃のように怠けようとするサクナヒメだが、誰も住んでいなかった家に備蓄はない。鬼がうろつく島で人間が狩りや採集に出ることは難しく、否が応でもサクナヒメが動かなくてはならない。
家の前にある田んぼで何か作物を作れないか相談していると、田右衛門が稲の種籾を持っていた。彼は武家の生まれだが、武芸よりも野良仕事が好きで、家を捨てて山賊になってからも種籾だけは常に持ち歩いていたのだと言う。
戦神と豊穣神の子であるサクナヒメにとって、五穀、とりわけ米はその力に大きく関わる。よい稲を育てれば育てるだけサクナヒメは強くなる。鬼を退治しながら島を調査しなければならないサクナヒメにとって、稲はこの上ない作物だ。島にやってきた者たちの中で稲作の知識があるのは田右衛門だけであったので、田右衛門を中心に人間たちが稲作を、サクナヒメが狩りや採集を担当することになった。
アシグモに教えられた狩場で鬼を倒しながら食べられそうなものを集めたサクナヒメが峠に戻ると、田右衛門がひどく落ち込み、きんたが激怒している。聞けば、持っていた種籾をほとんど水に流してしまい、ほんの少ししか手元に残っていないと言う。田右衛門は野良仕事が好きではあったが、実際のところはほとんど見よう見まねで、ろくに出来た試しがないらしい。稲作を知っている者が自分しかいないと知って今度こそはと奮起したが、生来の不器用は変えられなかったのだ。
揃って田右衛門を責め立てるきんたとサクナヒメを、ミルテが大声で遮った。「なぜタウエモン、キズつける、ですか!?タウエモンやさしい。シッパイあるだけです!!」外国から海を越えてやってきたミルテに叱られて、サクナヒメはしぶしぶ矛を収める。きんたを宥め、料理が得意だというミルテに獲ってきた肉の調理を任せた。人間との波乱万丈の生活はこうして始まったのだった。

サクナヒメに鍛冶場をねだるきんた。

残った僅かな種籾から作った苗を田んぼに植えることになるが、田右衛門は田植えもまともに出来たことがないと言う。他の人間たちは女子どもばかりなのだから神であるサクナヒメがやらなくては、と忠言するタマ爺にしぶしぶ従い、豊穣神らしく田植えをするサクナヒメ。田んぼの面積は小さく、植える苗もわずかな量にも関わらず、田植えを終える頃にはくたくたになってしまう。収穫までは雑草を取りながらひたすら稲を見守っていくという田右衛門の言葉に気が遠くなるのだった。
田んぼの世話と鬼退治を続けていたある日、サクナヒメはきんたが田右衛門の刀に興味を示しているところを見つける。きんたの家は物作りで生計をたてていたため、刀がどうしたらできるのか興味があるのだと言う。包丁くらいならばアシグモが作り方を教えられると言うと、きんたは大喜びで鍛冶場をほしがる。サクナヒメが使う道具も作ってやるからときんたにねだられ、しぶしぶながらサクナヒメは鍛冶場を建てることになる。きんたはすぐに腕を上げ、サクナヒメの武器となる農具だけではなく、稲作を効率化する道具も手掛けるようになる。

囲炉裏を囲んで

夕食の席。各々の出自や、ミルテの国「ベンタニア」とサクナヒメたちの国「ヤナト」の違い、神々についてなど、話題は多岐にわたる。

夕食の席となる囲炉裏の周りでは、様々なことが話題に上る。
カムヒツキが鬼島をほしがる理由は、タマ爺も知らないという。複雑な海流に囲まれ、地政的な要衝でもなく、都に服従しないアシグモ族が暮らしているばかりか鬼が闊歩する。その上、これといった資源もない。かつてタマ爺が仕えていたタケリビにもこればかりはわからず、首を傾げていたという。
田右衛門たちの国はヤナトといい、寺が広める「悟教」の教えが浸透していた。悟教では「不殺生戒(ふせっしょうかい)」といって獣の肉を食べてはいけないと教えていたが、民間人だけでなく坊主ですら、隠れて肉を食べていた。武家の生まれで悟教の教えに従って生きてきた田右衛門は獣の肉を食べることに抵抗があるが、家の中でそのように考えるのは田右衛門だけだ。ミルテが宣教師を務める「フォロモス教」では、神が理性と責任ある存在として人を創り、その下に動物を創ったのだから食べてはいけないものはない、と教えていたという。
ヤナトの国は長い戦と飢饉で荒れており、峠にいる子どもたちは戦で行き場を失った者ばかりだ。ミルテは珍しい異国人として人買いに売られるところであった。戦場から逃げて落ち武者狩りに追われた田右衛門は山賊に身をやつし、紆余曲折あって山賊が捕らえたミルテたちを連れて逃げ出し、頂の世へ迷い込んだのだと言う。奪われたから飢えるのか、飢えたから奪うのか、もはや誰にもわからないと田右衛門は語った。

少ない実りとテクサリ団子

毒草から作ったテクサリ団子を前に、1年分の不満が爆発したサクナヒメ。

夏が過ぎ、初めての秋が来た。苦労して育てた稲を刈り取り、ようやく収穫を得るサクナヒメ。しかし、元の種籾が少なかったこともあって、収穫できた米はほんのわずか。翌年の種籾にする分を差し引くと、食べられる米はほとんどなかった。少ないながらも確かに増えた、辛抱の時だと励ますタマ爺の言葉に、サクナヒメは辛い冬の訪れを感じる。
寒さの厳しいある夜、サクナヒメが吹雪の中を帰ると、夕食に出されたのは「テクサリ団子」だった。食べられる米が少ないことを考え、田右衛門とミルテが彼岸花の根から作った団子だ。彼岸花は毒草だが、根をすり潰して水にさらし、団子にすると食べられるようになる。
サクナヒメはとうとう鬱憤を爆発させ、団子の乗った皿を払いのけた。高貴な身分の生まれで何の苦労もせずに育ったサクナヒメが、都から遠く離れた島で朝も夜もなく働き続け、挙句に毒草から作った団子を出されたことで堪忍袋の緒が切れたのだった。サクナヒメは家を飛び出し、船が隠してある海辺の洞窟へ向かう。頭の中は人間たちやタマ爺への不満でいっぱいで、何が何でも都へ帰るつもりで船を出す。そしてすぐに引き返した。夜の海で方角もわからず、波は激しく、おまけに吹雪まで吹いている。都どころか、島の海域から出ることすら出来なかったのだ。サクナヒメがひとりで泣いていると、田右衛門とタマ爺が大雪の中を迎えに来てくれる。サクナヒメは泣く泣く、峠に戻るのだった。
二度目の春が近づいていた。

田右衛門から田植え唄を習うサクナヒメたち。きんたと田右衛門は違う国の生まれだが、地元で歌われる田植え唄は同じだった。

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