最果てのパラディン(ラノベ・漫画・アニメ)とは【ネタバレ解説・考察まとめ】

『最果てのパラディン』とは、柳野かなたによる小説投稿サイト『小説家になろう』で2015年5月1日に連載開始された日本のライトノベル。2017年9月25日には、奥橋睦によるコミカライズ版がWebコミック誌『コミックガルド』で月刊連載開始。また2021年10月からはテレビアニメが製作されている。「転生もの」に分類される作品であり、前世の記憶を持ちながら、辺境の地で不死者(アンデッド)に育てられた少年が主人公の異世界ファンタジー。その重厚な世界観に圧倒されると人気がある作品だ。

『最果てのパラディン』の概要

『最果てのパラディン』は柳野かなたが、小説投稿サイト『小説家になろう』で2015年5月1日に連載開始したライトノベル。2016年3月25日にはオーバーラップ文庫で刊行が開始。また、2017年9月25日にWebコミック誌『コミックガルド』で奥橋睦によってコミカライズ版の連載が開始した。「このライトノベルがすごい!2018」で14位にランクインを果たし、2021年10月からはテレビアニメも制作。同年12月に2期制作決定を発表した。
前世の記憶を残したままウィリアム(通称ウィル)として赤ん坊に異世界転生した主人公。前世の人生に後悔を残し死んでおり、今度こそ悔いのない人生を送ることを決意する。かつて英雄として知られた3人の不死者(アンデット)のブラッド、マリー、ガスに教えを受け、愛を注がれ育てられ成長した主人公がパラディン(聖騎士)として2度目の人生を歩んでいく。異世界転生・最強主人公も取り入れつつ、重厚なファンタジーが展開されている作品だ。
主人公が女神に生涯を捧げる聖職者であるからか、書籍化範囲では女性ヒロインが女神以外登場しておらず、アニメでも他の作品に比べて女性ヒロイン自体あまり登場してこない恋愛要素が少ない点は特徴的だ。

『最果てのパラディン』のあらすじ・ストーリー

ある日人生に悔いを残し死んでいった主人公は、記憶を残しながら異世界にウィリアム(通称ウィル)として赤ん坊に転生してしまう。
数百年前に人の絶えた廃墟の街。そこでウィルは、かつて英雄として知られた3人の不死者(アンデット)、ブラッド、マリー、ガスに愛を持って育てられる。前世の記憶があるためか、ウィルは武術の習得が早く、この世界の技術である「創造のことば」や「祝祷術(しゅくとうじゅつ)」、儀式である「沈黙の祈り」などを13歳ながらやり切ってしまった。ウィルは心身共にたくましく成長し、いつしかある疑問を抱えるようになる。「なぜブラッド、マリー、ガスはアンデッドになったのか」「なぜここでは自分だけ生きているのか」。隠された秘密を知った時、少年は”邪悪な神”と対峙すべく剣を取る。

成長の日々、語られる秘密

ウィルはブラッド、マリー、ガスに対し大きな尊敬と親しみを持ち、大切な家族のように思い過ごしていた。ガスからは学問、ブラッドからは戦い方、マリーからは日常の細々とした大切な事を日々学んでおり、3人の気持ちに応えようと勉強や訓練に励んだ。しかし、訓練で連れてこられた廃墟で、突然ガスに生死に関わるほどの戦闘を仕掛けられる。ウィルは、3人が何か隠していると勘付き、住んでいるこの都市や3人と自分の来歴に疑問を抱くようになった。ガスのこの行動は、これからやってくることを全てわかった上での行動であり、この時のウィルには当然理解できないものであった。
15歳となる成人の日、ウィル自身とアンデットとなった3人の来歴が語られる。
約200年前に、「上王(ハイ・キング)」と呼ばれる悪魔の王が世界に大乱を引き起こし、世界の南半分にあたる「南辺境大陸(サウスマーク)」は壊滅した。育ての親3人は多数の仲間と共に上王を討伐しようとしたが、上王は殺しきれずにガスとマリーの2人で地下深くへと封印することとなった。しかし3人が寿命を迎えれば、配下の悪魔たちによって封印が解かれてしまう。そんな不安が残る中、不死神スタグネイトの分体たる「木霊(エコー)」が降臨する。スタグネイトは3人に、いずれ自分の下僕になることと引き換えに、彼らを不死者とする契約を行う。ウィルが育った街は上王が封印された場所であり、ウィルは上王の封印を解くために悪魔がどこからか連れてきた赤子だったのだ。

少年の旅立ち

突然、不死神スタグネイトが、上王への執着が薄れたマリーとブラッドを契約に従い自らのしもべにしようと降臨する。2人の上王への執着の薄れはウィルとの日々が原因だった。そこで、この時を待っていたガスが「四重魔法投射(クワドラブルキャスト)」など渾身の一撃を放つ。だが、それはスタグネイトの木霊(エコー)であり、ガスは不意打ちを受けてしまう。スタグネイトの計らいでしもべになるかの決断のための時間を与えられ見逃されるウィルであった。ウィルは過去のガスの行動の意味に気づき、ブラットとマリーの執着を奪ってしまった自分はクズだと絶望してしまう。しかしマリーに目を覚まされ3人に励まさた事で、みんなを守るために邪悪な神と戦うことを決意する。ブラッドから授かった魔剣「喰らい尽くすもの(オーバーイーター)」を手にし、生々流転を司る”灯火の神グレイスフィール”に誓いを立て「聖なる灯の導き(ディバイントーチ)」などの加護を得たウィルは、ガスの協力もあり不死神の分体を討伐する。ブラッドとマリーは輪廻へ還り、ガスは上王の封印守護を守るべく灯火の神と交渉し、約10年現世に残れることとなった。ウィルはこの世界の家族の意志を継ぎ、名を”ウィリアム・G・マリーブラッド”と改め、上王の問題を解決するべく、生まれ育った街を旅立つ。

仲間との出会い

ウィルは人里を探して北を目指し、道中で銀髪のハーフ「エルフ」”メネルドール”と出会う。そこで、ここが人類進出の最南端の森林地帯「獣の森(ビーストウッズ)」だということを知る。そこは魔獣や悪魔が跋扈し、困窮する村々が点在する無法の土地であった。メネルと別れた後、村で惨劇が起こるという神からの啓示があった。長年の訓練や前世の知能から並外れた能力を持つウィルは村の問題解決に着手し、メネルドールと共に村の奪還とデーモン追討のため旅に出る。メネルの過去に触れより仲を深めた2人は、”吟遊詩人のビィ”と”行商人のトニオ”を仲間に加え、南辺境大陸の最北端の都市「白帆の都(ホワイトセイルズ)」へ向かう。都市に着くやいなや凶暴化したワイバーンが襲来するが、ウィルとメネルの「妖精使役」によるサポートでこれを撃退する。都市の有力者に英雄として認められ、聖騎士(パラディン)に叙勲さたウィルは「最果ての聖騎士(最果てのパラディン)」として活躍し始める。

強者の病

ウィルたちは、ビーストウッズ西部に跳梁する魔獣を従えていると思われるデーモンの統率者を狙う。そこで、「つらぬき」の二つ名で知られる凄腕冒険者”レイストフ”はじめとする戦いと冒険に命を燃やす多くの「冒険者」や「冒険野郎(マッドマン)」の協力を得ることになる。ウィル一行は魔獣退治や揉め事の仲裁など村々の問題を解決して周り、ビーストウッズは徐々に安全を取り戻し始めた。だが、冒険者数名が帰還しない事態が起こってしまい、ウィル一行は捜索をしに奥の谷へ向かった。そこで待ち受けていたのは、キマイラなど魔獣たちの罠であった。激戦の末、魔物を撃退するがメネルをはじめ多数の怪我人が出でしまう。ウィルは作戦を立てた自分を責め始め、周りに迷惑をかけてないようにと仲間を置いて1人で魔獣を追う。そこで、友人のメネルが見捨てまいと立ちはだかり、ウィルは立ち直るのだった。その後、数日をかけて戦力を整え、事前準備をし、キマイラとその統率者の討伐へ出向く。

最果ての聖騎士

ウィルたちの活躍でデーモンと魔獣の脅威が薄らぎ、ビーストウッズの村々は徐々に活気を取り戻しつつある。魔獣とデーモンの一件で、ウィルはビーストウッズの流通や権威、軍事力に裁判権など全てを掌握してしまった事実に初めて気づく。ウィルは渋々領主をやっていく事を決心。当初からの自らが育った死者の街を再び人の活気で満たすという願いを胸に、再び仲間と共に歩んでいく。

『最果てのパラディン』の登場人物・キャラクター

主人公

ウィリアム・G・マリーブラッド

CV:河瀬茉希

この物語の主人公。後悔を残し死んだ前世の記憶を保ったまま異世界転生した少年。通称ウィル。優しさと強さを合わせ持つ。しかし、15年間辺境で暮らしてきたため驚くほど世間知らず。「ウィリアム」とは、意思の兜という意味である。

ウィルの家族

ブラッド

CV:小西克幸

不死神との契約でスケルトンになった廃墟の街でウィリアムを育てた三人のアンデッドの一人。生前は「戦鬼(ウォーオウガ)」の二つ名を持つ戦士であり、性格はガサツで負けず嫌い。お父さん的存在となっている。

マリー

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