らせん(映画)のネタバレ解説・考察まとめ

『らせん』とは1998年に公開された日本のホラー映画。原作は鈴木光司の同名小説。前作にあたる『リング』の続編として同時上映された作品である。監督と脚本は1995年の単発ドラマ版『リング』の脚本を担当した飯田譲治。「呪いのビデオ」に科学的視点からその謎に迫る。前作のオカルトホラーから雰囲気を変え、原作を忠実に再現したSFサスペンス要素の強い作品になっている。解剖室に送られてきたかつての友人高山竜司の遺体。残された暗号。安藤は第一発見者高野舞とともにその謎に挑む。

『らせん』の概要

『らせん』とは1998年に公開された日本のホラー映画。鈴木光司原作のホラー小説シリーズの第2弾。第1弾の『リング』と同時上映された。『リング』の続編であり、2作観ることで完成するデュアル・ムービーとして話題を呼んだ。配給収入は10億円。ジャパニーズホラーブームの火付け役となる。原作小説『らせん』は第17回吉川栄治文学新人賞を受賞。『NIGHT HEAD』や1995年のドラマ版『リング』で注目された飯田譲治が監督・脚本を担当し、原作の「呪いを科学する」というコンセプトを忠実に再現している。キャッチフレーズは「あいつは死んだはずなのに」「その謎は『リング』に始まり、その恐怖は『らせん』につながる」(2作品に対して)。主人公の安藤は、突然死した友人を司法解剖したことから謎のウィルスを巡る事件に巻き込まれていく。『リング』でほとんど登場しなかった高野舞が安藤とともに事件の謎に迫る。前作の呪いの恐怖を前面に出したオカルトホラー要素は後退し、ウィルスや遺伝子、科学的要素が色濃く、ホラーというよりサイエンスフィクション、クライムサスペンスの雰囲気を持つ。さらに、恐怖の象徴であった「山村貞子」は「妖艶な悪女」として描かれている。後に公開された新たな続編『リング2』は『らせん』とは繋がりのないパラレルワールド的な内容であるため、本作が原作に沿った続編である。ちなみに2012年公開の『貞子3D』は本作の設定上の続編である。

『らせん』あらすじ・ストーリー

高山の遺したメッセージ

助けられず死なせてしまった息子の残した写真と髪の毛を見つめる失意の安藤。

東京都監察医を務める安藤満男(佐藤浩市)は2年前に息子の孝則を海難事故で亡くして以来人生に絶望し、自殺ばかり考えている日々を送っていた。安藤の元へ原因不明の突然死を告げたかつての医学部の友人、高山竜司(真田広之)の遺体が運びこまれた。同僚の宮下とともに行政解剖にあたる。胃の内容物から数字が羅列された紙切れを発見する。死因は心筋梗塞と判断された。しかし高山の教え子であり第一発見者の高野舞(中谷美紀)は高山の死にはあるビデオテープが関係してるとい言う。一方宮下は解剖の際遺体から摘出した謎の腫瘍を調べる。現代には存在しないはずの天然痘ウィルスに酷似していた。

「呪いのビデオ」死の連鎖

吉野から「呪いのビデオ」を手渡される安藤。

そんな中、高山の元妻だった浅川玲子(松嶋菜々子)と息子の陽一が謎の交通事故で死亡したという知らせが入る。事件を担当している前川警部補の見解は、陽一は事故の前にすでに死亡していた可能性があり、それに気づいた玲子が運転を誤り事故に至った、という。玲子の上司、吉野(松重豊)が破損した車内からビデオテープを発見していた。彼は病院に安藤を訪ね、玲子の手帳「リング」の存在を説明し、「呪いのビデオ」のコピーを手渡す。半信半疑でそれを観た安藤は、山村貞子の恐ろしい記憶と幻覚に襲われる。ビデオの呪いは本物だと確信した。高山から自殺する勇気がない自分にあてたプレゼントと解釈し、ビデオをすべて破壊することを決意する。マスターテープを渡すように吉野に迫るが一度は拒否される。吉野はビデオを観ていないが手帳「リング」を読んでいた。貞子の幻覚を見ることに怯えてたが、安藤にマスターテープを渡した直後吉野は突然死する。吉野の体から天然痘ウィルスが見つかったものの死因は窒息死だった。安藤は死の恐怖と息子を失った悲しみに追い込まれていく。舞は高山のように人の気持ちが分かったり、予知できたりなどの変わった力を持っていた。安藤の気持ちを察知し寄り添う。慰めあうように2人は一夜を共にした。

死亡者の共通点

同僚の宮下は最初に死亡した4人、そして一連の死亡者の解剖結果を確認した。高山を含め全員(浅川玲子以外)の心臓に原因不明の腫瘍と天然痘らしきウィルスがあることが判明する、このことから新種のウィルスによる死亡の可能性があると推測した。安藤は宮下に手帳「リング」を見せ、ありえない話だがそのウィルスは「呪いのビデオ」を観ることによって電子回路を通じ広まったのだと訴えた。かつて貞子がいた時代は天然痘が流行していた。安藤と関係を持った舞は自室で嘔吐し、貞子の幻影を見た後謎の失踪をする。安藤がビデオを観てから一週間たった日、彼は舞に会いに行くが、不在だった。玄関から水があふれ出してきたので急いで窓を割り侵入した。風呂場が水浸しになっていた。安藤は最悪のことを思い浮かべつつシャワーカーテンを開ける。しかし浴槽は血がにじむ水だけで満たされていた。

なぜ生き延びられたのか

舞の遺体が発見された通風口。

一週間が経過したが安藤は死ななかった。失踪して数日ぶりに舞が安藤の病院を訪ねてくる。以前とは別人のように派手な服装をし、赤い口紅を引いていた。積極的に安藤に迫る。貞子の幻覚にもそうされたように、舞に顎を舐められ、安藤はハッっとするが欲望に身を任せる。翌日、舞は港近くの廃ビル屋上にある通風口で変死体となって発見された。通風口は井戸によく似た形で遺体には出産した形跡が残っていたが赤ん坊は見当たらない。前川警部補は「呪われてる」と言った。「呪いのビデオ」を観ていない宮下にもウィルスの症状が出はじめてきた。宮下は一連の謎を推論した結果、手帳「リング」からも感染が起こること、また安藤が死ななかったのは貞子の協力者としてウィルスを広めたからだと考えた。

貞子の目論見

舞の体に復活した貞子。「あなたのせいよ、あなたが私を抱いてくれたから」罪悪感に打ちひしがれる安藤。

貞子は舞の体を使って復活する。貞子の真の目的は、生きたまま父親に井戸に突き落とされた恐怖を世間に伝えることであった。貞子は舞の子宮にDNAを複製した受精卵をいれれば数週間で死んだ人間を復活させることができるという。安藤は舞と関係を持ったことに原因があると気付かされる。貞子は安藤を追い詰め、彼の死んだ息子を生き返らせることを条件に自分の受精卵を取出し高山のDNAを組み込み、高山の復活を要求する。安藤は感染した宮下と協力して計画を実行に移した。二人は自分たちのためにこの世を裏切ったことを心に刻む。高山の遺した「DNA PRESENT」とはこのことであった。

終わらない感染、つかの間の幸福

事故の起きた海岸で息子と再会を果たす安藤。

そうして、安藤の息子孝則と安藤は復活することができた。舞の姿をした貞子と高山は玲子の遺した手帳「リング」を出版して、貞子の恐怖を世に広めると告げ去っていく。一方安藤は息子が帰ってたことを喜び安堵していた。

『らせん』の登場人物・キャラクター

安藤 満男(アンドウ ミツオ/演:佐藤 浩市)

本作の主人公。医学部大学講師と東京監察医務院の監察医を兼任する34歳。過去に海難事故で息子・孝則を亡くして以来、自殺の衝動に襲われるも実行できないでいた。医学生時代の友人、高山竜司の死体を解剖した際に出てきた紙切れの暗号を解読したことで事件に巻き込まれていく。吉野から手渡されたビデオを観て呪いが本物だと確信しテープを破壊する。しかしその後、高野舞と性的な関係になり、これが結果貞子の復活に協力した形になってしまう。

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