ヱヴァンゲリヲン新劇場版:破(ヱヴァ:破)のネタバレ解説・考察まとめ

『ヱヴァンゲリヲン新劇場版:破』とは、社会現象をも巻き起こしたTVアニメ『新世紀エヴァンゲリオン』を、同作監督を務めた庵野秀明自らが再構成したアニメ映画作品。「新劇場版」シリーズの二作目である。
謎の巨大生物・使徒により、「セカンド・インパクト」という大災害が発生してから15年。14歳の少年碇シンジは、父ゲンドウの命令で汎用ヒト型決戦兵器エヴァンゲリオンに乗り込み、使徒と戦うことを強いられる。同じくパイロットに選ばれた少女たちと交流しながら、シンジは世界の謎を巡る奇怪な陰謀に翻弄されていく。

エヴァンゲリオンパイロット

碇シンジ(いかり しんじ)

CV:緒方恵美

本作並びにシリーズを通しての主人公。エヴァンゲリオン初号機のパイロット。
繊細で内向的な14歳の少年。幼い頃に母ユイを失い、以後「先生」という人物に預けられ離れた土地で育った。父ゲンドウに呼び出され、数年振りに顔を合わせた彼からエヴァンゲリオンに乗って使徒と戦うことを命じられる。

自分に関心を抱かないゲンドウに反発する一方、唯一の肉親である彼に愛されたいという相反する欲求を抱えており、現在の性格も十分な愛情を与えられなかったために作られた面が大きい。トウジの妹が退院したと聞いて喜ぶ、破壊された街並みを見て「自分が戦えばこれ以上の惨状は防げるかもしれない」と一念発起するなど、本質的には善良で他人に寄り添うことができる人物。

ゲンドウへの愛憎に葛藤しつつ、上司にして同居人のミサト、同じエヴァンゲリオンパイロットである綾波、第3新東京市立第壱中学校でのクラスメイトであるトウジやケンスケらと交流を重ね、彼女たちとの間に自分の居場所を見出していく。
本作ではアスカという新たな同居人を得て、外交的かつ攻撃的な彼女に翻弄されるも、次第に親しくなっていく。一方で孤立しがちな綾波のことも気にかけ、何かと世話を焼いていた。結果この二人から好意に近い感情を抱かれるが、本人は彼女たちのことを異性としてはそこまで意識していなかったようである。

自分の乗った初号機でアスカを殺そうとしたことから、ゲンドウと決定的に決裂。「二度とエヴァンゲリオンには乗らない」と誓うも、壊滅寸前のNERV本部と、綾波が乗ったままの零号機が第10の使徒に捕食される様を見て翻意する。
初号機に乗って第10の使徒と戦い、活動不能になってもなお諦めず、ついには「エネルギーが枯渇して動けないはずの初号機を動かす」という奇跡を起こす。第10の使徒を撃破し綾波の救出にも成功するも、これ自体が世界的大災害サードインパクトの引き金となってしまい、世界を滅ぼす寸前に至る。

綾波レイ(あやなみ れい)

CV:林原めぐみ

本作並びにシリーズを通してのヒロインの一人。エヴァンゲリオン零号機のパイロット。
寡黙で感情に乏しい、機械的な印象の少女。シンジが第3新東京市に来てから知り合った人物で、エヴァンゲリオンのパイロットをしていたという以外、一切の過去は不明。普段は一人暮らしで、学校ではシンジのクラスメイト。薬剤のようなものを口にする以外、固形物を口にするシーンがほとんど描かれていないものの、シンジの作った味噌汁を「美味しい」と評していた。

その正体は複雑怪奇で、肉体はシンジの母ユイと初号機の原型となった第1の使徒アダムのハイブリット、魂は第2の使徒リリスのもの。TV版ではゼーレが進める人類補完計画の要であり、損失(=死亡)した時に備えて大量のクローンが用意されていた。新劇場版でも同様の設定なのかは不明だが、本人が「大量のクローンがいる」ことをほめのかす発言をしている。

ゲンドウにとっても計画の要であることから特に目をかけられており、自身も彼に対してだけは心を開いている。このことから「父とどういう関係なんだろう」とシンジに興味を持たれ、同じエヴァンゲリオンパイロットということもあり交流を重ねていく。その中で優しさや他人を思いやる気持ちなどのシンジの善性に惹かれていき、「碇くんといるとポカポカする」といった曖昧な表現ながら彼に好意を抱く。

シンジがゲンドウとの関係のことで悩んでいることから、二人を招いての食事会を企画。それに備えて慣れない料理に奮闘するも、第9の使徒の出現により食事会は中止。自身の想いとは裏腹に、シンジとゲンドウの仲は修復不可能なほどに悪化してしまう。
その後第10の使徒の迎撃のため零号機で出撃し、強力な爆弾を持って特攻を仕掛けるも、これに耐え抜かれた上に戦闘不能で立ち尽くしていたところを乗機ごと捕食される。初号機で駆けつけたシンジによって救出されるも、始まってしまったサードインパクトの渦中でどうなったのかは不明。

式波・アスカ・ラングレー(しきなみ あすか らんぐれー)

CV:宮村優子

本作並びにシリーズを通してのヒロインの一人。エヴァンゲリオン2号機のパイロット。
孤高にして尊大、外交的で攻撃的な14歳の少女。しかしアスカ自身も孤独な幼少期を過ごしており、内面はシンジと同程度に繊細。
この歳にしてユーロ空軍のエースで、自身を“天才”と称する。エヴァンゲリオンのパイロットとしてそれに見合うだけの実力を備え、当初はシンジを「七光り」、綾波を「えこひいき」と呼んで軽んじていた。

しかしシンジやミサトとの同居生活、自分一人ではどうしようもなかった第8の使徒との戦いを経て大きく成長し、他人と関わっていくことも悪くないと感じられるようになっていく。同時に年齢相応の少女らしい情動も見られるようになり、特にシンジにはほのかな想いを抱き、気を引くために手料理を作ろうとする姿も見られた。
綾波もまたシンジに好意を抱いていることを知り、彼女が企画した食事会の成功のために同日行われることとなったエヴァンゲリオン3号機の起動試験のパイロットを志願する。しかしこの時点ですでに3号機は第9の使徒に侵食されており、自身もコックピットごと取り込まれてしまう。初号機で迎撃に向かったシンジは「3号機にはアスカが乗っているのでは」と攻撃を躊躇するも、ゲンドウが自動操縦用のダミーシステムを起動したことで状況は一変。3号機(第9の使徒)は八つ裂きにされ、なお攻撃を続ける初号機によってコックピットも噛み砕かれる。
なんとか一命は取り留めるも、使徒による侵食はアスカの心身にまで及んでおり、意識も戻らぬまま隔離処分となる。そのまま物語からはフェードアウトするも、本作ラストの次回予告にて眼帯をつけている以外は健在なところを見せた。

TV版では名字が「惣流」となっていた。母親との確執、加持への恋心など、ある意味シンジ以上に深い心の闇を抱えていたが、新劇場版ではそれらについては描写されていない。途中稿にはそれらを匂わせる内容も記されているものの、映画の尺の中では描き切れないと判断して省略(あるいは最終稿までに設定が変更)されたものと思われる。

真希波・マリ・イラストリアス(まきなみ まり いらすとりあす)

CV:坂本真綾

ベタニアベース所属、エヴァンゲリオン仮設5号機のパイロット。
根明で人懐っこい性格をしているが、一方で計算高く物事の割り切りが非常に早い。見た目はシンジと同年代である。北極にあるベタニアベースの所員は多国籍で構成されているように描かれているが、そこに来る以前のマリの経歴は不明。視力がかなり悪いらしく、メガネを落とした際はそれを拾うまで傍らのシンジのことも完全に無視していた。

加持の工作によってベタニアベースが壊滅した後、何者かの指示で日本に密入国。しばしの潜伏期間を経た後、第10の使徒がNERV本部を襲撃した際、どのようにしてか凍結中のエヴァンゲリオン2号機に乗り込んでこれを迎え撃つ。ただならぬ実力を見せつけるも第10の使徒には及ばず決定的なダメージを受け、それでもなお零号機を援護した。
アスカも知らなかっただろう2号機のビーストモードを発動させ、「自分の目的に大人を巻き込むのは気後れする」と発言するなど、シンジたちも知らない情報を知っており、それに基づいて行動している節があるが詳細は不明。初号機によるサードインパクト発動の瞬間にも立ち会うが、「そういうヤツか」と特に慌てることもなく崩壊していく世界を眺めていた。

パラシュートで密入国を果たした際にシンジと出会い、その体からL.C.L.の匂いを嗅ぎ取って「おもしろい」と評する。零号機の特攻の余波で戦闘不能となった際にも、シェルターの中に避難していたシンジと機体越しに顔を合わせ、「ここにいたら死ぬから早く逃げた方がいい」と助言。2号機に残されていた最後の力で、彼をシェルターの外へと導いた。

謎の少年

CV:石田彰

EVANGELION Mark.06(エヴァンゲリオン6号機)のパイロット。
ほとんど大気の存在しない月面で平然と活動するなど、人間とは異なる存在であるかのように描写されている。

Mark.06の視察に訪れたゲンドウたちの前に姿を現し、「初めまして、お父さん」と謎めいた言葉を投げかけた。その後は第10の使徒が出現した際に、月面でエヴァンゲリオンのパイロットスーツを着ている形で登場。最後は初号機を串刺しにすることでサードインパクトを中断させる。出番は全て合わせても一分程度ながら、いずれも印象的な活躍を見せている。

作中では言及されないものの、容姿、声優、シンジに対する執着などからTV版に登場した「最後の使徒」渚カヲルが正体だと思われる。言動を拾っていくとTV版や旧劇場版の記憶を持っているように思われる形となっているが、詳細は不明。
TV版では短い交流の中でシンジに友情を抱き、最後は彼の乗る初号機の手で殺されることを望む。カヲルが向けてくれた純粋な友情は、TV版終盤の追い詰められたシンジにとって掛け替えのないものであり、『エヴァンゲリオン』シリーズを語る上で外せないピースとなっている。

特務機関NERV

葛城ミサト(かつらぎ みさと)

CV:三石琴乃

29歳にしてNERV戦術作戦部作戦局第一課の課長を務める才媛。使徒が現れた際は戦闘指揮を執り、エヴァンゲリオンのパイロットであるシンジたちの実質的な上司である。
戦闘指揮官としては非常に優秀だが、私生活はガサツで大雑把。ゲンドウに反発しつつもその愛情を求めるシンジを見かねて、第3新東京市における保護者を申し出る。エヴァンゲリオンのパイロット同士の連携を考慮してアスカも同様に引き取り、疑似家族の家長として二人を見守った。

セカンドインパクトが発生した現場に居合わせて生き延びた、唯一の人物。父親とは折り合いが悪かったが、この時その父親が身を挺して守ってくれたことで命拾いしている。永遠に和解することができなくなった父親に対し複雑な感情を抱いており、シンジに目をかけたのは「父親との関係がうまくいっていない」という点で過去の自分と重ね見たことも一因である。
学生の頃は加持と交際しており、現在も知り合いをナンパしているところを見掛けると露骨に嫉妬する程度には情を抱いている。別れた原因はミサトの側にあり、本人たちの言葉を分析していくと「ミサトが加持に父性を求め過ぎた結果うまくいかなくなった」ようである。

シンジたちに対し、TV版と比べて「大人としての接し方」を心がけており、本作のシンジが比較的前向きな描写が多いのも彼女という保護者を得ているためだと思われる。

碇ゲンドウ(いかり げんどう)

CV:立木文彦

NERV最高司令官。48歳。
地球規模の大災害サードインパクトを起こさんとする使徒を殲滅するため、様々な計画を進めている。その裏ではNERVを操る秘密結社ゼーレの重鎮たちと接触し、彼らの悲願たる「人類補完計画」を推進。一方、密かに要所要所で布石を打ち、自身の目的の達成を目論む。
そのためなら謀略も同胞たるNERVに対する工作も辞さず、息子のシンジすら利用する。不遜にして狡猾、父性らしいものを見せるシーンはほとんど皆無。親子関係は破綻同然の状態にあり、それを改善しようという意志も見られない。唯一綾波に対してのみ特に目をかけているが、これは彼女が人類補完計画にとって重要な存在であるため。
極めて独善的かつ非情な人物だが、うまく表現できないだけで家族愛自体は持っており、作中では綾波の企画したシンジも招いての食事会が第9の使徒の出現で中止せざるを得なくなった際にどこか苦々しい顔をしていた。

TV版において、ゲンドウの真の目的は初号機の中に取り込まれて消滅した妻ユイとの再会にあった。ゼーレの進める人類補完計画とは、全ての人類を原初の生命の形たるL.C.L.に還元し、一個の存在として再構築することだった。ゲンドウはここに自分の意志を加えることで、全ての命を内包したL.C.L.の海の中からユイをサルベージしようと考えたのである。
最終的にこれは失敗するも、新劇場版ではゲンドウの計画に不可欠なはずのアイテムが別の物に入れ替わっており、彼が何を最終目標として動いているのかは不明。

冬月コウゾウ(ふゆつき こうぞう)

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