菜の花の彼(ナノカノカレ)のネタバレ解説・考察まとめ

『菜乃花の彼ーナノカノカレー』は、桃森ミヨシと鉄骨サロによって2014年から2017年まで『マーガレット』で掲載された漫画である。
昔のトラウマによって恋に臆病になってしまった主人公と、主人公に惹かれる2人の男性を中心に描かれる恋愛ストーリー。二部構成で、一部は少女漫画の王道ストーリーだが二部からはサスペンス要素も強くなり、新感覚の少女漫画となっている。読者に訴えかけるような繊細でリアルな心理描写と胸に残る切ない展開が話題を呼んでいる。

『菜の花の彼ーナノカノカレー』の概要

『菜乃花の彼ーナノカノカレー』は、桃森ミヨシと鉄骨サロによって『マーガレット』(集英社)に2014年から2018年にわたって二部構成で連載された漫画である。
『悪魔とラブソング』で米国図書館協会ヤングアダルトサービス部門が選ぶおすすめ日本漫画2013年版に選出された実力派作家桃森ミヨシが鉄骨サロとタッグを組み、コンビとしての初連載となった。

中学時代に経験した恋愛がトラウマとなって高校生になっても臆病な主人公・菜乃花は、ある日街ですれ違った年下の中学生・隼太に恋をして告白をする。
初めて自分から好きになった菜乃花は、隼太との関わり合いで傷を癒やし、過去を乗り越えようとしていた。
しかし、ある日トラウマのきっかけとなった元彼・鷹人と再会してしまう。怯える菜乃花だが、鷹人は再会したことで菜乃花への気持ちを改めて実感する。
この再会をきっかけに菜乃花、隼太、鷹人は運命の渦に巻き込まれていく。

登場人物ひとりひとりのキャラクター作りや作中の心理描写がしっかりしており、従来の少女漫画とは一線を画す内容が人気を呼び、衝撃の話題作となっている。

『菜の花の彼ーナノカノカレー』のあらすじ・ストーリー

第一部

菜乃花の過去と現在

恋愛話をする友人・千里に上手く反応できない菜乃花。

綾瀬菜乃花は高校1年生、2人の友人・優子と千里といつも一緒にいるが、どうもあまり話が合わない。
というのも千里はいつも恋愛話ばかりしており、優子はいつもそんな千里の愚痴ばかり言っている。
昔から他人に意見をせず、自分の頭の中だけで解決してしまう菜乃花に対して優子は苛立ちを覚えていた。

時は戻って菜乃花は中学時代、周りの友人に彼氏が出来ていく中、人を好きになるということが分からずに浮いていた。
「とりあえず告白されたら付き合ってみなよ」という友人の勧めで、告白してきた上杉鷹人と交際することになったが、
気性の荒い鷹人と意見が言えない菜乃花はどんどんギクシャクするようになる。

いつもイライラしている鷹人に菜乃花は「自分がこんなんだから嫌いなのかも」と思い、そんな風にしか思わせられない鷹人は自分に対してイライラするという悪循環が続いていた。
ある日偶然、鷹人が友人に「菜乃花は積極的でキスも自分からしてくる」と言いふらしているのを聞いてしまう。
そんなことしたことないのにと驚いた菜乃花は、2人きりの時に鷹人にどうして嘘を言うのかと迫るが、癇癪を起こした鷹人は「じゃあ本当にしたらいい」と無理矢理キスをしようとする。
驚いた菜乃花は鷹人を振り払ってその場を逃げ出してしまった。

次の日、友人と話す鷹人の姿を見かけた菜乃花は、鷹人が「菜乃花は思ったのと違ったから別れた」と話しているのを目撃する。
菜乃花は鷹人の関係は終わりにされたと知り、それから中学卒業まで鷹人と話すことはなかった。
それが菜乃花の初恋だった。

ギクシャクしたまま終わりを迎える菜乃花と鷹人。

菜乃花の冷めたようにも思える態度に見下されていると感じた優子は、思わずその気持ちを菜乃花にぶつけてしまう。
しかし、菜乃花にはそんなつもりは一切なく、ただ単純に「分からない」だけなのだ。
過去の恋愛にとらわれて友情もうまくいかず悩む菜乃花はひとりファストフード店へと出向く。
鷹人と上手くいかなかったことを思い出していた菜乃花の後ろの席では、運悪くカップルの別れ話が始まってしまった。
どうやら彼女の浮気が原因で別れに至ったようだが、菜乃花は男の子の声を印象的に感じる。
「浮気とか無理だから」と告げる男の子に彼女は逆上して、本当に好かれているか不安だから試しただけだと言うのだ。
走り去る彼女の背中に小さく「ちゃんと好きだったんだけどな」と呟いた男の子の言葉に、菜乃花は自分と似たものを感じていた。

千里と優子の話に入れず悩む菜乃花。

鷹人との過去を思い出し、千里や優子とも上手くいかず、モヤモヤが晴れないままのある日の放課後。
結局鷹人に対してどうすればよかったのか分からず、全て自分のせいだと思い込み、涙で菜乃花の視界が曇っていく。
立ち止まって俯いていると、聞き覚えのある声がした。
先日の別れ話の男の子の声だ。

どうやらどうして彼女と別れたのかを友人から問い詰められているようだ。

その質問に男の子は、「気持ちのあるく早さが合わなかっただけ」だと答えた。
この言葉が菜乃花に深く染み込んでいく。
それはあの時、鷹人と上手くできなかった菜乃花が知りたかった答えでもあった。

胸がいっぱいになった菜乃花は勢いよく振り向き、男の子にこう告げる。

「私と、付き合ってくれませんか?」

癒えていく傷と再会

隼太に想いを告げた菜乃花。新たな一歩が始まる。

菜乃花が想いを伝えたのは、菜乃花が卒業した中学校に通う14歳の桐山隼太だった。
咄嗟に想いを伝えたものの、隼太は失恋したばかりで告白には応えられないと断る。
しかしどうしても諦めきれない菜乃花は、自分のメールアドレスを書いた紙を渡し、気が向いたら連絡してほしいと告げる。
それは、いつも頭で考えてばかりで臆病になっていた菜乃花にとっては自分でも考えられないほどの大胆な行動だった。
その真剣な想いを感じた隼太は驚きながらもそのメモを受け取った。

なかなか言葉が出ない初対面の菜乃花を気遣う隼太。

翌日、どうも菜乃花の様子がおかしいと勘づく千里と優子は菜乃花の話を聞いて驚く。
しかし初めて見る菜乃花の素直な表情や恥ずかしそうにする表情を見て、やっと菜乃花が心を開いてくれたようにも感じていた。
3人で恋愛話が出来るようになり、より一層絆を深めることが出来たのだ。

ついにその3日後、隼太から会って話したいという旨のメールが入った。
放課後、隼太に呼び出された菜乃花は「やっぱり付き合うことはできない」と断られる。
それが隼太の今の正直な気持ちだった。

そこへ隼太の友人達が偶然やってきて、菜乃花の存在を確認すると隼太をからかい始めた。
自分が菜乃花に振られたと菜乃花を庇う発言を聞いた菜乃花は「あなたへの気持ちをわたしから絶ったように言わないで!」と泣きながらその場を去る。

菜乃花のためを思っての発言だったが、それが逆に菜乃花の気持ちを傷つけてしまったことに気がついた隼太は自身のこれまでの言動を反省する。
そういえば前の彼女の時もそうだったなと改めて気づいたのだ。

一方の菜乃花も、一晩泣き明かして、昨日の失礼な態度を反省していた。
どうしても顔を見てきちんと直接謝りたいと思った菜乃花は、毎日隼太の学校の前で待ち伏せをすることに決める。
しかし、何日通ってもなかなか会えずにいた。

菜乃花が中学に足を運んでいる頃、実は隼太も菜乃花の高校に出向いていた。
ふたりはすれ違っていたのだ。

何日も会えないことにヤキモキした菜乃花は、自身の中学の制服を着て校内に潜入することを決めた。
そうとは知らない隼太は今日も高校に行こうとするが、財布を教室に忘れたことに気がつく。
慌てて教室に走り、勢いよくドアを開けると、そこには中学の制服を着た菜乃花が立っていた。

まさか菜乃花がいると思っていない隼太と本当に会えるとは思っていなかった菜乃花はお互いに驚いて言葉に詰まってしまう。
しかし、危険をおかしてまで自分の領域へと足を踏み入れてくれた菜乃花の気持ちを思うと、嬉しいような驚くような不思議な気持ちになった隼太。

そして付き合えないと言ったことを撤回し、「ここから始めさせてください」と告げた。

隼太が中学生と知り、驚く菜乃花。

それから付き合っているわけではないものの、菜乃花と隼太はよく電話で話すようになっていた。
隼太との穏やかなやり取りは、菜乃花の過去の傷を癒し、そして時には菜乃花を大胆にもしてくれていた。
自分でも初めて見る自分の姿に菜乃花自身も嬉しさを覚えた。

そんな日が続いたある日、帰りがけ下駄箱で菜乃花は優子の彼氏・大地に声をかけられる。
聞くところによると、優子と喧嘩してしまい気が滅入っているとのことだった。
「優子は理由もなく怒ったりしないはず」と反論する菜乃花に大地は「今カラオケにいる優子に謝りに行きたいから、一緒についてきてほしい」とお願いする。
この頃優子と上手くいっていなかった菜乃花は自分も優子に会えるのなら、と大地についていくことにした。

しかし、優子はそれを影が見ており、菜乃花が大地に騙されて連れて行かれたと慌てる。
自分の力では男性の大地には勝てないと思った優子は、急いで隼太に連絡をする。

一方でカラオケボックスに連れて行かれた菜乃花は、指定された部屋に優子はおらず騙されたと気が付く。
気が強い優子より大人しくて純粋そうな菜乃花が気になっていた大地は最初から2人きりで菜乃花を襲う計画だったのだ。

激しく抵抗するが力で勝てるはずもなく、押し倒されそうになる菜乃花。

すると、突如激しい力で大地を殴る何者かが現れた。
咄嗟に「隼太くんが来てくれた」と思い、顔をあげると、そこにいたのは何とあの鷹人だった。

突然現れた鷹人と動揺する菜乃花。

鷹人の存在と菜乃花の恋の行方

無理矢理菜乃花の唇を奪う鷹人。

急な鷹人の登場に驚く菜乃花。
鷹人は「菜乃花を襲おうとしたことが、学校に知らされたらやばいだろうから早く出ていけ」と忠告し、大地を退室させる。

鷹人はこのカラオケ店でバイトをしており、防犯カメラで菜乃花が入ってきたのを見ていたという。
大地と不自然な距離をとって歩いているのをおかしいと思って部屋まで来たのだ。

驚く菜乃花に「運命ぽいって思ったろ?」と尋ねる鷹人。
その言葉にむっとした菜乃花は「思わない」とはっきり告げ、今は好きな人がいてその人が大切だということも伝える。
悔しさのあまりカッとなった鷹人は、菜乃花に無理矢理キスをする。

怒りと悔しさで表情を崩した菜乃花を見て、鷹人は人形みたいだったのにお前は変わったと言う。
自分の知らない菜乃花に鷹人はひどく動揺していた。

その動揺の表情は菜乃花にとっても初めて見る鷹人の姿で、そのまま部屋を飛び出す。

家に帰っても涙が止まらない菜乃花は、その日隼太からの電話に出ることは出来なかった。

一方隼太と優子はカラオケに駆けつけたものの、鷹人との騒動があったあとで、結局菜乃花には会えないままだった。

翌日、優子に話しかけられた菜乃花は上手く受け答えが出来ずに黙ってしまう。
優子は大地にカラオケに連れて行かれた事実を知りながらも、菜乃花の気持ちを考えて何も言わない。

菜乃花も優子にとって気持ちのいい話じゃない為、本当のことが言えずにいた。

千里も菜乃花の異変に気がつき、優子に様子が変だと話を切り出す。
しかし菜乃花が切り出すまで待っておこうという姿勢を見せる優子に千里は驚いた。
優子自身もいつもならイライラするけどと肯定しながら、自分を押し付けてもいけないからねと千里に自分の気持ちを伝えた。

放課後、屋上でひとり思い詰める菜乃花の元へやってきた優子は、昨日大地と行動を共にしたことは知っていると伝える。
そして、自分の力じゃ菜乃花を助けられないから隼太を見つけてカラオケに駆けつけたことも伝えた。

役に立てずにごめんねと言い残しその場を去ろうとする優子。
そんな優子を見て、菜乃花は初めて「話を聞いてほしい」と涙を流した。

菜乃花は大地のこと、そして鷹人との再会について全て話した。
優子に聞いてもらううちに、自分は鷹人ときちんと関係を終わらせていなかったことに気が付く。
鷹人から直接別れ話をされたわけではないことを思い出した菜乃花は、鷹人に会って話をしようと決める。

初めてきちんと話をする菜乃花と鷹人。

一方で鷹人は菜乃花について親友の健介に話していた。
まだ引きずっているのかと問う健介に「まだ終わってねーから」と答える鷹人。
そんな鷹人の元に菜乃花から電話がかかってくる。

明日の18時半にファミレスで会う約束をして電話を切る鷹人に、健介は再会したのかと驚く。
そして、菜乃花が復縁を望むわけでないならもうやめておけと忠告をする。
鷹人は周りが見ても分かるほどに、菜乃花に執着していた。
別れてからも菜乃花にずっとこだわり続ける鷹人を見て、健介は鷹人の重い愛は菜乃花を傷つけると分かっていた。

しかし忠告を聞かないどころか、自分が抱く感情が菜乃花への恋だと分かっていない鷹人を健介は呆れ返って見ていた。

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