グリザイアの迷宮(ゲーム・アニメ)とは【ネタバレ解説・考察まとめ】

『グリザイアの迷宮』とは2012年2月に発売されたアダルトゲームである。『グリザイアの果実』の続編で、各ヒロインのアフタールートと主人公・風見雄二の過去編である「カプリスの繭」などを収録している。「カプリスの繭」では雄二の家庭環境から雄二の姉一姫と両親が亡くなりテロリストに引き取られ殺人マシンなってしまい、後に自身の養母になる麻子に引き取られ育てられ、学園に来るまでを描く。「萌えゲーアワード2012」で、SILVER大賞・ユーザー支持賞および主題歌賞の金賞受賞。

ライフルのネジの締め付けの確認を終え、ここに来るまでに設置してきた風力計の数値をネット経由で自身のノートPCに受信させて弾道計算ソフトを走らせる。射距離は約1270メートル。蒔菜は準備を済ませて最後に視力を補助して7分間瞬きを不要にさせる薬「ブースター」を口にする。補助されて見やすくなった蒔菜の目には社長室にいる清香の姿が映る。蒔菜が最初に窓に穴をあけるために徹甲弾を撃つと弾は秘書沢田が持っていたカップに当たる。慌てた清香が電話を取ろうとすると蒔菜の次弾が電話を破壊する。恐れ慄き逃げる清香達を見て蒔菜は留飲が下がった思いがあった。そして蒔菜は「ブースター」を飲んだことによる副作用が起きる前に落ち着ける薬を飲むと雄二との待ち合わせ場所へ向かった。

雄二は友達であったダニエルが日本に残していった形見である車をダニエルの妹から借りて合流した蒔菜を乗せて三嶋崎へ向かった。あまりにも唐突に学園を去ってしまった2人に今でも天音から手紙が届いていたのだ。名前しか記入されていない本来なら届くはずのない手紙であったが会社の計らいで届く手紙は、暗号防止のために中抜きされて一部判読不明になっていはたが天音が美浜を卒業して寮母になったと綴られていた。
1年ぶりに美浜へ向かう蒔菜は複雑な心境であった。無事に三嶋崎へ着くと以前蒔菜がバイトをしていたパン屋が無事に再開している姿があった。雄二は店主への挨拶を促すが、蒔菜は自身のせいで店が燃えてしまったことに責任を感じており、店主に見つかった際にも逃げ出そうとしていたが店主は蒔菜を温かく受け入れた。腕を磨いてさらに美味しくなったパンを蒔菜に振舞う自信に溢れた顔は「生きてさえいれば取り戻せないものはない」と語っているようで蒔菜にも笑顔が戻った。
そして、美浜へ戻ると校門で掃除をしていた幸が出迎えてくれた。幸の口から美浜は変わらずであり、2人の部屋もいつ戻ってきてもいいように掃除してあると言われた。それに喜んだあと、蒔菜が美浜へ来た理由である用事を済ませることに。蒔菜は以前幸から貰った希望の苗であるリンゴの苗を学園に植えに来たのである。蒔菜はいつ死ぬかもわからない仕事をしている以上仮に自身が死んでしまったときに苗を受け取ってしまった人間が嫌な気分にならないように学園に植えることで誰かが育ててくれるようにと思ったのだ。リンゴの苗を無事に植え終えた後、幸はいつまで日本に滞在するのかと聞いてくるが、蒔菜はすべて雄二とキアラが決めるのでわからないと言う。
雄二はぬか喜びさせぬように詳細を省いていたが、蒔菜が首尾よく日本の検問を合格できれば日本の滞在期間が延びると伝えると2人は喜ぶ。しかし、試験は難関であり、瞬間記憶能力をもっている蒔菜にとって筆記試験は問題ないが、ピクニックという実技試験であった。蒔菜はヴァージニアにて研修を済ませており、更に特別推薦枠での上に子どもでの参加ということで周りからの僻みでいじめられる可能性もあったが蒔菜本人は気にしないということだった。

久しぶりの寮へ帰ってきて天音の在席プレートを見て蒔菜が「穴姉(普段天姉と呼んでいたのでそれをもじったもの)」と呼ぶと怒った天音が出てきて、2人の帰りを喜び田舎のおばあちゃんよろしく餌付けを始める。蒔菜の要望により晩御飯がカレーに決まり、天音に蒔菜を任せて雄二は他のクラスメイトに会いに行くことにする。寝ぼけたみちるにキスをせがまれたりしたが蒔菜が美浜を出る際にもらった2000円を返して、そして廊下を歩いていた由美子に遭遇したが由美子は雄二を見ても驚かず普段通りにお帰りと言った。由美子は2人の現状をある程度理解しており、今後はどうするつもりなのか聞き、日本にある程度滞在するなら学生と言う身分が丁度いいからもう1度在籍したらどうだと提案して千鶴にも相談してあげるという。雄二はもう1度世話になるようなことがあれば頼むといい別れた。
最後に千鶴の元へ訪れると2人の再入学の準備は出来ているからいつでも戻ってきなさいという言葉を貰い、更に適度に千鶴をからかいつつ夕ご飯のカレーパーティーに誘い雄二は寮へ戻った。

天音のカレーを食べて涙を流す蒔菜

皆でのカレーパーティー中蒔菜は久しぶりの天音の料理の味に涙を流す。家族に恵まれなかった蒔菜には「ただいま」と言える相手がいることと、母親のような天音の存在が心に染みたのだ。そんな蒔菜をみてもらい涙を流した天音たちと笑いながら細やかな日常を楽しんだ。

早朝に蒔菜は日本でのライセンス取得のため任地へ向かった。蒔菜が任地へ向かうためのバスで隣に座った男性から弁当を半ば無理やり分けてもらっている一方で雄二は蒔菜が日本にいても問題がないか入巣宗家分家の情報探っていたが既知の情報がメインで目新しいものはなく、唯一清夏が海外に出ていったらしいというもののみで今のところは脅威になるものはないと判断した。その後、蒔菜が任地にて訓練をしている間雄二は美浜で天音にダニエルの車を運転させてほしいと強請られ一緒にドライブをしたりみちると買い物をしたりなど他のクラスメイトと戯れていた。そして、蒔菜が訓練課程を終えた証のダイヤの勲章を持って帰ってきた。
出自に難ありと示されたが、他が優認定であったため蒔菜は無事に日本国内での仕事を許可された。残りの問題は蒔菜の任地を日本国内、活動拠点を三嶋崎にすることの許可を取ることであった。免許取りたての蒔菜に任地を決める権限があるはずもなく、雄二は自身を美浜へ入れる際に協力してくれたJBを頼ることにする。最初JBは難色を示したが人事部のトップにスキャンダル関係の揺さぶりをかけることで蒔菜と雄二は再び美浜の学生として通う許可が下りた。こうして蒔菜は日常を手にしたが、日常を人質に電話1本で仕事に呼び出されるようになり穏やかな日常と鉄火場の日常を雄二と共に過ごしていくことになった。

小峯幸アフタールート

雄二と幸が幸の実家にいって両親の真意を知ってから1年後。幸は以前学園爆破の際に雄二が使用していたプラスチック爆弾を粘土と誤認したことを悔いて爆弾解除の訓練を雄二としていた。状況ガスと仮定してテント内に唐辛子を焚いてガスマスク着用して解除訓練をやったりと着々と成長していた。順調に日々を歩む中2人は学生結婚をすることが決まっていた。幸の伯父夫婦にも許可を取り、JBや千鶴からもあっさり許可が下りたためである。結婚式は幸の誕生日である9月23日に行う予定であり、式まで2週間というところまで来ていた。幸はトラウマを克服して以来眠り続ける母親の見舞いを毎週雄二と共にしていた。脳への深刻なダメージは時間経過とともに回復の見込みが薄くなっていくことを理解しつつ母親に声掛けをやめることはしなかった。

ある日、幸とともに商店街に買い物に来ていたところ幸が商店街で人気者であったため住人から祝福されていると見慣れない男から幸を守れるのか聞かれた雄二は迷いなく幸を守ると言うと男は陰ながら自身も祝福させてもらうと告げて去っていった。雄二は男の付けていた香水に紛れて「甘ったるい匂い」が混ざっていたことが気になったが考え過ぎだろうと忘れることにした。その後商店街を1周するころには両手に祝いの品を大量に持つことになった2人。幸から結婚式に今回の地域の人からの祝いを受けて一般の人間も参加できるようにしたいこととウェディングドレスは自身だけに選ばせてほしいと要望を受けて雄二はこれを承諾した。幸が機嫌よくはハミングしている姿を見て雄二は結婚式が幸にとって幸せになるものに違いないと確信した。

結婚式の打ち合わせの日、朝からクラスメイト達と式の内容について和気あいあいと話をしているとテレビからTOY BOMBERという人物が掲示板で爆発物を仕掛けたという予告があり三嶋崎の公園にダイナマイト上の不審物が発見されたというニュースが流れてくる。爆弾なんて簡単に作れるのかというみちるの問いに対してネットに精通している由美子がネットを使えば簡単に作り方を調べられるからコンビニ1つあれば簡単に爆弾を作ることは可能だと言う。物騒な世の中になったなと嘆く天音は幸たちの結婚式は大丈夫かと心配するが、雄二が何があっても幸を守ると宣言することで周りを安心させた。その後。打ち合わせに向かい参加者を増やすこととウェディングドレスを決定して、午後からは公園にて昼食をとりデートをした。

結婚式前日になり、幸は幼い頃に母親と交わした会話を思い出していた。いつか素敵なお嫁さんになるというもので、実際に好きな人のお嫁さんになる今、母親のように素敵なお嫁さんになるのだと呟く。手にはあの日のオルゴールがあった。寮のエントランスに由美子を除いたクラスメイト達が集まって蒔菜が幸と雄二がどれほどクイズの答えがシンクロするかやってみようと提案したことで遊ぶことに。雄二も幸も自信満々でそれに挑む。問題に挑むが幸の1番好きなサメも専業主婦か兼業主婦がいいのかという問題を連続で外してしまい雲行きが怪しくなったことでみちるが心配をするが幸はまだ頑張ると言うので続ける。しかし、なかなか答えが一致せず幸の態度からも自信が無くなっていた。そして最後の問題は「自分たちがデートをしている施設に強盗が逃げ込んでしまった場合どするのか」というもので雄二の答えは「幸を安全な場所へ逃がす」幸は「雄二と共に敵を無力化する」と最後まで答えは合わなかった。クラスメイト達は盛り上げようとしたことが幸にショックを与えてしまう結果になりフォローに回るが幸は明らかに顔色も悪く頭が回っていないようで気を利かせた雄二が外へ連れて行った。

甘いものを食べれば女の機嫌は直りやすいだろうと思った雄二は幸と甘味処に一旦逃げて、少し元に戻った幸は少し我がままを言いたいと言い以前に雄二とデートした海へ来た。そして自分たちが思い描いている幸せの形がズレていることにショックを受けたと幸は雄二に言う。幸を危険から遠ざけて守りたい雄二と雄二の傍に居て役に立ちたい幸。しかし、合わなかったのは自身たちがその部分について話し合わなかったことが原因であり、幸は自身の気持ちを包み隠さず伝えることを決めて美浜を卒業したあとに看護学校に入るかどうか雄二ときちんと相談して決めたい、そして自身の進むべき道を話し合って幸せの形を考えていきたいと告げる。雄二は幸の考えを受け入れ、幸と共に幸の母親の元へ行く。
母親の眠る病室へ着いた雄二は母親に対して誠実であるために幸には普通の生活をしてほしいと思っていたが、それは自身のエゴであり多少危険があろうとも自身の役に立ちたいと強くあろうとする幸の気持ちを汲んで生きていくことを宣言する。そして、お互いの気持ちを確かめて改めて雄二は幸にプロポーズをする。そして母親の前で幸を幸せにすると誓う。

結婚式当日、雄二と幸は別々に式場入りすることになっており、JBが雄二を式場に送り届ける役目を担っていたため寮まで迎えに来ていた。JBの作った朝食を食べて準備していると彼女が仕事の電話をしているところに遭遇した。曰く三嶋崎に出ている爆弾魔であるTOY BOMBREが再び犯行予告をしたというものであった。今まで2回の犯行予告をしていたが爆弾はブラフであったことから警察は今回もブラフであると考えているが三嶋崎にいるJBにも市ヶ谷経由で連絡が来たのだ。検問が始まる前に出発したが、渋滞に巻き込まれてしまい集合時間ギリギリに式場に着いた雄二たち。
控室にて待っているとJBの元に爆弾魔から追加の犯行声明がでたと連絡が入る。それは「三嶋崎で1番ハッピーな奴らに制裁を加える」というものであり、三嶋崎で結婚式を挙げる自分たちがターゲットの可能性が高いと判断した雄二とJBは周りに知らせるためにエントランスへ向かう。エントランスへ出ると千鶴の代わりに受付をしていたみちるが式場宛ての荷物を受け取ったと蒔菜と由美子に報告していた。さらにタイミングが悪いことにみちるがプレゼントボックスを開けたところにメイクを終えた幸と付き添いの天音がやってきた。雄二とJBが爆発の危険に備えその場の人間を床に引き倒し対爆防御姿勢を取る。

爆発こそしなかったが、プレゼントボックスの中のケーキには金属製の棒が2本刺さっており、同じく金属製のレールが棒の間に敷かれておりその上にパチンコ玉が乗っていた。パチンコ玉を押さえていた蓋が取られたことにより、玉が棒に触れれば起爆するようになってしまっていた。いまだみちるが爆弾を持ったままでありみちるがドジを踏めば爆発してしまうという状況に雄二は一先ず自身が解体作業に入ることにする。幸とJBに視線を送り周囲の人間の避難させるよう指示をする。そしてみちるの持つ爆弾に向かい合っていると幸がどこかで調達してきたスポーツに使う防具を爆発した場合4肢の離散を防ぐための対爆スーツの代わりにとみちるに着せていく。慎重に雄二が解除のために構造を把握しようとしていくとケーキの重量が軽すぎると思い、振動センサーなどの重量のあるものが入っていないという結論に至りケーキに触るとそれは爆弾ではなく爆弾に見せかけたただのケーキであることが判明した。
その後、爆発物処理班による建物内の捜索が行われ2時間後に結果がシロであることがJBの口から告げられた。そしてみちるにケーキを渡した人物も近くの喫茶店で確保されたとのことであった。式が中断してしまった今千鶴は日を改めた方がいいと雄二に言うが、幸の誕生日である今日は幸が自身の犯した罪を再認識する日でありそれを幸せな結婚式で上書きしたい雄二は決行を決める。雄二の考えを汲んだ千鶴とJBは続行を賛成する。

しかし、雄二の中で事件が終わっていないような違和感が残っていた。それは幸も同様であった。JBと相談した結果もう1度式場内を捜索することにすると決まったとき控室に1本の電話がかかってきた。電話の主はTOY BOMEREであり正体は以前に商店街で出会った香水の匂いをさせていた男であった。そして雄二が「甘ったるい匂い」と感じたのは火薬の匂いであったのだ。爆弾魔は商店街で会ったときに聞いた幸を守るという言葉を証明してほしいという。そして、控室のダクトの奥に爆弾を仕掛けた事、それは解除可能であること、ダクトは狭く雄二の体は入らないという解除できるが解除できないよう設置したと爆弾魔は言った。そして爆発まで残り30分しかなかった。30分あれば式場内の人間を避難させることが可能であると雄二は考えたが、その思考を読んだように爆弾魔は避難させればその時点で起爆すると脅す。そして電話は切れた。雄二たちはあらゆる方法で爆弾解除の方法を考えるが時間が足りないという結論に至り、最終的にダクトに入ることが可能であり解除訓練の経験がある幸が挑むことになる。

ダクトに潜る幸

ドレスの裾を切り動きやすい格好になった幸はダクト内に侵入していった。幸を見送った雄二はダクトの下に座り込む。JBは自身が命令を下すだけのスーツ組であることが恨めしいと愚痴を零しながらも雄二と話し合い、ホールにて何かあった際にパニックにならないようにとJBが見に行くことに。幸はダクトの中で過去の自分とは違い自分自身の意思で動き雄二のために頑張るという気持ちを改めて固め、そしてその「相手のために自分がなんとかする」という気持ちは雄二が幸に抱いていたものだと知る。そしてそれが雄二なりの優しさであったのだと。爆発まで残り10分になった中雄二は幸の帰りを不安に押しつぶされそうになりながら待っていた。信頼していても心配でたまらないという気持ちは幸が抱いていたものでようやく幸の本当の気持ちを雄二は理解した。そしてようやく幸が帰ってきた。そして幸の手には典型的なトラップ型の爆弾。ネジを緩めなければ中にアクセスできないようになっているため解除可能と言っていた爆弾魔の言葉は嘘であったと幸は判断したのだ。
そして、爆発まで残り3分。幸は万事休すといった状況にも関わらず危機感が薄いように感じた雄二がそれを問うと雄二なら何とかしてくれると信じていると言う。その言葉を聞いた雄二は任せろと言う。

そして、雄二は爆弾を持って式場の厨房を目指す。爆発の威力を殺すには爆風が伝わる空間と、燃焼に必要な酸素を無くせば被害が最小限で収まると考えたためである。厨房に着いた雄二は業務用の冷蔵庫に爆弾を入れてありったけの食材を詰め込み隙間を無くして閉じた後自身の体をつっかえ棒の代わりにして押さえることで爆発を抑え込み背中に火傷負っただけで済んだ。心配して追ってきた幸に雄二は幸がダクトに潜っている間に幸が感じていた不安や心配の気持ちを理解していた雄二は今まで蔑ろにしてしまっていたのを謝る。気持ちが通じ合ったことで幸は涙を流して喜んだ。そして、雄二たちが奮闘している間に天音の嗅覚を利用して会場にいた爆弾魔をJBが確保し事件は終わった。

千鶴に手を引かれる幸

結婚式は雄二の強い希望とJBと千鶴のおかげで続けることが決まり、ダクトに潜る際に切ってしまったドレスはクラスメイト達の手でメイド服の生地を使い修復されたドレスを身にまとい千鶴に手を引かれながら幸がヴァージンロードを歩いてくる。
幸は雄二と共にならどんな困難でも乗り越えられると確信し幸せな結婚式を挙げた。

「カプリスの繭」

雄二が昇進試験の査問のために市ヶ谷へ出頭している間、寮ではクラスメイト達が和気あいあいとしていた。幸が多忙を極める雄二のために部屋を掃除してあげていた際にゴミ箱に裁断機にかけられ捨てられていた「風見雄二の過去に関する自己報告書」を復元してしまい、その最中に内容を見てしまった幸は罪悪感をみんなで共有しようと復元した書類を広げた。最初は戸惑い困惑していた面々だったが好奇心には勝てず見ることに。そしてJBは雄二の昇進を決める「地下の彼女」に要求された雄二に関する詳細な情報を記した書類を作成していた。そしてより詳細にするために雄二を呼んでいたのだ。

雄二の姉一姫は天才、神童と呼ばれていたが、雄二は平凡な才能しか持たず、両親からぞんざいな扱いを受けていた。そのため雄二は一時期一姫を避けていた時期があった。しかし、雄二が大好きな一姫は気にかけて辛いときは声をあげてもいいんだと促したが、雄二は一姫の傍に居るのが辛いと零して一姫は大きくショックを受けていた。そんな中でも一姫は父親に遊んでもらった事すらない雄二のために自身が遊び相手になり、雄二が上手に出来たことは褒めていた。そしてそれを雄二は嬉しく思っていた。
一姫は雄二に試す前に諦めることをせずやってみろと言い、そして諦めの悪いことがいつか雄二の武器になると言った。努力は一つの才能であるとして、一姫は雄二に自身が得意とする絵の描き方を教えた。一姫は雄二の絵を気に入り自身の絵の横に並べるほどであったが、絵の先生が訪れた際に父親に恥ずかしいという言葉を聞き自身で破り捨ててしまった。若き天才として美術界で名を轟かせていたが12歳になる頃には「遠慮」と「手を抜く」ことを覚えた一姫は絵を描かなくなり、父親に問いただされたときには成長にともない感性が劣化したためだとした。一姫は神童として生きると人を遠ざけてしまうと考え「どこにでもいる普通の女の子」になる努力をし始めていた。こうして人並みに生きるための下方修正を行いそれなりの天才へと落ち着いた一姫は平穏な生活を手に入れる。
しかしそれでも、父親が作った借金を小学生である一姫の絵を売って返済するという生活は続いた。

水に浸したパンを食べている雄二を見てショックを受ける一姫

ある時、仕事の関係で雄二以外の家族は外食に出かけていた。そんな時の雄二の食事は母親が買い置きした菓子パンだったのだが、この日は買い忘れていたためあったのは古く固くなっていた食パンのみであった。雄二は冷蔵庫の中のものを勝手に食べて怒られることを忌避してそのパンを水道水でふやかして食べていたところに帰宅した一姫はその様を見て驚き自身の弟の惨状に気づけなかった情けなさにショックを受けた。そして一姫が両親を叱責したことにより両親の雄二への態度が変わることになったが改善とはいかず、父親は以前に増して雄二を毛嫌いし、母親は君子危うきに近寄らずといった態度になった。風見家では一姫が絶対であり、誰も逆らうことはできなかった。

やがて一姫は両親の強い希望により私立のお嬢様学校である滝園学園に入学する。より高次の教育を目指した両親の高すぎる期待を裏切るように一姫は美術部ではなくバスケットボール部に所属し、学園内での成績は揃えたように70点であり、性格も明るく穏やかで温厚であると演じたことにより周りには多くの友人知人を集めた。そして、本人たちに自覚を持たせないで手駒のように操っていた。雄二は一姫から唯一本心を打ち明けられていたことで一姫のことを人間でなく神様の類ではないかと恐怖心を抱くようになっていた。
そして、夏休みに入った頃一姫は部活の合宿で1週間家を空けることになり、家族の中心であり家庭を回していた一姫がいない家の中に雄二は不安で息の詰まる時間を過ごし、両親は顔を合わせれば喧嘩を始めて父親は雄二に八つ当たりをするようになった。雄二は一姫の帰りをひたすら待ったが帰宅予定日になっても一姫が帰ってくることはなかった。
一姫たちを乗せたマイクロバスが忽然と姿を消してしまい捜索も打ち切られてしまい、他国に誘拐されたのではという疑惑も上がっていた頃唯一の収入減を失って半狂乱になり怒鳴り散らす父親と嘆き泣くことしかできない母親だけの家で雄二は息をひそめて過ごしてた。

雄二は一姫が死ぬはずはなく今回の失踪は一姫が自身で仕組み家から逃亡して別人として生きているのではないかと疑っていたが、一姫と同じ部に所属していて共に失踪していた少女が農家の畑でキャベツを貪り食っているところ保護されたことで失踪事故の概要が明らかになり雄二の妄想は砕かれた。一姫を含めた部員と顧問を乗せたマイクロバスは崖下に転落していて生存者は遭難してしまい保護された部員は命からがら下山してきたのだ。そしてこの「滝園学園マイクロバス転落事故」は保護された部員以外全員が死亡。もちろんそれには一姫も含まれていた。一姫の死をきっかけに風見家は崩壊していった。

一姫という収入源を失った風見家は目に見えて荒れ始めて、毎日酒浸りになった父親が母親と雄二を虐待するようになっていった。外に酒を飲みに出ていた父親が帰ってくるころになると母親は雄二をクローゼットに隠して守ったが、この行動は雄二のためではなく一姫という防具を無くした母親が家庭内で唯一味方になりうる存在である雄二に依存していただけであった。父親からの暴力に怯える生活が3ヵ月も経った頃母親は現状に耐え切れず雄二と共に家を出たが2週間で見つかってしまい雄二が生まれて初めての抵抗をするが父親の暴行に負けてしまい無理やり連れ戻されてしまった。連れ戻されてから少しの間は父親も大人しかったが、やがて一姫の遺産を食いつぶすだけの細々とした生活に耐え切れず借金まみれになった。そうすると将来への不安を暴力で解消するために再び家族に手を上げるようになった。
その生活から逃げ出すために再び母親と雄二は逃亡を決意し、買い物に出かけると嘘をついて家を出て来た。隣人からの通報を嫌い無理して借りた1軒家に2人で済むことになった。父親から逃げるために住民票の除籍などを済ませ、母親は昼は缶詰工場、夜は駅前のスナックへ働きに出るようになった。しかし、都会から逃げてきたシングルマザーを田舎の町は歓迎することなく、母親が歓迎されたのはスナックの男性客だけであったが故に「バイタ」と呼ばれるようになってしまい、雄二は「バイタ」の子どもと言われるようになってしまう。

そんな生活が1年続き、雄二はこのまま大人になり働いていけば多少の贅沢も許されるだろうと考えていたころ父親に見つかってしまう。父親が突然現れたことに呆然としていると、父親は母親の鞄から金を取り出すと雄二に押し付けて酒を買ってこいと命令する。母親に縋るも母親は惨めな作り笑顔で行ってきてと雄二の背を押した。父親は雄二たちが出ていったあとも借金を重ね金に困り果ててやってきたのだった。雄二は焼酎を買って戻る最中父親なんて死んでしまえばいいと呪っていたが、呪いが成就することで後悔してしまうのではないかという不安を抱えていたところに母親の悲鳴とガラスの割れる音がきこえ家の中に飛び込むともう1度天才を生ませようと母親を組み敷いている父親の姿があった。父親に怒鳴られ、母親に大丈夫だから外に行きなさいと言われ雄二は逃げ出してしまう。しかし、母親の安否が心配になり家に戻ることに。父親に悟られないように静かに家に戻った雄二は父親に組み敷かれ目の光が抜けた母親の姿が目に入りその行為を止めに入ったが父親に殴り飛ばされ意識を失ってしまった。
1時間後に目を覚ました雄二が目にしたのはボロボロになった母親の姿であった。その姿を認めた時雄二の中にあった死んでしまえばいいという気持ちは殺してやると言う明確な殺意に変わり右手に酒瓶を持って父親の頭めがけて振り下ろした。父親がうめき声をあげた後ぐったりと動かなくなった姿を見て、母親に逃げようと言う。母親は自身は父親が追ってこれないようにするから雄二は先に逃げてと言い、雄二の首に貯金が入った通帳と印鑑が入った小袋を下げた。とりあえず駅に逃げなさいと言われて暴行後で尋常ではない母親の様子に恐怖しながら駅で母親を待った。駅で待つ中で聞こえたサイレンに父親が死んだのだろうと思い、自身が殺したのに母親を守らずに逃げてしまったことを後悔して家に戻ると野次馬が囲んでいた。野次馬の台詞からは包丁でメッタ刺しにして心中したというものが聞き取れた。そんな野次馬を掻き分けて家へ向かうと無残な姿になった父親の死体が運ばれていくところが目に入ったがなんの感情も湧かず呆然としていると、木が擦れるような音が聞こえてきてそちらに目を向けると母親が首つり自殺をしていた。先ほどまで生きていた人間が物になってしまったことに恐怖し意識を失い雄二は病院へ運ばれた。母親は遺書を残しており父親を殺したのは自分であることと雄二への謝罪が綴られていた。この際に書かれていたごめんなさいという言葉がトラウマになり嫌いになる。

その後、雄二は父親の知人であった美術商の桐原礼という男に引き取られる。桐原は以前に一姫の絵を見に風見家を訪れておりその時に雄二と会っていて雄二のことを気に入っていたのだ。しかし美術商というのは表の顔であり正体はテロリストであった。桐原に引き取られた雄二は似合うからという理由だけで女物の服をあてがい、さらに膝の上に乗せて愛でることを好んだ。雄二は大人しく言うとおりにしていれば何もされなかったため抵抗することはなかったが、ある時桐原の食客として来ていたサディストな男に暴行を加えられたことで父親がフラッシュバックしてしまい死への恐怖から男を花瓶で殴り倒す。それを見た桐原は雄二の行動を責めるどころか生存本能に従い殺しに入ったことを褒めて喜んだ。そして雄二に殺しの訓練をするために雄二を連れて外国へ飛び自身が運営するテロリスト養成施設に入れた。

桐原はそこではヒース・オスロと呼ばれており、これ以降雄二にもこの名で呼ぶように指示をした。雄二はオスロが褒めてくれるということを糧に施設で様々な訓練をおこない習得していった。そして卒業訓練は学友と格闘戦を行い相手を殺せば勝ちという単純なものであった。雄二の相手は親しくしていたマーリンという女子であり、目的のためならすべてを犠牲にできる覚悟を持たせるための組み合わせであった。雄二は戦闘中に傷ついたマーリンの顔を母親に重ねてしまい怖気づきマーリンに敗北してしまった。命は繋ぎとめたがいつ死んでもおかしくない重傷者を破棄するための地下の部屋に入れられてしまう。重症の雄二をマーリンは看病に来ていたが、マーリンは卒業してしまい来なくなり雄二が医務室の看護師にマーリンのその後を聞くと初任務で死んだと告げられた。このことがきっかけで雄二は自身に優しくした女は死ぬと思い込むようになった。
雄二は2ヵ月遅れで卒業試験を受けることになり、内容はオスロが他国で起こした犯罪の嫌疑に対する国際裁判の最高裁判事の1人であるグレン・マクファーソンの暗殺であった。雄二は暗殺のために中国人女性に変装してグレンが泊まるホテルに行き、油断しているところをボールペンで顎から脳幹を貫き暗殺したことで無事に卒業した。

その後雄二はフリージャーナリストやFBI捜査官など数多の人間を暗殺し、この一連の事件は当時アメリカの情報局に籍を置いていたJBが担当していた。JBは部下である麻子の協力で得た写真から犯行を行ったのは子どもであることと殺された標的から首謀者は国際的テロリストであるオスロであると目星をつけていた。そんな時、ノルウェーに潜伏しているオスロを叩くために麻子が向かい制圧したが肝心のオスロには逃げられてしまう。そして屋敷の地下に置いて行かれた雄二は突入してきた麻子により保護された。この時雄二は精神崩壊手前であり、発作で自傷行動を起こしてしまう上に、オスロの洗脳のせいで唯一の味方だと思っていたオスロを失ったことで生きる気力も失くしてしまう。そして、雄二の心の拠り所を武力で解体してしまった責任を取るとして麻子は雄二を引き取ることにする。そして雄二を日本に送ることになったことで麻子と麻子の監督役としてJBも日本に来ることになった。

食事を取ることもできず投薬による栄養摂取しかできていないような状態の雄二を退院させた麻子は山梨にある家とした山小屋へ連れてきた。麻子は生来の性格もあるが、雄二が優しくされるだけの価値がある人間ではないと自身で思い込んでいることから、ともすれば乱雑とも粗暴ともいえる扱いのもと世話をしていく。料理が苦手な麻子に代わりJBも手伝う形で雄二の世話をしていくことになった。
雄二は食事を自身で取れるようになったが、何事にも無関心であり人とは言えない姿に麻子は様々な方法で関心を引こうとするが失敗に終わってしまう。
麻子は自身が雄二の生きる目的を決めてやる神様であると言った手前投げ出すわけにもいかず、生きる目的という答えのない自問を繰り返した結果やけくそ気味に雄二を動物園へ連れていくことにする。しかし、どの動物を見ても雄二の関心を引くことはできず、わざわざ動物園に連れてきてもらった気遣いでの感想は述べてもそれ以上はなかった。子供に気を使わせてしまった自身に腹が立ち、その殺気を感じたライオンに威嚇されたことで怒りは頂点に達し麻子はライオンを怒鳴りつけた。動物園での作戦が失敗に終わった麻子は次に子犬を雄二に与えることにした。

麻子が貰って来たボーダーコリーのメスの子犬は雄二によりジョンと名付けられた。このペット療法が効果的であり自身が居なければ死んでしまう存在は雄二に責任を与え、ジョンと遊んでいる最中は笑うようになるほどの回復を見せた。同じく麻子にも変化が訪れていた。以前は作戦中に無謀な行動をとることが多かったが雄二という責任が出来てからは行動に慎重さが出てきて会社内でも評判になっていた。しかし、そんななか麻子はJBに辞表を出した。JBはそれを上に提出することなく辞表を出すことを止めたが、麻子は過去に作戦中に負った傷が原因で右目の視力が落ちてきているため長距離射撃は無理になったと言った。しかし、簡単に辞められる仕事ではなかったためJBの計らいにより退官は認められずとも予備役扱いとして収まった。とある夜、雄二は自身でも理解ができない漠然とした不安から山小屋を抜け出すもジョンの存在が雄二を引き留め、また逃げ場所がないことを再認識させた。そして、気にかけてくれる麻子を表面的には信頼するようになり、2人と1匹で社会復帰生活送ることになった。

雄二は麻子の指導のもと足が早い方が男はモテるからと山道の走り込みをしたり、ケンカが強い男はモテると格闘訓練をしたり、さらに頭がいい男がモテるとして本を読み、内容で気になったことは実践して試して経験とした。雄二はそんな生活を続けるなかで仕事に行くと言ってはフラッと消えて夜中に帰ってくるという不規則である麻子の職業が気になり始めていた。直接麻子に聞けば「公務員」と答えた。麻子の仕事のクライアントは国でありJBも同様であるという。そして仕事内容は国家に仇なす敵を排除することである。日本は敗戦国であるがゆえに表立って攻撃の武装することが出来ないため自衛のための武装組織として市ヶ谷の特別機関であるCIRS(サーズ)に麻子は工作員として属していると子供向けにたとえ話などを交えて説明したが幼い雄二には深く理解することはできなかった。
しかし、これ以降麻子は仕事道具であるライフルの整備を隠すことなく雄二の前でもするようになった。ある時麻子は気まぐれに雄二に撃たせることにした。射距離は300メートル。森林地帯における有効距離は100メートルが相場であることから300は法外であり暗に「当たるわけがないから、遊べ」と言っているようであった。雄二は意地になり1発外したが2発目は目標に着弾した。これ以来雄二は山を駆ける時は麻子のライフルを担ぎジョンと共に出ていった。

麻子は以前にした約束のもと雄二にオモチャとして1丁のスナイパーライフルを買って与えた。そして1つの道を究めろと言った。その究めた道は必ず雄二の役に立つからと。麻子は殺しで出来た傷は殺しで癒せるのではないかと思い雄二を連れて鹿狩りに出るが、雄二は殺しに対する恐怖から鹿を仕留めることはできなかった。その夜雄二は今まで自身が殺してきた者たちに責め立てられるという悪夢に魘されるが麻子からの怖い夢を見ないようにのおまじないとしておやすみのキスをもらうと不思議とその日は悪夢は見なかった。
雄二は麻子の存在は不思議であり、母親でも父親でも姉でもない麻子を師匠と呼び、自身の生きる指標になりえるのではないかと思い始めていた。

ある日雄二が日課である山でのランニングを終えて風呂に入っていると部屋の方からジョンが吠える声が聞こえ見に行くとゴミ箱を漁る2メートルほどの熊がいた。ジョンが吠えて気を引いている隙に麻子から貰ったライフルを取りに行き、熊に向かって構えた。しかし、熊は動じることもなく雄二を無視してジョンを殴り飛ばし傷を負わせて咥えて小屋から出て行ってしまた。雄二は両親が死んだ日のように何もできなかったと無力感に襲われるが、まだ間に合うかもしれないと奮い立ち武器として包丁とライフルを持ちジョンを助けるために熊を殺すことを決意して熊を追いかけた。熊を見つけた雄二は銃を撃つが焦りから外してしまい、さらに転倒してしまう。転倒時に銃を落としてしまったせいで銃口に土が詰まり発砲不可になってしまったことで雄二は熊に包丁で立ち向かう。しかし、包丁は寸でのところで躱されてしまい雄二は咄嗟に熊の首に手を回しぶら下がる。死を目前にして雄二は死を恐れ自身の生き汚さに自嘲する。そして雄二は熊の目をめがけて枝を刺し、怯んでいる際に銃を拾い銃口から土を払い熊を撃とうとするが子熊が出て来たことで躊躇いが出て殺すことが出来ずジョンの首輪だけ持って小屋へ戻った。

ジョンを失くし帰ってきた雄二を抱きしめる麻子

小屋へ戻ると麻子が仕事から戻ってきており雄二の姿から事を察した麻子に抱かれ雄二は涙した。そして、気持ちの区切りとしてジョンの墓を作り、雄二は大切なものを守ることもできずに逃げ回る自身を変えるために麻子のようになりたいと麻子に言う。
雄二にはオスロにかけられた殺人装置としての暗示が残っており、それに上書きする形で麻子が自身の命令が無ければ殺しをできないようにしているため、麻子は自身が必要だと感じた際に一時的に暗示を解くことにした。そして麻子は雄二の今の生活は麻子の給料つまり国民の血税で賄われていることから育てた費用に見合う働きをするまで死ぬことを許さないことと国民5人救うまで勝手に死ぬことは許さないと言った。自身のために引き金を引けなくても誰かのために引き金が引ける男になれと告げ、それを了承して雄二は正式に麻子の弟子となった。

麻子の体調は悪くなる一方であり手が震えてしまって料理もままならないほどであった。ある日雄二は麻子にかかってきた仕事の電話を断っておけと言われ出るが拒否不可の命令であったため寝てしまった麻子の代わりに出ることにした。そしてこれ以降も何度か麻子宛ての電話を取った雄二は麻子のふりをして仕事をしていて麻子も容認していた。ある時それがJBにバレてしまいJBはそれで麻子を責めたが雄二は自身の意思で麻子の代わりをしているから責めるなと言う。しかし、血なまぐさい世界から離れたと思っていただけにJBは納得できずにいると麻子がJBは規律違反が気に入らないのだろうとして雄二に資格を取らせることにする。雄二は自分自身の強い意志のもとCIRSの工作員へなるための道を歩むことを決めた。

雄二は仕事に必要な資格を取るためにアメリカへ渡り海兵隊の学校へ入学した。そしてそこでダニエル・ボーンと親交を持つようになる。雄二とダニエルは内務班も居室も一緒で当然のようにツーマン・セルのペアとなった。そして雄二たちの配属された7班は問題児の集まりであり、本来なら下士官が班長を担当するところを士官が受け持っていた。7班の班長であるアニエス・ギャレット大尉は麻子の同期である雄二を見つけると歓迎すると言ってビンタを当てた。鬼教官の名にふさわしい力のビンタに崩れ落ちるのは耐えたが膝の震えだけはどうにもならなかった。それ以降も何かと目を付けられ事あるごとにビンタを食らった結果ダニエルが心配するほど雄二の顔は酷い有様になっていた。
順調に理不尽とも言える軍隊の訓練をこなしているなか各班対抗戦である運動会が開かれ、クズの中のクズを集めた7班は2種目を堂々の最下位を取ってしまいアニエスにお尻で座れなくなるほど叩かれ翌日の種目では3位を取り、アニエスに褒められたことをきっかけに7班内での意識が変わり訓練にまい進するようになった。そして最終日は射撃であり雄二は1位を取り、更に同班内に人間が2位を取ったことでその日の総合優勝を飾った。そして1位を取った雄二は簡易ながらも勲章のピンバッチを授与された。しかし、洗濯が面倒だと言う理由で普段外してロッカーにいれていたところその態度が気に入らないと同班のミリー・スタンに声を掛けられた。ミリーが運動会の射撃で2位を取った人物であり、射撃の腕に自信があったのに雄二に抜かれたうえにピンバッチを雑に扱っているのが気に入らないから射撃で勝負をしろと言われ雄二は受けた。

100メートルが有効距離のライフルで186メートル先の目標に当てれば勝ちというものであったが夕方の薄暮で遠目が聞かなくなる明るさという状況で狙撃は難しいと思われた。この状況下で成功させたのが元海兵隊のミリーの父親であったがミリー本人は成功したことがなく、雄二が成功すれば勝ちということだった。結果雄二は見事に目標を撃ち抜きミリーとの勝負に勝った。その後、ライフルを無断で持ち出したことがバレる前に戻ろうとしたがアニエスにバレていて2人とも罰当番をさせられた。

雄二は学校での前期を終了した後の後期はヴァージニアのクアンティコで2ヵ月過ごし、最終試験は小隊としてアフガニスタンとホンジュラスに実戦部隊として配置された。そして後期に配属されてもダニエルと同じ分隊であった。さらに射撃勝負のあと雄二に惚れてしまったミリーも一緒であり日々のアプローチを断っていた。そんな中雄二は前期の射撃検問でトップを取ったことからサンディエゴに戻り一般志願兵の指導をすることになった。そして雄二が指導することになったのがエドワード・ウォーカーであった。エドワードは一般志願兵の中で成績が伸び悩んでいる落ちこぼれであり、学科はギリギリで合格したうえに先月行われたという試験では落第点を取ってしまう程で、もちろん射撃も的にまともに当たらなかった。このままではクビになってしまうと落ち込むエドワードに雄二は自身の指導が下手だと思われたくないと表で言いつつエドワードを気に入っていたため落第しないように、自身が合格ラインへ撃った標的紙を渡し上司へもっていかせた。

教員の仕事を終え、現在居住している艦に戻った雄二は他の隊員が自身が立派な軍人になったのだと見せるために家族を呼んでいる姿に言いようのない苛立ちを覚え、それから逃げるように本を読むため前甲板の喫煙室に行くと、雄二と同じように家族がいないミリーに出くわした。ミリーは雄二に射撃で負けたことをきっかけに狙撃兵をやめて、雄二の傍にいられるポジションにつきたいと言った。そして、雄二が苦手なことを代わりにやるから困ったら呼んでもらえるものがいいと言うので雄二はパイロットを勧めてミリーは雄二に凄い奴と思われたいという思いから目指すことを決めた。
やがて雄二たちは任地がアフガニスタンに決まり、現地で再編成される混成部隊に補充されることとなった。
そんな中ダニエルとミリーと話していると同期の中に不死身のロビー(イモータル・ロビー)なる人物がいると話題になり、適当な人間からPCを借りて調べようとしていた。そして目を付けたPCを持っていた男は妹物のアダルトゲームを楽しんでたが、それを中断させ調べさせようとするとPC男がイモータル・ロビーことロバート・ウォルソン本人であったことが判明した。雄二たちが想像していた屈強な男ではなくオタク然とした人間であり、なぜ物騒な2つ名がついたのか問えば班内で妹物のアダルトゲームをしながら「イモ―トバンザーイ」と叫んでいたところ妹(イモ―ト)を不死身(イモータル)と聞き間違えられたためであったという。
こうしてアリゾナのガキ大将ダニエルと頭と尻が軽いミリーとアニメオタクのクソ野郎ロバートと臆病スナイパー雄二たちはジャングル入りを果たした。

そして合流地点へ向かう途中雄二はダニエルが食べられそうだと指した鳥を撃つが生き物を殺すというトラウマは落ち着いておらずその場で嘔吐してしまう。自身では改善に向かっていると思われていたが鳥を撃っただけでこうなるのでは戦場で人を撃ったらどうなるのだろうと考えたくもないことが頭をよぎった。合流地点に到着して宿舎で休憩していた4人を出迎えたのは以前雄二が指導したエドワードであった。エドワードも雄二たちが来る2週間前に配属されたのだという。エドワードから現状の情報を聞いたのち混成隊の小隊長を務めるジャスティン・マイクマイヤーに会った。ジャスティン曰く「いらん子小隊」へ歓迎された。そして、ずる賢く立ち回り後ろ向きで全力疾走するヤブイヌのような小隊になろうというジャスティンの提案で「いらん子小隊」から「ヤブイヌ小隊」に名を改め面々は新名称を祝してジャスティンが思うヤブイヌの鳴き声として「ナフー」と掛け声を上げた。
雄二たちの任務はゲリラ狩りをするための振動感知対人センサー通称タブレットの埋め込みであった。ある夜、ゲリラに遭遇した面々はジャスティンの指示のもと雄二を先頭に逃げることになった。追ってくるゲリラを殺すたびに嘔吐する雄二だったが、仲間のために固定砲台となり残弾数から9人殺せとの命令に従い敵を狙う。ジャスティンを除いたメンツは前進して増援が来るまで反撃にでることになった。人を殺せない雄二にジャスティンが鼓舞して敵を熊であるとして責任は自身が取ると言い麻子の掛けた暗示を一時的に解いたことで、雄二は9人殺すことに成功する。しかし、殺人したせいでオスロからの洗脳が蘇りさらに殺そうとするのをジャスティンが仲間を助けたことに礼を言い、暗示を掛けなおした。そして雄二は疲労から意識を失った。その後、現場で実践訓練を終えた雄二はCRISに配属されるための訓練を受けに日本へ戻ることとなった。麻子の元へ戻った雄二はいつも通りの麻子に安堵し、また自身が生きていることは無駄ではなく生きていてよかったと思えた。

バンクーバー国際空港テロ事件にて派遣されライフルを構える雄二

雄二はバンクーバー国際空港テロ事件を解決するためアニエスにより派遣され自爆用の爆弾スイッチを持つ犯人の狙撃をすることになった。そして、航空団に転属したミリーを除いたヤブイヌ小隊が再集結し作戦の準備に取り掛かる。目標は約2000メートル先で、さらに天候は霧がかっていて視界不良の上に発砲は人質交換のタイミングという難易度の高い任務であった。ポジションに着いた雄二はロバートの用意したデジタル・スポッター「下平兵ちゃん」で弾道計算をおこない端末に表示された数字にそって撃つだけであった。犯人に当てて無力化に成功した後はダニエルたち制圧部隊が入る手筈になった。
そして、アニエスの射撃規制解除の指示を聞いて引き金を引くと犯人の手を見事に撃ち抜き雄二の任務は終わった。後にダニエルと合流すると犯人確保のためにタックルをしたと自慢気に語る横ではタックルのせいで海に転落した中学生の人質が溺れかけていた。犯人の返り血を浴びて海に転落させられたとして人質の少女は怒るがダニエルは日本語がわからないと笑い飛ばし更に中学生扱いしたが、少女と思っていたのは20歳を超えた女で後に雄二が転校する美浜の学園長である千鶴であった。そして、一応助けてくれた礼としてダニエルの妹が通いたがっていた日本の大学へ留学させることを約束し、雄二はその当時希望がなかったため気まぐれに「普通の学校で普通の学生をやってみたい」と言った。

その後、予備工作員から工作員へなり麻子のナンバーを正式に引き継いだ雄二は市ヶ谷の仕事が増えたことで様々な場所へ派遣されるようになり他人からの期待も増えていった。雄二は麻子の弟子であるのだから周りの期待に対して期待以上の働きぶりを発揮して自身の評価が麻子の評価になると信じてやっていたなか麻子に褒めてほしくなり、その旨を伝えたが酔っぱらった麻子は調子に乗るなと狙撃勝負を仕掛けてきた。雄二は現役である自身の方が強いし右目が見えず左目だけの麻子に勝てるはずだと思っていたが3度やってすべて敗北してしまった。麻子は勝って兜の緒を締めよという諺のように絶好調だと思い込んでいるときはミスをする。勝ったときは勝った理由を考えてさらに勝つための努力と工夫をしろとアドバイスした。雄二は麻子の存在をより一層大きく感じ経験を重ねるためにJBに様々な仕事を回してもらった。そして仕事をこなしている中である子供の護衛任務をしているときにJBから麻子が倒れてしまい長くはないと連絡を受けて日本へ帰国する。
麻子の元へ駆けつけるとJBが待っており麻子が起きている時間が短くなってきていると告げられる。麻子の手を握り帰還を報告すると麻子は目を覚まし麻子がいない未来に何もないとと泣く雄二にこれからの人生でそれを見つけるために足掻けと言い自身は死ぬことが許されたとして眠りにつき、それ以降目を覚ますことなくこの世を去った。

麻子を失い心に空いた穴に肌寒さを感じていた雄二は麻子に言われた5人救うまで死ぬことを許さないという言葉を思い出し麻子が雄二が後追いしないように残した宿題なのだと思い足掻き生きることを決めた。しかし、決めたからといって心の傷が塞がるわけはなく雄二は麻子と住んでいた山小屋でダラダラと1週間を過ごしていた。そんな雄二を見かねたJBは雄二を自身の住む家へ引っ越しをさせた。同じ傷を持つ者同士の生活はうまくいくだろうと思っていたが、自分を周囲に合わせ慣れていくというのは簡単ではなく雄二もJBも息苦しさを感じていくようになってしまい麻子のことを思い浮かばれば2人とも沈黙してしまう気まずさもあった。やがて慰めあうように身体を重ねるようになりそれでも麻子を失った悲しみを癒せなかったことからすれ違い、やがてJBは仕事を理由に帰宅しなくなってしまう。雄二はふと麻子がバイクで北海道旅行行ったという話といつか一緒に行こうと言っていたことを思い出し自身も行こうと思い立つ。
麻子といた山小屋からバイクを引っ張り出して北海道を気ままに走るうちに同じバイカーから様々なことを教えてもらったりしながら様々なことを見ていたが、ある時バイクが壊れてしまう。親切な人間に目的地まで乗せようかいう提案に目的地はないのだと言うと青春だなと言われたことをきっかけに普通の青春をやり直すことを決意。JBと千鶴に頼み美浜へ入学した。

以上の自身の過去に関する報告を済ませた雄二は市ヶ谷をあとにする。一方復元した雄二の過去に関する資料を読んだ寮のクラスメイト達は各々様々な思いを抱えつつも普段通り接することに落ち着いていた。帰寮の途中でアダムを名乗る男から大統領特別指令9号という最優先任務が入ったから任務に当たれと指示が入り、自身の担当官であるJBを通せと言ったがJBは忙しいと言われ渋々従うことになる。任務内容は日本に入ってきた国際的テロリストであるイーサン・グロウという男の狙撃任務であった。現地に入り狙撃ポジションに入った雄二がスコープを覗くとそこにはイーサン・グロウという偽名を使用したオスロの姿があった。そしてオスロは雄二の存在に気づいている様子で「私は帰ってきたぞ。風見雄二」とスコープ越しに告げた。オスロの姿を認めた雄二はトラウマから錯乱してしまい引き金を引くことが出来ず任務は失敗に終わってしまった。失敗した雄二は「地下の彼女」の命令でアダムが回収した。
そして寮で雄二の帰宅を待っていた面々はTVニュースでオスロが入国してきたこと在カザフスタン共和国総領事館を襲撃し、その襲撃メンバーの中に風見雄二の名が流れたことに驚きの声を上げた。

『グリザイアの迷宮』のゲームシステム

前作『グリザイアの果実』では共通ルートから各ヒロインルートに入るための選択肢があったのに対し、今作では選択肢は無く物語はすべて1本筋になっている。メニュー画面からヒロインアフターと「カプリスの繭」などシナリオ選択することで好きなシナリオから始められるようになっている。

『グリザイアの迷宮』の登場人物・キャラクター

主人公

風見雄二(かざみゆうじ)

CV:櫻井孝宏(アニメ版およびSIDE EPISODE) / 諏訪彩花(幼少期)
本作の主人公。原画担当はフミオ。
美浜学園に在校する唯一の男子。

風見家の第2子であり長男として誕生したが姉である一姫が天才と呼ばれる存在であったがために一姫と比べられ凡庸だったことからもう1人天才を欲していた父親には目に見えて疎まれ、母親からは何かをすると一姫に叱責されてしまうことから腫れ物を触るような扱いを受けて育った。家庭内での居場所を確保していたのは自身を溺愛している一姫であった。
幼い頃の雄二は左利きであったが一姫により矯正され両利きになっている。これは一姫が左手でしかできないことがあるのは不便であるとし、ボールを投げる時は左手を使い箸を持つ際は右手を使うように教育された。不出来な弟など言われたことから自己肯定感が低く自分が何もできないと思い込んでいたが一姫から試す前から諦めることをするな雄二は技術を習得するのに一姫より時間がかかるだけであるとの言葉は彼を努力家にした。

一姫の存在は雄二の中で大きく一姫の言うことは絶対であった。これは両親にも言えた事であるが家を支えている一姫に逆らうということは出来なかった。また、父親に一姫が雄二を気に入っているから養っているだけだと言われた言葉と女友達を作るときは一姫の許可が必要であるということから自身は一生一姫のオモチャであると思っていた。
雄二は一姫からセクハラとも取れる悪戯をされるようになる。悪戯の内容は一緒に風呂に入っては一姫が自身の体を使い性教育を行いキスをして自身以外の女に興味を持つなと言ったりというものであり、一姫が死ぬまでこれらに縛られた雄二は性に対しての認識がズレてしまい所謂女癖の悪い男になってしまった。

学校も順調で公園で知り合った幸と遊んだりと家庭外ではそれなりの生活をしていたが一姫がマイクロバス事故にて死亡したことで家庭環境は一変してしまい、風見家の収入は一姫に頼っていたことから裕福だった家は貧乏になってしまった。さらに一姫に期待していた企業から見捨てられた父親は酒浸りになり雄二と母親に暴力を振るうようになる。暴行の際は母親にクローゼットに隠れていなさいと言われ母親がひたすらに謝罪する声を聞いていたため「ごめんなさい」という言葉が嫌になっていく。
その後、父親からの暴力に耐えられなくなった母親は雄二を連れて逃亡を図ったが1度目は所縁のある土地に逃げたために見つかってしまい連れ戻されてしまう。そして再び隙を見て逃亡するがまた見つかってしまい、父親が母親にもう1度天才を産ませるとして性的暴行を犯す父親に対して殺意を覚えた雄二は父親に買って来いと言われ買ってきた酒瓶で頭を殴打する。再び母親と逃げようとするが雄二だったが母親に「後から行く」と言われ全財産が入った小袋を首から下げられて、駅に向かうように促されたことで1度家から離れたが救急車の音を聞き母親を置いてきてしまったという不安に駆られ家に戻る。
そこには野次馬が沸いており、その隙間から家から父親の死体が運び出されていくのを見て自身が人を殺したことにショックを受けるも無感動に見送り、母親を心配して家に入るが、目に入ったのは首を吊った母親であり。母親の死体と目があった雄二は逃げた事を深く後悔し絶望して気を失った。そして母親が遺書に綴った「ごめんなさい」という言葉を見てこの言葉を嫌うようになる。

その後、一姫が生きていたころに絵画を買い取りに来ていたオスロに目をつけられており引き取られる。引き取られた後はしばらくはウィッグやゴスロリの服など女児用の物を着せられ人形のような扱いをされていたが、ある時自分に暴行していたオスロの食客の男を殴打したことでオスロに殺人マシンとしての才能を見込まれる。この際子どもの力だったため死ぬまでは行っていなかったがオスロも気に入っていた男ではなかったのでそのまま処分された。そして雄二曰く寒い国へ連れていかれオスロが運用している私設少年兵育成機関にて暗殺者としての教育と洗脳を受けたことでオスロの邪魔をする様々な要人の暗殺に手を染めていく。しかし、暗殺業は雄二の精神を蝕んでいきCIRSの施設襲撃の際には自傷をしてしまうことと
見境なく殺しをしてしまうことから地下室に幽閉されていたが当時の襲撃メンバーであった9029麻子により発見保護された。後に病院に入っていたが薬物と洗脳によって心身共にボロボロとなっていた雄二を麻子は自身が神であり生きる目的を与えるとして引き取ることにした。

その後麻子により自宅である山梨の山小屋に連れていかれたまに様子を見に来るJBと共に共同生活を送ることになる。そして麻子の大胆とも粗暴ともとれる性格と生き方の教えに次第に心身は回復を見せていく。しかし、死を大量に見てきたせいで死に対して敏感であり1度衝動的に虫を殺してしまった際には嘔吐するほどショックを受けてしまった。そして雄二はオスロに施された殺人マシンとしての面を封じるために麻子に暗示をかけられたことで表面上は平穏を取り戻す。ペットセラピーとして麻子が貰って来た犬であるボーダーコリーの子犬をジョンと名付けて可愛がるが小屋に侵入してきた熊により殺されてしまう。この際に熊を殺そうとするがトラウマから殺すことが出来ず息絶えたジョンの首輪だけ持ち帰る。

麻子が気まぐれで狙撃をさせたことで本格的に狙撃の才能が開花し、過去の負傷が原因である後遺症で右目の視力が落ちて狙撃が困難になりつつある麻子の代わりに9029として現場に出ることもあった。麻子自身は深く気に留めていなかったがJBにバレた際には心配するあまりJBは麻子と喧嘩してしまうが、雄二が自身の意思で行っていると説得した。そして麻子の役に立ちたいという考えが強くなった雄二は本格的に麻子の後を継ぎたいと考えるようになりアメリカ中の不良を集めた学校にて教育を受けることになった。そこでダニエルという親友とミリー、エドワード、ロバート、ジャスティンと仲間を作っていった。その時に所属したヤブイヌ小隊は雄二にとって思い出深いものとなり好きな動物にヤブイヌを上げるほどである。
後期実践訓練で実際に人を撃たなければならない状況に追い込まれた際に麻子に仕込まれていた殺しをできなくさせる暗示をジャスティンが一時的に開放することで仲間の窮地を救った。そしてこの経験を得て日本に帰国して日本で仕事するための資格を取得してI-9029として麻子の代わりに様々な工作活動をするようになる。そして千鶴と出会うきっかけになったバンクーバー国際空港テロ事件も担当することとなった。この時に救ってもらったお礼として何かしたいと言う千鶴に普通の学校に通いたいと言った。

その後、雄二はとある少女の護衛任務をしていた際JBから麻子が倒れたと報告を受けて麻子の元へ帰ると麻子後遺症により弱り果ててベッドに横たわっていた。雄二は麻子を看取った後同じ傷を持つJBと同棲を始めるが傷の舐め合いなどでお互い気まずくなりJBは家に帰ってこなくなった。自らの進むべき道としていた麻子を失った雄二は仕事をする気力も失いダラダラと過ごす日々が続いていたがある時麻子が北海道にバイクで旅行に行ったことがありいつか一緒に行こうと話していたことを思い出し麻子のバイクを借りて北海道に向かった。そして旅行を通して様々なものを見て感じて、そして麻子に言われた国民5人を救うまで死ぬことを許さないと言われたことを思い出し、更に以前千鶴に言った普通の学校に通いたいと思いJBと千鶴に頼み美浜へ入ることとなった。

そして報告を終えた雄二が学園に戻ろうとした際、アダムを名乗る男から仕事の電話が入る。内容はある人物の暗殺でありポジションについてライフルスコープから目標を見るとそこにはオスロの姿があり、その姿を認めた雄二はトラウマから取り乱してしまい任務失敗してしまう。

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