ねねね(漫画)とは【ネタバレ解説・考察まとめ】

『ねねね』とは、小雪と清の初々しい新婚生活と不思議な日常を描いたラブコメ漫画である。2016年7月から2017年8月までの約1年間月間少年ガンガンにて連載されており、原作は徒々野雫、作画は『ホリミヤ』でも有名な萩原ダイスケが担当している。物語の主人公は16歳の小雪と狐の面で顔を隠している20以上も年の離れた清さんである。この物語は不慣れでねんねな2人の初恋よりもピュアな初々しい新婚生活の模様が描かれている。約1年という短い連載期間にも関わらず続編を望むファンも多い人気の作品である。

『ねねね』の概要

『ねねね』とは、『ねねね』とは、小雪と清の初々しい新婚生活と不思議な日常を描いたラブコメ漫画である。2016年7月から2017年8月までの約1年間月間少年ガンガンにて連載されており、原作は徒々野雫、作画は『ホリミヤ』でも有名な萩原ダイスケが担当している。
可愛らしい絵とほのぼのとしたストーリーで注目を集め、人気となったが連載は2016年7月の連載開始から2017年8月までの約1年短期間で終了している。そのため、コミックスは1巻で完結しており、続編を望むファンの声も多い。

物語の主人公は16歳の少女・小雪と狐の面で顔を隠した20以上も年上の清さんの2人である。そして、この物語では恋に不慣れでねんね(=世間知らずで幼稚、性的に無知)な2人の初恋よりもピュアな新婚生活が描かれている。

『ねねね』のあらすじ・ストーリー

第1話(結婚後の日常)

16歳の少女、小雪は、狐の面で顔を隠している20以上も年上の清さんのもとへ嫁ぐことになる。その新婚生活はとても初々しく、小雪がなかなか起きようとしない清をしつこく起こそうとしていた時、怒り気味で起きた清がその勢いで小雪の手を握っただけで小雪は照れて赤面してしまう。また、小雪には伝わっていなかったが、実は小雪と同じように清もかなり動揺していたのだった。この場面では、結婚の前に小雪の父親に「小雪が20歳になるまで手を出すことを禁じる」と言われている場面が清の回想シーンとして描かれた後、「あんな小さな手握るだけでも精いっぱいなのに、俺には大した度胸はねぇみたいです」と女性の扱いに不慣れな描写がされている。

ある日、仕事を終え帰宅した清を小雪が出迎えると、そこには泥まみれになった清が立っていた。事情を聞くと、仕事帰りに妖精を助けるために畑に飛び込んだのだという。その後、妖精が怪我をしていたため、清は妖精が仲間の元に戻れるように処置をしてやったのだった。怪我の処置が終わると、妖精は清の手のひらから飛び立ち清の鼻にキスをして去っていった。その様子を見ていた小雪は妖精が清の鼻にキスをしたことに衝撃を受けるが、清は「妖精は元々西洋の生き物だからさっき助けたお礼だ」と言い平然としていた。すると、それを聞いた小雪は清に「私にもお礼してください」とキスをねだるが清には伝わらない。そこで、小雪は顔を赤らめながらも「ちょっとだけ夫婦っぽいことがしたいです」と清に告げる。それを受け清は「私にもお礼してください」という小雪の言葉の意味を理解し、「1回だけだからな」と言いキスをしようとする。しかし、キスするよりも先にお互いの鼻が当たってしまい、2人は我に返る。我に返った小雪は部屋に逃げ込んだ後「びっくりした」と恥ずかしさのあまりしゃがみ込むのだった。また、清も「何をやってんだ」とその場で頭を抱え自分がまともにキスもできなかったことにし落ち込みつつも、面のおかげで赤面を見られなくてよかったと少し安堵していた。しかし、その後の夕飯は気まずいものとなったのだった。

第2話(小雪の不安と清の過去)

ある日小雪が町に買い出しに行くと、年齢のせいで町の人たちに女中に間違えられてしまう。そのことにショックを受けた小雪は、心配していた清に「誰が見ても奥さんと思えるように頑張って完璧な奥さんになります」と宣言する。その後、家の掃除をしていた小雪だったが、掃除の最中に踏み台から足を滑らせ挫いてしまう。かなり派手に挫いてしまったため、手当てをしてくれた清から1日安静にするようにと家事を禁止されてしまう。しかし、小雪は町での一件もあり、清の子ども扱いをするかのような行動に不安を覚えるのだった。そして、ただでさえ清には子ども扱いされており家事も出来ないとなるとゆくゆくは離縁されてしまうのではと悪い方に考えてしまい泣きながら「捨てないでください」と懇願する。しかし、清は突然のことで混乱してしまう。その後、落ち着いた小雪は清に「私を抱いてください」とお願いする。また、突然とんでもないことを言われた清は焦って飲んでいたお茶を吹き出してしまう。小雪はそんな清に、「清さんより子供で奥さんらしくなくて、役に立ちたいのに、奥さんらしいとか夫婦らしいこととが何なのかわからなくて…」と告げる。すると清は、子供の頃から普通の人には見えないものが見えるせいで周りの人に疎まれてきた過去を小雪に話し、特別なことをしなくても小雪がそばにいてくれるだけで幸せなんだという気持ちを伝える。そして、「それが嫌ってんなら、お前の言う夫婦らしいことするか?」と冗談らしく続けた。それを聞いた小雪は照れて「さっきのは忘れてください!」と言い、こんな私でも清さんの役に立ってたんだと気付き嬉しく思っていた。その夜、小雪は仮面をつけた男の子(おそらく子供の頃の清)と手をつないで歩く夢を見たのだった。

第3話(新しい家族)

ある日、2人がお茶をしていると突然コウノトリが卵を持ってやってくる。そのコウノトリは清が西洋で修業中にお世話になった師匠からのものだった。運ばれてきた卵には手紙が添えられており「龍の卵を拾ったから結婚祝いに送る」と綴ってあった。小雪は育てるつもりで卵が孵り成長し立派な龍になることを想像し目を輝かせていたため、清の「夕飯は卵料理か」という一言にショックを受ける。ショックを受ける小雪に対し清は「当たり前だろ」と言い平然としている。小雪は卵を育てる気のない清に反論するがことごとく論破されてしまう。そこまで必死になる小雪に清は「なんで龍なんか育てたいんだよ」と問いかける。すると小雪は泣きながら「コウノトリが運んできたから」と答えるのだった。つまり、コウノトリが運んできたから自分たちの子供みたいに思えて育てたいということだった。清は小雪の一言でそれを理解し、そう考えた小雪が可愛く思えたため、小雪が自分で世話をするという条件で卵の飼育を許可する。
しかし卵の世話は想像よりも難しく、清が世話の仕方を教えるうちに「もういい貸してみろ」とおろおろする小雪にしびれを切らし、結局は清が卵の世話をすることとなるのだった。小雪から卵を預かった清は「龍の卵は恋人みたいに優しく扱え」という師匠の言葉を受け、その通りに卵を大切に扱っていた。すると、それを見た小雪が卵に嫉妬し清の膝に倒れ込んだ。小雪の突然の行動に驚いた清は「何してんの?」と尋ねる。それに対し、小雪は「小雪じゃないデス。今の私は卵デス」と答えるが、それを清に逆手に取られ「困ったな。もう卵は持ってるしな。余った卵はどうするかなぁ」「毎日優しく温めてやりゃべっぴんさんに育つかもしれねぇし。でもまぁ卵になっちまうような奥さんは今すぐ食っちまうぞ」と言われてしまう。その言葉に照れた小雪は「悪ふざけしてごめんなさいいい」と言いその場から走って逃げるのだった。
結局その後のずっと清が卵を育てることになり、首から下げた布に卵をくるみ外出もしていた。その様子が珍しく仮面と卵で目立ってしまったため、周りに子供が集まってきてしまう。するとどこからかうわさが広がり、「仮面の人が子供を預かってくれるって聞いたんですけど…」と近所の母親たちまで子供を預けに来てしまい、託児所のようになってしまうのだった。しばらくして小雪は自分から言い出したのに卵の世話が満足にできず清に任せきりになっていることに少し落ち込みながら清の様子を見に行くと、近所の母親たちまで集まって人だかりになっていた。どうやら、清は子育てに向いていたようで近所の母親たちの育児相談所のようになっていたのだった。2人が家に帰ると、清は卵や子供たちの世話で疲れてしまい机に突っ伏していた。その様子を見て、小雪は卵の世話を押し付けてしまったことを申し訳なく思い謝罪をしたが、清に「気にすんな。お前は本番の子育てまで我慢しとけ」と軽くあしらわれてしまう。以前から子ども扱いされることを気にしていた小雪は、今回もまた子ども扱いされてしまったと少し落ち込み「私のコウノトリはいつ来るんですか?」と清に問う。突然の問いに動揺する清だったが、照れている様子の小雪の顔を見て「それ…意味分かっていってんのか?」と確かめ、キスをしようと顔を近づけた。その時、音を立てて卵にヒビが入り、孵化に向けて準備を始めざるを得なくなってしまい、またもやキスはお預けになるのだった。
その後、卵は無事孵化し、生まれた龍は2人を見上げると「まーま」と鳴いたのだった。清は小雪に「こいつお前のことママって呼んでるぞ」と伝える。しかし”ママ”という単語を小雪に説明しようとしたところ、龍が清の膝に乗り清を見上げて「まーま」と鳴き、その言葉が小雪ではなく清に向けられたものであると判明した。その様子を見て、小雪も”ママ”の意味を何となく察し、清は現実を受け止めきれないでいた。こうして、家族が1匹増えたのであった。

第4話(恋のライバル登場)

小雪が清のもとに嫁いで数日が経った頃、洗濯物を干していると玄関の方から「すみませーん。おっさんいるかー?」という声が聞こえた。小雪が用件を聞きに玄関に向かい戸を開けると、小雪と同い年くらいの少年が立っていた。遅れて清が来ると、初対面の小雪に少年の紹介をし続いて少年に小雪の紹介をしようとしたところ、清の話を遮るように少年が自己紹介を始めたのだった。訪ねて来たのは隣の家の次男坊の翔太という少年で、母親のおつかいで奈良漬けを届けに来たのだった。また、小雪が出てきた時に翔太は一目惚れをしていた。
玄関先で少し会話をしていると、隣に並んだ翔太と小雪を見て清が「こうして並んでるとなんだかお似合いだな」と何気なく口にした。すると、小雪に一目惚れしている翔太はとても嬉しがり小雪の方を見る。しかし、翔太とは対照的に小雪はとても不機嫌そうにふくれっ面をしていた。清の紹介を最後まで聞かなかったため翔太は小雪が清のお嫁さんだとは思っておらず、不機嫌そうな小雪を見て困惑するのだった。おつかいを済ませた翔太が道のほとりに座り小雪のことを考えていると、なぜ小雪が清の家にいるのかという事に気付く。本当は清と小雪は夫婦の関係だが、それを知らない翔太は2人の年の差から夫婦だとはみじんも思わず親子だろうという結論に至るのだった。
一方、小雪は清の妻であるにもかかわらず、夫である清自身から翔太とお似合いだと言われたことに腹を立てていた。その怒りをぶつけるように先ほど干していた布団を布団叩きで叩いていると、その様子を見た清は自分の発言で小雪が怒っているとは気づかず、自分の布団がそんなに臭かったのかと自分の加齢臭の心配をしていた。布団叩きを終えた小雪は、ご飯の支度をするため台所に向かい、うどんを作り食卓に並べた。うどんは小雪が機嫌の悪い時に作る定番メニューだったようで、その時初めて清は小雪が不機嫌な事に気付く。しかし、その原因が自分の発言だということにはまだ気付いておらず、場を和ませようと「おばさんの奈良漬けあったよな。あれ結構美味いんだぜ」と小雪に話しかけた。すると、小雪はそのまま無言で台所に向かい奈良漬けを切って戻り、また無言で食事を再開し奈良漬けを口にする。さすがに気まずくなり、清は「俺何かしたか…?」と小雪に尋ねた。小雪はその問いに答えることなく突然泣き始め、原因が分からない清は「どうした!?」「やっぱり布団!!?」「それとも具合が悪いのか?」と慌てた様子で泣いている小雪にさらに尋ねた。清が動揺して慌てていると、今度は突然小雪が大きな声で「いいからそこに座りなさい!!」と清に怒鳴った。清が座ると小雪は「私は怒っているんです」「清さんは乙女心がまるで分ってない」と怒っている理由を話し始める。そこで初めて清は自分の発言で小雪を怒らせてしまっていた事に気付き「悪かった。小雪が年相応のやつといるのが珍しくて思わず言っちまったんだ」と小雪を抱きしめて謝罪した。実はこの時の小雪はうどんと一緒に食べた奈良漬けで酒に酔った状態になっていたのだった。
こうして2人は仲直りをし、後日翔太にも清の口から「というわけで、こいつ(小雪)俺の奥さんだから」と説明して、翔太もあっさりと納得したように思われた。しかし、あっさりと納得したかに思われた翔太が「俺もあんた(小雪)に言いたいことがある」と言った後、小雪の手を取って「あのおっさん(清)が死んだら俺と結婚してくれ」と諦めないことを伝えるのだった。その後も「どうせおっさんはあと二 三十年で死ぬだろ。俺は小雪のためならいくらでも待てる」「心変わりしたのならいつでも俺は受け止める」「なんなら今すぐおっさん倒して二人で逃避行す―」と気持ちを伝え最後の言葉を言いかけたところで、清に外へたたき出されてしまった。そして、2人になった清は小雪に「安心しろ。お前は誰にもやらねぇから」と告げた。

第5話(清の素顔)

結婚して数週間経った頃、小雪にはずっと気になっていることがあった。それは清の素顔だ。清は普通の人には見えないものが見えてしまうため、そのようなものにとり憑かれるのを防ぐ目的で狐の面をつけている。小雪はその日の朝から家事をしている最中にも清の素顔についてずっと想像を膨らませていた。しかし、口元しか見えておらず仮面の印象も強いためなかなか想像できずにいた。
そんな日に限って、外出していた清が帰り道に雨に降られ濡れて帰ってきた。清から着替えと風呂の準備を頼まれた小雪は、風呂場でなら仮面を外すのではないかと考え、風呂の火を焚く場所の上にある窓から中を覗こうとする。しかし、身長が足りず窓に届かない。風呂を沸かすための薪に乗りやっと中が見えるも、それに気付いた清に「何してんだ?」と声を掛けられ転げ落ちてしまう。しかも、清は面の代わりに目もとを隠すための布を風呂場でも着けていたため素顔を見ることは出来なかった。
その後、風呂に上がった清に危ないからと軽く注意され落ち込む小雪だったが、その様子を見た清から「別に顔くらい見せてやるよ」と言ってもらえたのだった。小雪はずっと気になっていた清の素顔が見れると期待のまなざしで清を見つめる。軽い気持ちで顔くらい見せてやると言った清だったが、小雪のあまりの期待に重圧を感じ、もし小雪の思った通りの顔じゃなかったら嫌われてしまうかもしれないと思い始める。不安になった清は、最後に顔を見せたのが約20年前だったこともあり、さすがに自信を無くしてしまう。「やっぱり無しの方向で」と小雪に伝えると、小雪は期待していた分ショックを受けて拒否する清に頼み込む。そこで軽く言い争いをしていると、清が勢いで「顔見せてお前に嫌われたらどう責任取ってくれんだよ!」と言ってしまう。その言葉で照れて少し固まってしまう2人だったが、小雪が「清さん大丈夫です!もしもの時は私が責任を持って清さんを夫に貰います!!」と告げ、その言葉の男らしさに思わず感動してしまう清であった。しかし、すでに結婚しているからと結局素顔は見せずじまいとなった。

第6話(逢引のお誘い)

ある日、小雪が縁側に行くと丁度清が帳簿を付けているところだった。そこで帳簿の説明を聞いていると、清が「そうだ」と言い小雪に小遣いを渡す。最初は遠慮する小雪だったが「俺が安心して毎日外で働けるのもお前のおかげだからな。好きに使え」と清に言われ受け取るのだった。後日、清が縁側に行くと今度は小雪が帳簿のようなものを見ながらお金が少し足りないと悩んでいた。そんな小雪を見て清は何か欲しいものでもできたのかと思い声を掛けようとするが、その時「そうだ!(お裁縫やお掃除で)体を売れば!!」と小雪が口にした。その発言を聞いた清は小雪が身売りをしようとしていると勘違いし、焦ってお金を渡そうと声を掛けた。しかし、「必要な分は頂いてますしこれ以上のお金なんて」と小雪には断られてしまう。勘違いしている清は「金に困っているなら相談してくれ。その代わり何に使ったか教えてくれると嬉しいんだが」と何とか頼ってもらえるように小雪を説得しようとする。しかし、それを聞いた小雪は「なおさら受け取れません!」と言い、「まだお洗濯がありますので失礼します!」と立ち去ってしまった。

その日の夜、お金が必要そうなのに頼ってくれない小雪の様子に戸惑う清は寝室でその理由を考えこむが全く分からない。最終的に実家に帰るための帰郷資金なのではと考えつき、今度はその原因について考え始めるが、全く手も出していないため思い当たる節もなく混乱してしまう。
その時、小雪が清の寝室を訪ねて来て相談があると話し始める。相談の内容は一度断ったこの前の臨時収入のお裾分けをやっぱり分けてもらえないかというものだった。身売りや帰郷など悪いことを想像していた清は安心して小雪にお金を渡し、「明日にでも買いに―」と言いかけたが小雪に「いえ、早速この場で使わせて頂きます!」と遮られてしまう。続けて小雪は受け取ったばかりのお金と手持ちのお金を差し出し「このお金で私に清さんの体を売ってください」とお願いするのだった。しかし、先程まで混乱していたことと寝室という場所のせいで清は自分が小雪に身売りするという意味に解釈してしまい、「確かに俺とアナタは夫婦ですけどこのようなやり方はどうかと…」と告げる。清の勘違いに気付いていない小雪だったが、清の一言で状況に気付き「違うんです!私は清さんにお休みを取って欲しいんです!」と焦って訂正した。そして、小雪は清の1日分の稼ぎを自分が払うことができれば忙しくしている清に休んでもらえると考えていたことを清に伝える。加えて、小雪自身がもう少し清と話がしたいと思っていると伝えるのだった。清は小雪の説明を聞き、小雪がとてもいい子なことに感動するとともに今まで卑猥なことを考えていた自分を恥ずかしく思うのだった。そして、小雪に対して明日1日自分の体を売ることを約束する。
小雪が清の寝室を出る直前、清は「ひとつだけ聞きたいんだが」と小雪を引き留め「これは逢引のお誘いってことでいいのか?」と問いかけた。恥ずかしくなり少し戸惑う小雪だったが、勇気を振り絞って「はい逢引のお誘いです」と答え、逃げるように部屋を後にした。それぞれの部屋に戻った2人は明日の逢引のことを考えながら眠りにつくのだった。

第7話(最終話 逢引当日)

後日、2人はデートに出掛けることになり、町に向かう途中、清は小雪の荷物をもってやり「他にもしてほしいことあったら何でも言え。今日だけは叶えてやるぞ」と伝える。
商店街につくと、小雪は八百屋の奥さんに「女中さんも買い出しかい?」と声を掛けられるのだった。そして、清さんの存在にも気づいた八百屋の奥さんは「今日は清さんも一緒じゃないか!さてはお出かけだね」と続ける。すると、それを聞いた清は小雪の肩に手を回し「女中じゃなくてこいつ俺の妻」と勘違いを正したのだった。それを聞いた八百屋の奥さんは今まで勘違いしていたことを小雪に謝罪し、「清さんこんな可愛い子嫁にもらったのかい?」などと大声で話すのだった。すると、その話を聞いて周りに人が集まり「やっと結婚したのか」「よ!色男!」「馴れ初めは?」などと茶化されてしまう。照れた清は小雪を引っ張りその場を後にする。すぐに町中に噂が広まり、いろいろな人に見られるようになってしまったため、人が少ないところでゆっくりしようと2人は小雪の提案で河原で弁当食べることにした。
弁当を食べ終わると、小雪が「清さんにやって欲しいこと考えてたんです」と話し始める。清が「なんだ?」と尋ねると、小雪は「清さんの頭を撫でたいです!」と告げるのだった。そのお願いを聞いた清は30代のおっさんの頭を撫でたいのかと少し戸惑うが、小雪に「いつも私が撫でられてるのでたまには私もしたいんですっ」と言われ「頭くらいなら別にいいか」と了承した。すると、おもむろに小雪が自分の足を叩き「では早速」と自分の足に寝てた方が撫でやすいからここに寝ろと言い始めた。清は照れつつも1度は了承してしまったこともあり、その指示に従い小雪に膝枕された状態で頭を撫でられるのだった。小雪が清の頭を撫でながら「こうしているとなんだかお母さんになった気分です」と言うと、清が小雪に「子供欲しいのか?」と尋ねた。小雪は「そうですね。いつかは…」と答え、「清さんはどうなんですか」と聞き返す。清も「子供は嫌いじゃねぇからな」と前向きな返答をしたが、「じゃあなんで手を出してくれないんですか?」と小雪に追いつめられることになってしまった。小雪は今まで清が手を出さないのは子供が欲しくないからだと考えていたが、そうではないと分かり「そうじゃないならいったいなんなんですか?」と更に清に問いかける。清は小雪の父に止められていることを言うか迷うが、小雪に知られるのは格好悪すぎると別の言い訳を考えるも良い案が浮かばず困ってしまう。そこで、清は意を決して小雪を引き寄せ、小雪のおでこにキスをして「時期が来たら必ず手ェ出してやるから待ってろ」と告げる。その言葉を聞いた小雪は恥ずかしさと嬉しさでそのまま後ろに倒れ込んでしまう。心配する清に小雪は嬉しそうな表情で「その日まで私待ってます」と伝えた。
その後2人は夕日を眺めながら帰路についた。小雪がとても楽しかったと言いかけた時、清が小雪の手を握ったのだった。小雪が驚いて清の方を見ると清は「これは手を出したことにはならねェからな」と夕日の方を見ながら告げた。小雪はそんな清の姿を見て「自分もちゃんと清さんに見てもらえていたんだ」と実感し、今の幸せがこれからも続きますようにと願うのだった。

『ねねね』の登場人物・キャラクター

小雪

この物語の主人公である16歳の少女。家同士の繋がりのため20以上も年上の清のもとに嫁いだ。恋愛経験が少なくとてもピュアで、些細なことにも照れてしまうなど可愛らしい少女である。町で清の家の女中に間違えられたり、清に翔太とお似合いだと言われた際に、拗ねたような態度を見せてることから、清に対して好意を抱いていることは明らかである。また元々は見えなかったが、普通の人には見えないものの見方を清から教わったことがあるため、常に見えるのかは不明だが妖精やドラゴンを見ることはできる。

花房 清(清さん)

物語の主人公の1人で小雪の旦那。フルネームで表記されている箇所はないが、第4話で翔太が花房のおっさんと呼んでいることから、苗字は花房であると思われる。幼い頃から、人には見えないものが見え、現在もその力を生かして仕事をしているが、明確な仕事内容については描かれていない。人と人には見えない者たちの間に立ち、問題を解決する何でも屋のようなことをしているようである。また、幼い頃はその力のせいで身の回りに人には見えない者たちが集まってきておかしなことが起こるため、離れで暮らしていたという少し暗い過去を持っている。常につけている仮面についても、この力のせいで寄ってくる人には見えない者たちに素顔が知られトラブルに巻き込まれるのを防ぐためのものである。最後に人に素顔を見せたことがあるのは15歳の時であり、それ以降は誰にも素顔は見せていないことが明らかになっている。15の頃から西洋にいる師匠の下で修業をしていたとあるため、その頃から素顔を見せていないことになるが詳しいことは明らかになっていない。恋愛経験は乏しく、36歳を越えているにも関わらず未だ童貞であり、小雪の前では大人の余裕を見せているが内心はかなり焦っていることが多い。

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