ハートの国のアリス(ハトアリ)とは【ネタバレ解説・考察まとめ】

『ハートの国のアリス』とは、QuinRoseから発売された童話『不思議の国のアリス』がモデルの恋愛アドベンチャーゲーム。QuinRoseの看板作品の1つ。不思議な「白ウサギ」によって、ある日、銃弾飛び交う物騒な世界「ハートの国」に連れ去られてしまったアリス。アリスは非現実過ぎるこの出来事を「夢」だと受け入れ、夢から目覚めるまでの間、ここでの暮らしや住人達との交流を楽しむことにする。

時計塔以外の領地を滞在地に選び、なおかつユリウスを攻略対象に選んだ際に発生するルート。
元の世界へ帰るのに必要な小瓶の中身を溜める為、ハートの国の住人と交流を深めなければいけなくなったアリス。時計塔に住むユリウスもその対象の1人で、彼女は彼と交流を深める為に、日々彼が住まう時計塔へ足繁く通っていた。しかしハートの国の住人ではない「余所者」のアリスにあまり好感を持っていないのか、ユリウスの態度は一貫して冷たい。それでもアリスの事を無粋に扱う事はできないのか、彼女が自分の元へ通う事を拒絶はしない。そうして交流を深めていく内に、アリスは彼が人付き合いの下手な不器用な人間である事を知る。根が暗いところも、自己肯定感の低い自分にそっくりで、アリスは少しずつユリウスの事を大切に思うようになる。それはユリウスの方もそうで、彼もアリスに惹かれていく。
そんなある日、アリスは時計塔へ行く途中の道で、ハートの国の住人の亡骸が謎の黒い影によって時計になったところを目にする。驚いたアリスは、その事をユリウスに話す。アリスが見たものの正体が「残像」というものであった事を知っていたユリウスは、アリスにその事を教える。彼いわく、この世界の住人は全て「時計」で動いており、たとえ死んだとしてもそれを直せば別人として生き返る事ができるのだという。残像は、生き返る順番を待っている者達の影で、その時計を直すのがユリウスの仕事なのだそうだ。さらにハートの国の住人達が余所者であるアリスに興味を示すのも、アリスには自分達にない唯一無二の心臓を持っているからという事実が明かされる。しかし自分にないものにを持つ余所者に憧れはするものの、だからと言って必ず好意を寄せるわけではない。心臓を所有する余所者の事を憎らしく思うものも少なからず居るとの事だった。この世界の実態に驚くアリス。しかしそれを怖いとアリスが思う事はなく、それどころかユリウスの仕事の内容に対して「医者みたいだ」とアリスは彼に告げる。時計を直す=死を扱う仕事であるという事で「葬儀屋」と呼ばれ、人々から忌避されていたユリウスは、彼女のその発言に驚く。しかしだからといって自分の仕事を肯定的に見る事はできず、「医者のような大層なものじゃない」「陰気な仕事だ」と返す。そんな暗い考えに取り憑かれているユリウスの姿に、アリスは彼の傍に居たいと強く望むようになる。
その後、ついに小瓶の中身が溜まり、アリスが帰れるようになる日がやってくるが、アリスはユリウスの傍に居る事を選ぶ。ユリウスはアリスに「帰るべきだ」と諭すが、アリスの意志が強い事がわかると、少なからず彼女の事を想っていた事もあり、その選択を受け入れる。そうしてアリスはユリウスと共にハートの国で生きていく事にするのだった。

その他のEND

薔薇風呂END

帽子屋屋敷を滞在先に選んだ上でビバルディを攻略しようとした際に発生する特殊END。帽子屋屋敷を滞在先に選んでおくと、非滞在のビバルディルートを攻略中に、ハートの城の庭に帽子屋屋敷への抜け道がある事をアリスが教えてもらえるストーリーが発生する。このストーリーを見ておく事で、本ENDに進むことが可能となる。
小瓶の中身がいっぱいになり、ついに元の世界へ帰れる機会が訪れたアリス。しかし本当に帰るべきかどうか迷った彼女は、帽子屋屋敷の薔薇園で1人ゆっくり考える事にする。するとそこへ滞在先の主であるブラッドが現れる。アリスが帰るかどうかで悩んでいる事を知ったブラッドは、アリスを元の世界へ帰さない為、彼女を押し倒してその意識を奪う。次にアリスが目覚めた時、アリスはブラッドの姉であるビバルディと共に彼女の薔薇風呂に浸かっていた。呆然とするアリスの前で、ブラッドは彼女が持っていた小瓶の中身を全て浴槽に流してしまう。予想外の事に驚くアリスだが、薔薇の香りのせいか思考が上手く定まらず、その場で惚け続ける。そんなアリスをブラッドはビバルディと共に可愛がり、元の世界へ帰さない為に自分達姉妹の腕の中に閉じ込めるのだった。

姉弟END

発生条件は薔薇風呂ENDと同じ。ストーリー展開も、ブラッドが薔薇園でアリスを押し倒すまでは同じとなっている。しかしその後の展開は異なっており、ブラッドが押し倒したタイミングでビバルディもその場に現れる。敵対勢力の2人が一緒に居る事に驚くアリスだが、そこで彼女は2人が姉弟であった事を知る。驚くアリスに2人は「小瓶の中身はまだ溜まっていない」と述べ始める。「そんな筈はない」と2人の言葉を否定するアリスだが、帰る事に迷いが生じていたアリスは、本当にその言葉通りならいいのにと考えてしまう。するとその時、アリスの持っていた小瓶にヒビが入る。中身がこぼれていく小瓶にアリスがまた驚いていると、そのスキを狙ったブラッドとビバルディが、彼女を捕まえ、もう二度と帰りたいと思わないようにとアリスに鍵を飲み込ませる。それはビバルディが、ハートの城から帽子屋屋敷に抜ける時に使っていた秘密の鍵だった。鍵はアリスが飲んだ瞬間、その体内で溶け消え、アリスの一部となってしまう。すると途端、アリスの中にあった「元の世界へ帰らなければならない」という気持ちが薄れる。それを知ってか知らずか、ビバルディとブラッドはアリスにまだ帰らなくて良いのだという旨を伝える。2人の言葉を聞いたアリスは「自分はまだこの世界に居てもいいのだ」という深い安堵に包まれ、ハートの国に残る事を決めるのだった。

『ハートの国のアリス ~wonderful twin world~』のあらすじ・ストーリー

『ハートの国のアリス ~wonderful twin world~』は、『ハートの国のアリス』の後日談を描いた、『ハートの国』限定のファンディスクとなっている。『ハートの国』で各キャラとのBESTENDを迎えた後の話を描いており、各キャラ攻略キャラとはすでに親しい仲となった状態で物語がスタートする。
尚、『ハートの国のアリス』で攻略対象であったディー&ダムのみ、『ハートの国のアリス ~wonderful twin world~』オリジナルの双子キャラ、ハンプティ&ダンプティとの入れ替えが行われている。その為、ディー&ダムのルートは本作では存在していない。

共有ルート

オープニング

オープニング開始前に表示される、アリスの滞在先の選択画面。

オープニングは、プレイ開始直後の選択であるアリスの「滞在先」を選んだ後に発生する共通ルートである。滞在先によって冒頭の細かい展開は変わるが、どの滞在地を選んでも、滞在先での日常越しに、アリスによる滞在先とそこに住まう住人達の紹介、ハートの国の世界観に関する簡単な説明が行われる流れとなっている。またこのオープニング時に、アリスは、夢を通してナイトメアから「クレイジー・ストーム」という名の「嵐」が来る事を教えられる。「嵐」の事を知った彼女は、より詳しい事を知る為、誰かに話を聞きに行く。この「誰かに話を聞きに行く」の際に、どのキャラクターに訊ねるのかによって、後のストーリーの展開が変わる。
それらの説明が終わった後は、アリスが他の滞在先に出向き、改めて出向いた先の説明、そこで出会った住人達の説明を行う。全ての説明が終わった後、各キャラクターの本編がスタートする。

卵の夢

「卵の夢」で出会った卵型のハンプティ(画像左の卵)&ダンプティ(画像右の卵)に振り回されるアリス。

進行中の本編の合間に挟まれる共通ルート。全5話の構成となっている。この話の中でアリスは、自らをハンプティ&ダンプティだと名乗る2つの卵達と出会う。彼らはアリスを遠く離れた場所にある「王座」に座らせようとしており、アリスはわけがわからないまま、彼らに背を押される形で王座を目指す事になる。だが王座に辿り着く事で何かが変わってしまいそうな予感がしたアリスはそれを拒む。だが卵達はアリスの意見を無視して、彼女を王座へ座らせようとする。必ずしも全てのキャラクターの本編に関わるストーリーではないが、各ストーリー内でアリスが抱える悩み、問題、葛藤といったものと関連付けるような不安を煽る描写等が少なからず行われている。最終的にはナイトメアの助言をもとにアリス自身の力・決断で王座を破壊する流れとなる。

ハートの城

エース ひとときの午睡END

アリスに迫るエース。

ナイトメアから「嵐」について教えられたアリスは、その後、ハートの城の住人達から改めて「嵐」の到来を告げられる。だが結局詳しい事はわからず、アリスは恋人であるエースは大丈夫かと不安になる。そこでアリスは恋人であるエースの様子を見に行くついでに、「嵐」の事についても教えて貰おうと彼のもとへ向かう事にする。エースは自分のもとにやってきたアリスに「嵐」が、余所者以外のハートの国の住人を「狂わせる」存在である事を教える。だが、これまでの「嵐」でエース自身がどんな「狂い」を体験してきたのかをアリスが訊ねれば、はぐらかされてしまう。そこでアリスは他の住人達にエースの「狂い」について聞きに行くが、誰も知らないという。それどころか、嵐の到来中は旅に出ているらしいとのこと。それについてアリスがエースを追及すれば、時計塔の住人であり彼の友人であるユリウスの変化を見たくて外に出るが、迷子癖が発揮されてしまい、塔にたどり着けず迷子になってしまっているのだという事実が発覚する。さらに「嵐」を嫌うハートの城の女王・ビバルディの気持ちに同意するような発言をした事から、アリスは、彼が「嵐」をあまりよく思っていない事に気づく。だがエースは他者にそれを知られたくないのか、「『嵐』が来るのが楽しみだ」とアリスに述べる。

そんなある時、エースが帽子屋屋敷の門番・ハンプティ&ダンプティから奪い取ったカメレオンを逃してしまう事件が発生。アリスは彼と共にカメレオンを探すハメになる。するとその最中、エースがアリスに「『嵐』から逃げたいか」という問いをする。少なからず「嵐」への不安を抱えていたアリスは、エースの問に複雑な気持ちになりながらも逆に「エースはどうなのか」と訊ね返す。しかしエース自身の答えは得られないまま、2人の会話は終わってしまう。そうして不穏な空気が2人の間に漂うまま、ついに「嵐」が到来する。だが「嵐」の訪れの合図である強風が吹いたその時、エースはアリスに今まで胸の内に抱えていた不安を口にする。「どんな風に自分が変わっても愛想をつかないでほしい」というエースに、アリスはようやく彼が「嵐」をどうして嫌っていたのかを察する。
その後、強風が止み「嵐」の期間に突入するも、エース自身に変化らしい変化は見られず、どこがかわったのかと悩む羽目になるアリス。そんな時、アリスは1人の見知らぬ少年と出会う。ハートの城の侵入者だという彼は、兵士達に追われる形ですぐにアリスの前から姿を消す。だが、少年の姿に何か既視感を覚えたアリスは、以降彼の事が気になるようになる。

後日、アリスは城内で少年と再会。アリスが少年にここに居る理由を訊ねると、彼は「迷子になっている」と答えてくる。そうして少年と会話を続けていく中で、アリスは彼に感じていた既視感の理由が、エースに似ているからというものである事に気づく。その後、少年はその場にメイドがやってきた事で逃げてしまう。アリスは慌てて彼の後を追うが、その先に居たのは少年ではなく彼と似ていると思ったエース本人だった。
後日、アリスは遊園地のオーナーであるゴーランドのもとへ、少年に感じた既視感の事を相談しに行く。遊園地では、その領地の居候であるチェシャ猫のボリスが、嵐の到来により若返るという「狂い」が起きていた。その為、もしかしたらエースにも似たような現象が起きているのではないかとアリスは考え、ボリスの相手をしているゴーランドに相談を持ちかけたのである。アリスの考察をゴーランドは肯定。「元来役持ちである自分を嫌っている節があるエースは、他の役持ちよりも「時計」が狂っている。だからそれが今回の現象の原因なのではないか」とゴーランドはアリスに返す。
後日、アリスはエースと共に久しぶりにキャンプをする。その際、彼女はエースが「『嵐』期間中の時計塔に限り、自分自身の力で辿り着きたい」と考えている事を知る。そこでアリスは、エースにとってその行動は何か大きな意味を持つ、大事なものであるらしいと察する。「嵐」を通して、普段はエースの胸の奥にしまい込まれているのであろう闇を垣間見たアリスは、そこで自分も自身の胸の内にあるのにいつもは言えずにいた「好き」という気持ちを言葉にして伝える。初めてアリスの口から好意を伝えられたエースはそれを喜ぶ。そうして2人は、互いに相手への想いを再確認し合いながらテントの中で夜の時間帯を過ごす。

それから数時間帯後、「嵐」の期間が終わりを迎える。全てが元通りになったことに安堵するアリス。エースもそれは同じ心持ちのようだった。が、アリスと違い、「面倒なものから逃げられるのなら変わるのもいいものだ」とエースは述べる。そこでアリスは彼が、「ハートの城の騎士」という役割とは別に、彼がユリウスのもとで働いていることを思い出す。本来ならばルール違反の行為だが、ペナルティのあるようなことではないらしい行為。自身の役持ちとしての役割を嫌っているエースの事を思うに、このエースのルール違反を示唆している言葉なのだろうかとアリスは考えるが、エースはそれを否定する。しかしなんの事を言っていたのか詳しく説明するつもりはないらしい。しかしその代わりだというように、「罪人を閉じこめる役割」が自分に課せられている事(この設定については『ジョーカーの国のアリス』にて明かされている)、そして「いつかアリスも閉じ来なければならない日が来るかもしれない」、「だが今のところはそのつもりは一切ない」という事を告げる。不明瞭なエースの話にいささか不安になるアリスだったが、恋人である彼が「そのつもりは一切ない」というのならば大丈夫だろうと思い、「閉じ込められたらエースが助けに来てくれるか」と彼に訊ねる。その問いにエースは「アリスが望むなら、自分なりの方法で必ず救う」とアリスに返す。含みのある返しに、アリスは彼なりの方法というのが、きっと救いとは遠い、破滅的なものである事を察する。だが、それでも助けられるならエースに助けてもらいたいと思っていたアリスは、その事を彼に伝える。それを聞いたエースは改めて、その時が来たら自分がアリスを助け出す事を彼女に誓うのだった。

エース 迷子END

カメレオンを見つけた少年のエースと遭遇したアリス。

本編内の一部選択肢にて、「ひとときの午睡END」とは違う選択肢を選んだ時に解放されるEND。キャンプで共に夜を過ごすまでは、同じ物語が展開される。本ENDはその続きから開始されるものとなっている。
エースと2人でキャンプをした後日、アリスは庭園で再び少年姿のエースと出会う。少年のエースは、大人のエースのものであったカメレオンを追いかけていた。しかし大人の頃の記憶はやはりないらしく、その生物がどんなカメレオンであるのかも、自分のものであったことも知らずにいた。カメレオンを欲しがる少年のエース。彼がエース本人であるという確たる証拠は未だにないが、もし本人であるのならカメレオンを飼っていてもおかしくはない為、アリスは貰ってもいいのではないか、と返す。少年のエースは喜び「絶対大事にする」とアリスに約束して去る。その直後、「嵐」が去り、狂った期間に終わりがくる。
後日、鍛錬場で鍛錬を行うエースに付き添うアリス。鍛錬が終わると、庭に待たせていたカメレオンを迎えに行くことになる。仲良さげにカメレオンを肩に乗せるエース。その光景に、先日の少年のエースの事をアリスは思い出す。まだ役持ちではなかった頃のエース。彼に待つ未来と、もしかしたらあったかもしれない「騎士」以外の役割を持つifの未来についてアリスは考える。しかしそんなアリスとは反対にエースの方は、自分の身に起きていた変化には最後まで気づかなかったもよう。「結局、自分はどこが変わっていたのか」と考え始める。そんな彼にアリスは、少年のエースのことは告げないことを選ぶ。「外見的には何も変わっていない」と返してきたアリスに、「今回も何が変わっているのかわからなかった」と落胆するエース。しかし直ぐに気を取り直して、ユリウスに会いに行こうとアリスを時計塔へ誘う。「嵐」が終わり、いつも通りの日々が戻って来たことを感じながら、アリスはエースと共にユリウスに会いに行くのだった。

ペーター いつか花嫁にEND

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