ハートの国のアリス(ハトアリ)とは【ネタバレ解説・考察まとめ】

『ハートの国のアリス』とは、QuinRoseから発売された童話『不思議の国のアリス』がモデルの恋愛アドベンチャーゲーム。QuinRoseの看板作品の1つ。不思議な「白ウサギ」によって、ある日、銃弾飛び交う物騒な世界「ハートの国」に連れ去られてしまったアリス。アリスは非現実過ぎるこの出来事を「夢」だと受け入れ、夢から目覚めるまでの間、ここでの暮らしや住人達との交流を楽しむことにする。

ブラッドの好感度をMAXにしなかった場合に発生させることが出来るEND。
小瓶の中身がたまった為、元の世界に帰る事を決めたアリス。だがそこへブラッド・エリオット・ディー&ダムが現れ、アリスの小瓶を奪う。アリスを帰したくないと思っていたエリオットとディー&ダムは、小瓶をどうにか壊せないかと考える。アリスが慌ててそれを止めようとしたところで、ブラッドが「実はアリスはそれがなくてもいつでも元の世界に帰れた」「瓶の中身はアリスの元の世界へ帰りたいという気持ちが詰まっているのだ」という驚きの事実を口にする。ブラッド曰く、アリスが本当に強く戻りたいと願っているのなら、瓶の中身に関係なくいつでも元の世界に帰れたのだという。つまり戻れていないという事は、アリス自身に元の世界への帰還に戸惑いがあるという事だった。その事実に困惑するアリス。そんな彼女にブラッドは「アリスのそれは帰りたいではなく、帰らなければならないという脅迫概念である」事を伝える。それにより、アリスは自分の心の底では「帰りたい」と願っていない自分もいる事を自覚する。そうして「いつでも帰れるなら今すぐ帰らなくてもいい」というブラッドと帽子屋ファミリーのメンバーに導かれるように、アリスはハートの国に残る道を選ぶ。そうして戻った帽子屋屋敷にて、彼らと共に今まで通りの日々を過ごしていくのだった。

ユリウス&エースEND

ハートの国で生きる事を決めたアリスと、そんな彼女の意志を受け入れたユリウスの間に割り込んできたエース。

ユリウスルート攻略中に、エースの好感度も一緒にあげておく事で発生させる事ができるエンド。元の世界に帰らないアリスとユリウスが口論を繰り広げるところまでは、ユリウスENDと同じ展開となっている。
ユリウスと和解し、この国で共に暮らす事となったアリス。すると、そうと決まった次の瞬間、その場にエースが現れる。驚く2人を余所に、2人のこれからを祝福するエース。だが同時に、「自分だけ仲間はずれなんて嫌だ」と自分も彼らの間に混ぜるようにと告げる。有無を言わせぬ迫力を見せるエースに、ユリウスとアリスは気圧され、彼も含めた3人での日々を過ごす事を決めるのだった。

ビバルディDEAD END

アリスが共有ルートにてペーターから渡された小瓶。特定のキャラのルートをクリアしていれば、中身が満タンになったタイミングで元の世界に帰るか、それともずっとハートの国に残るかの選択を行う事が出来る。選択によってエンディングが変わる。

ビバルディルートのみで発生するバッドエンド。
小瓶の中身が溜まり、元の世界に帰るか否かの決断を迫られたアリスが、元の世界に帰る事を決めた場合に限り見る事ができる。

元の世界に帰る事を選んだアリスは、その事をビバルディに伝える為に彼女の下を訪れる。だが、アリスが元の世界に帰る事を認められなかったビバルディは癇癪を起こし、自分の手の届かないところに行くならばとアリスを自らの手で処刑する事にする。そんなビバルディの反応に、アリスは自らの命を差し出す事を決める。何か気に食わない事があるとすぐに相手を処刑しようとするビバルディだが、それはこのハートの国ではどんな死も「替え」が効くせいでもあった。前任の女王がいなくなって直ぐに、ビバルディという替えが誕生したように、この世界の住人達は誰もが替えの効く存在となっている。だが、命というものは本来そんな風に見るものではない、とアリス自身は思っていた。そしてその事を再三ビバルディに伝えてきたが、それを彼女が理解した様子はなかった。だからこそアリスは、この世界で唯一替えの効かない存在である余所者である自分の命を差し出し、彼女にその重みを感じて貰おうと考えたのである。
そうして特段抵抗する事もなく、アリスはビバルディ自身の手によって処刑されてしまうのだった。
なお、このENDはPC版にしか存在せず、PC版から移植されたPS2版・PSP版には存在しない。

双子殺害END

双子(ディー&ダム)によって殺害されたアリス。

帽子屋滞在を決めた後、フリータイムで一定期間双子(ディー&ダム)に会い行かなかった場合に発生する。ディー&ダムは、門番として帽子屋屋敷を守る役割を担っているキャラクター達だ。このENDでは、2人は帽子屋屋敷に勝手に侵入した人物としてアリスを捉え、仕事の一貫として彼女を殺してしまう。滞在しているのに侵入者として捉えるのは何かおかしいという意見も多いENDだが、ディー&ダムは自分の興味のない相手に対してはどんな非情な振る舞いも行えるキャラクターとして作られている。その為、一定期間会いに行かない=好感度があがらない、興味がない、という事でアリスが殺されてしまうフラグがたつ仕様になっていると推測できる。
なお、このEND「ビバルディDEAD END」と同じくPC版にしか存在せず、PC版から移植されたPS2版・PSP版には存在しない。

BADEND1(共通BADEND)

ペーターに連れて行かれる前の現実世界の光景。アリスから見た1人称視点となっており、画面真ん中にいる人物がアリスの姉・ロリーナ。アリスが忘れていた「辛い現実」に纏わる人物である。

プレイヤーがどのキャラクターも攻略しなかった場合に発生するBADEND。
アリスが各キャラクターのルートクリアの条件を満たさないままに小瓶の中身が溜まる日が来てしまうと、自動的に元の世界へ帰らされる。ペーターにハートの国に連れて行かれる前の時間軸に戻ったアリスは、そこで姉と再会する。だが姉からもう夢を見るのは駄目だという忠告を受けた事で、アリスはハートの国が夢の世界ではなく現実のものであった事、そして自分が忘れていた「辛い現実」を思い出してしまう。
なお、この「辛い現実」については、このENDでは深く語られない。詳細は「真相END」と呼ばれるBADENDにて語られる。

BADEND2(真相END)

アリスを元の世界に帰す為、彼女を連れてハートの城の廊下を走るペーターとアリス。

別名「真相END」とも呼ばれるEND。BADEND1、エース、ユリウスを攻略後に解放される。
このENDではナイトメアの口を通して、なぜペーターがアリスをハートの国に連れてきたのか、ハートの国とは一体なんなのか、このゲームの中に散りばめられている様々な疑問がこのENDによって解決するようになっている。
実は、アリスの姉ロリーナがすでに亡くなっていた。アリス自身はその記憶をナイトメアによっていじられ忘れさせられていたことが発覚する。なぜそのようなことになっていたかというと、アリスが姉の死に責任を感じていたからだった。
ロリーナの亡くなった理由は、母親と同じ病。だが彼女が病気にかかる少し前に、アリスは姉を裏切っていた。自身の恋人であった家庭教師の男を袖にしたロリーナ。そんな彼女と共に居るのが苦しくなったアリスは、通っていた学校を卒業したあとは、家を出て働くことを決意する。しかしそれを反対するロリーナ。当然2人は揉めてしまい、その後、病気にかかったロリーナは亡くなってしまう。姉に謝れなかったことや、彼女が期待する人間になれず失望させてしまったこと、それらを理由にアリスは姉が病気にかかったのは自分のせいだと気に病むようになる。
そんなアリスの様子を見ていたのが、白ウサギのペーター。彼、正確にはペーターを含む役持ち12人の正体は、アリスが大事にしていた「時間」だったのである。
アリスは時間をとても大事にする少女だった。そんな彼女の思いによって生まれた「時間」が、ハートの国の役持ちだった。役持ちの人数が、時間に関りが深い「12」という数字であったのも彼らが「時間」故のものであったもよう。1人が1時間単位の時間の役割を持つ「時間」だったのだ。「ハートの国」というのも、彼らを動かす心臓代わりの時計のことをさしており、ハート=時計、つまり本当は「『ハート』の国」ではなく「『時計』の国」というのが、この世界の真の正体であったことが発覚する。
ペーターは「時間」のなかでも、アリスとロリーナが共に過ごす事が多かった時間を担当していた。その為、ロリーナとの思い出に苦しむアリスを見て居られず、ナイトメアの協力のもと、彼女をハートの国に連れて来たのだという。ペーターが彼女を最初から慕っていた理由は、ここにあると思われる。
余所者であるアリスが皆に好かれやすいのは、彼らがアリスが大事にしてきた「時間」であるから。しかしこのまま現実を過ごせば、アリスはいつか「時間」を大事にする心を忘れてしまう。アリスに忘れられたくない。そんな願いも含め、ペーターはアリスを連れ去ることを決意したのだという。
しかし全てを知ったアリスは、現実に帰ることを決める。迎えに来た時同様に、ペーターに見送られる形で、アリスは元の世界に帰る。フリルやリボンの似合う年はすでにすぎた大人の女性だった。そんな元の世界で、現実を受け止め、向き合っていく為の一歩をアリスは踏み出すのであった。

『ハートの国のアリス~アニバーサリーver~』で追加された非滞在ENDのあらすじ・ストーリー

『ハートの国のアリス~アニバーサリーver~』は、『ハートの国のアリス(PC版・PS2版・PSP版)』に新たな要素をいくつか追加した、リメイク版の作品となっている。
『ハートの国のアリス(PC版)』から『ハートの国のアリス(PS2版・PSP版)』に移行する際になくなっていたデッドエンドとバッドエンドの復活、非滞在ENDといった『ハートの国のアリス』には存在しなかったルートが追加されている。
なお非滞在ENDは後付のルート故か、滞在ルートと比べるとシナリオのボリュームが少ないという特徴がある。メインはあくまでも滞在している際の攻略ルートである事がわかる。

ハートの城非滞在END

エースver

ハートの城に庭でアリスに迫るエース。

ハートの城以外の領地を滞在地に選び、なおかつエースを攻略対象に選んだ際に発生するルート。
このルートではアリスはハートの城の客人ではなく、あくまでも余所の国から来た「余所者」としてエースと接していく。その中で距離を縮めていくエースとアリス。そうしていく内に、エースの方がアリスが他の者と話している事に嫉妬をするようになり、アリスも少しずつ彼に対してそういう意味での好意を寄せていくようになる。
しかし元の世界の事を忘れられないアリスは、小瓶の中身が溜まると元の世界へ帰ろうとする。だがそこへエースが現れ、彼女を引き止める。一度は拒絶するアリスだったが、エースがアリスの脚を切ってでも止めると言い出した為、帰る事を諦める。だが同時に、そうまでしてエースが引き止めようとしてくれた事を嬉しく思っている自分に気づき、アリスは本当は自分が元の世界に帰りたくなかったのだと自覚する。瞬間、アリスの想いに呼応するかのように持っていた小瓶が割れ、アリスは元の世界に帰る手段を失う。だがエースからの愛の深さ、そして自分のエースを思う気持ちを理解したアリスは、彼と共にハートの国で暮らす道を自ら選ぶのだった。

ペーターver

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