ぼくたちは勉強ができないの名言・名セリフ/名シーン・名場面まとめ

『ぼくたちは勉強ができない』とは、 筒井大志が2017年より『週刊少年ジャンプ』で連載中の漫画である。2019年には第1期・第2期とアニメ化もされた。主人公で凡人出の秀才・唯我成幸が、得意分野では天賦の才能に恵まれるも、希望する進路に必要な科目はとことん苦手な、緒方理珠・古橋文乃・武元うるか、3人の教育係に任命され奮闘する。一ノ瀬学園OGで浪人生の小美浪あすみと、一ノ瀬学園教師で理珠と文乃の初代教育係でもある桐須真冬も巻き込み、5人のヒロインと大学合格を目指していく学園ラブコメディー。

唯我輝明「お前はできない奴をわかってやれる男になれ」

成幸にも受け継がれていく、父・輝明の教育理念。

問1で成幸が父・輝明のことを回想するシーンでのセリフ。
輝明が生前に成幸へ言った言葉。
幼い成幸がテストで悪い点数を取ったとき、輝明は成幸の頭を撫でながら言った。
「なあ、成幸。今の悔しさだけは忘れちゃならねえぞ。お前はできない奴をわかってやれる男になれ。できない気持ちがわかるのは、できなかった奴だけだからな」
この言葉は成幸の性格や進路にも大きな影響を与えた。

成幸「俺はできない奴の味方ですから」

共に教える側を思えばこそ、成幸と真冬の方針はどこまでも平行線を辿る。

問22で、真冬の部屋を訪れた際に、成幸が真冬に言った言葉。
成幸と真冬の教育方針の違いが明確にわかる。
「できないことに本気で立ち向かっている奴らを、できないからやめろなんて見捨てるぐらいなら、胸張って一緒に後悔する道を選びます。先生が才能の味方なら、俺はできない奴の味方ですから」
これに対して真冬は「平行線ね」と返しているが、後の「薄氷の女王」編のクライマックスではこれに絡めたやり取りがあり、二人の関係性の変化を表している。

真冬「お、お帰りなさいませ… ご主人様…」

不可抗力ながら怪我をさせた店員の代打で、メイド服を着て接客の練習をする真冬。

物語当初、前任の教育係の一人として成幸とは反目する間柄だった真冬。「氷の女王」の異名の通り、その冷然とした言動は正論ながらあまりに手厳しく、成幸と彼が教育を受け持つこととなった少女たちからすれば“敵”に近い存在だった。
しかし物語の進行と共に私生活ではポンコツな点、過去のトラウマなどが次々と紹介され、気付けばヒロインの仲間入り。作品屈指の人気キャラクターとなっていった。
中でも特筆すべきは、コスプレする回数の多さである。本人にそういった趣味は無いのだが、「ちょっと来てみたら脱げなくなった」やら「別の衣装と間違えた」といった強引な理由から、学生時代の制服からスクール水着、魔法少女まで作中で様々な格好をさせられている。

見出しの画像はその一つで、自分が転んだ際に巻き込んで店員に怪我をさせてしまったことから、メイド喫茶で一日だけ助っ人に駆り出された際のもの。学校での彼女とのギャップに成幸は目を白黒させていたが、読者の反応も似たようなもので、これによって真冬は人気キャラクターの階段を駆け上がっていった。

後夜祭の花火が上がるシーン

「後夜祭で最初の花火が上がった時、触れ合っていた男女は結ばれる」というジンクスを、成幸は“ヒロインの誰か”と経験することになる。

問69で描かれる本作の最重要シーンのひとつ。
一ノ瀬学園のジンクスに「後夜祭で打ち上げられる1発目の花火が上がった瞬間、触れ合っていた男女は結ばれる」というものがあった。
成幸と誰かが手を握っているシーンは確かに描かれていたが、それが何者なのかは問150に至るまで明かされなかった。
問150でそれがうるかだったことが判明するが、「別のヒロインが成幸と手を握っていたら」という前提の下、個別ルートが展開していくこととなる。

うるかが真冬に相談するシャワーシーン

元トップアスリートの真冬は、現役アスリートのうるかにアドバイスする。

問63で描かれる、元トップアスリートの真冬と現役アスリートうるかの会話。

大一番を前に、全くの平常心でいられる選手なんてそうはいない。無理に平常心であろうとするより、緊張や周囲の期待を楽しむくらいの方がいいのだ。
大人になればそんな大舞台にはそうそう巡り合えないのだから、才能ある者の特権を噛み締めてくればいい。

国体を直前控え、周囲のプレッシャーを感じていたうるかに、真冬はそんな言葉を送った。
このアドバイスを胸にうるかは国体で優勝し、海外留学のチャンスをつかんだ。

静流「“できない”子代表の私が許す! 好きなことを全力で 好きにやりなさい」

文乃の母・静流。天才数学者と謳われる彼女も、高校に入るまでは数学を大の苦手にしていた。

病に冒され余命いくばくもない静流が、娘の文乃に残した言葉。

天才数学者として名を馳せた静流だが、実は高校に入るまでは数学をとことん苦手にしていた。しかし同級生の零侍に恋をして、彼に近づきたい、彼に褒められたい一心で必死に努力を重ねて、ついには自分にまったく向いていないと思っていた道で大成したのである。
だからもし文乃に本気でやりたいことがあるのなら、誰に不向きと言われようと、全力で取り組んでほしい。自分がそうしたように、“好き”という想いを貫いてほしい。結果は後からついてくる。そんな静流の想いが込められた名言にして、『ぼくたちは勉強ができない』を通して描かれる本作のテーマそのものである。

「文系の才能を活かせる道を行くべきだ」と頑なに主張していた零侍も、亡き妻のこの言葉と娘の熱意についに折れ、文乃が天文学の道に進むことを許すこととなる。本エピソードは文乃の家庭の問題が解決していく様を描くと共に、彼女が成幸への恋心を自覚するきっかけにもなっており、その意味でも重要なものとなっている。

理珠「ちゃんといっぱい悩んでください…! 疲れたら… また私がいつだって甘えさせてあげますからっ!」

夢が出来たのなら、手を伸ばすことすらせずに諦めないでほしい。理珠の必死の訴えが成幸の心を動かす。

VIP推薦欲しさに文乃と理珠の教育を引き受けた成幸。そこにうるかも加わり、彼の尽力と彼女たちの努力は少しずつ結実していく。一方で、その様を間近で見ていた成幸の心の中に、「教育者になりたい」という彼自身の夢が芽生え始める。しかしVIP推薦で進める大学には教育学部が存在しないため、自分が夢を叶えるためにはそれを蹴らなければならない。
それは今まで応援してくれた多くの人を裏切り、授業料などの負担を家族にかけさせることでもある。それを思って二の足を踏み、夢を諦めようとする成幸に、理珠がかけた言葉が見出しのものである。

これまで自分たちの夢を応援し、助けてくれた成幸が、自身の夢を安易に手放そうとしている。そんな彼の姿は見たくない、“挑戦する前から夢を諦めた”なんて後悔を味わわせたくない。「ちゃんと自分の夢に向き合ってほしい」と懇願し、疲れたら自分が慰めると付け加える理珠。彼女の激励を受けて、成幸は本格的に教育者という夢を追い始める。
成幸が自身の夢と向き合う物語後半につながる重要なシーンであると同時、「人の心が分からない」と言っていた彼女の成長を描く印象的な場面である。

真冬「この子の前には 無限の未来が広がっているのだものね」

優しい眼差しで、赤ん坊の未来に想いを馳せる真冬。

叔母の娘を一日だけ預かることとなり、悪戦苦闘する真冬。成り行きから成幸も世話を手伝うこととなり、二人は四苦八苦しながら慣れない育児に取り組む。
ようやく赤ん坊も眠りにつき、一息ついたところで、幼い姪の寝顔を見詰めながら真冬が口にしたのが見出しのセリフである。
「氷の女王」の異名で呼ばれる真冬だが、それは自分の教育方針を貫くために彼女が用意した仮初の人格。本来の彼女は優しく、聡明で、私生活がポンコツな人間である。この場面ではそれがよく現れており、普段学校で見せるものとはまるで違う姿に、成幸はドギマギしていた。
同時に、「この子はなんにでもなれる、赤ん坊には無限の未来がある」というセリフには、「自分はもう何かになることはできない、限られた未来しかない」という真冬の諦観の表れにも受け取れる。後悔ばかりしてきた彼女のこれまでの人生を思うと、赤ん坊を慈しむ想いの中に苦いものが感じられてくる、意義深いセリフである。

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